月別: 1月 2016 (1ページ / 2ページ)

合わないなら無理にブランド物を買う必要はない

 今日はお気楽に。
早いものでこの土日で1月も終わる。
年々、月日が過ぎるのが早く感じられる。何歳で死ぬことになるのかわからないが、この分なら寿命が尽きるまではあっという間に過ぎ去りそうだ。

ユニクロのウェブサイトを見ても、ライトオンのウェブサイトを見ても、今週末はあまり目ぼしい物がない。

そういえば、先日、久しぶりに天神橋筋商店街の在庫処分屋(通称バッタ屋)で、スエット生地のジャケットを買った。値段を見ての衝動買いというやつだ。

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ブランド名は「NOTHENTIC」と書いてあり、どこかでこのデザインを見たことがあるのだが、ネットをググってもこのブランドの詳細は出てこない。
下げ札が少し黄ばんでいるから何年か前の商品なのだろう。

税込1000円で売っていた。

組成はポリエステル65%・綿35%で、洗濯をしても綿100%よりも早く乾くだろう。
8年くらい前にユニクロで値下がりして買った綿100%の黒のスエットジャケットがだいぶと赤褐色っぽく退色していたから、その代替品にするつもりである。

ところでみなさんは買い物をするときに「あのブランドのあの商品のあの色柄が欲しい」と思って買い物をされるのだろうか?
それとも「似たような物で安い物があればそちらでも良い」と思って買い物をされるのだろうか?

筆者は圧倒的に後者である。

正規品を定価で狙いすまして買ったのは11年前のラベンハムのキルティングジャケットくらいである。
当時は29000円くらいだった。今はもっと値上がりしている。
欧米ブランドは円安だろうが円高だろうが関係なしに自社の都合で値上がりし続ける。
なんともいえない欧米の強欲さをいつも感じる。

それはさておき。

それ以外のアイテムで「狙って」買うことは10年前からはほとんどない。

今冬セールでパンツを買ったが、黒の細身のストレッチパンツを買いたいと思っていた。
ブランドははっきり言ってなんでも良い。
でもちょっとだけ素材は気になる。あんまり肉薄すぎるのは嫌だし、ポリエステルの配合率が高いのも嫌だ。
でも綿100%も嫌だ。なぜならストレッチ素材に慣れたので綿100%の細身のパンツはしんどくって穿くのが苦痛だからだ。

そんなわけで綿主体でポリウレタンが少し含まれている物が好ましい。

値段は安ければ安いほど良い。

最初に無印良品を思いついた。
ウェブ通販を見ても、店舗を2,3店回っても売り切れている。
元値が3900円くらいでそこからセール時期は3割引きである。

じゃあ、代替品を模索する。

その結果がジーンズメイトである。
ジーンズメイトでエドウインのダークグレーのストレッチパンツを買った。
1万円の定価が半額の5000円だった。
30%割引チケットを見誤って結局5000円で買ったので、想定よりも1500円のマイナスである。
少し落ち込んだが、まあ、エドウインの日本製が5000円なら納得の価格である。

ついでに別の日に、ジーンズメイトで、半額に値下がりしていたPB「ブルースタンダード」の黒いストレッチパンツを買った。これはやや光沢のある綿サテン素材で、ライトの当たり具合では黒より少し浅い色合いに見える。
定価6000円が半額で3000円。そこからさらに30%オフで2100円になった。
まあこれはお買い得だったといえる。

いつもだいたいこんな感じで買う。

あるブランドの商品をすごく欲しいと思っても、金がないから買えないという場合が多い。
次に資金を用意したものの、そのブランドの商品はサイズ感が合わないという場合も多い。

筆者の場合は太ももが太いので、スキニーパンツなんかはレオタードみたいになってあまりにもオカシイ。
流行ブランドは得てしてタイトすぎるシルエットのものが多いから試着をしてみて諦めることが多い。

ここで頑張ってそのブランドを穿いたとすると、「買えた」という満足感はあるかもしれないが、レオタードみたいなムチムチピチピチの足をむき出しにすることになる。
それがカッコイイか悪いかを第三者的視点で考え直してみる。

スラっと脚の細い人がピタピタのパンツを穿いているのは確かにカッコイイ。
しかし、サッカー選手とかラグビー選手がピチピチすぎるパンツを穿いている姿はかっこ悪い。
やっぱり太ももに適度なゆとりがないとレオタードみたいになって不恰好である。

ということを考え直すと、無理にそのお目当てのブランドを買う必要はない。
わざわざ高い金を払って不恰好になるようなものだからだ。
少なくとも筆者はそう考える。

となると、自分の体型と収入に合ったブランドで代替品を見つける方が効率的である。
少々細部のデザインが違っていても構わない。
どうせ筆者のようなオッサンの体の細部までジロジロ見る人はいない。
筆者だってオッサンの細部なんて気色悪いからジロジロとは見ない。

今回のスエットジャケットも価格が1000円だったし、ディテールがテイラードとは異なっていたが、テイラードっぽく見えるのでそれで良いという判断である。

〇〇ブランドの高額なケーブル編みの綿セーターはたしかに素敵だが、黒とか紺とかグレーとか白とかそういうベーシックな色ならユニクロのコットンカシミヤセーターで良いのではないか。
もちろん、そのサイズ感が体型に合うならという前提である。
〇〇ブランドの方が体型に合うならそちらを買うべきだろうが、合わないなら合う方を買うべきだし、両方とも合うなら安い方で良いのではないか。

サイズ感と色合わせさえ間違えなければ、かなりの破格値でそれなりのコーディネイトが楽しめる。

そして低価格ブランドはますます見た目は、通常のブランド品と見分けがつかなくなっている。
今後、さらにその傾向は加速するだろう。

昨年から大手アパレル各社は経営悪化から大量の社員を解雇している。
それらの多くを低価格アパレルが再雇用している。
また、リストラを免れて残った社員でも雇用形態の悪化から自主退職し、条件の良い低価格アパレルへ移っている。
となると、それらアパレルのノウハウがごっそりと低価格ブランドに移ってしまうということであり、商品の見た目は同等になるだろう。
もしかすると低価格アパレルの製品の方が見た目は良くなる可能性だってある。

そうなればますます、効率的な代替品の流通量が増えるということであり、よほど強力なファンを持ったブランド以外は淘汰されるということになる。

そんな状況である。




明確な成功モデルが無くなったアパレル業界

 昨日からこのブログのURLが変わった。
開設5年強にしてやっと独自ドメインを取得した。

http://minamimitsuhiro.info/

である。
なぜ独自ドメインにしていなかったかというと、一番大きい理由は「めんどくさかった」からだが、いろいろな方にご指摘いただき、やっと重い腰を上げた。
これからもよろしくお願いします。

ちょっと昨日の続きみたいな内容になるが、昨年あたりからアパレル業界全体の手詰まり感が強まっていると感じる。

分かりやすい打開策が見当たらないアパレル業界の不況感
http://minamimitsuhiro.info/archives/4572161.html

70年代とか80年代のファッションビジネスは体験していないので論評を避けるが、90年代以降を見てみると、
97年に北海道拓殖銀行と山一証券が倒産して、一気に不況感が押し寄せた。

もちろん、この時も消費は低迷した。

その前後でダイエー、マイカル、そごうが倒産した。
アパレル業界でも連鎖倒産が相次いだ。
信和シャツの倒産は貸し倒れによる連鎖倒産だと報道された。

しかし、オンワード樫山、ワールド、サンエーインターナショナル、東京スタイル、三陽商会あたりの大手アパレルは堅調ないし好調だったし、98年ごろからユニクロブームが始まる。

業界には分かりやすい成功モデルがあったということである。
1つはユニクロ的な徹底した低価格品の提供である。

これ以降、各社は血眼になって低価格品の開発を進める。

個人的に印象的だったのはワールドがデザイナー田山淳朗氏と提携した「オゾック」「インディヴィ」というブランドを発表したことと、その商品デザインの先進性だった。
今の「オゾック」も「インディヴィ」も商品デザインも店作りも没個性の埋没したブランドだが、この当時はまったく違っていた。
ちょうどこのころ、「最後のデザイナーズブランドブーム」も起きていた。

これはこれで業界にとってはもう一つの分かりやすい成功事例だったといえる。

さて、このあと業界ではデザイナーズブランドブームは終焉し、ユニクロの急成長を迎える。
そのため、各社ともに低価格品の開発が一層進む。

次に景気が悪化したのは2008年のリーマン・ショックである。

もちろん、各社ともに業績は悪化したが、ちょうどこの年にグローバルファストファッションブランドが上陸しており、ここから4年か5年くらいはファストファッションブームが起きる。

低価格+トレンドというのが今度は業界的な成功モデルと見なされるようになる。

現に各社ともそういうブランドを急ピッチで開発した。
今年、会社清算される遊心クリエイションの「イーブス」もその一つである。
アーバンリサーチだと「センスオブプレイス」はそういうブランドだ。
古着屋出身のウィゴーも完全にこちらにシフトした。

この分野には一定の需要があるから、今後も絶滅することはないだろう。
安くてそこそこにトレンドがある商品というのは使いやすい。
一部の偏執的ファッショニスタは毛嫌いしているが、それはあくまでも少数派である。
大多数の人から見たらこれほど使いやすい商品はない。
利便性がある商品はその価値を正しく伝えることができれば多数から支持される。

余談だが、量販店やホームセンターを主導した渥美俊一さんという人のペガサスセミナーでは「トレンド品は低価格で売る」というのが基本的な考え方だった。
なぜなら商品寿命が短いからである。
トレンドはいつかは終わる。
終わってしまえばトレンド衣料品は着用できない。
ならそんな寿命の短い物は低価格で売るべきだというのがその主張だ。

渥美さんと面識はないが、最初に就職した会社でこの人の本を読まされた。
その会社の社長がセミナーに入会していたからだ。

この考えは、今のファストファッションブランドに採用されているといえる。

さて、それはさておき。

ファストファッションブームも沈静化した。
沈静化したというより定着化したというべきで、その分野が今後も大きな成長を続けられるとは考えにくい。

2010年を越えたころからインターネット通販への注目が高まる。
もちろんそれ以前からも存在したが、このあたりから腰が重かった大手各社も参入し始める。

しかし、2016年現在はどうか。
楽天だけで4万店の出店があり、Yahooは34万店、このほかにアマゾンやらZOZOTAWNやらの大手モールが犇めいている。
当然、各ブランドの直営サイトもある。
単にネット通販というだけではとてもじゃないが埋没してしまう。

その結果、ネット通販ブランドの苦戦、破綻というもの珍しくない。

夢展望の連続赤字、ogage japanのトライシクルジャパンの倒産、をはじめとして枚挙にいとまがない。
ビッダーズなんてどうなったのか最近では名前すら聞かない。
また今月末で全店閉鎖になるジーンズカジュアルショップ「デンバー」だって楽天とYahooに出店していたし、各店舗がブログで情報発信をしていた。
デンバーの事例を見ると、ネット通販やネットでの情報発信をしていても売り方・やり方を工夫しないとあまり効果がないということがわかる。

となって、2016年現在、業界がこぞって参考にできるような成功事例がない。

「アホみたいな高額商品」とか「自己満足っぽいこだわり商品」がダメなことは各社が身を以てすでに体験している。

そういう意味ではアパレル業界はこれから大変である。
各社が独自の成功モデルを模索しなくてはならないからだ。
それが何かというのは、各社の得意分野、配置している人材、経営者の思考、で大きく異なる。

もちろん作ることは重要だが、売り方・売ることも重要になる。
「単に安くした」とか「単にネット通販を開始した」だけでは売れないことは去年までで証明されている。
飲食店・カフェ併設とかライフスタイル提案も掃いて捨てるほどある。

カフェがあるからあの服屋に行こうなんて人はほとんどいない。
ちょろっとバッグや雑貨を並べただけのライフスタイル提案型ショップなんて意味が分からない。

これからは各社が自社の強みを見極めつつ、手探り状態で、自社に適した成功モデルを探さねばならない。
それしか方策は残されていない。
これはなかなか大変な状況であり、筆者がそんな立場に置かれたら真っ先に逃げ出してしまう。

しかし、それ故にもしかしたら、独自性の高いブランド、企業も生まれるのではないかと思う。
かなり確率は低いだろうけど。


 



分かりやすい打開策が見当たらないアパレル業界の不況感

 分野・業界ごとにマダラ模様だとは思うが、世間的には押しなべて見れば今の景気は比較的安定しているように感じる。
バブル期みたいな好況感は永遠に訪れることはないが、97年の拓銀・山一ショックやら2008年のリーマン・ショックほどの急激な不景気感もない。
分野や業界によっては「好調です」と答えるところもあるだろう。

しかし、繊維・アパレル業界はかなりの不景気感が漂っている。

昨年発表されたワールドやTSIなどの大手アパレルの苦境もあって、その影響が川上にも川下にも表れつつあるように感じられる。

また今月末には某大手アパレルが資金ショートに陥り、どのように回避するのか、はたまたそのままショートしてしまうのかわからない状況にあるといわれている。

中規模・小規模の成長株と目されていた遊心クリエイションの会社清算、WOmBの民事再生法申請もあり、不況なのは大手だけではないことが証明されたといえる。

これらのアパレルやSPAが破綻するということは、当然ながらそこと取引のあるOEM・ODM企業も苦境に陥るし、そこが使っている縫製工場・染色加工場・生地メーカーも影響を受ける。

そんな中、知り合いのOEM業者から「創業以来の厳しい状態にある」といわれたし、また別の知り合いのOEM業者からは「経営状態がかなりヤバい状態にある」という知らせもきた。

某地域のプリント加工場も今年前半に3軒くらいは倒れそうだという知らせもあった。

そういえば、「デンバー」の店名で親しまれていた関西圏を拠点にしていたジーンズカジュアルチェーン店も今月末で全店閉鎖になる。

本当に業界の上から下まで危機的状況にあると感じる。

97年の拓銀・山一ショック時はたしかに一気に不況感が押し寄せた。
この前後で、ダイエー、マイカル、そごうが倒産した。
当然業界も不況感一色だったが、反面、ワールドやTSI(当時はサンエーインターナショナルと東京スタイル)、オンワード樫山、ファイブフォックスあたりは堅調・好調だったし、ユニクロブームも始まった。

リーマン・ショック時も不況感はもちろんあったが、ちょうどファストファッションブームも起きたし、それに類した成長ブランドもあった。

そういう意味ではこれらの時点ではまだ明るさがあった。
解決法らしきものも見えていた。それは幻覚だったのかもしれないけど。

もちろん、現在でも成長企業はあるが、これがかなり数少ない。
某社なんて大手アパレルからの退職者を高額で大量に受け入れたり、引き抜いたりしていると聞く。

しかし好調だと聞くのはここくらいであとは押しなべて不況感が漂っている。

97年時点ではユニクロブームがあったから低価格化が解決策とみなされた。
2008年当時はファストファッションブームだったのえ、低価格化とトレンド化が解決策とみなされた。

今、そういう分かりやすい解決策・打開策は見当たらない。

なぜなら低価格化は限界まで達してしまったし、トレンド化もかなりの部分まで対応している。
ユニクロも飽和状態に達している。

遊心クリエイションもWOmBもそういうブランドだったが、それすらも事業が破綻している。
大手アパレル各社もこの10年間はひたすら低価格化とトレンド化を強化してきた結果が現在に至っている。

メディアではお気楽に「高額品でもバカ売れするアレ」なんていう能天気な記事を掲載しているが、賢明な人ならそれは鵜呑みにはできない。
8万円の服とか10万円の服なんてそう簡単には売れないし、それを購買できる人間の数はそれほど多くない。

97年とか2000年くらいなら金のない女性が援助交際という名の売春をしてまで高額ブランドを買ったといわれているが、現在はそんな身の丈に合わない背伸びはカッコイイこととは思われていない。

結局は、少ない購買層を巡って高額ブランド同士での激烈な顧客争奪戦が行われることになり、そんなところにポっと出たような新参ブランドが分け入って容易に勝てるはずもない。
その世界で生き残れるブランドはほんの一握りであり、もしかすると購買人口の多い中価格帯や低価格帯での商売よりも厳しいのではないかと思ってしまう。

そういう状況だから多くの業界関係者がまったく希望が見いだせないのではないかと感じる。筆者も含めて。

低価格化は限界、高額化が難しいことは容易に想像できる。
トレンド対応もやり尽くした。
だから解決策なし。

これが今の状況ではないか。

だから、今年か来年あたりに大手アパレルが何社か破綻して、その連鎖でOEM/ODM企業、川上企業、川下企業もけっこうな割合で破綻しそうな気がする。
今年か来年あたりに業界の構図が変わるほどのガラガラポンが起きるのではないかと感じられてならない。
杞憂に終わることを祈るばかりである。




国内の繊維製造・加工業者すべてを守る必要はない

 繊維関係の製造・加工業者は年々減っている。
これに対して「製造・加工業を守れ」という声がある。
とくにイシキタカイ系とかモノヅクリ系を気取っている人にそういう声が多いように感じる。

筆者も仕事上、そういう製造・加工業の経営陣や幹部と面識があり、さまざまなコメントを聞く機会がある。

一口に「製造・加工業」と言ってもその思惑はさまざまだ。

1、現在、経営は苦しいが何とか事業を存続したい、または止められない事情(借金など)がある。

2、経営は苦しいが、借金はなく経済的に余力があるから近いうちに廃業したい

3、経営が苦しいし、やる気もないがとりあえず助成金と補助金で食いつなぐ。なくなったら倒産させる。

まあ、大きく分けてこの3つだろうか。

個人的には1番以外の業者はさっさと事業を畳めば良いと思っている。
止めたい事業者をわざわざ国や行政、業界が支援する必要もない。

日本の製造業がなくなっても良いのか?という論調を聞くことがあるが、やる気がない業者ならなくなっても良いと思う。
現在、国内に大型生地工場や大型縫製工場、大型染色加工場が多数残っている先進国があるのだろうか?
アメリカもイタリアも一部残っているくらいだと聞く。

ということは、日本がそうなっても仕方がないし何の不思議でもないということではないか。

物の値段は安い方が売れやすい。
これはどんなに安売り嫌いが否定しても事実である。

昨今、飲料水の自動販売機が不振だと報道されている。
理由はスーパーとコンビニに押されているからだそうだ。

自動販売機は350ミリリットルの缶ジュースが130円、500ミリリットルのペットボトルがだいたい150円か160円くらいである。
しかし、食品スーパーだと350ミリなら100円以下、500ミリのペットボトルでも100円内外で買える。
最近は都心にも食品スーパーが増えたから、格別に急ぎの用事がなければそこで買うという人が増えてもおかしくはない。

一方、コンビニは自販機と同じ定価販売だが、昨今はポイントが貯まる。
実質的な割引販売と同じである。

同じ銘柄の飲料水なら食品スーパーかコンビニで買った方がお得なのである。
かくして自動販売機は衰退している。当然だろう。

だから大阪市内には格安自動販売機が出現し始めている。
100円は当たり前、80円、50円、30円のジュース類が販売されている。
筆者はもう何年も大阪市内で定価でジュース類を買ったことがない。

ジュース類は飲んでしまえば消えるから、毎日でも買う必要がある。
しかし、衣料品は一度買ってしまえば、特殊な条件で破損する以外は少なくとも3年くらいは持つ。

となると、毎月とか毎年新しい洋服を買う必要がない。
それでも買ってもらおうとするなら、一番手っ取り早い手段は値下げである。
よほど特殊な販促やらブランド作りをしない限り、衣料品は基本的に値下がりするのが当然というのが現在の状況であり、今後、日本にバブル景気が再来してもこの傾向は変わらないだろうと見ている。

となると、製造加工業者の工賃が上がらず、従事する人の賃金が上がらないのはこれもまた当然と言える。

賃金が上がらない業界に若い人が飛び込むことなんてよほど稀なケースであり、労働力不足になるのも何の不思議もない。

で、工員が老齢化して廃業か倒産を選ぶというのもまた自然な流れである。

製造加工業をすべて救うことなんて不可能だし、助成金やら補助金も無駄遣いになる。

やる気があって事業を続けたいと強く望む業者を支援するにとどめる、というのがもっとも効率的で現実的なやり方ではないか。

だから資産があって廃業できた業者は良かったと祝いたいし、資産があっていつ廃業しても困らないという状態で、しかもやる気がない業者はさっさと廃業して楽になれば良いと思う。

残った国内業者を如何にブラッシュアップするかが最重要課題ではないかと思う。



国内工場に1枚200円でTシャツを縫わせる大手セレクト

 洋服の製造原価というのは、同一ブランドであってもアイテムによって異なる。
少し製造に携わったことのある人ならだれでも知っていることである。

例えばジーンズは原価率が32%になってしまったけど、Tシャツは25%で抑えられたとかそういうことである。
なぜそうなるかというと、それぞれのアイテムが使用する生地が異なれば当然生地値も異なる。
縫製工賃もアイテムによっても異なるし、工場によっても工賃は異なる。

例えばTシャツなら500円で縫えるが、ジーンズだと1500円くらいは最低でもする。
テイラードジャケットやコートとなるともっと縫製工賃は高いだろう。

縫製工賃や生地値が高くなったからといって、青天井に販売価格を上昇させるわけにはいかない。
そのブランド特有の価格帯がある。
ジーンズなら1万円~17000円くらいとか。
生地値が高くて縫製工賃も高くなったから、いつもうちのブランドは15000円でジーンズを販売しているけど、この品番だけは3万円で売ります。なんてことはなかなかできない。
そういうことをするブランドもあるが、ブランド側からするとその3万円のジーンズが自社の客層に受け入れられるかどうかは賭けである。
受け入れられて完売できるかもしれないが、まったく受け入れられずに大量に在庫を抱えるかもしれない。

だったら自社の利益を削って1万9990円で販売するという方針になる。
その方が幾分かは売り易い。
そうなるとこの1万9990円のジーンズは販売価格は高いが利益は薄く、原価率の高い商品になるというわけである。

低価格衣料品は当然ながら縫製工賃も生地値も安い。
販売価格が安いからだ。

これを指して「低価格衣料品が誰かを泣かせている」と指摘するイシキタカイ系の人がいる。
欧米のそういう類の人間とは付き合いがないが、日本人でならある。
彼らはほとんどの場合「ユニクロ」を槍玉に挙げる。

しかし、ユニクロの平均原価率は38%内外だといわれている。
アイテムによっては4割を越えているだろう。もちろん20%台のアイテムもある。

鎌倉シャツの原価率は60%だといわれている。

そういう「イシキタカイ系」の人は、「だから僕は低価格ではない大手セレクトショップでしか買いません」なんてことを平気でいうのだが、そういう大手セレクトショップこそユニクロや鎌倉シャツよりもよほど生産者を泣かせていることが多い。

以前、オリジナルでTシャツを作って販売したいという人が東北のTシャツ縫製工場に工賃を交渉しに行った。
その工場には某大手セレクトショップから「1枚200円でTシャツを縫ってくれ」という依頼があったが、工場側があほらしくて断ったそうだ。

この工場以外にも1枚200円でTシャツを縫ってくれと依頼された国内工場、1枚200円でTシャツを縫っていた国内工場は珍しくない。
もちろん発注主はそれ以外の大手セレクトや大手SPAの場合もある。

彼らのTシャツは安くても2900円、国内縫製ということになればもう少し値打ちこいて、3900~5900円くらいが店頭販売価格だろう。

Tシャツの生地値もピンキリだが、1メートル1000円の生地だとして、半袖なら用尺は70~80センチなので700~800円である。縫製工賃は200円で1000円。あと副資材やら雑費が上乗せされて1100~1200円というところだろう。

3900円なら原価率は30%を割り込む程度だが、5900円なら20%を割り込む。
そういう大手セレクトがTシャツに1メートル1000円もの高額な生地を使うことは考えにくい。生地値はもっと安いだろうから実際の原価はもっと低いはずである。

発展途上国の工場ならその工賃でも「平均所得」前後くらいにはなるかもしれないが、ここは日本国である。
日本国の物価水準からするとその工賃を得るために何日もミシンを踏むくらいなら、コンビニかどこかで3日ほどバイトをした方がよほど効率的である。

どちらが生産者を泣かせているのか。

イシキタカイ系の人たちはユニクロを指して「あんな値段で作れるはずがない」というが、100万枚作れば論理上は可能になる。
ならご自分たちでも借金でもして100万枚作ることに挑戦してみてはどうか?
自社製品の店頭販売価格はきっと今の製品の5分の1くらいにまで圧縮することができる。

ユニクロに限らず、H&Mでも協力工場が劣悪な環境で工員を働かせてることがときどき発覚する。
そういう奴隷労働はもちろんなくすべきだし、それのための監視ということは必要だが、一概に何もかも低価格品が悪というのは、返ってその発展途上国の軽工業育成を阻害することになる。

先日、フェイスブック上で先達が、「アースミュージック&エコロジー」が全品80%オフでさらにレジで20%オフという激烈投げ売りセールを行っていてタマゲタと書いておられた。
たしかに激烈である。

1万円の商品が2000円になり、さらに1600円になる。
5000円の商品ならわずか800円である。

さらに驚いたことに、「あのブランドは80%オフでも利益が出ます」と書いている人がおられたことだ。
これが事実だったとすると、一体製造原価はどれくらいかということになる。

仮にもしその指摘が事実だとすると、平均原価率38%を維持するユニクロよりもよほど生産者を泣かせていることになる。


 




低価格代替品の脅威

 今日はお気楽に。

日曜、月曜と大寒波が襲来するといわれている。
しかし、Yahooの週間天気予報を見ると、大阪の水曜日の最高気温は11度、木曜日は13度となっている。
外れる可能性もあるが、寒波が去ると急速に気温が上昇する可能性が高い。

冬物のセール品を店頭に多数抱えているブランドは今回の大寒波が最後の処分チャンスではないかと思う。

2月に入って気温が低くなることもあるかもしれないが、そのときまで待っていては売りさばくタイミングを逃してしまうだろう。

さて、多くの人は洋服を買うときに「あのブランドのあのデザインの服が絶対に欲しい」と思って買うのだろうか。
それとも「あのブランドのあの服が欲しいが、買えない諸事情があるので似たような商品で構わない」と思って買うのだろうか。

筆者は基本的に後者である。

筆者の場合の諸事情というのは、

1、値段が高すぎる(筆者の寂しい懐具合にとって)
2、合うサイズがない、合うサイズが売り切れていた
3、狙っていた色が売り切れている

この3つがほとんどである。

この場合、筆者は似たような見た目で安い商品を何のためらいもなく買う。

おそらく基本的に、筆者は特定のブランドに入れ込むという情緒が他人より少ないのではないかと思う。

先日、ユニクロでフェアアイル柄のラムウールセーターを衝動買いした。

買おうと思った原因は、ずばり「値段が激安になっていたから」である。
定価3490円の物が990円にまで下がっていた。

このフェアアイル柄は4色展開なのだが、今回はベージュを買った。
筆者の買い物動機は9割以上が、「価格が下がっている」ということなのだが、年末・年明けにユニクロのラムウールセーターが一段と値下がりしたので、手持ちの中で少ない色の物を買おうと思っていた。

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(これを購入した)

手持ちの中で少ないのは、白系とベージュ系、それから茶色系である。

洋服のコーディネイトには多くの場合、個人個人の癖がある。
筆者は茶色系の洋服を合わせるのが苦手である。
実際のところベージュのチノパンですら着用するのが苦手であって、着用回数は年に数えるほどしかない。

セーター類は黒、紺がベースであと明るい色、それと最近、グレーが増えている。

一方、着用するズボン類は圧倒的にブルー系のジーンズが多い。
たまに紺、黒、オリーブグリーン、あと、ごく稀に白、ベージュ(カーキのチノパン含む)である。

で、ブルージーンズに合わせるにはベージュとかオフホワイト系のセーターを持っていても良いのかな、というのが今回の購入動機でもある。

購買候補は2つあった。
1つは今回買った商品、もう一つは白とベージュを組み合わせたノルディック柄のセーターである。

どちらもユニクロの商品で、この白とベージュのノルディック柄セーターは、女性人気ファッションブロガーに紹介されて好評だった商品だそうだ。(最近知った)

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年末から年始にかけては、あべのキューズモール店に山積みされていたが、先日覗いてみると商品が全くなくなっていた。
あれだけ山積みされていた商品がいくら値下がりしたとはいえ、10日ほどで完売するはずもないからどこかへ店舗移動したのだろうと推測する。

つい先日、久しぶりにユニクロ心斎橋店を覗いてみると、それらの商品が山積みされていた。

最初はノルディック柄を買おうと思ったが、合うサイズが売り切れている。
そもそももう10枚くらいしか残っていない。
1サイズ上を買うという手もあるが、ただでさえ顔がデカくて肩幅が広い筆者がオーバーサイズの洋服を着ると、単に小太り気味のオッサンにしか見えない。

それにこの商品は1290円までにしか値下がりしていない。
300円も高い(笑)

そこでスッパリと諦めて、まだ各サイズがそこそこの量を残していたフェアアイル柄セーターに切り替えた。
赤×オレンジは問題外である。
これが似合う人は少ないだろう。

なぜ赤×オレンジなんていうキワモノみたいな色合わせにするのだろう。
絶対に一番残るのはこの色である。
ユニクロはときどきこういうセンスの悪い色合わせをわざわざ作る。
このあたりはいまだにユニクロの企画の方向性が理解できない。

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グレー×ピンクはもっとすらっとした体型の細面の若いイケメンしか似合わない。
グレーとくすんだピンクというくすんだ色の取り合わせは、筆者のような50歳手前のオッサンが着るとさらに汚らしく見える。

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そこでベージュを買った。

年末に買ったグレーのボーダー柄セーターはMサイズで合ったが、この商品はなぜかLサイズの方が合う。
Mサイズが小さめに作られている。

ユニクロでさえこういうことがある。
同じ「ラムウールセーター」の同時期商品にもかかわらず、サイズ感が異なる。
だから筆者は極力、試着してからしか買わないようにしている。
ネットで買う際には以前に試着したことのある商品に限って購入している。

試着なしにネットで買ったのは3年前のコンバースの防水スニーカーしかない。

白い部分がなくて全体的にベージュだが、まあ、類似色といえるだろう。
ノルディック柄と合わせることを想定していた手持ちアイテムとほぼ合わせられる。
筆者にとってはノルディックとの互換性が高いと分類できる。

いつもだいたいこんな感じで洋服を買う。
正統派のファッショニスタからすると邪道な買い方だと思うが、できるだけ安くそこそこのトレンドっぽく全身をまとめたいと思うならこういう買い方に徹すれば実現できる。

細身のリーバイスの511みたいなジーンズが欲しいと思うなら、似たような見た目で、そこそこに物性が信頼できる低価格ブランドで探すことをお勧めする。
筆者だとユニクロか無印良品で物色する。
それぞれ各人に体型が合いやすいブランドがあるだろうから、そこを2つ、3つ物色してみれば良い。
企業でいうところの「相見積もり」をとってみれば良いのである。

で、価格とデザインと品質のバランスが取れているのを買えば良い。

この方式で買うと、ファッション雑誌に掲載されているのと「似たような」コーディネイトが、その5分の1くらいの総額でできるようになる。

興味のある人は一度試してもらいたい。

これがマーケティングで言われる「低価格代替品の脅威」である。(笑)



POSデータに依存しすぎる危険性

 以前に、このブログでワールドをはじめとする大手アパレルの凋落は、POSレジとQRとOEM・ODMに依存しすぎた結果だと書いたことがある。

このブログはアパレル関係以外の人も少しだが読んでおられるようなので簡単な注釈をつけてみる。

POSというのは値札のバーコードをスキャニングで読み取るレジシステムのことで、コンピュータ内蔵のレジが自動的にそれを集計してくれる。
その結果、何色のどんな柄のどんな形の服が何枚売れたというのが、わかるというシステムである。

これが登場する前はレジで手書きで「正」を書いて集計したりして、消費者動向を把握していた。
今では大手から中規模のアパレル、食品スーパーなどはほとんどこれを導入している。

QRというのは、クイックレスポンスの略とされており、POSデータを基に売れ行きの良い商品を2週間くらいで再生産して補充するという仕組みである。

OEMは他社のブランドの製造を請け負うことで、ODMは製造のみならず、商品デザインまで請け負うことである。

この4点を抜きにしては現在のアパレル各社は立ち行かないので、廃止するとかそういうことは現実的ではない。
それにこの4つとも利便性のあるものなのでこれからも上手く利用すべきである。

しかし、「依存しすぎる」のは危険なのである。

筆者は大学卒業後2年半ほど販売員として就職した。
スーパーにテナント出店しているような低価格の衣料品チェーンだったが、当時最新鋭だったPOSレジを導入していた。
当然、インターネットも無線LANも存在しないから、いちいち、専用端末に吸い上げてから本部へ送信していた。

当時のPOSレジだと、「白無地Tシャツが10枚」みたいなそんなデータしか出てこなかったが、それでもボールペンで「正」の字を書いて集計するよりは随分と正確なデータだった。

昨年後半から読んでいるMB氏のブログ「knower mag」にはさらに進化したPOSが紹介されている。

http://www.neqwsnet-japan.info/?p=5880

近年のPOSシステムは顧客管理やVMD(ざっくり言うと商品レイアウトなどのこと)と紐付いて高度な分析を可能にしています。単純に「何がいくつ売れた」などではなく、「リピーターは〜を買う傾向がある」「〜の次は〜を買う傾向がある」「雨の日には〜が動く」「21番の棚は稼働率が良い」などの複雑な分析まで可能にしています。

とある。

なんと便利に進化しているのだろう。
20年も経てばそれくらい進歩しても不思議ではない。

しかし、なぜ「依存しすぎる」と危険なのかというと、データと予測データ通りに品揃えすれば、他店とあっという間に同質化してしまうからだ。

当たり前である。
POSを導入しているのは自社だけではない。
他社も導入しているのだ。
とくに予測データをそのまま鵜呑みにすれば他社と同質化することは当然だろう。

また、「売れた」データからそのまま補充発注するのもダメである。

なぜなら、売れる商品というのはほとんどの場合、ベーシックだからである。
トレンド最先端の商品や色柄はあまり売れず、一番量が売れるのは白、黒、紺、グレー、ベージュなどのベーシックな色でベーシックなデザインの商品である。

そのデータ通りに品揃えすればベーシックな無印良品みたいな店になる。

同質化した上にベーシックな店なんて売れるはずもない。

それをQRで即座にリピートするからたまらない。(笑)

OEM・ODMについては以前も書いた。
活用すべきシステムだが、依存しすぎると、デザインから新規企画開発まで丸投げすることになる。
楽だからだ。
何せ注文するだけで新規デザインまで提案してくれるし、中には「ブランド開発」まで任せるという究極の丸投げも珍しくない。

じゃあ、アパレル企業本社社員は何の仕事をするの?って話になる。
そもそもそんな社員が必要なのかということにもなる。
社員個人のスキルは当然高まらない。OEM・ODM会社のスキルは高まるばかりだが。(笑)

これらに依存しすぎた結果、社員のスキルは高まらない、ベーシックで同質化した店が拡大再生産される、という状況になる。
これが今の大手アパレル各社に共通する問題点ではないか。

POSというシステムは本当に便利で適切に使えばものすごい武器になる。
しかし、そのデータに依存しすぎるなら、自動発注システムに変えても同じなのである。
どうせデータを加工・分析せずにそのまま反映させるなら、データを眺めているだけの社員の手元に届くワンクッションを省いた方が追加・補充のスピードもより速まる。

データ通りに協力工場へオーダーが出るシステムを構築した方が効率的ということになる。

しかし、現実は異なった。

データをどう読んで、加工・分析するかが本来はアパレル企業のノウハウだし、そこに所属する担当社員のノウハウである。

その部分での人材育成を怠ったまま、経費削減やらEC比率の上昇やら、販売管理費削減やら、利益率の向上やらの数値目標だけを発表しても無駄ではないか。
人材が育たなければそこには至らない。

無理やりに利益率を向上させようとするなら、下請け企業を叩くしかない。
それはそうだろう。売れる商品を生み出せない・考え出せないなら、製造工場の工賃を下げたり、納入される生地値・副資材の値段を叩くしかなくなる。

で、これを「優れた経営手法」だとか「優れたマネジメント」と信じている愚かな上層部も多くない。
嘆かわしいことにそういう考えの一般社員も多いと耳にする。

かくして悪循環スパイラルは深まるばかりである。

そういう意味では、現在の大手アパレルの苦境というのは、各社の人材の適性に沿った結果だといえなくもない。




「服が売れない」のではなく「売れにくい」だけ

 「服が売れない」と言われている。
しかし、大手アパレル各社も売上高が減少しつつも1000億円とか500億円くらいは売上高があるので、まったく売れないということはない。
反対にむしろ、不振と言われながらも各社とも1000億円も売れていると見ることもできる。

売れなくはないが、バブル期のように売れるわけでもない。
正確には、90年代後半からは「服が売れにくい」時代と言えるのではないか。

先日、このブログで紹介したアメリカ市場も「服が売れないから価格競争に陥って二重価格が横行している」と言われている。

おそらく、欧州も似たような感じだろう。
なにせ、ZARAとH&Mの本社があって、売上高の何割かは欧州で稼いでいるのだから。

なぜ「売れにくくなったのか」を考えてみたい。

1、各人の収入が減っている、または収入が伸びていない
2、トレンドの変化が緩やかで毎年服を買い替える必要がない
3、服が丈夫なので長持ちする
4、ファッションに対しての興味が薄れている、バブル期ほどの熱意がない
5、家庭に収納スペースがない

この5点が複合的に作用して「服が売れにくい」時代になっているのではないだろうか。
そして、おそらく、今後バブル期ほど「服が売れやすい」時代というのは未来永劫来ないと考えた方が適切だろう。
どれほど我が国の景気が回復しようと、GDPが伸びようと、バブル期ほどのイージーな時代にはならないだろう。

「売れにくい時代」にどう売るかということが今後の最重要課題である。

以上を踏まえて、こんなブログを紹介したい。

買ったばかりの服が2年前のものだったこと、ありません?
http://www.apalog.com/lemonade/archive/59

はい。普通にあります。
筆者のタンスには普通にそういう服がたくさんある。

中には12年着ているPコート、15年以上着ている圧縮フェルトジャケットなんていうのもある。
2008年末に買ったダウンジャケットも普通に着ている。そろそろ7年くらいになるが。

例えばダウンジャケット。2年前に購入したものを「もうデザインが古いから買い替えよう」と思う人がどれくらいいるだろうか。昨今流通している製品の品質は良く、2年で痛むことはまずない。買い替えるならよほどトレンドが変化しないといけないが、ここ数年くらいはほとんど変化がないように思う。

むしろ2年前のダウンジャケットなら「まだ買ったばかり」と思っている人も多いのではないだろうか。ならば違う色型のダウンジャケットをもう一着買ってくれればいいのだが、一般人にとってそこまでの財布も、クローゼットのスペースにも余裕はないだろう。

とあるが、まさにその通りだろう。

そして洋服を定期的に買う人は、洋服自体を各シーズン複数枚所有しており、それぞれの服を各シーズンに数回程度しか着ない。
だからさらに服が長持ちする。
従って毎シーズン少しずつ服を買い足すだけで済んでしまう。
その「少し買い足す」中にあなた方のブランドが選ばれるかどうかは、努力次第であろう。

筆者で言えば、3年前に買ったPコートも5年前に買ったPコートも普通に着ているし、それを着たところで「ひどくおかしい」という印象はない。
シルエットやデザインのトレンドはこの10年間ほとんど変化していない。
とくにメンズは。

ファッション雑誌を筆頭にメディアは毎シーズン「これがトレンド」と煽るが、そのトレンドが爆発的に売れたことはない。
98年のユニクロフリースほど売れるようなアイテムはこれ以降ほとんどない。
強いてあげればウルトラライトダウンくらいか。ヒートテックも爆発的だったが、下着なのでここでは除外する。
ステテコは爆発する前に終わっている。というかステテコが爆発する要素なんて皆無だったのだが。

それはさておき。

ファッション雑誌も含めたメディアというのは、どうもトレンドを「一斉に変わる物」「急激に変わる物」として捉えて報道しているように感じられる。

そして、それをアパレルのエライ人たちが鵜呑みにするから経営状態が可笑しなことになっているのではないか。

市場や街行く人々を見ていればわかると思うのだが、マスのトレンドは急には変わらない。
非常に緩やかに変わる。

急激に変わるトレンドは、最先端層くらいである。

トレンドのピラミッドを見てもらうと、その頂点と次の層くらいまでであって、ここの人口は恐ろしく少ない。
そして頂点層の着こなしは一般人には理解できない。
パリコレのステージに登場する「変な服」を思い浮かべてもらえばイメージしやすいのではないか。

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それぞれの解説をジョイジッパーさんの古いブログエントリーから引用する。

http://ameblo.jp/knitkitchen/entry-10631311505.html

サイバー・・・凡人には理解しがたい近未来的ファッションを提案する人。

イノベーター・・・常に革新的な次世代ファッションを提案する人。

オピニオンリーダー・・・最新のファッショントレンドを発信する人。

マス・・・とりあえずファッション誌くらいは読み普通にデパートとかで服を買う人。(ここはさらに「ちょっとお洒落さん」と「普通な人」に別けられます)

ディスカウンター・・・服ならなんでも良い人。服に興味がない人

で、このサイバーという人々は、オシャレというより一般人からすれば「変人」に映るような着こなしを好む。
ディスカウンターというのは在庫処分店などでできるだけ安く服を買いたい人。

この両層が一般アパレル店で服を買うこともあるが、すごく重要な客層というわけではない。
アパレル側からすれば「気に入ったら買ってくださいね」程度の扱いで十分である。
この両層を必死で獲得しようとすれば、それこそ「マス」層を逃してしまう。

そのマス層の緩やかなトレンド変化だが、MB氏のブログで分かりやすく説明されている。

http://www.neqwsnet-japan.info/?p=6435

そして2016年は長らく続いたノームコアの反動から徐々に「タッキー」トレンドがスタート。「タッキー」とは「悪趣味な」という意味。柄と柄のコンビネーションだったり、刺繍を入れた服やパッチワークなど、とにかく柄や派手や目を引く色モノなどを織り交ぜるのがトレンドとなりつつあります。

とあり、次が肝要なのだが、

もっともトレンドというのは「はい!今日からタッキーね!」とバッサリ切り替わるものではありません。ノームコアから徐々に徐々に時間をかけてタッキートレンドが浸透していくことが考えられます。2016年度はちょうど「転換点の始まり」の様なもの。ある意味、ノームコアからタッキーまで様々なアイテムが多種多様に見られる「面白いシーズン」と考えることも出来るかもしれませんね。ユニクロなどはこの春夏はノームコアを強く意識して推進していますし、トレンドは織り混ざっている印象が強いです。

とある。

シンプルさが売りの「ノームコア」から、装飾のある「タッキー」にトレンドが移り変わるといわれているが、昨日まで無地のトレーナーを着ていた人が、今日から突然に派手な柄シャツを着始めるわけではない。
柄シャツを着る日が少し増えた程度の変化である。
じゃあ、昨日までの無地トレーナーは一切着なくなるかというとそうではない。
それを着る日もある。

それこそ上で紹介したように「2年前の服も着る」のである。

昨年夏にレディースでガウチョパンツがヒットしたが、じゃあ街行く女性が全員ガウチョパンツになったかというとそうではない。
相変わらずスキニーパンツも多かったし、今も多い。
大阪だけではなく、夏は何度か東京に行く機会があったので東京でも見ていたが、原宿も渋谷も恵比寿も品川もガウチョ一色ということはなかった。けっこうスキニーを着用している人も多かった。
しかし、そういうスキニー着用者もガウチョを着用する日がある。
そういうことであろう。

レディースのパンツでは、今春はフレア(ブーツカット)が復活するのではないかと言われているが、おそらくスキニー着用者はいなくならない。
せいぜいフレアと併用だろう。

報道するメディア側(ファッション雑誌も含めて)は、いまだにバブル期の栄光?が頭にこびりついているのではないか。
バブル期みたいにトレンドが一年で変わって、前年と服を総入れ替えするような状況ではないし、そういう時代は二度と来ない。

一般のアパレルにとって重要な客層は「マス」である。
上にさかのぼっても「イノベーター」までである。
一般人からしても理解できるのは「イノベーター」層の着こなしまでである。

この3層のトレンドはそれほど急激には変わらない。
イノベーターくらいになるとかなり急激に変わることもあるが、「オピニオンリーダー」と「マス」をターゲットとするならそれほど急激なトレンドの変化はない。

そして国内のアパレル企業、ブランドのほとんどはこの「オピニオンリーダー」と「マス」をターゲットとしている。

それなら、急激なトレンド変化を提案するよりも、「昨年買ったあのアイテムとも合わせやすいコレ」というようなアイテム提案の方が売れやすいし、消費者の実状に沿っているのではないかと思う。

今後も「服が売れにくい」ことが常態化するのだから、そういう売り方を模索した方が賢明ではないか。

Normcore sense ( ノームコア センス ) ほっとする 肌ざわり ◎ あったか パーカー 裏ボア メンズ / 厚手 ジップアップ 上下 ジャケット コート /イノセント な 佇まい コーヒー 新聞 日だまり 彼。
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良い物が必ず売れるとは限らない

 毎月、1回か2回、ファッション専門学校で講義をさせてもらっている。

ひとくちに専門学校生と言ってもいろんなタイプの生徒さんがいる。
以前に別の学校で夜間の授業を担当したことがあるが、夜間に集まる生徒さんは、ダブルスクールだったり働きながら来ていたりするので、学習意欲が高かったように感じた。

高校を卒業してすぐに専門学校に進まれる生徒さんは、当たり前だが若い。
1年生は18歳とか19歳くらいで、筆者の長男よりも年下である。

そんな若い人たちだから比較的のんびりした人も多い。
当たり前である。筆者なんて22歳で大学を卒業するときでもやりたいことなんて何にもなかった。
18歳や19歳から就職について実感がわかない人がいても当然ではないかと思う。

ファッション専門学校に進んでくる生徒さんの多くは「ファッションが好き」「衣料品が好き」という人が多い。これも当たり前で、何の興味もない人がいきなり専門学校には進まない。
これはファッション以外でも同じではないか。
写真に興味のない人は写真の専門学校にわざわざ進まないし、アニメに興味のない人がアニメーターの専門学校には進まない。

「好きこそ物の上手」とよく言われるが、ファッション専門学校を卒業した後、繊維・ファッション業界に進んだら「好き」だけでは企業内でも独立起業後もやっていくことは難しいのが現実である。
業界に進んだら、「好き」な服や製品だけを扱えるわけではない。
全然興味のない製品も扱わなくてはならない。売るにしろ、作るにしろ。

そして、この「ファッションが好き」ということの最大の問題点は、「消費者として好き」ということと「ビジネスとして好きになれる」ということは、どうやら別物であるということである。
もちろんこの二つが重なってリンクしている場合もある。
そういう人は、繊維・ファッション業界で活動できている。
そうでない人は、趣味としてのファッションにとどめておく方が無難ではないかと感じる。

そんなことを手を変え品を変え話すのだが、すぐさまピンとくる生徒さんと、最後までピンとこない生徒さんに分かれる。

これまで18年くらい断続的にファッション専門学校を見てきたが、古い教員はデザイン、パターンなど「作る」ことを重視するように感じる。
ビジネス的な理論や理屈は、社会人になってからでも様々な本やセミナーを受ければ身に着くが、デザインやパターン作り、ミシンの扱いなんかは、社会人になってから身に着けるのは難しいのではないかと、普通大学出身の筆者は感じる。まあ、隣の芝生が青いだけなのかもしれないが。

だから「作ること」を重視するのは、構わないと思う。
また高品質な物を作るということを教えるのも当然だと思う。

しかし、卒業後は企業に入ろうと、独立起業しようと「高品質な物を作る」だけではだめである。
卸にしろ、直接販売にしろ「売る」という作業が絶対に必要になる。

そういう意味で「売る」ということへの意識づけが学生時代に必要だと思うが、一部を除いて、これまでの専門学校はそちらがおろそかになっていたと感じる。
とくに古い教員はそういう人が多い。
もちろん、生徒さんたちが若いから教えても実感が伴わなかったという部分もあるだろう。

高品質な物を作るということを教える反面、専門学校ではまず、「良い物が必ず売れるとは限らない」ということも教えるべきではないかと思う。
個人的には「作る」ことを重点的に教えるデザイナー・パタンナーコースこそこれを徹底的に教えるべきではないかと考えている。

これは衣料品だけではなく、機械などでも同じだろう。

最高品質の物が必ず売れるとは限っていない。
価格と品質のバランスやらマーケティングやら販促・広報活動やら企業自体のパワーバランスやらで大きく左右される。
かつてテレビ番組を録画するビデオデッキがあったが、VHSとベータがあった。
筆者はそこそこの画質で録画ができればそれで良かったから割安感のあるビデオデッキならどこのメーカーのでも構わなかった。

しかし、こだわる友達は「ベータの方が品質が高い」なんてことを言って、ベータを所有していたが、結局、ベータは普及せずにVHSに統一されてしまった。
どこまで品質が高かったのか実感はないが、仮に本当に良い物だったとしたら、良い物が売れなかったということではないか。

衣料品だって同じである。
「うちの商品は品質が良いのだけど」「あそこのブランドは品質は良いのだが」という声をしょっちゅう耳にする。
でも売れてない。
一方、H&Mやフォーエバー21やウィゴー、アースミュージック&エコロジーなどは品質はさほど高くないが、それなりに大きな売上高を稼いでいる。

価格が安くて見た目のデザイン性がそれなりにあるからである。
あとは広報・販促宣伝活動が上手いということもある。

かつて「品質はピカイチ」と業界紙記者が太鼓判を押していたジーンズの国内ナショナルブランドがあったが、
縮小に縮小を重ねて、ついに虎の子の自家工場まで手放してしまった。
ブランドは存続しているが最早品質を誇ることはできない。

これなども「良い物が必ず売れるとは限らない」ことを証明している。

「良い物が売れない世の中は間違っている」なんてことを言う人がいるが、そんなことは今に始まったことではない。
良い物を作っているなら、それを売るための努力も作ることと同じぐらい必要なのである。

ファッション専門学校に通っている生徒さんで、独立起業したいという人はどれくらいいるのだろうか?
以前よりも少ないのではないかと思うが、ゼロではないだろう。

独立起業したいなら特に「売る」ことは重要になる。
自分の生活に直結するからだ。
欧米だと営業担当の人間とデザイン担当の人間がタッグを組んでブランドを育てるというケースが多い。
しかし、日本ではあまりそういう事例がない。
営業志向の人間がファッション業界に魅力を感じていないということもあるだろうか。
ファッション業界は飛び込みたいような「美味しい」業界ではないと知れ渡っている。
わざわざそんな業界に飛び込みたいビジネスマンはあまりいないだろう。嗅覚の鋭いビジネスマンなら、もっと成長が見込める業界に飛び込みたいと思うのが当たり前だろう。

だから、日本の場合は、デザイナー自身が営業・販売までできなくては独立ブランドは維持できない。

そうなるとますます「売ること」は重要課題になるし、「良い物が必ず売れるとは限らない」ことを根底に活動をする必要がある。
真に良い物を作っていると自負するなら、自身の手でそれを「売る」ことも求められる。
自分以外に誰も商品を売ってはくれない。

理不尽なようだが、そういう業界であり、そこで生きていくなら自衛するほかない。
できないなら他業界でそれなりの規模の会社に就職するしかない。

そんなことを、手を変え品を変え、今後も話していきたいと思う。
全員に興味を持って聴いてもらえるように話し方や資料の作り方を工夫してこちらも研鑚しなくてはならない。



ファッション雑誌掲載とタレントとの契約は必ずしも効力を発揮しなくなった

 衣料品ブランドの販促について考えさせられることがあった。

まったく無力化しているわけではなく、それなりに効力がある場合もあるのだが、ファッション雑誌への掲載・広告出稿とタレントとの契約は格段に影響力が小さくなっている。

ファッション雑誌への掲載・広告出稿と人気タレントとの契約という手法は2000年代半ばでピークアウトした手法だと感じる。

70年代・80年代にこの手法がどれくらい有効だったのかは、筆者が学生だったのでわからないが、90年代はこの手法がもっとも有効だった。
2016年現在も多少の効力は残っており、ときどきこれが当たるブランドもある。
しかし、90年代から2000年半ばまではこの手法を採れば8割くらいのブランドがなんらかの効果を得ていた。

現在だとこの手法で効果を得られるブランドは2~3割ではないかと思う。
決して今でもバカにはできない手法だが、必ず効果のある手法ではなくなったといえる。

【 実践 】雑誌の編集方法から学ぶ、売れる販促・プロモーション術 <前編>
https://armador.co.jp/blog/promotion2/

まずファッション誌に掲載するという選択肢は、予算があったとしても即刻選択肢から外します。理由としては、営業担当者が持ってきた好きでもないブランドが編集担当者にぞんざいに扱われ、フォーマット通りのタイアップページしか出来上がってこないことを知っているから。

あ、すいません!いきなり核心ついてしまいましたか?じゃ濁します。そういうところが中にはあるから(笑)。

雑誌に何百万もかけて掲載するなら、美容師さんのように一着売ったら何%バックという感じで店舗スタッフの方に還元した方がよっぽど売上が上がると思います。つか上がります。

じゃ、どうするかというと自社のシーズンカタログ、ニュースレター、メルマガ、SNS、通販ページのランディングページといった自社が持つメディアを使っていきます。

と書かれており、一部の例外を除いて大部分はここで指摘されている通りである。

これが2016年現在の販促のセオリーではないか。

先日、久しぶりに某大手アパレルの人と話す機会があった。
そのアパレルはショッピングセンターへのテナント出店用の低価格ブランドを展開しているのだが、そのブランド名を存じ上げなかった。
しかしよく聴いてみると売上高が80億円内外あるそうである。

いくら量販店内のテナントとはいえ、80億円というとそれなりの規模であり、1月末で全店閉鎖になるイーブスや、先日民事再生法を申請したWOMBよりもよほど大規模である。

それでもブランドの知名度が低いということは、販促、広報活動が効果的ではないということになる。

さらにいろいろと尋ねてみると、かつては佐々木希さんや優香さんをキャラクター起用したこともあるとのことだが、それすらも筆者の記憶にはまったく残っていない。
ついでにいうとそういうタレントは2,3年おきにいろいろなブランドと契約するので、どのブランドと契約していたかなんてすべて把握するのはよほどタレント自体に興味を持っている人以外は不可能である。

そして筆者はタレントにこれっぽっちも興味を持っていない。

すでにタレントとの契約にそれほど効果がないということはこの80億円規模のブランドが証明しているではないか。
もちろん例外もあるが、最早「人気タレントと契約していれば確実」という時代ではなくなっている。

ドラマへの衣装提供は効力を発揮する場合があるといわれているが、これとても90年代後半から2000年代半ばまでの比ではない。
効力を発揮する場合もあるが、まるで無反応な場合も多い。

雑誌、タレントとの契約、ドラマへの衣装提供、この3つにこだわる広報、プレスは現在も数多く残っているが、2000年代半ばまでの成功体験に固執しているだけだといえる。

また別のメンズブランドは2010年以降、超人気俳優を起用して3カ月連続で6ページごとのタイアップ記事をファッション雑誌に掲載したが、あえなくブランドは休止である。
その人気俳優は松本潤さんとか小栗旬さんとか松田翔太さんクラスの人気俳優であるが、結果的にはまったく効力がなかったといえる。

オムニチャネル化が叫ばれている現在では、先のブログが指摘する通り、雑誌への掲載はもっとも後回しにしてSNSを活用してECを強化することが最重要課題ではないかと思う。

しかし、以前にも書いたように、すでに大手ECモールと直営サイトがひしめき合っている状況下において、「単に出店」すれば良いというものではない。
それでは確実に埋没してしまう。

昨年、ワールドの新社長に就任した上山健二氏はインタビューでこう答えている。

https://www.wwdjapan.com/focus/interview/president/2015-05-07/6913

上山:カギを握るのはウェブだ。出店だけがお客さまへのアプローチではない。もっとウェブでバズを起こして、お客さまに商品やブランドを訴求する方法があるはず。リアル店舗を否定するわけではないが、まず出店ありきという発想は変えないといけない。ワールドが持つ魅力的なブランドや多様な店舗網とウェブを効果的に連動させたO2Oを構築する。eコマースにも注力する。当社のデジタルプラットフォーム本部は「WWW.300(ワールドワイドウェブ300) 」という目標を掲げた。現在、eコマースの売上高は130億円内外。これを中期的に300 億円規模に育てる。

とのことである。
目標設定としては過不足ない。
しかし、どうやって売上高を2倍以上に高めるつもりだろうか?
またぞろ、ファッション雑誌、タレント契約という過去の遺物の手法に頼るつもりだろうか?
それがまったく効果がなくなったことはワールド自身が一番感じていると思うのだが。

続けて

当社のeコマースは今 のところ自社ブランドを巨大モールのようにそろえる「ワールド オンライン ストア」で行っている。だが、ブランドのコアなファンのお客さまの心に響くようにするために、ブランドごとに個性的なeコマースサイトを作 る必要がある。店舗の内装を磨くように、各ブランドのサイトを光らせたい。

とも述べておられるが、内装を光らせるだけではウェブの場合、集客力は上昇しない。

例えば、雑誌的コーディネイトを数多く掲載している携帯通販の夢展望が赤字を続けている。
陳列手法から言えばピーク時から変わっていないし、ピーク時から年月が経過した分、洗練されているはずであるが、厳しい業績が続いている。

単に「陳列手法」だけでは効果がないという実例ではないか。

SNSで注目を集めるためには、「広告」「宣伝」的な書き込みよりも、「読み物」的な書き込みを強化する必要がある。
「読み物」的書き込みを強化すれば、当然好き嫌いが生じ、ファンも獲得できるがアンチも相当数生んでしまう。

全方位を狙った優等生的書き込みを続けているワールドを含めた大手アパレル各社がそこに踏み込むことができるだろうか。
筆者はできないと見ている。
なぜできないかというと上層部と現場スタッフがアンチを生じさせることを過度に恐れているからだ。

ユニクロのように全世代に売ることを目指しているならそういう姿勢でも良いが、大手アパレル各社は最早そんな悠長なことを言っていられる状況ではない。
どうせ数十億円規模の各ブランドを強化するほかないのだから、ブランドが顧客を絞り込まねばならない。
そのためには万人に過不足のない書き込みよりも、アンチが生じようとも、ターゲット層に響く書き込みをする必要がある。

その覚悟が持てないうちは、EC強化なんて絶対に実現できないだろうし、ファッション雑誌・タレント契約に固執している間はブランドの業績は絶対に上向くことはない。


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