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南充浩 オフィシャルブログ

「ワークマン女子」が店名を変更したのは当然の結果

2025年1月30日 企業研究 1

先日、ワークマンが「ワークマン女子」の屋号を廃止して「ワークマンカラーズ」に統合すると発表した。

これはもうすでにほとんどの方がご存知のことだろう。理由はワークマン女子に男性客を取り込むためである。

「#ワークマン女子」が「Workman Colors」に改名 男性客取り込み強化

同社は今回の屋号変更の理由について、#ワークマン女子の地方出店加速に際し、人口の少ない地方では女性客だけでは経営が成り立たず、地方展開のために女子店の看板を外す決断をしたと説明。また、イグジットメルサ銀座店において、#ワークマン女子からWorkman Colorsに改名しただけで、男性売場を拡大せずとも男性客が約10%増加したことも理由として挙げた。今後はトレンド性を更に打ち出し女性客を更に増やしながら、男性客の取り込みも強化するという。

 

とある。

極めて当たり前のことだが「女子」なんて店名にいくら男性向け商品を強化投入しようと、普通の男性はわざわざ店内に入ることは少ない。

これは女性でも同じで「メンズショップ〇〇」という店名の店にわざわざ女性が入ることは少ないだろう。父親や夫、兄弟、恋人へのプレゼント用商品を買うためくらいだろう。

この「極めて当たり前の理屈」になぜワークマン経営陣がこれまで気付かなかったのか、そちらの方が不思議でならない。知る限りにおいて経営陣は中高年男性がほとんどだが、「〇〇女子」なんて店名の店に、彼らはプライベートでわざわざ頻繁に入店しているのだろうか?自らの消費者としての行動を鑑みれば即座にわかりそうなものだが。「ガールズ〇〇」とかいう店名で男性客が多いのは「ガールズバー」くらいだろう。

 

このブログの数少ない読者の中には、当方が「男性客を増やしたいならワークマン女子の店名を変えろ」と以前から書いていたことを覚えておられる方もいるだろう。

 

「ワークマン女子」に男性客を増やしたいならまず店名を変更すべき | 南充浩 オフィシャルブログ

 

これは昨年9月13日にアップしたものである。

ワークマンの土屋哲雄専務はこのブログをお読みのようなので多少は参考にされたのかもしれないと想像している。しかし「極めて当たり前の理屈」でしかないので、こんなブログなど読まずともまともに思考すれば誰でも容易にたどり着く結論なのだが。

 

 

さて、当方が断続的に大阪都心の「ワークマン女子」を趣味の買い物を兼ねて見ていると、ワークマン女子は開店当初から男性向け商品が一定以上そろえられており、まったく「女子」ではなかった。天王寺MIO店となんばシティ店だけの定点観測になるが、毎シーズン、体感的には4割くらいは常に男性向け衣料品が揃っていた。さらに近年では子供向けもそろうようになり、売り場の実態はすでに「女子」ではなく「ファミリー」だった。

売場の実態に沿っていないなら「女子」の店名はいたずらに消費者を混乱させるばかりでなく、狙い通りの集客をも疎外するので、廃止するのは当たり前の結論である。

 

もう一つの理由としては「ワークマン女子」という店名の役割が終わったということもあるだろう。

記事にもあるようにワークマン女子は2020年に開店した。そこからすでに4年以上が経過している。この4年間、結構な頻度でワークマン女子の話題は報道され続けてきた。

ワークマンという店は元々は現場作業員向けの販売店だったので、当然、顧客のほとんどは男性である。それを一般向けにも販売し女性客を取り込もうとするためには「女性物がたくさん揃っている」ということを報道してもらうことが必要になる。

店名を「ワークマン女子」にして報道してもらえれば、必然的に「女性物がある」ということを認識してもらいやすくなる。そしてその目的はある程度は果たされたといえるだろう。

今、ワークマンに女性物があるということは、ほとんどの国民は知っているはずだ。

だから「ワークマン女子」という店名を廃止しても女性客は減らないだろうと考えられる。女性客が減るとするなら、店名ではなく、商品内容や価格など今度はそちらの問題ということになる。

 

 

これで店名は「ワークマンカラーズ」に統一されたわけで、多少は男性も入店しやすくなったが、リピーターになるかどうかは今後の商品内容や販売価格によって左右される。

いくら店名が変わって入りやすくなったとしても商品内容が悪かったり、販売価格が高すぎたりするとリピーターは獲得できない。これは男性客だけでなく女性客でも同様である。

むしろ、店名という「言い訳」が無くなったことによって、売れ行きの好不調はダイレクトに商品内容や販売価格設定によるものだということになるので、ワークマンという企業が厳しい評価をモロに受け止めざるを得ない状況も出てくることになりそうである。

今後のワークマンの推移を外野から淡々と眺めて観察したいと思う。

 

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 comment
  • 偽ずんだもん より: 2025/02/01(土) 12:17 AM

    ワークマン女子のまま、アパレル未経験の個人FCオーナーが運営しても最初は話題だけで売れていくでしょうが、長期視点だと無理ゲーでしょう

    カラーズでも個人FCオーナーには高難易度と思いますが・・・

    個人FCオーナー中心から、直営もしくは企業オーナーに切り替えて行った方がいいんじゃないですかね

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