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南充浩 オフィシャルブログ

「ワークマン女子」に男性客を増やしたいならまず店名を変更すべき

2024年9月13日 企業研究 3

ブランドでも店舗でも製品でもネーミングは重要である。

基本的には分かりやすく覚えやすい物が良いとされている。ただ、ファッションブランドに関しては多少なりともスカした感が求められるが、それでも凝り過ぎていると覚えにくく、読みにくくなってしまう。

よくあるのが、特殊なつづりで長めのアルファベット表記されているブランド名だが、熱心なファン以外には読めないし覚えられない。

さらにいうと、ネット通販の検索キーワードをその無駄に凝って長いアルファベット表記だけにしていると、読めなくて打ち込めなくて検索されにくくなるというおまけもついてくる。

売上高の拡大を目指すならスカすのもほどほどにしておかなければならないという話である。

 

 

まあ、ことほど左様にネーミングは大事になってくる。

ネーミングだけで売上高が変わったという製品も世の中にはある。

実態がスタート当初とは異なってしまったため、ネーミングを変更するブランドも業界的にはめずらしくない。

そんな中、個人的に最も意味のわからない取り組みがこのニュースである。1ヶ月ほど前から頻繁に報道されている。

 

めざすは女子店イメージの刷新、男性衣料の比率増や断熱実験体験などの「#ワークマン 女子女子」新型店舗とは | ネットショップ担当者フォーラム (impress.co.jp)

顧客の要望を踏まえ、従来の女子店のイメージを刷新するのが特徴だ。

こうした課題を踏まえ、「#ワークマン女子 エミテラス所沢店」では女性と男性の衣料品売場に統一感を出し、従来の女子店のイメージを刷新した。

とある。

1ヶ月ほど前から経済系・業界系メディアに頻繁に掲載されているが、要は「ワークマン女子」に男性客が少ないという課題を解決するためにの施策として男性服の強化が打ち出されたわけである。

 

当初から当方はこの主張に対して、全く意味がわからないと感じている。なぜなら男性客が少ないのはそういう店名にしているからであって、それこそ狙い通りなのに一体何を悩んでいるんだろうと不思議でならない。

そもそも店名に「女子」とついている時点で男性客はあまり入らない。ワークマンの場合、報道される回数が多いから、店内に男性服があることは比較的に知られているとは思うが、それでも通常のワークマンやワークマンプラスよりは「女子」とついているだけで敬遠する男性は少なくはないだろう。

例えば「レディースショップ〇〇」とか「ミセスショップ〇〇」みたいな店名の店に、普通の男性はわざわざ入ろうとは思わない。理由は店名が女性向けだと自らアピールしているからである。

ワークマン女子に男性客が少ないのは、むしろ店名からすれば狙い通りで何を悩んでいるのか不思議すぎて笑えてくる。

 

男性客を増やしたいなら、ワークマンがとる施策は男性服強化を喧伝することではなく、ワークマン女子という店名を変更することである。

そもそもなぜ「女子」という店名にしたのかもわからないし、その店名で男性客も狙おうとした意図もわからない。もしかしたら「店名に女子ってつけたら、釣られてオッサンも入ってくるかも」みたいな発想からなのだろうか。そんな、「女を売りにしている趣味系ユーチューバー(ガンプラとかバイクとか釣りとかキャンプとか)」みたいな発想なのだとしたら笑ってしまう。

 

記事には

「#ワークマン女子店」に対する改善点を顧客に聞いたところ、次の3点が主に寄せられた。

  • 女性と男性の主力衣料品のテイストが異なり店舗に統一感がない

  • 女性衣料に較べて男性用が少なすぎる(現状は2対1)

  • 使用頻度が少ない機能性衣料やアウトドアカジュアルが多く、次の来店動機が高まらない

とあるが、例えば男性用が少なすぎるという意見は店名が女子なのだから当たり前だろうとしか言いようがない。また1に関しては当方が店頭を見ている限りにおいて、そこまでテイストがバラバラとは思わない。ワークマンの女性服がそこまで高感度カジュアルを体現していないので、ハッキリいうとメンズとさほど変わらないと感じる。

また機能性衣料とアウトドアが多い点に関してはこれまた、ワークマンというブランドの基本コンセプトやこれまでの背景からすると極めて当然の結果であって、違う物が欲しければジーユーやしまむら、ハニーズに行けば良いのである。

 

 

これは極めて個人的かつ独断的意見だが、この3つの顧客意見というのは、取り入れる必要が無いのではないかと思う。

何の業務に関しても顧客からの意見というのは様々にある。しかし、取り入れる必要が無い顧客意見というのも決して珍しくない。逆に顧客からの意見を何でも取り入れてしまった結果、無茶苦茶になったブランドというのも掃いて捨てるほどある。

基本的に消費者というのは好き勝手な意見を言うのである。そして意見というのは十人十色だから、全部を反映させると意味の分からない店やブランド、商品ができあがることになる。

消費者というのは、例えば鳥貴族に対して「もっと高級感も欲しい」みたいな極めていい加減でテキトーな意見も普通に言ってしまう。なぜなら何の責任も負っていないから。

 

男性服を強化するのは構わないが、それなら店名からわけのわからない「女子」を外して店名を変更してはどうだろうか。

ワークマンがユニクロカジュアルを目指したところで所詮は二番煎じだし、それに類する低価格ブランドも多数ある。それよりは機能性こそがワークマンの根幹なのだから、機能性とファッション性を両立させたダイワピア39の廉価版を目指してみてはどうか。

ユニクロっぽいカジュアルなら消費者は別段、タカキューあたりで揃えたってかまわないし、青山商事やアオキだってそれっぽい服は売っている。

「ユニクロの半額」というだけの武器で乗り込むにはちょっとレッドオーシャン過ぎると思うが、外野から生暖かく推移を眺めようと思う。

 

 

 

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2024/09/13(金) 11:29 AM

    売れてないトコを強化するより売れてるトコを強化したほうが良いのに、世の経営者さんつーのは、たいてい全方向に売ろうとして失敗するんですよねぇ。

    うちのダメ金属加工工場の例を出すと、アホ二代目社長は「なんでも出来るようにする!」みたいな方針打ち出して自分の工場ではできない製品の依頼が来ると、出来る会社を探して丸投げで作ってもらってわずかばかりの手数料を稼ぐとかアホなことやって、当然ながら手間ばかり増えて利益は対して増えずに会社は傾きましたw

    「ワークマン女子」って名前にしたなら、男性用は一切置かないくらいのほうが差別化できるのに、女性用の品目は減らさずに男性用を増やして1:1にするとか、お店の負担が増えるだけで利益は増えない未来が来る予感しますね(・∀・)

  • キムゴンウ より: 2024/09/13(金) 11:43 AM

    まず商品を綺麗に管理しなくちゃいけません
    少なくとも 難波の店は酷い
    ワークマン女子 オム ってすればいいんじゃないですかね

  • ミナミミツヒロ的けち生活者 より: 2024/10/18(金) 8:56 AM

    キムさん>商品をきれいに管理・陳列しろよ

    つくづく思うのですが、消費が成熟すると
    小売にも高度な技術が必要ですなぁ・・・

    いまのワークマン@アパレルの店内は
    95年ごろのドンキ状態です

    90年代の郊外出店初期から
    ユニクロを見ていますが
    今の店内は30年の経験あってこそです

    という訳で、だめ管理でロスが出て
    最後はセールにかけるだろうから
    ミナミさんや私はホクホクなのでした(笑)

    並べときゃ売れる時代が懐かしいですね

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