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南充浩 オフィシャルブログ

産地

時流に応じてアップデートできることが本物の「伝統」

2018年5月8日 産地 0

先日といっても3月末のことだが、とある会合で、以前から面識があった「ごのみ」という雑貨ブランドを展開している方と久しぶりにお会いした。 西陣織の技術を生かして数年以上前から活動されている雑貨ブランドなのだが、その日は、「正絹ではなく、摩擦に強いポリエステルで織った生地を使いました」というポーチを持ってきておられた。 これは正解だと思う。 バッグやポーチは自分

既製服に「手縫い」「手作業」を求める百貨店部長の愚かしさ

2018年3月19日 産地 0

洋服の価格下落を食い止める方策として、付加価値を高めるというやり方が注目されているが、難しいのは何をもって「高付加価値」をアピールするかである。 作り手側・売り手側の響くポイントと、消費者が響くポイントはあまり重なり合わない。 もう一ついうと、作り手側・売り手側の響くポイント、消費者が響くポイント、メディアが響くポイントと「事実」は往々にして異なる場合があり

老年向けカジュアル・ファッション衣料の市場規模は期待されるほど拡大しないのではないか

2018年3月16日 企業研究 0

我が国は年々、老人人口が増える高齢化社会となっている。 このため、何年も前からその人口の市場規模が拡大すると考えられてきたが、こと洋服に関してはその予想は当てはまらないのではないかと思う。 これまで、老年層の衣料品需要が伸びないのは、「欲しいと思うような服がないからだ」とされてきたが果たしてそうだろうか。 異なる理由があるのではないかと思う。 今回は身の回り

日本の繊維関連工場の技術は高いのか低いのか?総悲観論も楽観論もナンセンス

2018年3月5日 企業研究 0

現在の、日本の製造加工場の技術が高いのか低いのかという議論があるが、一概に高いとも低いとも言えないのが実情だと考えている。 とくに繊維関連では、その傾向が強い。 繊維分野においては、技術の高い低いとは何かという部分の見極めが難しい側面がある。 上質とされる生地、糸は「風合い」が良く、希少性の高さを評価されることが多いと感じるが、その一方で耐久性はまるでないこ

低価格商品に最高峰品質は必要ない 

2018年2月13日 産地 0

先日、神戸のレディース靴工場、ロンタムの神農社長と遅めの新年会をした。 実は、1月中に5人くらいで新年会をするはずだったのだが、前日にぎっくり腰を発症されて、欠席になってしまったので、今回はその挽回戦となったわけである。 当方も含めたオッサンの身体は漏れなく傷んでいる。(笑) 神農社長と知り合ったのは、2015年に当方がブログセミナーを開催した際、出席してく

繊維の製造加工業の基本は大量生産・大量販売

2018年2月8日 産地 0

クラウドファンディングの大成功で一躍知名度を上げたオールユアーズのスーパー企画マン、原康人さんに久しぶりにお会いした。 会って何をしたかというと業界の裏話をネタに雑談しただけである。 その中で、原さんの企画で、某国内生地産地が大手ブランド(ユニクロじゃないよ)からの受注が決まり、2019年春夏物として、4万メートルの生地を生産することになり、非常に産地の士気

プライベートブランド「ゾゾ」に関する報道は矛盾が多くてさっぱり理解できない

2018年2月5日 ネット通販 0

スタートトゥデイによるプライベートブランド「ゾゾ」の概要は様々な記事を読んでもさっぱりつかめない。 どうしてつかめないかというと、価格帯と納品までのリードタイムと製造の仕組みがそれぞれバラバラで矛盾しているからだ。 一般紙の記事はもちろんのこと、業界紙の記事も同様でサッパリわからない。 業界紙の場合は、製造などについて一般紙よりも詳しいはずなのだが、そのとこ

数量ベースで国産衣料品の生産比率を大幅に上昇させることは不可能

2018年1月24日 産地 0

以前も書いたことがあるが、巷間に流布する「国内衣料の生産比率は3%」というのは一面で正しいが、一面では正しくない。 なぜならその「3%」は数量ベースだからだ。 金額ベースだとまだ26%くらいある。 ファクトリエやらトウキョウベースに代表される「国産派?」はこの「3%」に乗っかって、それを販促の旗印にしている。 さらにはカネなしのエシカル活動家もそれに乗っかっ

ファッション業界にはびこる「過剰なフィクション」と「嘘の神話」

2018年1月16日 産地 0

衣料品をわかりにくくしている原因の一つに、業界の内外にはびこる「過剰なフィクション」がある。 モノ余り状態の現在において、商品を売るには「ストーリー作り」「物語性」が必要であることは言うまでもないが、あまりにも過剰にフィクション性が取り入れられた場合、かえって消費者を惑わせてしまう。 衣料品に関してはこれは今に始まったことではなく、かなり昔から連綿と続いてい

製造加工業者に蔓延する「とりあえず作る病」と「下請け気質丸出し病」

2018年1月9日 産地 0

昨年末にセメントプロデュースデザインの金谷勉社長から、ご自身の初著書を献本いただいた。 日経BP社から12月半ばに発売された「小さな会社が生き残る」(金谷勉著)である。 セメントプロデュースデザインは、もとはグラフィックやらポスターやらウェブなどのデザインを手掛けていたが、それと並行して各地の製造加工業者の新規商品開発も手掛けていた。 今回の本に掲載されてい

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