夏服販売期間を延ばして防寒アウター類の数量を絞るのが業界標準となりそう
2024年5月7日 天候・気候 0
さて、5月のゴールデンウィークが終わったわけだが、今年のゴールデンウィークは暑かった。
大阪では最終日の5月6日は曇りで夕方から雨になったが、それ以外の日はずっと晴れていて夏日だった。湿度が低いので不快指数は高くなかったが、5月6日は曇っていて気温はそこまで高くないものの、湿度が高くて不快だった。
結論からいうと、もちろん半袖を着て過ごした。今年は5月頭から半袖着用をしたことになる。5月6日は気温が高くないので長袖シャツでも羽織ろうかと思ったが湿度の高さで諦めた。昨日は結局半袖で過ごしていても高湿度で汗をかいた。個人的な体質の問題でいうと、4月下旬以降に涼しい日があっても長袖を羽織ると汗だくになってしまう。3月までと一体何が違うのかわからないが、体が一気に夏仕様に変わるのだろうか。だから、9月末の比較的涼しい日でも当方は汗だくで街を歩いている。他人から見ればちょっと異様な光景だろう。比較的暖かい日でも汗ばむことが少なくなるのは毎年11月中旬以降になる。
今年の4月は史上最も高い平均気温だったと報道されている。
4月の日本の平均気温は過去最高を大きく上回る 各地で高温の記録更新 – ウェザーニュース (weathernews.jp)
4月の日本の平均気温は平年より2.67℃も高く、これまでの過去最高を大幅に上回りました。4月下旬には広い範囲で30℃以上の真夏日を観測するなど、各地で高温の記録を更新しています。
とある。
例年だと4月の頭はまだまだ肌寒い。朝晩はヒンヤリするし、入社式や入学式には冷たい雨、たまにみぞれや雪が降ることもある。
しかし、体感的にも今年の4月は肌寒い日がほとんど無かった。
この記事で興味深いのは、2023年の月別平均気温の折れ線グラフでの対比である。2024年は1月・2月は23年よりも高く、3月は低い。そして4月から急激に気温が上昇している。
逆に言えば、2023年は1月・2月の平均気温が比較的低く、3月は気温が急上昇したものの、4月は気温が低下したということになる。
昨年の気温変化を思い出してみよう。1月・2月の平均気温が24年よりも低かったのは、1月下旬に強い寒波が来て、それが2月10日ごろまで続いたからだろう。平均というのは突出した高い数値・低い数値があるとそちらに強く引っ張られてしまうものである。一方、今年1月・2月は昨年ほど強い寒波がなく、2月に入ると頭から暖かい日が続いて、2月11日の「建国記念の日」は春本番のような暖かさだった。
そして、昨年は2月10日ごろに寒波が過ぎると、気温が急上昇しそのまま3月に突入して終わった。昨年の3月末ごろに当方は「このまま、桜が3月末に満開になって散ってしまうのではないか?」と心配していたが、4月に入ると気温が下がったため桜の開花は例年に近くなったことを記憶している。そして昨年の4月末のゴールデンウィークは今年ほど暑くなく、長袖シャツくらいは羽織っていた。
たしか、5月のゴールデンウィークも今年ほど暑くなく、少し歩いて汗ばむということもなかった。折れ線グラフでも4月・5月は気温が低めになっている。
今年は5月以降7月までの予報でも「高温予報」が出ているので、5月のゴールデンウィーク以降そのまま7月に向けて夏の気温に突入すると考えられる。
さて、早ければ4月下旬から、遅くともゴールデンウィーク明けから半袖を着用して生活する(当方基準)のだが、業界全体でも「年間の半分は夏服」という事実を肯定する動きが出てきた。
その一つは以前にもご紹介したこれである。
ジャヴァコーポレーションの現社長が公式に提言を始められた。
しかし、公式に明言されずとも、他社もずいぶんと商品計画を夏寄りにしておられると展示会などではお聞きしている。実際、昨年秋冬物で防寒アウター類の仕入れ・生産数量は各社ともに随分と絞り気味だった。防寒アウターはアパレルでは花形商材だが、暑くて着る機会がなければ、買ってもただのオブジェにしかならない。洋服なんて着てナンボの商材なので暑くて着られない服なんていくらデザインがカッコよかろうが、高級素材が使われていようが、買う価値はゼロである。置き物と変わらない。
この動きは今秋冬も続きそうで、コラムではこうまとめられている。
《めてみみ》静かに進む大きな変化 | 繊研新聞 (senken.co.jp)
仕入れの見直しは、価格以外の要因もある。温暖化が進む昨今の日本の気候を配慮して、品揃えを変える傾向も見られる。秋冬商品の発注状況を百貨店や専門店に聞くと、アウターよりもトップとボトムを優先しているという。昨年の暖冬が響き、アウターを消化しきれなかったことが尾を引いているようだ。
とのことで、1月・2月に寒波が来なかったので、絞ったと言われた防寒アウターですら値下げしても捌ききれなかったブランドやショップが少なからずあったようだ。
ちなみに、5月7日時点でも裏ボアフリースブルゾンや中綿ブルゾンなどの防寒アウター類を大幅値下げして投げ売り処分をしている公式ネット通販サイトは数多くある。やはり2月末までにさばききれなかったのだろう。
このような動きを見ていると、ジャヴァコーポレーションのように明言はせずとも、夏服販売期間を長く取り、防寒アウター類の仕入れ量・生産量を絞るという動きは、業界全体を通じて行われそうで、今後の季節MDのスタンダードとなる確率は極めて高いのではないだろうか。