月別: 12月 2010 (1ページ / 3ページ)

売り場探訪:西友

 先日、12年来お付き合いしていただいている、デザイナー平井達也さんから「ツイッターで売り場中継したことを随時、まとめてはどうか?」とご提案いただいた。このブログの新しい一つの切り口としてさっそく始めたい。
大晦日だが、思い立ったが吉日である。

ちなみに平井さんのコレクションブランド「Si-Hirai」のHPはここ。

http://www.si-hirai.com/

昨日、久しぶりに西友に行った。
昨年秋に話題をさらった850円ジーンズだが、レディース商品はこの日680円に値引きセールが行われていた。

・ワンウォッシュみたいな濃紺
全体的のっぺり色落ちした淡色ブルーの2色展開
・どちらもヒゲ加工なし
・ヒゲ加工は加工賃が高いので850円商品には使うことができない
・素材は綿75%・ポリエステル24%・ポリウレタン1%

これは、綿が昨年秋よりも高いので(商品が作られた時期は今ほど高騰していない)、綿の配合率を下げ、ポリエステルを24%使ったと見ている。来年春物以降はポリエステル配合率がさらに高くなるだろう。

ちなみに1470円ジーンズはヒゲ加工入りで、綿97%・ポリウレタン3%
まともにジーンズと呼べる最低価格は1470円である。
「安いけど安っぽくないジーンズ」というポスターが850円コーナーに貼ってあったが「すみません、どう見ても安っぽいです。失笑物のポスターです」。


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ダウンジャケット類の値引き
・ペンフィールドのダウンジャケットが半額で3950円に。
ただし、デザインがあまり見かけないタイプ。

・西友オリジナルのリバーシブルダウンジャケットが3割引きの4130円に。表無地の裏ハウンドトゥース。ただし、裏は恐ろしく安っぽい光沢なので裏側を向けて着ることはできない
 
・トレンドのウールダウンジャケット発見
黒とチャコールグレーの無地2色で、値引きされていない7900円
似たような色を2色展開しているのが意味不明
黒のほかは、ライトグレーか茶系、ベージュ系にすべき
売り残すことをビビっての安全パイ2色なのだろうが、これなら1色展開にすべき
せっかくデザインも悪くないのに量販店の平場に陳列されているとひどく
安物くさい。量販店は売り場作りを見直すべし

・ラムウールセーターが1000円引きの1900円に

・ウールニットパーカーがあるが、ウォッシャブル加工のため、素材の手触りが変。ウォッシャブル加工は、早い話、ウールにコーティングしてあるものなのでコーティング剤の問題だろうか?

以上がざっと見た西友の売り場である。

悪くない商品もあるのだが、量販店のフラットな売り場作りではちっとも良く見えず、全商品が限りなく安物くさく見えていた。これは西友だけの問題ではなく、イオン、イトーヨーカドー、イズミヤ、ユニーなどすべての量販店が改善しなくてはならない問題だろう。
売り場作りを改善せずにイオンやイトーヨーカドーのように、モノ作りシステムをいくらいじっても衣料品の売り上げにはつながらない。
それこそイオン、イトーヨーカドー特有の無駄な努力である。
岡田氏、鈴木氏ともにそのことがわかっていない。わかっていないからこそイオンもイトーヨーカドーも迷走しっぱなしである。 

12月中旬に大コケした新規ガールズイベント?

 12月の中旬に関西でガールズファッションイベントがあったと聞く。イベントの名前もわからないから本当に伝聞で恐縮している。
そのガールズイベントの集客が少なすぎて大コケしたと言われている。

以前も書いたように、現在ファッションショーといえば神戸コレクション、東京ガールズコレクション(TGC)に代表される、タレントやタレントモデルが服を着てステージを歩くと言う形式が広く認知されている。
そもそも論から言えば、このスタイルを確立したのは神戸コレクションであり、それを発展拡大させたのが東京ガールズコレクションである。

その後、雨後のタケノコのように(関係者各位失礼)、どんどんと○○ガールズショーや○○ガールズアワードなど類似イベントが登場し、今も登場しようとしている。しかし、これらがファッション振興に役立っているかと言えばかなり疑問だ。
観客(主に10代・20代の女性)は、タレントやタレントモデルを見に来ているのであり、彼女らがどのブランドの服を着ているかと言うのは興味の対象外にある。もっとあけすけに言ってしまえば、全員にトップバリュの衣服を着せてステージを歩かせても観客は誰も気が付かないだろう。

開始直後の神戸コレクションやTGCは出展ブランドの売り上げ拡大の役目も果たしていた。しかし、今は違う。ライトオンやマックハウスも今年春のガールズイベントに出展していたが、その後もずっと前年比15~25%減少を続けている。売上高は一向に回復していない。同じ論法で言えば、イオンもそうだろう。

そして、新しいイベントが打ち出されるものの先行イベントとの違いは、登場するタレントだけ。これでは、12月中旬に新規ガールズイベントが大コケするのも当然であろう。もう、その手のイベントには飽和感があるからだ。

かと言って、パリコレ、ミラノコレなどの形式と同様のファッションショーが見ていて楽しいかと言うとあまり楽しくない。静寂と単調なリズムが続くので1時間以上見続けると眠ってしまう。某専門学校の卒業製作ショーは2時間半もあるのだが、とても苦痛で最後まで見ていることはできない。途中で眠るか退席するかのどちらかである。

今後はタレント頼りではない、新しいイベントの形式を模索する必要があるだろう。タレントショーはTGCに任せておけば良い。同じ形式で新規参入したところで、規模でも知名度でも登場タレントでも勝てない。ならば違う方向性を模索するべきである。

タレントを登場させてファッションショーにエンターテイメント性を与えたのは神戸コレクション、TGCの功績である。今後の新規イベントは、それを踏まえつつさらに新しい要素を加えることが必要だろう。こういう自分もその新しいスタイルのビジョンは見えていないのだが。

コスプレイヤーが集まり始めたATC クールジャパンは掛け声倒れ

 大阪の南港にATCという複合商業施設がある。バブルのピーク時に作られたのだが、バブル崩壊後は凋落の一途をたどり、アウトレットモール「マーレ」を施設内に開業したものの、客足がさっぱり伸びず、テナントも退店しておりゴーストタウンのようになっている。
バブル時の第3セクターの無責任な開発の見本のような建物である。

この1年はATCに行っていないのだが、先日、知り合いのデザイナー氏から「日曜日、久しぶりにATCに行ったら、コスプレイヤーたちの集結地になっている。コスプレイヤーのおかげで、施設内のサイゼリヤは長蛇の列ができるほど繁盛していた」と驚いていた。

ATC凋落の原因はいくつもある。
まず、一つは地下鉄から接続されて南港へ向かうニュートラムの料金が高すぎた。大阪・本町から往復するだけで1000円弱かかる。ニュートラム区間はわずか2,3駅に過ぎないのにだ。4,5年前にニュートラム料金は引き下げられたが、はっきり言って後の祭りである。対応が遅すぎる。

次に、かつてのテナント出店者によると、家賃が高すぎる。家賃はある程度変動しているが、3年前に聞いた話では「1坪10万円」との提示があったという。坪10万円の家賃は大阪なら梅田のテナント出店家賃と変わらない。同じ金額なら梅田で出店するに決まっている。
なぜそんな法外な価格設定なのかというと、第3セクターのお役所仕事の典型なのだが、建設時のバブルのころの家賃設定のままであることと、その家賃をアテにして建設費や施設内装費を費やしてきたから、今更家賃を下げることは赤字になってしまうからだという。
本当にバカも極まれりの話しであり、テナントも集まらず収入は低下の一途をたどっているのに、そんなことをのうのうと言う。

出店者が減少してゴーストタウン化しているのであれば、10坪の店を月額1万円の破格の値段で貸し出して、若手デザイナー事務所や独立したばかりのショップを誘致した方がよほど施設と近隣の活性化につながる。

で、その知り合いのデザイナー氏は「あれほどのコスプレイヤーが土日祝日に集結するのであれば、ATCは集客装置としてコスプレイヤーが利用しやすいような施設や設備を作って、さらにコスプレイヤーを集めたら良いのではないか」という。例えば、コスプレイヤーのためのお着替えルームやコスプレイヤーが買い物をしそうなコスプレ用具一式のショップ。またお金がないコスプレイヤーたちのための格安飲食店の誘致である。
施設内の飲食店で格安ジャンルに属するのがサイゼリヤしかないため、そこに集中してしまう。ならば、吉野家、すき家、松屋、ガストなどを誘致すればさらにATCに集うコスプレイヤーが増える。

例えば、国を挙げて「クールジャパン」を世界に発信しようと経産省は雄たけびだけを挙げている。クールジャパンに含まれるのは漫画、アニメ、特撮、ファッションである。しかし、実際は漫画、アニメ、特撮の文化振興につながるような施策を国が行っているだろうか?
麻生内閣が提案した「アニメの殿堂」は計画中止になり、東京アニメフェアも規制強化で開催が危ぶまれている。大阪府にしたところで、ATCの近隣のWTCに府庁を移転させる計画を立ち上げたものの、それ以外に南港の振興策は皆無である。

「クールジャパン」を標榜するなら、集積しつつあるコスプレイヤーをさらに集めるような施策を打つべきではないか。実態が伴っていないのに「クールジャパン」の看板だけ掲げてもちっともクールではないし、クールジャパンの海外輸出など画に描いた餅である。

来春から衣料品価格は上がる。もしくは品質は下がる。

 12月にこれほど大々的にセールが行われていたのは、今年が初めてではないだろうか。もちろん今までからも「シークレットセール」「フライングセール」「メンバーズバーゲン」などと銘打っては、行われていたものの、どちらかというとひっそりやってますという感じだった。
しかし、今年はもはやセールのPOPで店頭が真っ赤である。

そのセールの値引き率も高い。ユニクロでも9990円のダウンジャケットが年末まで3990円に値下がりしている。
言ってみれば、衣料品のデフレも極まれりの状況にある。

他方、原料費は高騰を続けており、綿花、羊毛の値上がりがすさまじい。それに引きずられてポリエステルやアクリルの合成繊維まで値段がわずかずつ上昇している。さらに、中国の生産工場の人件費も上昇しており「中国で生産しても、国内で生産しても値段はあまりかわらない」くらいになっている。

このため、来年春物からは衣料品の値段が上昇しそうだ。
業界努力でもなく、政府の努力でもなく、原材料の高騰と海外工場の人件費上昇という外的要因であるところが笑えるのだが。

例えば、パルグループの大谷時正専務は「店頭価格は上がらざるを得ない」と分析している。
しかし、価格が上昇して厳しくなるのは、3900円までの低価格ゾーンであり、10000円の商品が11000円になっても固定客は買うが、1900円の商品が2900円になればそのゾーンの消費者は買わなくなる。
もっと最悪なことを考えると、低価格ゾーンの企業が価格据え置きを狙うなら、原料と縫製の品質を落とすしかない。
すなわち安い材料と安い縫製工賃で商品を作らなくては、価格据え置きができない。これまでより数段品質の劣る1900円商品が出来上がるというわけだ

低価格ゾーンではユニクロは、おそらく価格据え置きにするだろうと推測している。生産ロット数量がケタ違いに大きいため、なんとかコストを吸収できるはずだ。しかし、しまむらやハニーズ、ジーユー、リオ、タマヤなどはどうだろうか?
生産数量が中途半端だが、価格は安い。
最も影響を受けるのではないだろうか。

価格上昇で客数を減らすのか、価格据え置きで粗悪品を提供するのか、のどちらを選択するのかでその企業の姿勢が見えてくるのではないだろうか。

何はともあれ、海外状況のおかげで、衣料品のデフレは底打ちをしそうだ。

またしても綿花相場が最高値更新

 そろそろ1年が終わろうかというところだが、12月22日、またしてもニューヨーク綿花相場が史上最高値を更新した。
繊維ニュースから引用させていただく。

ニューヨーク綿花定期相場は20日、期近(3月)物が、前日比で4セント高い154.12セント(1ポンド)をつけ、史上最高値を更新した。11月9日につけた151.23セントを1カ月半ぶりに上回った。年初1月4日の期近物が76.00セントだったことから、この1年で2倍以上に跳ね上がっている。


相場記事は多少読みづらい部分があるので、平たく言い直すと、
1ポンドあたりが4セント高くなり、154.12セントとなった。これまでの最高値は11月9日の151.23セントで、この151.23セントという値段は、アメリカ南北戦争以来の150年ぶりの高値であった。

記事によれば、年始価格76セントから1年間で2倍以上の価格になったという。

原価が2倍になれば製品価格も2倍になるかと言えばそうではない。
とくに店頭価格が7000円以上の商品に関してはある程度、利益を削って価格据え置きは可能だろう。
また、来月の製品から値上がりするかと言うと、原料高の影響が出始めるのは来年春物以降になると考えられる。

むしろ、店頭価格を上げざるを得ないのは3900円までの低価格ブランドだろう。ジーユー、しまむら、ユニクロ、無印、ハニーズ、夢展望などなどである。このうちユニクロは生産ロットが大きいため、製造コスト据え置きは可能だろうが、小ロット低価格のブランドがコストを吸収できなくなるといえる。

通常、綿花が高くなれば、綿花の使用量を減らして、ポリエステルやアクリルなどの合成繊維を混ぜることで原料高をやり過ごす。ポリエステルやアクリルの値段は一定に保たれているからである。しかし、ここに来て綿花高騰から合繊需要も増加しており、わずかながらも合繊も価格が上昇しているという。(某紡績の部長)

また、マスコミの話題を一時にぎわして、立ち消えになった1000円以下の低価格ジーンズはもはや実現不可能になると考えている。
すでに現状でも1000円以下のジーンズは一時期に比べて店頭数量が減っている。ジーユーも1型990円ジーンズはあるものの、メインの価格帯は1490円、1990円へと移行している。

さらに言えば、ユニクロ追随のイオン、ヨーカドーなどの量販店各社はさらに利益を削られることとなるだろう。

12月度は大苦戦。ライトオンとジーンズメイト

 ライトオンとジーンズメイトの12月度売上速報が発表された。

ライトオンの12月度既存店売上高は前年比15・6%減
既存店客数は同13・5%減
既存店客単価は同2・4%減

ジーンズメイトの12月度既存店売上高は前年比23・5%減
既存店客数は同19・3%減
既存店客単価は同5・3%減

と両企業ともに苦戦したが、
ジーンズメイトの既存店売上高は大きく落ち込んでいる。
ただ、ライトオンの客単価下落には底打ち感が出てきたように見える。

12月20日締めの両企業は、高気温の影響をモロに受けたようで、ライトオンは「ダウンジャケットが動かなかった」とコメントを発表している。
ダウンジャケットが苦戦しているのは、ライトオンだけでなく、業界共通の問題であると思われる。
例えば、レディースセレクト向けの小規模ブランド「フロー&リンクス」もダウンジャケット類の販売は厳しいと話している。

12月10日ごろからライトオン、ジーンズメイトを含む各社一斉にダウンジャケット値下げを打ち出していたが、12月23日、ユニクロもダウンジャケット類を全品大幅値下げしてきた。
それぞれ、2000円ずつ価格を下げているのだけれども、例えばメンズのタータンチェック柄のダウンジャケットは、5990円に値下げした後、さらに12月31日までの期間限定で3990円に値下げしている。

さらに3990円が定価のダウンパーカーを新規投入しているが、早晩、週末限定価格1990円での売り出しをすると推測している。
おそらく、ユニクロのダウンジャケット類も相当にダブついているのではないだろうか。

もはや来年の1月1日を待たずして、町はセール一色である。
ベネトンも店内の半数のアイテムがすでに半額に値下がりしているし、GAPは値下がりした商品がさらに「レジにて20%オフ」になっている。ユニクロは上記の通りだし、ライトオン、ジーンズメイトにおいても同じで、ダウンジャケット類は半額に値下がりしている。

この12月は各社ともに減収減益で終わる気配が濃厚である。

繊維製品が品薄で、ウサギの石鹸が人気

 綿花相場の高騰はいまだに続いているようだ。

先日、ギフト業界向けの業界雑誌「月刊セレクト」の編集後記に面白いことが書かれていたので引用させていただく。

問屋情報によると、来年の干支であるウサギ型の石鹸が異常に売れているという。原因は、ウサギの柄を入れたタオルやそのほかのウサギにまつわる繊維製品が中国から入荷しないので、その分、石鹸の注文が廻ったのではないかと言われている。

とのことである。
原料高に加えて、中国では生産ラインが確保できず、納品が半年待ちの場合もある。
衣料品業界では、原料高とチャイナリスクのダブルパンチで苦しんでいるところが多いが、ギフト・景品業界でも繊維製品が品薄になっているようだ。

以前にも書いたが、現在の綿花相場は、12月7日の繊研新聞によると

ニューヨークの綿花相場は、11月9日に1ポンドあたり151セントと昨年約2倍に高騰してから、反転して23日には113セントと下落。その後、12月1日には132セントと再び上昇している。

また超長綿も最高値を更新しており、記事によると

米国のピマ綿は11月4日に1ポンドあたり225セントと史上最高値を更新。
昨年5月に110セントだったが、今年5月は150セント、11月23日には266ポンドまで上昇しており、エジプトの「ギザ88」も270セントと高値で推移している。

ということである。

まだまだ綿花の価格は下がりそうにない。
ちなみに綿花の中でも特に繊維長が長い物に関して「超長綿」と呼んでおり、繊維長が長いほど滑らかな表面感の織物が出来上がる。その超長綿の代表がアメリカのピマ綿であり、エジプトの「ギザ88」である。

綿製品不足は、来年春にはもっと顕在化するのではないだろうか。

百貨店売上高の低下もそろそろ底打ちか?

 11月度の全国百貨店売上速報が発表された。
日本百貨店協会によると、11月度売上高は前年比0・5%減とほぼ前年並みだったという。
気温が例年通りに低下したことから、コートやジャケット類などの重衣料や秋冬物衣料がそこそこに順調だったようだ。

前月は0・6%増であったから、百貨店売上高の低下がようやく底打ちしつつあると言えるだろう。

さて、百貨店という業態がダメであることは、各評論家とも異論がないと思われる。そしてその復権を目指しては大きく2つの意見に分類できるのではないか。

1つは、プレステージ性をより高めてファッションの品ぞろえ、ハイクラスブランドのテナント出店を強化すべき

もう一つは、ファッションに特化しすぎた現在の業態を転換して、家電や玩具、生活雑貨などの品ぞろえや買いやすい価格帯のブランドのテナント導入を強化すべき

という意見である。

自分は後者の意見だが、そもそも百貨店が復権する必要があるのかどうかすら疑問である。はっきりと言いきってしまえば復権する必要はなく、より淘汰されれば良いと考えている。
そもそも百貨店の数が多すぎる上に、バブルのころの業態がそのまま生き延びて復権することなどナンセンスだと考えている。
バブルの頃を知る古い業界人はノスタルジーで、百貨店復権、ファッションブランド強化を唱えているのかもしれないが、時代に適していない。

時代性や社会環境に適合・変化しないと企業は生き残れないから、百貨店もバブル期までのビジネスモデルを転換して生き延びるべきだと思う。時代に応じて適合・変化できないなら、百貨店は今でも呉服屋のままでなくてはいけない。
ご存じの通り、多くの百貨店は江戸時代の創業期に呉服屋であったという歴史がある。
呉服屋から時代に応じて適合・変化したから生き残れたのであって、それに固執していたら廃業を余儀なくされていたはずだ。

百貨店がバブル期モデルから転換できるかどうかは、そのダブついた人員をどう整理するかにもかかっていると思う。
生き残るためには大量の社員解雇が必要になるだろう。

産学連携に懐疑的なワケ

 先日、大阪産業大学アパレル産業コースの内紛報道について、まとめさせていただいた。今回の一件で大阪産業大学とそのアパレル産業学部には悪イメージができてしまったので、今後は運営にかなりの苦労を強いられることとなるだろう。おそらく生徒数も激減すると思われる。

ところで、アパレル業界における大学や専門学校との「産学連携」がほとんど成功していないことの理由として、学校側の態度や指導方法にも問題があると書いたのだが、以前に何校からか聞いた話を補足しておきたい。

専門学校には生徒に対して「課題」を出す。まあ、普通の学校でいうところの宿題だと思って良いだろう。○○日までにデザイン画を5体仕上げてきなさい、とか、○○日までにこのパターンを完成させて持ってきなさい。、とかいうものである。
もちろん、その課題をあまりやって来なくて提出できない生徒もそこそこにいる。そういう生徒はどんどん課題が積み重なっていって、借金地獄のようになってしまうのだが。

最終的に、就職先が決まって卒業間近だというのに、以前やりのこした課題がまだ提出できていないという生徒も幾人か現れてしまう。
おそらく、現在は、卒業式後にやり残した課題をやり上げて終わるという形式が主流だと思う。しかし、以前に聞いた話では、昔は課題が終わらないから卒業できずに内定していた就職も辞退したケースもあったという。
さすがに現在はこういうケースはないだろうと推測するのだが、これでは本末転倒も甚だしい。

元来、専門学校は就職するための学校であり、アカデミックな物ではない。課題をやり上げない生徒も悪いのだが、せっかく決まっていた就職を辞退させて課題を提出させるというのは、専門学校の本来の趣旨から大きく逸脱している。
まさに課題のための教育であって、就職のための教育ではない。

現在では根絶したと思われるが、学校側がこういう態度であるなら「産学連携」などは100年経っても実現不可能である。
専門学校はアカデミックを目指すべきではない。

大阪産業大学アパレル産業コースの内紛

 つい2,3日前にテレビでニュースを見ていたら、以下のような報道があった。大阪産業大学で内紛が勃発しているようだ。

大阪・大東市にある大阪産業大学経営学部で、アパレル産業コースの教員2人が自宅待機を命じられたことに抗議して、教員の加入する労働組合が14日朝からストライキを行い、授業がストップしています。

 大阪産業大学のアパレル産業コースでは今年9月、学生の海外研修で使途不明金があったなどとしてコースを設立した教授と客員准教授の2人が自宅待機を命じられて休講が相次いでいます。

 これに対し、教授などコースの7割以上の教員が加入する労働組合は「はっきりした理由もなく自宅待機にするのは不当だ」として、自宅待機命令の撤回と授業の正常化を求めてストライキを行っています。

 「学生たちも授業料を払っている。(大学側に)誠意ある態度が全くなかったのでやむをえず」(大阪教育合同労組 大阪産大支部長)

 集会には2人の教員の復帰を求める学生らも参加し、アパレル産業コースの授業はストップしています。

http://hicbc.com/news/detail.asp?cl=j&id=4600735

とのことである。
この報道だけでは大学側か、教授側のどちらが悪いのかがまったくはっきりしない。
ただ、いろいろな方の報道記事やブログを拝見すると、赤字垂れ流し体質の大学側と、経営改革派だった重里教授側の確執であるようだ。

個人的には大阪産業大学アパレル産業コースとはまったく縁もゆかりもないのだが、一般大学にアパレルコースが設置されるのはある意味で画期的なことだと思って眺めていた。
なぜなら、アパレル業界の業界体質の疲弊と矛盾によって、ファッション専門学校から業界への就職は年々厳しくなっている。
アパレル側は企画職は求めていないが、営業・販売職なら求めている。そして営業・販売職に就職するのであれば専門学校を卒業する必要はなく、通常の大学卒業で十分である。
さらに言えば、アパレル業界に見切りをつけ、異業種へ転職する際も大学卒業資格の方が転職しやすい。

ならば通常の大学でアパレルに関することを学んで営業・販売職に就く方が安全な人生設計ができる。
こういう背景から考えれば、大阪産業大学の取り組みは、専門学校にとって脅威であったといえる。

今回の騒動、なぜか放送直後のテレビ局のサイトからも削除されており、もみ消しの匂いがプンプンするので、詳細にまとめていただいていいるブログより引用したい。

そもそも「紛争」の発端は、関西ではテレビにも出演する重里俊行:経営学部教授らを、大学側が出勤停止処分にしたことからでした。



98年にこの大学の教授に就任した重里氏は、リーマンショックで大産大が40億円を超える資産運用の評価損を抱え、理事長らが責任を取って辞任した後を継ぐ形で、昨年4月に常務理事兼事務局長に就任。大学内改革の急先鋒でした。



教授と経営陣という2つの顔を持ち、改革に大ナタを振るう重里氏は、その歯に衣着せぬ発言もあって、学内で次第に疎んじられるようになっていきます。



そんなおり、重里教授が中心となって運営していた経営学部アパレル産業コースの「パリ・ミラノ視察研修」が事実上中止になる事態が起こりました。



このアパレル産業コースは、非常に人気の高いコースで、重里教授の授業も学生たちの評判は良かった。



視察研修は、今年8月末から予定されていたが、大学側は、「文部科学省が取りやめるように求めてきた」と説明。学生自らが文科省に問い合わせると、そんな事実は無いということが判明し波紋が拡大。



さらに大学側に問い質すと、「納得できないのなら退学すればいい」(!)と言い放った別の教授もいたという。



学生の保護者からも批判が強まり、大学側は8月6日、説明会を開き、今度は視察研修中止の理由として、重里教授と、同氏が採用を推薦した女性のA客員准教授の2人が費用を私的に流用した疑いがあると説明。(重里氏とAさんは容疑の事実を否定)



この2人は9月17日、後期の授業が始まる直前に出勤停止処分となり、現在に至るもその処置は解かれていません。

という背景がある。
テレビ報道では重里教授の名前が出ていなかったが、この重里教授の改革推進に、守旧派がクーデターを起こしたというのが実情のようだ。
このブログには、ほかにも守旧派が重里教授に対してハニートラップを仕掛けようとしたり、尾行したりと、スパイ映画顔負けの黒い計画を立てていたことが書かれている。
チャイムの音が流れ続けるので、音量を消してご一読いただきたい。

http://ameblo.jp/neocedar135/entry-10709185956.html

それにしても、専門学校も大学も教職員の体質はぬるま湯である。
数多く「産学連携事業」が打ち出されているが、アパレル・繊維業界に対して有効だと感じられる産学連携事業は見たことがない。
ほとんどが学生のお遊びコンテストか、オブジェのような何の役に立つかもわからない立体物を作って終わり、というケースがほとんどである。
本当に産学連携であれば、卒業最終年度の学生を、1年間特定の企業に張り付かせるくらいのことが必要であるが、従来通りのカリキュラム重視であるため、業界イベントに1日や2日参加させることさえ躊躇するのが今の学校の姿勢である。

こんな体制では、業界と学校の温度差はますます開くばかりだと思うのだが。

今後、大阪産業大学と重里氏のどちらが勝利するのかわからないが、今回の内紛で地に落ちた大学イメージは容易に回復しないだろう。その意味では、守旧派は自分で自分の首を絞めたと言える。

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