月別: 8月 2015 (1ページ / 2ページ)

「こだわり」だけしかない商品は売れない

 今日は、販促とか売り方の観点から。

正直に言って、最近「こだわりの〇〇」と言われる商品を見ても、あまり興味が湧かない。
これは加齢によって心が鈍感になっているのか、それともあまりにも「こだわりの〇〇」がそこらじゅうに溢れすぎていることによる麻痺なのかわからない。

おそらくその両方ではないかと思う。

断っておくと、こだわりの〇〇が悪いというわけではない。
こだわった物作りをするのはむしろ良い部類にある。

言いたいのは、最早「こだわりの〇〇」は有効な販促手段でもないし、消費者が商品を購入する場合の決め手にはならないということである。

理由は、こだわりの商品はそこらじゅうに溢れており、販促のキーワードとしては陳腐化してしまっているからだ。

今回は、藤村正宏さんのブログを紹介しよう。

「こだわった商品」はもう売れない。それはスペックだから。
http://www.ex-ma.com/blog/archives/3617

「こだわりの蕎麦」や「こだわりの自然素材のレストラン」。
かつてはめずらしくて価値があったものも、今やごく当たり前の存在になっている。
もう商品自体への「こだわり」が通用しない時代なったと思う。

あなたの商品はきっと素晴らしい商品でしょう。
お客さまに喜ばれて、お客さまの生活を豊かにするものだと思います。
でもね、あなたがどんな素晴らしい商品を売っていても、それだけではダメなんです。

大切なことなので、繰り返しますが、モノのよさ、サービスのよさだけでは、もう売れない時代なんです。
だって、あなたのライバルたちも、みんな素晴らしい商品・サービスを提供しているのですから。

今の日本ほど、クオリティの高い、質のいい商品があふれている時代はありません。
たとえば、日本のメーカーが作る4K-TVは、どれもすごいクオリティが高く、価格も安い。
日本のファストファッションの会社が作っている、服は、ものすごく質が高い。
おまけに安い。

「ウチの商品はただの商品じゃないよ。こだわった商品なんだから」

よく商品に「こだわっている」という店がありますよね。
「こだわった」商品を売れば売れる、といわれていました。
マーケティング・コンサルタントの言葉に乗せられて、「商品にこだわれば売れる」なんて勘違いしている店もあります。
でもね、残念ですけど、もう「こだわり」じゃ売れないんです。

たとえばレストランで考えてみましょう。
よく、食材にこだわっているレストランとかありますよね。
「味にこだわっている」
「新鮮な素材にこだわっている」
「低農薬野菜にこだわっている」
「食材にこだわっている」
「畑にこだわっている」
「健康にこだわってる」
「自然素材にこだわっている」

あるわ、あるわ。
ちょっと見渡すとあなたのまわりにもこういうレストランがあるのではないでしょうか。
街を歩いたら、必ずあります。「こだわっている飲食店」、それこそ「犬も歩けば」状態。た~っくさんある。
ウチの近所のチェーンの居酒屋も、友達の近所のファミレスも、あなたの近くのバーガーショップも、み~んな、こだわっている。
ここ数年、そういう流れになってきました。

「グルメ志向」「健康志向」「自然志向」……ちょっと前はそれでよかったんです。
あまりやっているところがなかったから。それで売れたんです。
でも、今はそういうところがたくさんある

「ウチは自然素材にこだわったレストランです」
そんな言葉は誰にも響かない。
だってみんなそうだから。

「材料と手打ちにこだわった蕎麦屋」
そんな言葉は誰にも響かない。
だってたくさんあるから。

とのことである。

これを衣料品に置き換えてみれば業界の人でも分かり易いのではないか。

こだわりのジーンズ
こだわりのドレスシャツ
こだわりのTシャツ
こだわりのスエット

などなど。

〇〇綿の〇番手の糸を〇回撚って、織り上げた生地を使用した〇〇。

〇〇産地の生地を使って伝統の技法で仕上げた〇〇。

天然染料で手染めした〇〇を天日に干して、それを〇回繰り返して染め上げた〇〇。

こんなキャッチコピーの付いた衣料品や繊維雑貨なんて腐るほどある。
腐ったようなものもある。

洋装だけではない。
和装でも同じだろう。いや、和装の方がもっと多いか?

もちろん、これらの製法で作られた商品が悪いわけではない。
しかし、これだけでは売れない。

ユニクロのジーンズだって「こだわり」である。
「こだわり」のカイハラ製の生地(そうでないものも増えているが)を使って、作られている。

無印良品の衣料品だってそうだ。
オーガニックコットン(本当にどこまでそうなのかは疑問だが)を使って作られている。

こだわりの〇〇なんていうのは、ユニクロや無印良品でも低価格で手に入る。
こういうことをいうと業界の人は必死で言い訳をする。

「あそこの〇〇は糸を〇回しか撚っていないが、うちの〇〇は糸を×回も撚っている」とか言う内容の事柄である。

しかし、「糸の撚りを×回にしました」と言ったところで消費者にそれが伝わるのだろうか。
極マニア層には何となく伝わるかもしれないが、99%には伝わらないだろう。
そのブランドが1%の極マニア層に向けたビジネスを展開しているならそれでも良いだろうが、そこそこに大規模な販売を望んでいるならまったく効果がない。

この「こだわり」商法はいつ頃から顕在化したのだろうか。
個人的には2008年ではないかと思う。
もちろん、そういう風潮が突然現れたのではなく、それまでジワジワとくすぶっていたのが2008年を契機に顕在化したという意味である。

2008年は外資系ファストファッションが本格的に上陸した年である。

それまで国内のアパレルは「トレンド」を売りにしてきた。
70年代の高度成長期、80年代のバブル期はそうである。
バブル崩壊後もその流れがあった。

一方、90年代後半のビンテージジーンズブームによって「こだわり」というジャンルが確立された。

これがジワジワと燻り、ビンテージジーンズは廃れたが、2008年を契機に一気に顕在化したのではないかと思う。
というよりも、これまでの「トレンド」商法が2008年で完全に弱体化したからかもしれない。

ファストファッションの上陸で「トレンド品」は格安で買える商品になってしまった。
「トレンドですよ」というだけでは、ファストファッションとの競合、価格競争にさらされる。

では価格競争にさらされない販促手法として注目されたのが、ビンテージジーンズを起源とする「こだわり商法」ではなかったか。

しかし、すでに「こだわり商法」もほぼ飽和状態にある。

衣料品も食料品も「こだわりの〇〇」なんて掃いて捨てるほどある。
スーパー万代でも低価格でこだわりの食品が売られている。

すでに「こだわり」は標準装備と化している。

売るためには「こだわり」は当たり前として、そこにプラスアルファの何かが求められる。
ここに取り組まないと「こだわり」一辺倒では、価格競争に巻き込まれる。
もしかしたらもう巻き込まれているかもしれない。

くどいようだが、こだわりの物作りを否定しているのではない。
それは物作りにとって必要だが、それだけで売れる時代では最早なくなっているということである。

売りたいなら、「こだわり」はすでに標準装備化しているということを認識しなくてはならない。
その上でどう独自化できるかである。

言うは易く行うは難しなのだが。

安売りするな!「価値」を売れ!
藤村 正宏
実業之日本社
2013-12-27



こだわり&人気雑貨店とカフェのデザイン
PIE Books
パイインターナショナル
2015-04-10


低価格ジーンズとの価格差がなくなりつつある

 あらゆる商品、サービスには低価格代替品が登場するし、競合も登場する。
これをいくら非難してもみても仕方がないし、無駄である。
完全になくそうとするなら社会主義経済に移行するほかないだろう。
もっとも地上において完全なる社会主義経済を達成できた国家は歴史上ないのだけれど。

国内のナショナルブランドのジーンズが凋落したのは、間違いなく代替品が多く登場したからである。
ジーンズの場合は低価格と高価格両方に代替品が数多く登場し、もしかすると市場規模全体は増えたかもしれないが、需要はバラけた。

低価格の代表はユニクロやしまむら、ウィゴー、ローリーズファームなどだろう。
高価格はエヴィスやドゥニームなどのビンテージ系、それから欧米のインポートジーンズなどだろう。

20年前なら6900~8900円くらいに価格帯に固まっていたナショナルブランドジーンズの上と下の価格帯に数多くの代替品が登場した。そして需要がバラけた。

それらの代替品の製造を可能にしたのが、OEM・ODM業者の増加である。

彼らが増加したために、本格的なジーンズをどんなブランドでも作り易くなった。
極端に言えば資金さえ出せばど素人でもオリジナルジーンズを作ることが可能だ。

低価格代替品の最右翼と評しても良いユニクロだが、目に見えて販売価格が上昇してきた。
これは原材料費の高騰、中国を含むアジア地区の人件費の上昇、円安基調の3つが原因である。

筆者は基本的に低価格店の店頭を見るのが好きであり、ほぼ日課であるといっても言い過ぎではない。

ユニクロの今秋冬物を見ると、たしかに値上がりしていることを痛感する。
ジーンズは税抜4990円である。
無地のラムウールセーターは税抜2490円である。

ジーンズは今春夏までと比べて1000円の上昇、ラムウールセーターは500円の上昇であり、他のアイテムも軒並み値上がりしている。

ウールカシミヤチェスターコート(チェスターフィールドコートのこと)は14900円(税抜)である。
ちなみに店舗によっては色とサイズにバラつきがあるが、昨年秋のチェスターコートは値下げされたままの7990円で販売されているから、色が気に入ってサイズさえ合えばこちらを買う方がお得である。

ジーンズに絞って考えてみる。

ユニクロのジーンズが4990円にまで値上がりしてしまった。
外的要因から仕方がないこととはいえ、正直に言えば割高感を感じる。

一方、残ったナショナルブランドのエドウインやリーバイスの廃盤品はだいたい5,900円くらいに値下げされてライトオンやジーンズメイトで販売されている。
またエドウインには5900円という商品もある。一部店舗にしか置かれていないが。

こうなると、価格差は1000円ほどであり、ユニクロのジーンズに以前ほどは割安感を感じられなくなっている。
それにユニクロジーンズにそこまでのブランド力があるかと言われると疑問を感じる。
またエドウインの廃盤品なら日本製である。

これ以外にも気になることがある。

これまでユニクロのジーンズの多くには「カイハラ」のタグが付けられていた。
全部ではないにしろ、国内のデニム生地工場の最大手カイハラから多くのデニム生地を仕入れていた。

今秋物のジーンズを店頭でいろいろ見てみたが、「カイハラ」タグが付いているものは見つけられなかった。

値上がりした上に「カイハラ」タグまでなくなっているのだから割高感はさらに増してしまう。
タグがないということはカイハラ製のデニム生地が減ったということだろう。
一説には中国製デニム生地の使用が増えているという噂も耳にする。

それはさておき。

低価格代替品とナショナルブランドの中価格帯との価格差がなくなってきたというのは面白い現象ではないかと思う。

また一時的に話題となった1000円以下の激安ジーンズもいつの間にか沈静化してしまっている。
量販店の店頭には商品は残っているが、話題になることもない。
これに注目している消費者は現在ほとんどいないだろう。

となると、ジーンズの市場価格は再び中価格帯周辺に集合するということになる。

そしてジーンズにもストレッチをはじめとする機能性が求められ始めている。
ストレッチ、吸水速乾、保温、防風、撥水、軽量などなどだ。

市場価格の底値が上がってきたということは、上手くやればナショナルブランドが逆襲することも可能なのではないか。
この10年ぐらいでジーンズナショナルブランドは激減してしまったが、残存者メリットはあるのではないか。

逆にユニクロはこれからさらに価格帯を上げるのだろうか。

低価格が欲しい人をジーユーに振り分けているという指摘もあるが、その通りだとは思いつつも、ジーユーは若い層をターゲットにしているため、シルエットがユニクロより細めである。

あれがピッタリ合う中高年男性は少ないだろう。

となると、これまでユニクロの主要顧客だった低価格好きな中高年男性を取り込めるブランドがグループ内に存在しないということになる。

ジーユーのサイズ幅を広げるのか、それとも別の低価格ラインを作るのか、はたまた値下げした昨年商品を重点的に買わせることにするのか、他人事ながら興味は尽きない。

もしかしたら店内にもう少し分かり易く見た目にも美しい形でアウトレットコーナー(在庫処分コーナー)を作るのも手かもしれない。



日本ジーンズ物語
杉山 慎策
吉備人出版
2009-02-27


イトーヨーカドーのフットカバーがかなり優秀

 今日は気分を変えて。

タレントの石田純一さんは靴下を履かないそうで、革靴やローファーを素足に履いている。
そこになんのこだわりがあるのか、またそれがオシャレなのかまったくわからない。

しかし、足裏は意外に汗をかいて蒸れるから、靴の中のニオイはかなり強烈なはずだ。
また足裏自体も汗で湿るので結構不快なはずだ。

昨今は丈が短めのパンツが流行している。

とくに膝丈前後の短パンにローファーを合わせたとき、どういう靴下を履いたら良いのか迷ってしまう人も多いのではないか。

普通の靴下を履いたらどうだ?と思われるかもしれないが、漫画に登場する「金持ちの小学生」みたいになってしまう。

これも昨今流行りの丈の短いスニーカーソックスならどうだ?

個人的な印象はなんだか微妙である。

じゃあもっと丈の短い靴下が必要となる。
いわゆるフットカバーと呼ばれる商品である。

3年くらい前から男性用のフットカバーもかなり増えてきた。
フットカバーはかなり浅いので、普通の編み地だけでは絶対に靴の中でズレる。
あれはかなり気持ちが悪い。

そのためズレないフットカバーというニーズが顕在化してきた。
筆者も何足かフットカバーを買ったり、メーカーからサンプルをいただいたりした。

多くのフットカバーはかかと部分にラバーみたいな素材ですべり止めが付けられている。
しかし、それでもズレる物はズレる。
逆にほとんどズレない物もある。

今回は、いくつか持っているフットカバーの中からズレにくくて優秀だったものを紹介してみる。
もちろん、定価では購入していない。

丸安毛糸の岡崎社長が「良かった」とフェイスブック上で紹介しておられたイトーヨーカドーのフットカバーをためしに1足先日購入してみた。
ブランド名はプライベートブランドの「グッディ」だ。
定価は税込529円だが、税込390円にまで値下げされていた。

写真 18

これの着用感想だが、たしかに良い。
かかと部分にもちろんラバーが貼り付けられているが、それ以外の部分でもかなりしっかりと足をホールドする感覚がある。
かなり優秀な作りだと思う。

組成のパーセンテージはわからないが、綿・ポリエステル・ポリウレタン混と表記されてある。
ベトナム製。

グンゼの「トゥシェ」。
これは定価500円の物が300円に値下がりしているのを西友で購入した。

写真 37

グッディほどのホールド感はないが、たしかにズレにくい。
これもそこそこに優秀なつくりをしている。
ただ、購入した商品がかなり薄手生地だったので、そこが個人的には少し気に入らない。
個人的には薄手の靴下生地があまり好きではない。
まあ、ワゴンに残っていたのを買ったので、この生地しか残っていなかったのだが。
もし、これよりも少し厚めのグッディ並みの生地があればかなり良いのではないかと思う。

意外な掘り出し物だったのが、ライトオンの迷彩柄である。
これはもう2年ほど前に買ったがかなり良い。
ずれにくい。
価格ははっきりと覚えていないが、100~200円くらいで買ったと思う。

写真 29

それとブランドすら覚えていないのがこのボーダー柄のフットカバーでこれも2年くらい前に買った。
どこで買ったのかも覚えていない。
価格も覚えていないが100~200円くらいだったと思う。

写真 39

そのほかにフットカバーを3足ほど持っているが、あとのはホールド力が弱く履いているうちにズレてしまう。
捨ててしまおうかと考えているほどである。

手持ちの中ではこの4足がベストである。
それとグッディのフットカバーはかなり優秀だ。
これはオススメである。

あと試してみたいのが、ABCマートで販売されているグンゼの「スタッキズム」である。
グンゼがABCマート用に開発した商品で、メンズだと3足1200円くらいで販売されている。
かなり脱げにくいとあちこちで書かれているので、実際にどうなのか試してみたいと思っている。

ただ、3足もまとめて買う必要がないから悩んでいる。

また値下がりしたら買ってみたいと思う。

それにしてもフットカバーに関してはイトーヨーカドーの「グッディ」の底力を見たような気がする。
ユニクロの安易な後追い企画ではなく、こういう優良な独自企画品を開発し、それをきちんと伝えることができたら衣料品の売れ行きが改善する余地はあるのではないかと思う。




ファッション業界における模倣

 ファッション業界においては模倣(完全コピーではない)は必要悪みたいなところがある。

昨日も少し書いたが、ファッショントレンドなんていうのは模倣によって広まるわけである。
例えば、あるブランドがスキニージーンズを作ったところ、非常にファッショントレンド先端層から注目を集めたとする。これが先端層の人気のみで終わる場合もあるが、フォロワー層、大衆層もその商品を欲しがり始めるようになることもある。

これがいわゆる「ファッショントレンド品」である。

先端層は「ファッション変態」みたいな人が多いから、彼らの注目することがすべて大衆層に受け入れられるわけではない。変態の嗜好なんて大衆には理解できないことの方が多い。
それでも何回かに1回はそれが大衆にも支持される。

スキニーがトレンドになったとき、開発元のAブランドだけでは、到底需要は賄いきれない。
競合他社はビジネスチャンスを感じて製造を開始する。フォロワー層や大衆層もそれを求めている。
需要と供給が一致するわけである。

もちろん、本家のAブランドとは微妙に各ブランドはディテールを変えている。
リベットの色を変えてみたり、ヒップポケットに入れるステッチの形を変えてみたり。

本家Aブランドと何から何まで同じようにしてしまうとこれはパクリである。
タグネームまで同じ物を付けるとこれは偽造品である。

偽造品は完全に犯罪である。
パクリも先般のスナイデルコピー事件を見ると今後は完全にアウトとなる。

ただし、スナイデルが毎回常に完全にオリジナルの商品ばかりを発売していたかどうかは疑問だ。
スナイデルも偽造と完全コピーとは無関係だが、模倣することはあっただろう。

スナイデルの商品を完全模倣(コピー)して「Gio」社長、塚原大輝容疑者(36歳)が逮捕されたことは記憶に新しい。
塚原容疑者はスナイデルコピー事件を起こす前には、裏原宿ブランドを偽造した罪で一度逮捕されている。

イリーガルな偽造で逮捕され、ややリーガルになって今度は完全コピーで逮捕されたということになる。
次はさらにリーガルになって模倣品のビジネスを始めるのかもしれないと勝手に想像している。

ビジネス実績だけを見ると塚原容疑者はやり手といえる。
年商数十億円以上売っていたと報道されているし、その前の偽造品でも年商30億円内外あったと報道されている。
その営業手腕はかなりのものではないか。

それはさておき。

今回の東京オリンピックのエンブレムにおいて筆者は佐野氏をまったく支持しない。
しかし、デザインに携わる人の中には支持派もいるし、佐野氏周辺のお友達は完全擁護体制を敷いている。

佐野氏周辺の情緒的擁護論はどうでも良いとして、支持者の中には「ファッション業界なんてパクリばかり」という声もある。
まあ、これはご指摘の通りであるが、ファッション業界でパクリを完全否定することは業界全体を破壊してしまう可能性が高い。

理由は先に挙げた通りである。

偽造や完全コピーは追放するとして、模倣まで追放してしまうと、トレンド市場は形成されなくなる。

スキニージーンズの例に戻ると、本家Aブランドしか供給できなくなるとすると、Aブランドの売上高は飛躍的に伸びる。しかし、同時に供給能力も高めなくてはならない。
自社縫製工場をブランドが構えることはないだろうが、協力工場は確保せねばならない。自社でやらなくても振り屋とかOEM業者を使うこともできる。
しかし、一朝一夕に多くの協力工場を増やすことは不可能である。
相応の時間がかかる。

また多くを作ろうと思うと、それだけ製造費も多くなる。
この製造費を賄わねばならない。

協力工場を増やせずにいる間にスキニー人気は終わってしまうかもしれない。
そうなると市場は形成できない。

そうなるとファッション産業自体が成り立たなくなり、いわゆる家内制手工業的にならざるを得ないのではないか。最早産業とは呼べなくなるのではないか。そう思う。

5ポケットのジーンズは作れなくなるし、トレンチコートも作れなくなる。ボタンダウンシャツも作れなくなる。
ジーンズに各種の洗い加工だって施せなくなる。

そういう意味では模倣はファッション業界において必要悪ではないかと思う。
悪ですらないかもしれない。

そのため、ファッション業界においては、定番品とされている商品の模倣はOKだと考えられてきた。

しかし、先日、アメリカでコンバースが他ブランドを訴えた。
同ブランドの定番スニーカーであるオールスターを模倣したという理由である。

http://t-f-n.blogspot.jp/2015/01/blog-post_29.html

そして訴えられたラルフローレンなどはその類似商品を取り下げている。
コンバース側の勝訴である。

米国の社会事情はまったくわからないが、これは日本人にとっては衝撃的だろう。
なにせ、コンバースのオールスターは「定番品」という扱いだったからだ。

これが著作権を言い始めると完全アウトになる日本ブランドは山のようにある。
今のところ日本国内での訴訟は起こされていないが、アメリカで起きたのだから、今後日本でも起こされる可能性はゼロではない。

先日、オスクレンというブラジルブランドの店頭を取材した。

洋服もさることながら、同ブランド内での定番スニーカーの需要が高いという。
とくにブラジルでは売り上げ構成比の4割がスニーカーだという。

定番スニーカーはどんな形かというと、つま先部分に3つ並んで穴が開いている。
いわゆる鳩目という奴だ。

機能的にはまったく意味がないと思う。
デザイン的な意味合いで付けられているのだろうと思う。

写真77

この意匠を模倣するとするとこれは完全にパクリなのではないかと感じる。
なぜなら、オスクレンというブランドはそれほど知名度が高くないし、展開開始からそれほど時間も経過していないからだ。

明らかに意図的にパクったということになる。

しかし、もう何十年と多くの人に愛用されてきたコンバースオールスターの場合、これは定番であるとの認識が強かった。筆者もそうだし、ラルフローレン側もおそらくそうだったのではないかと思う。

その定番意識が米国で覆されたのだから、これはかなり衝撃的だといえる。

今後はさらに難しいことになるのではないかという気もする。
どこまでをコピーとして、どこからをリーガルな模倣とするのかは、グラフィック業界のみならずファッション業界でも頭を悩ませることになるのではないか。

ただ、業界人が「ファッション業界もパクリばかり」を過度に言い過ぎるとかえって自分たちの首を絞めるようなことにもなりかねない。
そのあたりのことには気が付いているのだろうか。




価格競争に巻き込まれないための2つの方法

 衣料品に限らず、服飾雑貨、雑貨も含めると今までの売り方で売れるはずもない。
これは各企業がこの15年とか20年間で身を持って体感したのではないかと思う。

昨今流行りのパクリ問題ではないが、見た目の形状だけならいくらでも模倣が可能である。
しかし、一方では模倣によってトレンドが拡散するから、メリットもある。
そうでないとファッショントレンドなんていうのは生まれない。

ブーツカットのジーンズが流行れば、各メーカーがブーツカットのジーンズを発売する。
厳密にいえばそれは模倣である。下手をするとパクリであるが、それによってブーツカットジーンズ人気がさらに過熱してそこに市場が生まれる。

ファッショントレンドというのはこれの繰り返しであるから、一概に「似た物はすべてダメ」なんてことを言いだしたらトレンド品なんてものはなくなる。

ただし、模倣品が出回りすぎると今度は値崩れが起きる。
いわゆる相場価格の下をくぐる業者が多数出現するし、供給量が増えれば市場での価格も下落する。
需要と供給のバランスからいえば当然である。

「低価格品を発売する業者は許せん」なんて声をよく耳にするが、ちょっと短絡的・感情的になりすぎではないか。

実際に物はなんでも安い方が売れやすい。
安いだけでは売れないこともあるが、多くの場合、安い方が売れやすい。
衣料品でも食品でも。それは実体験としてわかるはずだ。わからないならお話にならない。

安い方が売れやすいのだから、少し安い物を供給すれば売れるのではないかと考えるのは供給側としては当然であろう。
家電製品だって出回れば価格は安くなる。高止まりしたままの家電なんてない。
家電が高止まりしたままなら、日本人の現在の生活はもっと不便である。

そして似たような物なら安い方が絶対的に売れやすい。
これは別に消費者のモラルが云々という話ではなく、世界的に共通した消費者心理である。
どんな商品でも市場には必ず低価格の代替品が登場する。
低価格代替品によって消費者にあまねく行き渡るという側面もある。

供給側(製造も販売も含めて)はこの代替品と異なる価値を提示できないと、価格競争に巻き込まれてしまう。
価格競争に巻き込まれているのはその価値が上手く提示できておらず、消費者に伝わっていないからだといえる。

価格競争に巻き込まれないためには、2つしか方法がないと考えている。

1つは、売り方・見せ方・伝え方を圧倒的に変えること
もう1つは、原料から店頭販売までの各段階企業で連合チームをつくること

この2つである。
連合チームを作ることは需給バランスの根本的解決となりうるが、壮大な計画であるし、複数の企業にまたがることなのでなかなかすぐにまとまる物ではない。
長期的展望で取り組むことが望ましいのではないか。

売り方・見せ方・伝え方を変えるのは比較的短期で実現できる。
こちらから取り組む方が容易ではないだろうか。

国内の製造加工業に対してそういう活動をしている企業がいくつかある。その中の1社がセメントプロデュースデザインで、筆者とは意外に古くからおつきあいいただいている。
もう8年くらいになるのだろうか。

ここは衣料品には手を出していない。繊維製品だとタオルとかシオリくらいか。
主に雑貨である。
金谷勉社長は「ファッション衣料は怖くて手が出せない」というが、筆者も同感である。
もし自分がやるとしても衣料品は怖くて手が出せない。
かといって雑貨も怖く感じるが、衣料品と雑貨をどちらか選べと言われるなら、紙一重で「雑貨?」という感じである。

ここの製品で個人的にもっとも評価しているのは、メガネフレーム素材を使った耳かきである。

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正直に言ってメガネフレーム素材を使って何か他の製品を開発するというのはなかなか難題である。

最近だと石鹸だろうか。

石鹸の場合は、原材料と製法を全く変えずに、見た目のデザインとパッケージを変えることで売上高を格段に伸ばしている。
オーソドックスな普通の四角い石鹸を五角形に変えた。
まさしく、売り方・見せ方・伝え方を変えた実例ではないかと思う。

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メガネフレームというと福井県の鯖江市が有名だが、ここの産地も苦しんでいる。
メガネがすっかりファッション雑貨になったし、高価なファッションメガネブランドも出てきたから活況を呈しているのかと思ったら、産地全体としては厳しいそうだ。
倒産・廃業する工場も多い。ときどき倒産情報にも上がってくる。

繊維に限らず何の産地も厳しい。

鯖江市のメガネフレーム産地が苦境に陥ったのは、中国からの安価品が大量に輸入されるようになったからである。では、なぜ中国のメガネフレームの製造技術が向上したかというと、鯖江市が技術供与したからである。
現地では、当時の市長がパンダと引き換えに技術供与を約束したと語りつがれている。

しかも当時の市長は「パンダ=ジャイアントパンダ」だと勝手に考えていたら、実際に中国から送られてきたのは「レッサーパンダ」だったというオチもつけられており、笑い話としては上出来だし、事実だとするなら下手な漫才のネタよりも笑える。

まあ、意味のない外国への善意の技術供与は自国産業に何の利益も持たらさないという好例であろう。

そんな鯖江市(笑)のメガネを含む産地イベント「産地ゴト展」がセメントプロデュースデザインが運営するギャラリーで開催されるそうだ。
決してゴト師展ではない。

http://store.coto-mono-michi.jp/

http://www.fashion-press.net/news/18629

もちろん鯖江市以外の製品も常に販売されており、このギャラリーの特色は、各種イベント時は別として基本的な運営には行政からの補助金・助成金の類が一切投入されていないところにある。
行政からの補助金・助成金なしで基本運営する産地製品ギャラリーはけっこう珍しい。

そんなわけで売り方・見せ方・伝え方を変える企業はポツポツと現れ始めている。

そうなると、もう一つの根本的解決法である、原料から店頭販売までの有機的なチーム作りである。
こちらも本格的なモデルケースがそろそろ登場してもらいたいところなのだが。





エンブレム問題に見る危機対応の不味さ

 東京オリンピックエンブレムから端を発した佐野研二郎氏のパクリ疑惑が止まらない。
むしろ泥沼化している。
賛否両論あるが、一連の騒動はおそらくエンブレムを取り下げるまで収束しないだろうと見ている。

あのエンブレムを「ベルギーからのパクリだ」と指摘する人々は多いが、身の回りのデザイン(グラフィック、ファッション含む)を生業としている人の中には「他の商品は別としてエンブレムに関してはオリジナルだ」という人も少なくない。
筆者はデザインに関してはわからないが、エンブレムに関していえば、仮にもデザインを生業とする人からすると「オリジナルだ」と断言できる何かを感じさせるものがあるのだろう。

さて、あのエンブレムだが、「デザインが良いと思うか?」と問われたら筆者は「あまりそう思わない」と答える。
あれがズラリとならんだらなんだか葬式の垂れ幕みたいである。
佐野氏を支持するかと問われると「支持しない」と答える。

しかし、佐野氏のロゴは新しいデザインであり、見慣れないものを大衆は批判するという意見もある。

http://blog.okudaprint.com/2015-08/2211

人はね。見慣れた物をいいと理解できるんです。
音楽でも、映画でもそうです。新しい分野の音楽が生まれた時、彼らは評価されたか。後に評価されて歴史に残る人というのは、美術の分野だけではなく科学の世界だって一緒です。

とある。
このブログはバカ長いので全文に興味のある人はそちらで読んでほしい。

なるほど。これは一理ある。
10年後とか30年後とかに「あのデザインは当時としては斬新だったよな」という風になっているかもしれない。
可能性はゼロではないと思う。好き嫌いは別として。

脱線するが、仮面ライダーのデザインだって毎年物議を醸している。
仮面ライダー1号、2号あたりのデザインを正統派とすると、2000年から再開された現代の仮面ライダーシリーズは異端的なデザインのライダーが多い。
正統派なのはクウガ、アギト、カブトなど少数である。
ほとんどが番組開始直前まで「あのデザインは変」と言われている。

今、ちょうどクライマックスを迎えている「仮面ライダードライブ」だって相当に逸脱したデザインである。
胸に斜めにタイヤが挟まれている。
仮面ライダーなのにバイクには乗らずに自動車を運転している。

それでも見慣れてくるとそうおかしいとは思わなくなる。

おそらくエンブレムに関してそうなる可能性もなきにしもあらずではないか。
あくまでも好き嫌いは別にして(笑)

エンブレムのことはこれで置いておく。

サントリーのトートバッグは完全なるパクリである。
本人も認めている。パクリというよりはコピペと言った方が適切である。
しかもきわめて手軽なお手軽コピペである。
それ以外にもコピペ疑惑のある過去商品が次々に掘り返されており、これはエンブレムを取り下げるまでやむことはないだろう。

多くの人がいうように完全になにもないところから生み出されたデザインなんてない。
どんなに独創的といわれるデザイナーでさえ、過去の作品から何かしらの影響を受けている。
これは事実である。

過去の作品をイメージして、あるいはパクったデザインなんてそれこそ今までも無数にあっただろう。
しかし、一連の佐野氏問題はそうではなくて、筆者の目にはパクリというより「コピペ(コピー&ペースト)」に映る。
これはパソコンが発達したために起きた事件だろう。
サントリーのトートバッグだって、あれは単なるコピペである。アシスタントがやったらしいが、統括した佐野氏本人の責任がゼロになるわけではない。

文字の書体、文字間の間隔、インクのかすれ具合、パンの瑕まで再現されており、それは「そのまま貼り付けた」という証拠である。

なぜ、ひと手間を加えることをしなかったのだろう。なぜ、そういう指導をスタッフに佐野氏はしなかったのだろう。

例えば書体を変えるとか文字間の間隔を変えるとか、あちこちのバランスや比率を変えるとか、瑕やカスレを消すとか、それくらいの手間はかけるべきである。仮にもデザイナーなら。
それを指導していない、もしくはできなかった佐野氏もコピペの多用者だったと見られてもそれは当然ではないかと思える。

一方、グラフィックの世界には使用が自由な「フリー素材」というものがある。

これを使用したことまでを叩くのは少し行き過ぎだろうと思う。
ただし、この「フリー素材」の中にも商標やロゴへの使用を禁止するものもある。
新たに発掘されたカメラグランプリのロゴは、元ネタはフリー素材だと指摘されているが、このフリー素材はロゴへの使用は禁止されている。
指摘されているようにフリー素材のコピペが事実だとしたら、これは大問題である。

で、佐野氏の問題からその周辺まで問題は広がってしまっているのだが、指摘されている周辺デザイナーの過去製品にもずいぶんとお手軽コピペは多い。

これはパソコンとソフトウェアが発達する以前は考えられなかったことである。
そういう意味では、この一連の事件(周辺デザイナーも含む)はパソコンとソフトウェアの発達によって、起きた事件だといえるし、今後も似たような事件は続くだろう。

さて、ここまで問題が大きくなったのは、佐野氏とその擁護者の危機対応がまずかったという印象が強い。
これは彼らデザイナーだけのことではなく、多くの企業にも参考事例となるのではないか。

1、逆切れのような会見と声明文

気持ちはわからないではないが絶対に逆効果しか生まない。

2、否定していたことが後から嘘だと証明される

ピンタレストというSNSを使用したことも見たこともないと発表していたが、そのあとで、使用していたことが証明され、佐野氏側も使用を認めた。
これで印象はさらに悪くなる。

3、親交のある人たちからの人格的擁護

これもあまり効果的ではない。
「佐野氏が良い人」だとか「人格者だ」とか言われても親交のない一般大衆からすればそんなことは関係ないし、知りようがない。
親交のない筆者からしても「そんなもん知らんがな」である。
今の問題とされているのは佐野氏の人格の善悪ではない。

一般大衆からすると論点がズレていると感じられる。
あるいは故意にズラそうとしているのか。

今後さらなる騒動が起きるのをおさえたいなら、佐野氏側は危機管理の専門家に対策を依頼すべきだろう。

ベルギーやアメリカなどで国際的に問題が起きているなら、やはりオリンピックという世界的イベントに使用するエンブレムとしてはふさわしくないのではないかと思う。
開催まであと5年もある。その間にエンブレムと佐野氏にまた新たな問題が勃発しないとも限らない。
もう一度選定しなおした方が賢明ではないか。

一連の騒動に関する報道を見て感じたのは概ねそんなことである。

7日でできる思考のダイエット (magazinehouse pocket)
佐野 研二郎
マガジンハウス
2013-08-30


佐野研二郎のWORKSHOP
佐野 研二郎
誠文堂新光社
2006-12-02





ライトオンがエヴィスの別注品の販売を開始

 お盆休みのころ、Eメールでお知らせがきた。
ライトオンのオンラインショップからである。

ライトオンでエヴィスジーンズの別注商品の販売を開始するそうで、その先行予約販売の案内である。

あのエヴィスがライトオン用の別注を作るというのでちょっと驚いてしまったのだが、これについて独断と偏見を交えながらあれこれ考えてみたい。

価格は通常のエヴィスより少し安い13000~16000円(税抜)。

素材は全型綿100%であり、ストレッチ素材は入っていない。

サイトで見る限り、4型である。

ワイドセルビッジ
テイパードセルビッジ
レギュラー
スリム

である。
そしてレギュラーとスリムはワンウォッシュと加工の2色ずつがあるから、全部で6種類ということになる。

予約期間は8月27日までで、9月下旬に届くことになっている。

すべての商品には男性モデルが着用しているが、それを見る限りにおいてトレンドとは一線を画している。
直接的に言えばトレンドとは無関係である。

スリムとなっているが、画像で見る限りにおいては、他ブランドのレギュラーストレートくらいの太さがあるように見える。
個人的にはこれにはちょっと食指は動かない。

0000112000857_0005_L

(スリム加工色)

0000112000858_0009_L

(スリムワンウォッシュ)

綿100%デニム生地を使っているのだから、ある程度の太さがないと動きにくい。
いわゆるトレンドの細身シルエットをこの素材で作ることは無理である。

さて、顧客ターゲットはどこだろうか?

筆者はマイルドヤンキー層ではないかと考える。
もしくはマイルドでないヤンキー層も含まれるかもしれない。

エヴィスは90年代半ばのビンテージジーンズブームで脚光を浴び、その後、ヨーロッパでのライセンス生産という戦略によって国際的に人気を高めた。
2002年の日韓ワールドカップの際、イングランド代表のベッカム選手が着用していたことから再び注目を集めた。

2005年くらいまではファッション層が着用することが多かったように思うが、2004年ごろからよりスタイリッシュな欧米プレミアムジーンズがブームとなり、ややトレンドからは外れた印象がある。
2008年からはストレッチデニム素材を使用した極細のスキニージーンズが人気となったことから完全に非トレンドブランドとなった。

この2005年前後くらいから、ファッション層が離れ、エヴィスの着用者は都心・郊外を問わずマイルドヤンキー層が主流になった印象が強い。
それから10年弱が経過している。
筆者はマイルド&マイルドでないヤンキー層向けのジーンズブランドというイメージが世間に定着したように感じる。

またエヴィスの直営店からもディスプレイや内装、外観すべてにヤンキー層志向を感じる。
同じビンテージ系ブランドのウェアハウスの直営店とはすべての印象が大きく異なる。

業績が伸び悩んでいるライトオンとしては、そのヤンキー層を積極的に取り込むつもりなのだろうか。
たしかにライトオンにはこれまであまり来なかった客層かもしれない。

ただ、それが実現した場合、店舗イメージは良くなるなると思うのだが、それはどう考えたのだろうか。

一方、ジーンズ業界全体を見渡してみると、エドウイン、リー、リーバイス、レディースのサムシング以外にナショナルブランドと呼べるジーンズブランドが消滅してしまっている。

必然的にライトオンだろうがマックハウスだろうがジーンズメイトだろうがこの4ブランドを扱うほかない。
そうすると、品揃えは同質化してしまい、あとは価格勝負になる。
もちろん販売定価が決まっているからむやみな安売りは自分の利益を削ることになるためできない。

やれるとしたら廃盤品の値引き合戦である。

新たに導入できるブランドは自社企画品くらいしか残っていない。

となると、トレンドは無関係だが、それなりに知名度が高いエヴィスはうってつけといえる。
エヴィスとしてもピーク時よりは確実に売上高が落ちているだろうから、ある程度の販売数量が見込めるライトオンとのタイアップは悪い話ではない。
単なるエヴィス側からのライセンス権供与だとしても、エヴィスにはライセンス料が入るから悪い話ではない。

かくして両社の思惑は一致したのではないだろうか。
まあ、あくまでも傍から見ていた感想であるが。

オランダのGスターは、現在、直営オンリーショップを全国で展開しつつ、ライトオンにも卸売りをしている。
実際の店頭でどれくらいGスターが売れているのかはちょっとわからない。
筆者もライトオンの店頭はよく覗くのだが、Gスターを手に取っている人はいつもほとんど見かけない。

しかし、ライトオン側とすればGスターを並べることで店のイメージアップを図ることができる。

おそらくエヴィス側もGスターの展開を幾分かは念頭に置いたのではないだろうか。

この取り組みが上手く行くかどうかはわからない。

Gスターのような安定的な取り組みになるかもしれないし、上手く行かないかもしれない。

トゥルーレリジョンというブランドがプレミアムジーンズブームのころに大人気だったが、今ではジャパン社さえなくなっており、日本では穿いている人はほとんど見かけない。

その最終局面前後の頃、ライトオンが9800円に値下げして大いに売りまくったことがある。

そんな風になってしまうブランドもある。





着物の日常着化はかなり困難

 経産省が「着物を着る日」を導入しようと計画している。
まあ、これについての賛否両論はある。

筆者は今の着物業界も含めて否定的に見ている。
当然、業界関係者はテコ入れに期待を寄せている。

いろいろなところで書かれているけれども、ピーク時には着物業界の売上高は約1兆8000億円だったという。
現在は3000億前後を行ったり来たりしている状態で、ピーク時の6分の1にまで縮小している。

アパレル業界でいうと3000億円ならワールドの年商規模とほぼ同じであり、ユニクロの年間売上高の半分以下である。

個人的には今後も着物業界が今の体制と商品構成を維持するなら、売上高が爆発的に増えることは不可能だと考えている。
ほそぼそと伝統工芸、無形文化財的に維持されれば良いのではないか。

さて、着物を着る日についての賛否両論は様々な切り口がある。
そんな中で、業界関係者からはあまり出なかった切り口の記事が掲載されたのでご紹介したい。

経産省が促進する「着物出勤」 職場のトラブル増加は確実か
http://www.news-postseven.com/archives/20150817_341025.html

候補となっているのは、浴衣の季節である7月から8月、すでに一般社団法人全日本きもの振興会が「きものの日」として設定している11月15日、そして、仕事納め、仕事初めの年末年始の3つです。

とある。
まあ、年に3日くらいなら導入しても良いのかもと思えてくる。
ただ、仕事納めは社内の大掃除をする会社も多いからそのときに着物を着ていると汚れる可能性もあるし、いろいろと不便なのではないかとも思う。

で、目新しい切り口はこの後である。

 しかし、会社の人事労務管理をサポートする社会保険労務士という立場からは、この試みには諸手を挙げて賛成はできません。

なぜなら、どうしても着物をめぐって会社のトラブルが増えることを予感してしまうからです。

 就業規則や服装規定できっちりと定めている会社もあれば、暗黙の了解であったりと、多かれ少なかれオフィスにはドレスコートが存在します。

 着物も洋服同様、フォーマルなものから、カジュアルなものまで種類はさまざま。また、着方によって雰囲気もがらりと変わります。

 着物姿が非日常的な今、オフィスにおける着物のドレスコードをイメージできる人は少ないでしょう。なんの縛りもなく、オフィスでの着物を解禁したら、個性あふれる振り袖姿が話題をさらう最近の成人式さながら、職場で着物をめぐるひと悶着が起きそうです。

 もう一つ、懸念されるのが、お金をめぐるトラブルです。たとえ、会社が任意で着物での出勤を促したとしても、中には、「事実上の強制」ととらえる人もいるでしょう。着物を自分で着られる人は、非常に少ないのが実情です。

「着物出勤日を作るなら、着付け手当を出して欲しい」――労働者からこんな要求が出てくることも、容易に想像がつきます。

 7月31日、東京・渋谷の商業施設が企画した夏祭りに合わせて、渋谷に本社がある東急電鉄など約20社が、「浴衣で出勤」イベントを行いましたが、会社内に着付け部屋を設置、着付け師を手配するなど、万全の体制を整えています。

 要は、会社がコストをかけないと、着物出勤者は増えないということです。

「給料も上がらないのに、着物なんて買えるわけない!」

 場合によっては、着物出勤をきっかけに給料面の不満に飛び火することだって、十分、ありえます。

「コスト削減で必死なのに、きもので出勤なんて、経産省はお気楽なことを考えるもんだ。もっとやることがあるだろう」――零細・中小企業の社長からこんな怒りの声を買いそうです。

 着物で会社に出勤するきものの日の制定で着物を日常着に復活させようというのが経産省の狙いです。

 経産省の旗振りで着物出勤を推進するのであれば、量販店に並ぶスーツの価格帯でオフィスにおける着物のドレスコードの模範となるような“ビジネス着物”の提案ぐらいは、あってしかるべきでしょう。

とある。

この意見には大筋賛成である。

着物を日常着として復活させたいのであれば、ここでも指摘されているように手ごろな価格帯と、仕事をするのに適した形態の開発、着付けの簡素化が必須である。

着物を着慣れた人からはよく「着物を着ててもなんでもできる」という意見を聴くが、そこまでになるのにどれほどの時間と手間と費用がかかるのだろうか。
そしてどうしてそこまで我慢してまで慣れる必要があるのだろうか。

一人では着られない日常着なんてそんなナンセンスな物は存在しない。

それと好き嫌いの問題だが、成人式で着られるようなあの色柄はかなりダサいと思う。
明るいピンク地に大振りな花柄。
あれが本当に日本の伝統柄なのか正直言うと疑問を感じる。

日常着として復活させるのであるなら、野良着の方が適しているだろう。
野良仕事用の作業着だから当然それなりに動きやすい。

もし、この着物着用企画が実現したとしても、カジュアルフライデーやらプレミアム商品券のように思ったほどの効果は得られずに終わるのではないか。
そんな気がする。





意思のない製造加工業まで守られるべきではない

 一昨日くらいだが、このブログの累計訪問者数が250万人を越えた。
開始したのが2010年10月だったので、5年弱の累積である。
昨年10月8日ごろに200万人を突破したので、10か月強で50万人の人が訪問してくださったことになり、12か月だと60万人ということになる。
なんともありがたいことである。

バナー広告を出稿したい工場、企業、ブランドがおられたらぜひともご連絡ください。(笑)

それはさておき。

最近では繊維産地も含めて地方の製造加工業が自社製品開発に乗り出している。
もしくは乗り出そうとするのがトレンドとなっているといった方が正確だろうか。
もちろん繊維以外の製造加工業も同じ状況である。

それを地元の商工会議所や行政がお膳立てするケースもずいぶんとある。

しかし、結論から言ってしまえば、お膳立てにただ乗りしようとするような製造加工業者が成功することは絶対にない。
反対に自社製品開発にある程度成功している企業は、そういうお膳立てなしで自発的に動いたところがほとんどである。

先日、知り合いのデザイン会社から聞いた話だが、行政系のマッチングに呼ばれてある産地の会合に出席したところ、その中の1社が「で、オタクはうちをどんな風にしてくれるの?」と尋ねたそうだ。
いやはや、レベルの低さに呆れ果てて言葉も出ないのだが、デザイン会社は「うちが貴社をどうこうするのではなく、貴社がどうなりたいかという問題ですよ」と答えておいたとのことだが、ここに集約されている。

自社製品、自社ブランドを開発したいのなら、せめて「自社がどうなりたいか」という希望なり願望なり、ふわっとした(笑)イメージなりを持っていないとどうしようもない。

行政やデザイン会社やプロデューサーがその会社を変えるのではない。
会社が変わるのを手助けするに過ぎない。

そのことが分かっていない製造加工業者が多すぎるのではないか。

筆者も繊維産地の会議に出席したことも何度かあるのだが、ここまで低レベルな発言は出てこなかったが、「とりあえずお任せしますから、良い様にしてくださいよ」という無責任な発言は何度もあった。

一口に「良い様に」というけれども「良い様に」の捉え方はすべての人間で異なる。
100人いれば100通りの「良い様に」が存在する。
筆者の考える「良い様に」と、産地のA社が考える「良い様に」は全く異なる。
B社、C社の考える「良い様に」も当然異なる。

では、どの基準に合わせろというのか。

その基準が示されないままだから産地の取り組みの多くは失敗に終わる。

「お任せしますから」と言った割には、そのあとで結果が出ないことには必ず文句を言う。
お任せしたんだったら、その結果も呑み込むべきである。
お任せの結果が呑めないのであれば、どういう風にしたいのか事前に意思表示しなくてはならない。

デザイン会社もプロデューサーも行政もテレパシー能力者ではない。
産地のおっさんの考えていることなど意思表示なしに読み取れるはずもない。

あとで反省会などをしてみると「本当はこうしてほしかった」とか「こういう方向性を考えていた」というような意見が出るが、そんなものは後の祭りである。
タイムスリップなんてできないのだから、今更言われてもどうしようもない。

このあたりは筆者の体験だが、先の企業は本当に変わりたいとは思っていないのではないか。

とりあえず、行政に声をかけられたから「楽をして美味しい思い」ができるとでも思ったのではないか。

繊維も含めて「日本の製造加工業を守れ」という声が聞こえてくるが、こういうやる気のない製造加工業をなぜ守る必要があるのか。
しかも税金で(笑)

筆者は日本の製造加工業はやる気のある企業だけが残れば良いと考えている。
やる気のない製造加工業は淘汰されて当然であり、市場から退場すべきである。

そこに情緒とか感傷は必要ない。




無印良品で買ったお買い得品

 毎年この時期になると最終処分値となったバーゲン品を買う。
店頭を見て回ると、夏物のめぼしかった物はあらかた売り切れており、残っているのはデザイン的にイマイチな商品と、デザインは良いが過剰に生産しすぎた商品くらいになっている。

前者はいくら安くなっても買わない。後者は買う。
後者のような作りすぎた商品は要らないという人もいるが、筆者は投げ売られているなら大歓迎である。

この時期の買い物でいつも迷うのが、「夏物を買うか、秋物を買うか」である。
秋物と言っても筆者の場合はプロパーではありえない。値下がりしている昨秋物か今春物である。

どうせ9月末、下手をしたら10月半ばまでは暑い。
夏物はあと2か月着られる。
一方で、9月末を越えると朝夕は涼しくなるから秋物(春物)を着用した方が良い場合もある。

まあ、物の良し悪しと価格とのバランスによって決めるのだが、この時期に夏物を買った年もあるし、秋物(春物)を買った年もある。

今年の8月は秋物(春物)を買ってしまった。
理由は格安だったからだ。
それと夏物で今年は目ぼしい物が残っていないという理由もある。

無印良品難波店で裏毛フルジップパーカと綿・シルク混のニットカーディガン、それと半袖無地VネックTシャツを買った。

無印良品の店舗を複数利用しているが、店舗によって最終処分価格が随分と違う。
「〇〇店限定価格」というのがよくある。

で、実際に2~3店舗回ってみると価格が異なる。
本当に〇〇店限定なのである。

そんなわけで難波店限定価格に出くわした。

綿裏起毛フルジップパーカは定価3980円が1500円に下がっていて、さらにレジで20%引きだったので1200円(税込)で購入できた。
綿100%でベトナム製。
写真ではわかりづらいが、杢調のスカイブルーである。
だから青みがかった杢グレーにも見える。
これなら杢グレーの代わりに着用できるのではないかと思って買った。

写真 36

実際の生地を拡大するとこんな感じで、杢スカイブルーになっている。
通常のペタっとしたブルーに染めるよりも製造費は高い。

写真66

(生地のアップ)

綿シルク混ニットカーディガンは定価4980円がなんと1000円に値下がりしており、さらにレジにて20%オフで800円(税込)で購入できた。ヤター。
綿78%・シルク22%でタイ製。

写真 27

ついで買いしたのが綿Vネック半袖Tシャツ。
定価1000円が半額の500円に下がっており、さらにレジで20%オフされて400円になった。
綿100%でベトナム製だ。

写真 16

3点合計で2400円(税込)である。
価格的には大満足である。
Tシャツは正直要らないかなとも思ったが、安かったことと、寝間着や部屋着代わりに使えるのではないかと思って買った。

見てお分かりのようにすべてブルー系だ。
理由はそれしか残っていなかったからである。
Tシャツとカーディガンはこの色しか残っていなかった。

パーカはくすんだピンクと黄色っぽい茶色とこの色の3色が残っていたが、杢グレーにちかい色としてコーディネイト幅が広そうなこの杢ブルーを選んだ。
しかし、一番たくさん枚数が残っていたのもこの杢ブルーだ。
意外に不人気だったのか、製造量が多すぎたのか。

お得な買い物だったと喜んではいるが、カーディガンとパーカを着用するのはまだまだ先である。
とくにパーカなんて10月下旬か11月ぐらいからしか着用しないだろう。
随分と季節を先取りしたものである。

それにしても夏物の着用時期は長い。
5月から10月半ばまで着用できる。
個人差はあるが、スーツやジャケット類なら夏物は11月下旬くらいまで着用できる。
業界新聞時代にお世話になった某肌着メーカーの広報の男性がいる。
もう何年も前に定年退職されたが、現役時代に「ぼくは暑いのが苦手だから5月から12月20日ごろまで夏用のスーツを着用しているよ」とおっしゃっていた。

筆者も似たような着用をしている。
さすがに12月に入ると冬服を着ているが、だいたいいつも11月のどこかで急に寒波が襲来して、それを機会に衣替えをしている。それまでは夏服を着ている。

なんだかんだといって、日本の夏は長い。
5月から10月下旬までの6か月は夏服で過ごす。
筆者の体質だと春物の着用期間は3月・4月の2か月間、夏物は6か月間、秋物は10月下旬から11月末までの1か月間、冬物は12月から2月までの3か月間という着用バランスになっている。

正確には、半袖Tシャツに長袖シャツを羽織るという中間的着こなしの時期もあるし、春物・秋物の綿セーターの上に薄手のダウンジャケットを羽織ることもあるが、大雑把にはそういう着用期間である。

となると、各社は夏物や半袖アイテムをもっと強化した方が良いのではないか。

とくに気温に対して消費が実需型になっているといわれているならそうすべきではないか。
四季を四等分するような季節MDは廃止すべきではないか。




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