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南充浩 オフィシャルブログ

コンビニ服が堅調な理由は「接客」を苦手と感じる人が多いからではないか?

2024年5月8日 トレンド 0

自分はわざわざ買う気にはならない(仕事としての依頼があれば調べるためには買うが)が、コンビニでそこそこカジュアル衣料品が売れるというのも時代の流れだと感じる。

もともとは、急に必要になったときのために、靴下やストッキング、肌着類、一部ワイシャツなどはコンビニで売られていたが、いわゆるカジュアルファッション衣料が販売されるようになり、それがそこそこの数量売れるようになるとは、10年前までは考えられなかった。

ファミマが先行しているが、ローソンも追随を始め、セブンイレブンも動きそうな気配がある。

コンビニがファッション関連商品に続々参入 ファミマは新商品、ローソンは無印良品の限定品を発売 (fashionsnap.com)

 

コンビニエンスストアでファッション関連商品の扱いが広がっている。ファミリーマートが「コンビニエンスウェア」で先行するが、ローソンは取り扱っている「無印良品」で初の限定商品を発売した。

ファミリーマートはコンビニエンスウェアでトータルコーディネート化を進めており、4月には人気のショートパンツに新色・新素材(税込み1998円)を投入、キャップ(同)など新商品も発売した。コクヨと開発し文具にもラインロビングした。全国の1万6300店で扱っている。

(中略)

セブン-イレブン・ジャパンとイトーヨーカ堂のパートナーシップ店「SIPストア」に改装したセブン-イレブン松戸常盤平駅前店が、ヨーカ堂がアダストリアと協業する「ファウンドグッド」の生活雑貨を扱う動きなどもある。

 

とある。

コンビニというと「新しい流通」と分類されていることが多いが、実際は40年以上前から存在している。当方は田舎で育っているが、それでも小学校高学年の時には町内にコンビニが何店舗かできていたから、45年前くらいにはもう身近に存在していた。今年54歳になる当方のごときジジイですら、少なくとも40年くらい前から日常的にコンビニを利用してきたというわけである。

当方よりも若い世代からするとそれこそ「生まれたときから利用している慣れ親しんだ店」ということになる。10代・20代の若い人なら、その親ですら「生まれたときから利用している」という状況だろう。

そんな歴史あるコンビニでもカジュアル衣料を大々的に扱い始めたのは2020年代に入ってからになる。

ということはこれだけ長い歴史のあるコンビニでも、2020年頃から消費者の購買購買が変わったということだろう。もしくは、もう少し以前から購買行動は変わっていたがコンビニ側が2020年ごろにそれに気づいたということだろう。

 

 

少し以前に、コンビニでカジュアル衣料品が売れやすくなった理由について、「ネット通販の普及によって、試着できない状態で服を買うことに慣れた人が増えたから」ではないかと書いた。

 

物が良くてもタイミングが悪ければ売れにくいという話

当方も毎月、修業のつもりでネット通販で洋服を買うようにしているが、サイズスペックの表記を見ただけで買うということに慣れてきている。

ただ、当方は「ネット通販で買うことがカッコイイ」とは微塵も思っていないので、買える物はなるべく店頭で試着したり、広げて見たりして買うようにしている。なぜならそちらの方が失敗が少ないからだ。

とはいえ、だいたいこのサイズなら着用できるという勘所はだいぶと養われてきている。

 

 

 

この「ネット通販の普及」以外にも要因はあると考えていて、それは「接客を敬遠する人が多い」ということではないだろうか。

衣料品売り場の販売員の重要性は重々承知しているが、店内に入りにくいと思われているのも事実だろう。特に小型店で少々イキった格調高い店は特段に入りづらい。

昔でいうところの個人経営の小型ブティックなんて入りづらい店の典型である。格調高い店でも50坪以上ある広い店ならまだ入りやすい。

それよりももっと入りやすいのが、現在大きなシェアを占めている大手低価格チェーンブランド各社である。ユニクロにしろ無印良品にしろジーユーにしろ、販売員は「いらっしゃいませ」とは言ってくれるがわざわざ向こうから寄ってきてあれやこれやと話すことがない。ハニーズですらほとんど声はかけられない。

だから時間つぶしの冷やかしで覗くことに何ら抵抗を感じない。

冷やかしで入店されても販売員側からすると困るが、何度も入店して親しみを持たれるようになると、商品を買ってもらいやすくなることも事実である。

大手低価格チェーン各社が比較的に好調・堅調なのはそういう理由も一つにはあるのかもしれないと思っている。

 

 

それを踏まえて考えると、コンビニの方がユニクロよりもはるかに入りやすいし、入る回数も日常生活においては圧倒的に多い。となると、コンビニこそは「最も慣れ親しんだ店」ということができる。

コンビニに入店することをためらう人は皆無に等しいだろう。それほどに慣れ親しんだ店があって、なおかつ試着無しで服を買うことに慣れた人が増えれば、洋服がそれなりに売れるということは当たり前といえる。

コンビニ服がそこそこ売れ始めているという事態は、衣料品業界や小売業界が打開策として挙げている「接客の強化」が実はマス層に支持されやすいものではなく、愛好家層に支持されやすいということを示しているのかもしれない。接客の重要性を否定するわけではないが、接客を苦手(食わず嫌いも含めて)だと感じている消費者は業界側が想像するよりもはるかに多いのではないかと思う。

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