
業界の基本的知識を知りたいという需要は意外と多いかも?と感じた話
2025年1月29日 メディア 1
繊維・衣料品業界は工程が多岐にわたっていて、それぞれ専門性が高い。
もちろん、他の業界も同様に各工程は専門性が高いのだが、毎日着用するほどに馴染みのある衣料品という商材からは想像しにくいほどに各工程は複雑で専門的である。
このため、繊維・衣料品業界においてそのすべての工程を網羅する知識を持っている人を見たことが無い。もちろん、当方とてそんな広大な知識なんて持ち合わせていない。
ちょうど、山本晴邦さんがブログをアップしていたので、興味のある人は一読いただきたい。
原料(ここではワタ等の資源を指す)に始まり、糸にしてくれる工場→糸を染める/糸を撚り合わせる/糸を編んだり織ったりする前に製布しやすくする前処理だけを請け負うなどの工場→織ったり編んだりして生地にする工場/生地を染めたり洗ったりする/仕上げだけ請け負おう/収縮安定させるなどの生地染色整理工場/二次加工(プリントなど)→ようやく生地として完成。
そこから、裁断だけする工場もあったりするが、一般認識では縫製工場に入り服に加工されていく。ニットの場合は上記生地製造段階が編み立て成形になり、リンキングや縫製、縮絨などを経て服になる。その間に副資材(ボタンやファスナー、ネームとか色々)業者が複数に枝分かれしており、それぞれの先々にもたくさんの供給連鎖がある。
ようやく服になって流通を経て店頭に並ぶわけだが
とある。自分で書くのはめんどくさかったのでコピペ引用させていただいた。
なので、各工程のことを知りたい、もしくは新たな試みをするので各工程の概要だけでも知りたい、という需要も結構ある。
そうでなければ、当方ごときに寄稿の依頼など来ない。
昨年の晩秋、ある人から「ネットを通じての相談窓口」みたいなアルバイトを紹介された。当方はほとんどの場合、来るものはだいたい拒まない(たまに拒む)ので登録したわけである。
某大手ウェブメディア兼プラットフォームみたいな企業が運営しているサービスだそうで、そこに登録している法人顧客が様々な質問をしてくるので、それに対してまずはメール文書で答え、さらに要望があればオンラインミーティング形式で答えるというやり方である。
最初はどれほど難解な質問が来るのかと不安に感じていたが、結構基本的な質問が多い。質問は大手ウェブ企業を通じてくるのだが、どういう業種の人からの質問なのかということは明記されている。(相手の社名は伏せられている)
基本的な質問が多い割に、質問者の業種を見ると「コンサルタント事務所」とか「繊維原料メーカー」とかそういういわば「専門職」がほとんどで驚かされた。要は「専門職なのにこんな基本的なことを外部に質問してくるの?」という疑問である。
具体的な内容をいくつか端的に書くと、繊維原料関係者という質問主から「帆布の用途や製造工場、市場規模を教えてもらいたい」というような内容の質問があった。
原料関係者なのにそんなことを外部の人間に質問してくるということが不思議で仕方が無かったが、とりあえずは当方の知っていることをまとめて返信した。
また、「ブライダルジュエリーの市場規模や主なブランドを知りたい」という質問もあった。質問主は「コンサルタント事務所」だったので驚いた。
コンサルタントならある程度自分で調べられるだろうと思うし、何よりも両者ともウェブ検索すれば、基本的な状況や市場規模くらいはいくらでも出てくる。それこそWikipediaを取っ掛かりにそこから掘り下げて調べてみてもそれなりの答えはウェブ空間内にいくつも転がっている。
逆に、ウェブ検索すらしていないとすると、そんな原始人のような人がいまだに現役で仕事をしているのかと危惧を感じた。
正直に言うと、質問主が「異業種だけど新規事業立ち上げのために調べています」とかなら理解もできるのだが、コンサルとか原料メーカーなのになぜそんな基本的なことさえ知らないのか疑問だし、自分で概要くらいは調べないのかと疑問でしかない。
ただ、こういうビジネス需要もあるということは勉強になった。
もしかしたら、こういう需要は当方が想像しているよりも多いのかもしれない。そして、こういうビジネスこそ、ポッと出のウェブメディアなどではなく、繊研新聞社や繊維ニュースあたりがやるべきではないのかと感じる。
ハッキリ言って業界メディアは繊研新聞社、繊維ニュースに限らず、どこも購読部数は減少して低調推移を続けている。それをイベント開催やらセミナー開催やらで補填しようとしているのだが、それとて社全体を潤すほどの収入ではないだろうと推測される。
それだったら、専門性とこれまでの蓄積を活かしてこのような質問相談窓口みたいなビジネスを拡大した方が良いのではないかと思えてならない。
当方もそんな相談窓口でも作ってみようかともチラっとだけだが思っている。
恐らく、当方や既存の業界メディアが想像しているよりも、ド素人インフルエンサーや一般消費者も含めると大きな需要があるのではないかと想像している次第である。
異業種にいますが、その業界をクライアントとする別業界の人達に業界の内的事情を説明する事があります。
恐らくは、人材を獲得したい企業や人材会社の人達も業界事情は知りたいと思います。そしてその業界を目指す就職希望者も。
個別にコンサルティングすることはビジネスになるんじゃないかと思います。専門学校でも業界概略図みたいなことは教えてくれると良いと思います。実際にはあるのかどうかわからないですけど。