月別: 5月 2016 (1ページ / 2ページ)

画像に関することを言葉だけで伝える愚

 先日、東京テキスタイル・マルシェの会場で、たまたま、出展者とカタログとかポスターの撮影について話した。

ちなみに今回の東京テキスタイル・マルシェは2・5日間で650人強の来場者があった。
すごく良いとは言わないが、まずまずの来場者数だったといえるのではないか。

ついでにいうと、よく「南さんは出展者なんですか?」と尋ねられることがあるが、主催事務局の一員である。

それはさておき。

筆者は業界紙記者のほか、雑誌編集者、業界雑誌広告製作の仕事もしたことがある。
その経験からいうと、グラフィックやデザインの類をいくら言葉だけで説明しても、製作実務者やクライアントには1ミリも伝わらない。

雑誌編集の仕事の進め方でいうと、カメラマンに指示を出さねばならない。
そしてライターにも指示を出さねばならない。
文章と写真が出来上がったら、それをもって誌面デザイナーに指示を出さねばならない。
どの写真をどんな風に配置して、文章を流すかという指示である。

例えば「真ん中に女性が立っていて、その背景は紺色で、右肩に見出しが来るようなデザインにしてください」と言葉だけで伝えても誌面デザイナーは困惑するだけである。

女性はどんなふうに立っているのか?
その大きさは誌面上ではどれくらいなのか?15センチなのか?25センチなのか?10センチなのか?
背景の紺色の彩度は?明度は?
紺色と言っても、ブルーに近い紺から黒に近い紺まである
右肩の見出しは縦なのか、横なのか?

ざっと思いつくまま挙げただけでこれだけの疑問点が出てくる。

カメラマンに対する指示だって同じだ。
「いい感じで撮ってください」なんて指示はまったく何の役にも立たない。
それよりも「色を明るめに撮ってください」とか「陰影のコントラストをはっきりさせて撮ってください」とか具体的にいうべきだし、それも言葉だけでは伝えきれない。

じゃあ、どうすれば良いのか?

自分が描いているイメージに近い写真、誌面、ポスターを見せることである。
それを見せながら言葉で補足する。
誌面を見せながら「背景はこれよりももう少し彩度と明度を上げたいんです」というように。

業界雑誌で広告を製作する業務を3年間こなしたことがある。
雑誌の場合は社内に誌面デザイナーがいたのでやりやすかったが、業界雑誌は広告デザインを外注していた。
外注先なので余計にこちらの狙いを具体的に明確に伝える必要がある。

筆者が画像ソフトを使えれば、それでデモ版を作って外注先に渡すのだが、あいにくと画像ソフトは使えないし、しみったれた会社にはそんなものは備え付けられていなかった。
そこで、筆者は昔の脅迫状よろしく、いろいろな誌面や紙面から文字や画像を切り出して、それを紙に貼り付けてデモ版を手作りした。

これでほぼ一発で外注先に意図が伝わるようになって業務がはかどった。

最悪は手描きのラフスケッチでもないよりはあったほうが何倍もマシだ。

画像や視覚に関する案件では、言葉だけでは伝わりにくい。
「赤」といったって、さまざまな赤がある。
ある人は朱色に近い赤を思い出すかもしれないし、別の人は深紅を思い浮かべるかもしれない。
「赤いジャケットを企画しましょう」と言葉だけで言った場合、朱赤のジャケットを思い浮かべる人もいれば、深紅のジャケットを思い浮かべる人もいる。

それよりは「この色にしましょう」とイメージしている商品そのものを見せたほうが早いし、確実である。

今では産地の織布工場や染色加工場も自社のカタログやパンフレットを用意することが増えた。
当然、多くの場合は専門業者に頼んで製作してもらっていることは言うまでもない。

その一方で、これからカタログやパンフレットを用意しようという産地企業も少なからずある。
その場合は、上で書いてきたようなことを念頭に置いて発注、指示すると、早いし確実に伝わる。

発注主は画像のイメージを頭の中に描いていることが多いが(稀にノーアイディアの呆れた発注主もいる)、頭の中にある画像は他人には見えない。
製作業者はテレパシストではないから、発注主の頭の中にしかない画像やら思惑やらイメージなんてものはまったく受け取ることはできない。
それを素早く、間違いなく伝えようと思うのなら、具体的なモノを見せながら指示を出すのがもっとも賢明な方策である。

言葉だけで画像のイメージを伝えようとするのは、あまりにも非効率的なやり方だし、間違いも起こりやすい。

それほどに人間同士は分かり合えないということでもある。


情報デザインの想像力―イメージの史学
藤本 貴之
プレアデス出版
2005-02


コスト削減だけでは縮小し続けることになる

 経営が悪化した企業はコスト削減を行う。
これは定石だが、削減した後に新たな方策を打ち出さないと、そのまま業績は縮小し続けることになる。

先日、ワールドの2016年3月期の決算が発表された。
利益は大幅に改善されたが、これはブランド閉鎖、店舗閉鎖、首切りを含めたリストラによって生じた利益で、
本体事業が好転したわけではない。
要するに服が売れて業績が回復したのではないということである。

ワールド、営業利益2.2倍  13ブランド・479店舗閉鎖で販管費圧縮
https://www.wwdjapan.com/business/2016/05/17/00020547.html

ワールドの2016年3月期決算(国際会計基準)は、売上高に相当する売上収益が前期比93.2%の2782億円、営業利益が同221.7%の116億円、純利益が16.5%の7億4300万円だった。抜本的構造改革で推進したブランド閉鎖と不採算店舗退店によって減収したものの、販管費を約180億円圧縮したことで営業利益は倍増した。上山健二・社長が昨年の就任時に宣言した「17年3月期に営業利益100億円突破」の目標を1年前倒しで達成した。

不採算事業の整理では、上期の「アニマ」「ジンジャーエール」に続き、下期に「コキュ」「ミニマム」「フリーピープル」「ボイコット」「ラギッドファクトリー」「ブラウンバニー」「アナザーサイドスクエア」「メディテラス」「フォブコープエンテーゼ」「ラフマ」「ブールアネージュ」の13事業を閉鎖した。国内連結退店数は479店舗。終了事業の赤字総額は10億円だった。

とのことである。

ワールドが今期何か効果的な新しい取り組みがあるかというと筆者の目には皆無に見える。
ネット通販の強化を昨年に発表したが、正直なところ今のワールドのやり方でネット通販が大幅に伸びるとは思えない。
ワールドだけではない。オンワード樫山もファイブフォックスもTSIもイトキンも今のやり方ではネット通販が大きく伸びる可能性は限りなくゼロに近い。

そもそもこれらの旧大手各社はウェブ上での露出があまりにも少ない。
投稿があったとしても職務を遂行したレベルの面白みのない投稿しかない。
これではウェブでのファンは増えない。

インスタグラマーを積極的に使っている(もちろん有料で)ユニクロやジーユーの後塵をここでも拝しているわけである。

上にワールドの廃止ブランドが列挙されているが、例えばアニマとかジンジャーエールみたいな泡沫ブランドはともかくとして、ボイコットなんていうかつての著名ブランドが廃止になっているが、ウェブ上ではほとんど話題にはならなかった。
それほどまでに旧大手の各ブランドの注目度は低下しているといえる。

コスト削減だけを続けているなら、このまま縮小し続けていくことになるだろう。

大手ばかりではなく、中小零細企業でもそういう企業がアパレル業界には多い。

先日、某カジュアルアパレルに勤務する知人から連絡があった。
コンサルタントの進言を入れて、コスト削減に取り組むそうである。
まあ、他人の会社なのでどうなろうとまったく構わないのだが、聞いていると基幹ブランドだけ残して、新規ブランドはすべて廃止するそうである。

こういう企業は身の回りでけっこうある。

コスト削減に取り組むことは当然として、そもそもその基幹ブランドが凋落してきたから新規ブランドを開始したという経緯がある。
ブランドというものはいずれ勢いがなくなるので、その時に備えて複数のブランドを展開しておくほうがリスクが少ない。
新規ブランドを廃止して、凋落した基幹ブランドに特化したところでこれまでのやり方を改めることができなければこのまま縮小し続けることになる。

おそらくこのまま基幹ブランドにしがみついて縮小スパイラルに陥っていくと見ている。

基幹ブランドを大胆にリニューアルすることもできなければ、これまでのやり方を墨守して、あと10年持つかどうかではないかと思う。

コスト削減、不採算ブランドの廃止は経営回復には必要不可欠だが、次の成長戦略も同時に必要とされる。
アパレル業界は閉塞感が長らく漂っているがゆえに、新たなことに積極的に取り組める体質ではなくなりつつある。
失敗ができるほど余裕がない。もっと正確にいうと経営者に余裕がない。

今回挙げた旧大手や某カジュアルアパレルのように縮小スパイラルに突入して、遠からずなくなる企業、ブランドがまだまだ現れることだけは間違いないだろう。




縮小するGMS各社

 GMS(大型スーパー)が本格的に縮小の時代に突入した。

ユニー傘下の「アピタ」「ピアゴ」、閉鎖は東海以外の店舗
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160524-00000080-san-bus_all

コンビニエンスストア大手のファミリーマートと流通大手ユニーグループ・ホールディングスが9月に経営統合して発足する「ユニー・ファミリーマートホールディングス」がユニー傘下の総合スーパー(GMS)のうち、東海地区以外の店舗を閉鎖対象として検討していることが23日、分かった。同社は今後5年程度でGMSの2割強にあたる約50店の閉鎖を決めているが、具体的な地域について明らかになったのは初めて。強みがある東海地区を中心に地域密着の店作りで再建を目指す。

ユニーは、アピタやピアゴのブランドで5月16日現在で20府県に201店を展開しているが、約4割の84店が本社がある愛知県に集中している。

不採算店の閉鎖と並行して、平成31年春までの3年間で総額150億円かけて、東海地区を中心に売り上げ増や収益改善が見込める約60店の改装も進める。

とある。

ユニーは東海地方を拠点としており関西や関東での知名度は高くないが、イオン、イトーヨーカドーに次いで業界3位の規模を誇っている。
そのユニーが東海地区以外の50店舗をすべて閉鎖するというからかなりの大事件である。
例えば近年、関西にもアピタが何軒かオープンしたがあれもすべて閉鎖になるということである。

イトーヨーカドーは今年3月に20店舗の閉鎖をすでに打ち出している。
先ごろ発売された日経ビジネスでも触れられているようにイトーヨーカドー単体では売上高は減少の一途をたどっているし、営業損益は赤字に転落している。

イオンだって大減益が続いているが、なぜか閉鎖は打ち出さず逆に出店を増やしている。
あまり報じられないがこの3年位で出店したイオンモールはあまり芳しいうわさを聞かない。
鳴り物入りでオープンした岡山駅前店もかなり苦戦傾向にあると業界内では言われている。また先ごろオープンした大阪・堺の鉄砲町のイオンモールは、北花田のイオンモールと5キロほどしか離れていない上に背後が海なので商圏人口が著しく少ない。だから業界内ではあの立地で成功するとは思えないという人が多い。

GMSの苦戦の要因はさまざまあるが、一つには衣料品の苦戦が挙げられる。
食料品にはコンビニや百貨店と比べると価格メリットがあって利用者はそれほど減っていない。
それに人間は毎日食べなくては死んでしまうので、食料品に関していえば毎日必ず売れる。
ただし、単価は安いし、利益率も低い。

だからバブル崩壊直後くらいまでは、GMS各社は衣料品で利益を稼いでいた。

友人のOEM業者の言葉を借りれば「衣料品はGMSのドル箱」だったといえる。

しかし、今となっては、イオンモールやアリオ、アピタにテナント入店している衣料品店で買うことはあっても、わざわざイオンやイトーヨーカドー、ユニーの平場で衣料品を買う人はそれほど多くない。
せいぜい下着や靴下、寝間着類くらいではないか。
少しでもファッション要素のある商品は低価格品といえどもユニクロやしまむらで買う人がほとんどではないか。

だから今の若い人たちは信じられないかもしれないが、GMS各社の幹部は衣料品にそれなりのプライドを持っている。たとえば日経ビジネスの5月9日号の12ページにも

衣料品店からスタートしたヨーカ堂は、衣料品が圧倒的に強くかつては「衣料のヨーカ堂」と呼ばれた。

と書かれてあり、これは事実なのである。
今の40代前半より下の世代には信じられないことだろう。

ここまでのプライドではないにせよ他のGMSも実は似たり寄ったりである。

彼らの自己像と一般消費者が描くGMS像がまったく乖離してしまっているのが現状なのだが、それを各社の幹部は受け入れていない。だからイトーヨーカドーは起死回生を狙ってゴルチエや高田賢三とコラボをするのである。ゴルチエや高田賢三からすれば在庫リスクを抱えないで済むばかりか、多額の契約金がもらえるからビジネスとしては美味しい。

だが、このコラボは失敗に終わるだろう。
ゴルチエに関してはヨーカドー側は「大成功だった」という大本営発表を行っているが、実際の売り場ではやはり期末には投げ売られている。
投げ売られたことでブランドイメージの低下を招いたとみるべきだろう。

おそらく高田賢三コラボも期末には投げ売られることになるだろう。

ユニクロのルメールも同じだ。
すでにイージーパンツは1290円にまで値下がりしている。

期末に投げ売られることがわかっていれば期初にだれも定価では買わない。

GMSは本来は実用衣料を販売しているのだが、下着や靴下などの消耗品を除いて、消費者が求めている衣料品は価格の高低は関係なく、ファッション用品の要素が強まっている。
例えば白い無地Tシャツのような定番品はファッション用品でもある程度の積み上げが必要だ。

それこそ彼らの言う「品切れは機会ロス」を起こすからだ。

しかし、ゴルチエとのコラボ商品を積み上げる必要があったのだろうか。
デザインの好き嫌いはともかくとして、到底定番とは言えないデザイン性があった。
あんな商品を機会ロスを恐れるがあまり、大量の数量を生産する必要があったのだろうか。筆者はなかったと考える。

これはユニクロにも共通する病根である。

定番の無地Tシャツやら無地セーターはさておき、ルメールや+Jを積み上げる必要はまるでない。
少量生産(とは言ってもユニクロなので最低でも10万枚くらいは必要なのだが)でして定価で売り切れ御免にすべきなのである。
ヨーカドーのゴルチエも同じだ。

おそらくヨーカドーは高田賢三とのコラボでも同じ失敗を繰り返すだろう。

定番品と嗜好品で生産数量にメリハリをつけずに「機会ロスをなくすこと」を第一義にすべての商品を大量に生産するというやり方はもう通用しない。
これはユニクロにだって言えることである。

この考え方を墨守している限り、GMS各社の衣料品が復活することはありえない。
凋落は止まらないだろうし、今後も撤退と閉鎖が相次ぐだろう。

GMSの大型店が撤退した後は広大な廃墟があちこちに誕生することになる。

その再利用法を考えないと地域の治安が悪化することにもなりかねない。



アウトドアっぽくない撥水ジャケットに注目

 さまざまな評価はあるだろうが、個人的には素材の上質感を謳うよりは機能性を謳ったほうが需要が多いのではないかと思う。

今春夏で注目が多いと感じるのは、撥水・防水機能である。
今まで撥水・防水機能というと、ゴアテックスという素材ブランドに代表されるように本格的なアウトドアブランドが多かった。
山などで急な雨に降られたケースを想定して、それをブルゾンなどに使用するブランドが多く、日常着ではあまり取り入れられてこなかった。

しかし、よく考えてみれば日常着でもそういう機能がついていれば便利だ。

とくにバッグや靴は便利である。
ほんの15年前くらいまでは、雨用の靴というとゴムの長靴ぐらいしか存在しなかった。
そういえば、筆者の祖父はまだ現役当時、雨の日は背広に長靴を履いて出社していたが、最近そういう姿のサラリーマンは見かけない。
スーツとゴム長靴というコーディネイトはいつごろから消えてしまったのだろうか。

筆者の父もそういう服装で通勤していた時期があったと記憶している。

ご存知の方がおられたらお知らせいただきたい。

それはさておき。

10年位前からレディースではおしゃれな長靴が増えた。
それによってレディースではさまざまなデザインのレインシューズがリーズナブルな価格で登場している。

メンズのビジネスシューズだと2万円超の防水シューズは少数のブランドから発売されていたが、リーズナブルな価格の商品はいまだに安っぽい表情をしている。
あとはアウトドアブランドの防水ブーツくらいしかなく、リーズナブルな価格でスニーカーとかカジュアルシューズでの防水機能付きというのはなかなかなかった。
それがようやく5年ほど前からちらほらと表れてきた。

今度、スペルガが防水機能スニーカーを発売する。
これを買ってみたいと思う。

バッグだが、自転車で最寄り駅まで通う人間にとっては防水機能は必須である。
傘をさしていてもバッグはずぶ濡れになる。
中の本や書類が濡れるのはちょっとつらい。

そんなわけで4月と5月で防水リュックを1つずつ買った。
出張用に45リットルのナイキを、日常使いとして24リットルのホットスタイルを。

次にほしいのが撥水・防水ジャケットである。
これまではアウトドアブランドの商品しかなく、アウトドアブランドはともすると街中では着辛いデザインが多かった。
それと防水ジャケットというといわゆるレインコートだが、筆者は中学生時代にレインコートを着用したことがあるが、通気性が悪く秋冬は良いが、夏場はサウナみたいになってしまった。
これがあるので今まで防水ジャケットは着用したくなかった。

防水しながら湿度を逃がすゴアテックス素材ならそういう悩みを解決してくれることはわかっていたが、これを使った製品はかなり価格が高い。
5万円を超えるような商品も珍しくないし、低価格品には使われていない。

防水または撥水機能があって透湿機能があって値段が安くて街中でも着やすいデザインの商品があればよかったのだが、これまではそういう商品をあまり見かけなかった。

が、今春夏はそういう商品がいろんなブランドから発売されており、撥水・防水ジャケットの需要が高まっていると感じる。逆にそれくらいしか消費者が注目するような機能を見つけられなかったということだろうか。

ビューティ&ユースでは18000円くらいで防水ジャケットが売っている。
しかもテイラードタイプだから街中でも着やすいし、ビジネスでも着用できる。
ほかに3万円台のもあるし、もっと高いのもある。

18000円のがほしいとも思うが買えないので、さらに低価格代替品を探してみた。

あった。
ライトオンに6900円でテイラードタイプのがある。
帝人フロンティアの機能素材だそうだ。そうタグに書いてある。

0000162001469_0019_L

(ライトオンの通販ページの画像1)

同じ素材でデザイン違いでコートタイプとM65タイプの2型がある。
こちらは両方とも7900円である。

0000162001470_0019_L

(ライトオンの通販ページの画像2)

0000162001468_0019_L

(ライトオンの通販ページの画像3)

透湿機能もついている。
しかし、筆者は極力低価格で買うことを目指しているから、これが値下がりするまで待つつもりでいる。
3割引きくらいになったら買おうとテイラードタイプのを買おうかと思う。
半額に下がるまでには売り切れるというのが個人的な予想だ。

かわりに同じライトオンで1900円の撥水パーカを買った。
黒と紺の2種類があるが、黒はオンラインショップではすでに売り切れである。

securedownload

なんだか知らないブランド名を書いたタグがつけられているが、製造元は岐阜のメンズカジュアルメーカー水甚である。
だいたい量販店系のところに卸売りをしている老舗である。
同業他社には岐阜武というメーカーもある。
量販店やメンズカジュアルチェーン店を両社とも得意先としている。

昔はもっと野暮ったいいかにも量販店系のデザインの商品が多かったが最近では随分と見た目はマシな商品が増えている。
そういう意味では進歩しているといえる。

ポリエステル100%で、撥水、透湿機能がある。
防水ではないので大量の雨だと濡れる。

ユニクロのポケッタブルパーカと同じような素材感だが、こちらは新価格で3990円である。
旧価格なら4990円だ。撥水機能があるとはいえ、ちょっと高額すぎる。
これなら水甚のこれを買ったほうがずっとお得感がある。

素材名はダルシャインとタグに書いてあるが、素材メーカーの名前はない。
決して「だる社員」ではない。筆者もサラリーマン時代は相当に「だる社員」だったが、そういう社員は世の中掃いて捨てるほど存在する。

で、気になってちょっと尋ねてみた。

関係者から寄せられた答えは、水甚が決めた名称で、基布自体は中国製だそうだ。
中国で作られた機能素材に日本のメーカーが自社用の名称を与えたということだろう。

国内の素材メーカーが開発した機能素材が全般的に優秀だと考えているが、簡単な機能素材であればもはや中国でも開発できるようになっている。圧倒的な機能差があれば別だが、ほとんど差がないような場合は価格が安い中国製が選ばれるということである。
単なるスペックだけでの打ち出しならいつかは負ける可能性もある。
国内素材メーカーはその部分に注意が必要だろう。

まあ、そんなわけで「だる社員」ならぬダルシャインのパーカを購入して着用してみたのだが、なるほど35年ほど前に着用したレインコートよりは蒸れが少ない。たしかに透湿機能はある。
お買い得商品の一つと言って差し支えないと思う。

それにしても便利な時代になったものである。低価格で機能商品が手に入り、しかもデザインも悪くはない。

衣料品ブランドに限らず各分野の商品はこういう競争を強いられており、それが嫌だというなら違う売り方を模索するほかない。



高いモチベーションだけでは繊維関連の工場は維持できない

 繊維関係では、撚糸・染色・整理加工・織布・編立・縫製などの各工程の工場が存在する。
これらの工場なくしては服は生産できない。

メイドインジャパンだ、日本製だ、クールジャパンだといわれながらも実際のところ国内の各工程の工場は年々減り続けている。
原因は後継者不足、資金難、モチベーションの低下である。
この3つが混然一体となって工場の廃業、倒産を引き起こしている。

工賃が上がらない、注文が増えないから資金難に陥る。
資金難に陥っているからモチベーションが上がらない。
後継者もいないし、余力のあるうちに工場を閉鎖しよう。

これが廃業である。

赤字に陥って余力がなくなっての閉鎖なら倒産である。

なぜ後継者がいないかというと儲からないからだ。
儲かって笑いが止まらない産業なら息子や娘、親類がどんどん跡継ぎになってくれるだろう。
儲からない産業をわざわざ継承したいという人はゼロではないがかなりの少数派である。

モチベーションの低下で廃業したのは八王子のみやしんだろう。
その後、文化・ファッションテキスタイル研究所として生まれ変わっており、このニュースに安堵の声を挙げた業界人は多いが、こういう幸運な結末は稀有な例である。
宝くじで1等が当たるくらいの幸運ではないか。ちなみに年末ジャンボで1等が当たる確率は180万分の1だと言われている。
大概の工場は廃業・倒産してそのままになる。

紡げ発想力、生まれ変わった織元 みやしん元代表・宮本英治さん
http://www.sankeibiz.jp/business/news/130719/bsc1307190500002-n1.htm

この記事中に興味深い一節がある。

90年には衣類の輸入品比率は48・5%だったとある。
国産が51・5%を占めていた。
それが現在では97%が輸入品比率である。ほとんどが中国製だが、中国製は減少しつつあり、ベトナムやミャンマー、タイ、カンボジア、バングラディシュなどのアジア諸国からの輸入が3年位前から急増している。

2011年当時で輸入品比率は96・4%、そこから微増ではあるがまだ上昇しているのが現状である。

こういう状況を鑑みて、国内工場を残そうという気運が一部では高まっている。
40代以下の若い世代にもそういう人が多い。
そういう彼らは「モチベーションを高めることで工場が残る」という趣旨のことを主張するのだが、個人的にはその主張は疑問だ。
なるほど、高いモチベーションを維持した工場が少数は残るだろう。
少数残すことが目的ならモチベーション向上というのは有効な手段の一つである。

しかし、モチベーションだけでは多くの工場が廃業・倒産することは避けられない。
筆者のようなライターとか、業界を徘徊する怪しげなコンサルタントとか、そういう人らなら収入があまりなくても仕事を続けることができる。なぜなら出費もほとんどないからだ。
あとは自分の生活水準を切り下げていけばいくらでも続けることができる。

一方、工場はそんなわけにはいかない。
工場を稼働させるには電気料金、水道料金から始まって莫大な金が要る。
工員を雇用していたなら人件費も発生する。
経営者が収入がないのは勝手だが、被雇用者には最低限の賃金は支払わなくてはならない。
もしくは最低限の時給の支払いは必要だ。
法律的にも人道的にも。

となると、モチベーションだけでは工場は稼働し続けられない。
カネは必要だ。
カネとモチベーションの両輪が備わっていないと工場を続けることができない。

カネがなくてもモチベーションでなんとかなる
カネなんてもらわなくても高いモチベーションで働くべき
カネなんて度外視してモノづくりという尊い仕事を残すべき

こういう主張は一歩間違うとワタミと同じである。
ワタミの創業者が言ってることもそういうことである。

新たな収益構造、新たな収益事業、新たな収益スタイル、これを確立しないことには各工場の廃業・倒産は止まらない。

こういう現実に対して「今の日本人は~」という論調もあるが、繊維関連の工場はすでに中国でも工員が集まりにくくなっている。経済成長した中国では繊維関連の工場よりも華やかで、金回りの良い働き口が増えた。
そちらに行く人が多いのは当然だろう。
わざわざ、キツくて金回りの悪い職場で働きたいなんていうマゾヒストのほうが異常だ。

いずれ、ベトナムやミャンマー、バングラディシュなどのアジア諸国も経済成長すれば繊維関連の工場での働き手が不足するだろう。

ときどき、ブログ内で筆者を紹介してくれる縫製工場のファッションいずみは、個人からの洋服のお直しも受注するようになった。
おそらく、今の売上高は知れているだろうが、注文数が増えれば一つの収益源になるだろう。
こういう新しい事業を手掛けることは工場の自助努力の一つだと思う。

そういう新規事業の立案なくして「モチベーションを高めろ」というイシキタカイ系の提案だけでは工場の廃業・倒産は絶対に止まらない。


バナリパの縮小とオールドネイビーの撤退は何の不思議もない

 先日、オールドネイビーの日本撤退とバナナリパブリックの不採算店閉鎖が発表された。
この2ブランドはGAP傘下のブランドである。

米ギャップが「オールドネイビー」日本の全店閉鎖、「バナナ・リパブリック」も縮小へ
http://www.fashionsnap.com/news/2016-05-20/oldnavy-gap-close/

米ギャップは5月19日、「オールドネイビー」の成長を見通して最も有利な市場にフォーカスし、北米と中国に資源をシフトさせる戦略を発表。2012年に初上陸してから日本国内で展開している全53店舗を、2017年1月の会計年度末までに閉店する。

更に「バナナ・リパブリック」は全世界で不採算店舗の閉鎖を進め、今年度中に両ブランド計75店舗を閉める。
【追加情報】米ギャップは、今後の日本市場について「Gap」と「Banana Republic」の投資に焦点を絞ると発表。

とのことだ。

これについては専門家諸氏がそれぞれ指摘されている通りである。

身の回りの人から聞いていると、オールドネイビーは子供服の評価が高いようだ。
本体のGAPとは異なるテイストでしかも低価格なので愛用してた若い夫婦が多い。

しかし、全体的な印象でいうとオールドネイビーはGAPとの区別がつきにくい。
アイテムバリエーションの少ないメンズなんてそれが顕著だ。

もともと、GAPよりも低価格のブランドとして北米ではオールドネイビーは展開されていた。
ところが、日本では本体のGAPが先に上陸しただけでなく、価格面でも最終処分値が恐ろしい低価格まで投げ売りされていたことから、個人的には「オールドネイビーが進出する理由が見当たらない」と感じていた。

GAPは日本では元値設定が高すぎておかしいと思うのだが、たくさんの数量を店頭投入して売り減らすというスタイルなので、ほとんどのアイテムはあまり期間を置かずに半額に値下げされる。
GAPの商品はこの半額に値下げされた価格が適正価格だと感じるのだが、これでも売れ残った場合は、さらに値下げされ、最終的にはだいたい1900円とか990円になる。
ひどい場合はその価格からさらにレジで半額に下がったりもする。

筆者はいつも1900円とか990円になってからしか買ったことがない。
GAPで買った最高値の商品は2900円である。

バナナリパブリックも同様に投げ売りをする。
だいたいが最終的には70%オフくらいになるし、さらにレジにて20%オフとか25%オフとかされることもある。
昨年夏に半袖Tシャツを買ったが、それは800円くらいまで値下がりしていた。
それ以前に綿のカーディガンを買ったこともあるがそれは2000円くらいまで値下がりしていた。

個人的にはこの2ブランドの投げ売り品を買うので、オールドネイビーに興味を持てなかったし、いまだに買ったこともない。

本来は

中価格でアメカジのGAP
低価格でアメカジのオールドネイビー
GAP以上の価格でコンテンポラリーカジュアルのバナナリパブリック

というのが戦略だったのだろうが、日本市場だけで見ると、GAPもバナナリパブリックもひどい投げ売りを行うので低価格ブランドであるオールドネイビーを上陸させる必要性がまるで見当たらなかった。

そんな中で4年前にオールドネイビーを上陸させたが、タイミングが遅すぎたのではないだろうか。
H&M、フォーエバー21、しまむら、ジーユーで低価格耐性ができた上に10年間以上もGAPの投げ売りに親しんだ日本人にとってはオールドネイビーの定価は「驚くべき低価格」とは映らなかった。
あくまでも「普通の低価格」である。

53店舗まで広げたがこれ以上爆発的に広がる要素も需要もなかったと個人的には見ている。

また縮小するバナナリパブリックだが、これも当然かなという意見しかない。
関西にも何店舗かあるが、この店がにぎわっているのを見たことがない。
一昨年ぐらいから業界内では「撤退する」とか「縮小する」といううわさが飛び交っていたが、まったく不思議には思わなかった。
むしろ、昨年「上陸10周年祭」を行っていたことのほうが不思議だった。
あれ?撤退するのに上陸祭なんてやってて良いのかな?と思ったほどである。

そういえば10年前に上陸したときに奇異な感じがした。
日本でのバナナリパブリック人気のピークは25年ほど前ではないかと思う。
筆者が大学生のころ、ちょっとイケてる(当時こういう言い方はなかった)学生がTシャツなんかを着ていた記憶がある。
筆者はイケてない大学生だったから、イズミヤかジャスコでオカンが買ってきた1900円のトレーナーかTシャツしか着ていなかったのだが。

あの当時のバナリパはアメカジテイストが濃厚で、そういうイメージが残っていたので今のコンテンポラリーテイストを見たときにはちょっと驚いた。
GAPに買収されてから顧客層が被らないようにテイストを変更したということである。

しかし、今のバナリパのテイストと価格帯では日本の若者は買わない。
30代・40代・50代はバナリパのブランド名をしっかりと覚えているが、この年代がバナリパに求めているのは今のコンテンポラリースタイルではなく、当時のアメカジ・リゾートカジュアルテイストである。

こうなると若い層からも中年層からも支持されなくなる。

やっぱりグローバルブランドといえども様々な意味でローカライズできないとその国の市場では残っていけない。

3年位前からGAPで買うことが減ってきた。
以前投げ売り品を買っていたのは、デザイン面もそうだが、品質的にも投げ売り価格なら価値があったからだ。
3年位前からデザイン面もそうだが、使用素材や縫製の品質も低下していると感じるので、投げ売りでも価値を見出せない。

その上、高すぎる定価設定は変わっていない。

果たしてこれで大丈夫なのかと他人事ながら心配になる。
GAP本体の日本での縮小も今後十分あり得るのではないかと見ている。




繊維製品における日本製の強みとは?

 先日、素材関係のある会社の人と話した。
この会社はすでに海外にも営業所を複数進出させている。

近頃、「メイドインジャパン」「日本製」「クールジャパン」を売り出そうとする機運が強まっている。
国威発揚は基本的には賛成だし、自虐の100倍以上マシだと思っている。

生地、製品での繊維製品における「日本製」の長所・利点というのは何だろうか?
それはいまいち曖昧模糊としているのではないかと感じる。

一般的には「高品質」を掲げるケースが多いのだが、ここでいう「高品質」とは物性的なものと仮定すると、実際のところは中国製のほうが「高品質」である場合も増えてきた。
もちろん、いまだに高品質を誇る商品や企業はあるが、そうではないケースがこの10年で増えたという印象である。

例えば縫製でも、高品質な縫製工場もあるが他方ではかなり粗雑な工場も目に付く。
指示通りにサンプル品が上がってくるかどうかでいうと、アパレルやブランドからは「中国工場のほうが指示通りに上がってくる。国内工場はやりにくい」という声もある。

裏地が破れて仕上がってきたブランドもある。

ニットにしてもそうだ。
手編みニットなんていう製品は国内ではほとんど生産不可能になっている。
店頭に並ぶ手編みニットのほとんどは中国製か海外製(とくにアジア地区)である。

専門家の中には「旧型の機械設備を使い続けている国内工場に比べて、中国やアジア地区の工場は最新の機械設備がそろっている」と指摘する人もいる。
機械設備の差は以前からもあったが、それを工員の技術でカバーしてきた。しかし、海外工場の工員が熟練するのに対して、国内の工員の多くは高齢化しており、年数が経てば経つほど老化による衰えが顕著になるという状況もある。

そういうわけで「高品質」というのが日本製の最大の売りになるとは個人的には思えないし、今後、年数が経てば経つほど日本製は「高品質」ではなくなるのではないかとも思える。
クールなジャパンの組織がやっていることはなんだかピントがズレていると感じる。

一方、「日本製」の利点や長所はいまいち曖昧模糊としながらも、良い意味でのブランドイメージがあるらしく、今、中国国内では「日本製」衣料が需要を伸ばしているとも聞く。ただし、それは現地の中国人がMDやら企画内容やらをローカライズさせたものに限られるようだが。

そういう意味においては、「日本製」ブランドのイメージは良いといえるし、良いイメージのまま確立できる可能性も十分にあるのではないかとも思える。

このあたりの意見はその素材関係の会社の人とほぼ同じだった。

この素材関係の会社の人は、日本製の利点・長所を「アフターフォローの誠実さ」にあるのではないかと自社も含めて分析していた。
海外の営業所で活動していると、価格競争では日本製は太刀打ちできないという。
現地の素材はもっと安い。

いわゆる「品質」が高いかというと上に書いたような理由で、一概にそうともいえない。

それでもその会社がある程度の売上高を稼げるようになった理由は「アフターフォローを評価された」からだという。
トラブルが起きた際、日本企業はかなり誠実に対応するが、海外企業は売りっぱなしという場合が多いようだ。
そこを評価されて全面的に契約に結び付いた例もあるそうだ。

このあたりを再度きちんと考えずに根拠なき「日本の物作り神話」を構築するのは危険ではないかと思う。
自虐に陥り卑下する必要は微塵もないが、冷静に強みを分析して、それを育成することを考えないと夢想や空想や妄信だけでなんとかなるほど現実世界は甘くない。
夢想や空想や妄信だけでクールなジャパンを売り続けるほうが我が国の価値を棄損するのではないか。





ブログのアクセス数を増やすコツとは?

 自社発信のツールとしてブログが有効だとされている。
しかし、その一方で自社発信の役割をきちんと果たせているブログはそう多くない。

もちろん、何も書かないよりは書いたほうが良い。
ネタがなかったら「今日は昼飯にカレーを食いました」でも構わない。

でも「今日は昼飯にカレーを食いました」という一行だけのブログを誰がわざわざ読みたいと思うのか。
書いた人が超有名な芸能人やスポーツ選手ならそれでも多くの読者がつくだろう。
彼らが日ごろどんなものを食べているのか知りたいという人は数多くいるからだ。

けれどもそこら辺のおっさんの昼飯なんて知りたいと思う人がどれほどいるだろうか。
隣の家の親爺が何を食ってようがどうでもよい。興味の対象外である。

これが趣味のブログならそれでも良いが、自社発信のツールとしてブログを使うのであればある程度の読者を獲得しないと意味がない。
そのためには、いくつかのフォーマットが存在すると考えている。

1、なるべく本業について書くこと

2、本業ならではのお役立ち情報を書くこと

3、ネタがなかったら今日の昼飯でも夕飯でも構わないが、利用した店をみんなに紹介するつもりで書く

最低限はこの3つだろうか。

例えば洋服ブランドの経営者なのに毎日、今日の夕食とか趣味の釣りの話ばかりだとそんなブログは誰も読んでくれない。しかもそれが一行や二行くらいの感想ならさらに読まれない。

やっぱり自社発信の一環として書くならメインは本業について書くべきである。

つぎにお役立ち情報だが、自社や業界では常識でも広く一般的には知られていない事柄はたくさんある。
例えば、「カシミヤニットは水洗いできる」とか「デニム生地が色落ちする理由」とかである。
同業者からすれば、当たり前のことだが、それを知らないという人はたくさんいる。
そういう人に向けて書くことで自社なりブランドなりのファンが増える。

こういうことを説明すると「同業者から笑われるから書きたくない」という人がたくさんいる。
しかし、あなたのそのブランドの顧客は同業者か?
同業者に自社製品を買ってもらっているのか?

これが答えである。

最後は書き方の問題である。
「今日は〇〇でカレーを食べました」という文章なんて何の面白みもない。
他人がわざわざ読む必要がない。

しかし、その「〇〇」という店をなぜ愛用するのかとか、その〇〇のカレーのどこが好きなのかとかそういうことを書いたなら読む価値がある。

ブログについてのブログでちょっと面白かったエントリーがあった。

ブログのアクセス数なんて気にすることない!と言われても気になりますよね~アクセスアップのために!
http://ameblo.jp/reuse-fashion/entry-12161519545.html

ここでは仲良しのアクセサリーメーカーの社長さんからブログについて相談されたことが書かれている。

試しにこのアクセサリーメーカーの社長さんのブログも1本か2本読んでみた。
文字数としてはそこそこに多い。決して一行二行の文章ではない。

でも個人の趣味の日記みたいなエントリーが多い。
自社の発信ツールとしての内容としてはどうだろうか?

詳しくは本文を読んでいただければわかるが、2年間書いておられて1日のアクセス数は8だそうである。
多いときで26。

読んでいる人はこの社長さんの数人の仲良しさんだけではないかと推測できる。

ブログ主による指摘はこれだ。

1.誰が書いているのかわからない

2.タイトルがくそ興味がわかない

3.誰に書いているのか(誰に読んでもらいたいのか?)

1についてはこう指摘している。

平手さんは「会社のホームページから社長ブログで飛べるので社長の僕が書いているとわかるよ。」といっていましたが、私は平手さんに興味はあるけどミレーヌの社長には興味がありません。私は知ってますが平手さんがミレーヌの社長だってことを知らない人も多いんじゃないかな。だから写真やプロフィール、ブログのメインタイトルにも個を出したほうがいいと思います。

である。
逆にミレーヌという会社に興味のある人だっているだろう。
となると、個人の日記みたいなエントリーばかりではそういう読者も獲得することができない。
アクセサリーについてのお役立ち情報とか会社経営についての考え方みたいなことをもっと書かれたほうが良いのではないかとも思う。
とりあえず、書いている人が何者なのかをもっとわかりやすく明記すべきという意見は賛成である。

2について

例えば、下から3つ目の「物流センターの引越し」どうですか?ブログが読みたくなりますか?あ~ブログ読みてぇ~!ってなりますか?

ならないですよね。平手さんのところの物流センターが引っ越そうが全く興味ありませんから。でもタイトルをこう変えてみたらどうでしょうか?

「物流センターの引越しが社員研修になった!その秘密は?」

今回の物流センターの引越しは社長である平手さんはほとんど関わらず、社員達が率先してやったことが書いてありました。素晴らしいですよね。でもタイトルからはそんなことはわかりません。モッタイナイですよ~

である。
これについて補足すると、ウェブニュースも「タイトルのつけ方が重要」なのである。
WWDのウェブ担当はこう言い切っていた。
紙のメディアと違って、ウェブはタイトルを見ていかに興味を惹くかが勝負になるから、タイトルはかなり直截的につけるほうが良いそうである。

例えば「〇〇が中期経営計画を発表」というタイトルよりも「〇〇が新ブランド立ち上げを軸とした経営再建案を発表」としたほうが記事へのアクセス数が増えやすい。

タイトルが具体的、直截的だから読者の興味を惹きやすい。

「物流センターの引越し」と言われたところで、ミレーヌの物流センターの引越しについて「すごく知りたい」と思う人がどれほどいるのだろうか。自分とかかわりのない会社だったら「勝手に引越しでもなんでもしてろよ」というのが多くの人に共通する感想ではないか。

3については

ブログを書く時に特定の人を思い浮かべてその人に向けて書くといいですよ。今日の私は 平手さんに向けて書いています(笑)

であり、相手が毎日変わっても問題がない。
自社の社員に向けて書いても良いし、自社の顧客に向けて書いても良い。
すごく仲良しの業界紙記者に向けて書いても良い。

ただ漫然と相手も思い浮かべず、引越しのことや事故のことなんて書いても誰も興味を持たない。

先日もあるレディースアパレルの人とブログについて話したが、そのブランドはかなりパターン(型紙)に工夫を凝らしているそうである。
だったらそれを書いたほうが良いのではないか。

たとえば、「ゆったりとしながらも細身に見えるように肩の部分のパターンづくりを工夫しました」とか、「ウエストを高めにわざと持ってきて、全般的にスリムに見えるようにしていますが、実際のサイズはワイドパンツ並みです」とかいうようなことを書くべきではないか。

これも立派に「お役立ち情報」である。

それにして、2年間書いてきて1日のアクセス数8という少なさはかなりすごい。
けっこう心が折れそうな数字だが、折れずに書き続けられているというところもすごい。
この心の強さだけは筆者も含めて見習わねばならないだろう。



東京テキスタイル・マルシェの概要

 今日は告知を一つ。

1年ぶりに東京でテキスタイル・マルシェを開催することが決まった。

産地企業による生地の切り売り販売会で、なんだかんだと言って開始してから6年になる。
今回の出店は14社。ラインナップは以下の通りである。

荒井(福井)薄地シルク

はらっぱ(福島)会津木綿

福田織物(静岡)特殊織物

林与(滋賀)麻

大江(丹後)厚地シルク、縮緬

万定織物(丹後)裂き織り

棉生テキスタイル(京都)柿渋・加工

アートファイバーエンド(京都)リボン、ボタン

YS企画(京都)プリーツ加工生地

松尾捺染(大阪)プリント生地

細川毛織(泉州)ウール、カシミヤ

宏和産業(泉州)アクセサリーパーツ

島田製織(西脇)綿先染め織物

セコリ セコリによる各産地からのセレクト生地

である。

日時:5月26日15:00~18:00 18:00~レセプションパーティー
    5月27日11:00~18:00
    5月28日11:00~16:00(16:00閉場)

場所: ふくい南青山291(東京都港区南青山5-4-41グラッセリア青山)

IMG_3714

(会場外観)

で、入場料は無料で、生地や副資材に興味のある人はどなたでも入っていただける。
いわゆるアパレル業者も来られるし、手芸やクラフトを趣味とされている方も来られる。
プロしか買えないとかそういうことはない。

昨年5月に開催した際には、3日間でだいたい1000人強の来場者があった。

筆者も事務局員として期間中は会場に詰めているので、もし、筆者に会ってみたいという方がおられたら、ご来場いただきたい。(笑)

IMG_3757

(昨年の会場風景)




鈴木イズムは衣料品には通用しなかった

 セブン&アイホールディングスの鈴木敏文会長の退任を巡るお家騒動はさまざまな見方で報道されており、事実関係はほぼ表面に出尽くしたのではないかと思う。

各社の報道も鈴木派と反鈴木派にわかれるように見える。
筆者は直接の面識がなくて思い入れも親近感も一切ないので、一連の報道に対しては「へー」という感想しかないが、記事の切り口としては、日経ビジネスオンラインに掲載されていた

セブン会長、引退会見で見せたお家騒動の恥部
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/040700304/

がもっとも適切ではないかと見ている。

鈴木氏が開いた会見を報じているが、記者の分析をナレーション替わりとしながら、発言が進んでいくという手法を採っており、この分析に共感を覚える。

例えば、

井阪氏をセブンイレブンの社長に登用したのは鈴木会長だ。当時の狙いを説明した後、鈴木会長は井阪氏への不満を執拗に訴え続けていく。

とか

顧問の佐藤氏、後藤氏は、確かに古くからセブン&アイと深い関係があり、鈴木会長や伊藤名誉会長とも親しい間柄だ。しかし、鈴木会長から紹介されて最初にマイクを握った後藤顧問の語った話は、日本を代表する企業の実態とは思えないようなお粗末な中身だった。「伊藤名誉会長と鈴木会長のお部屋を行ったり来たりする役割」「井阪社長のお父様と昵懇の仲」など、理よりも情実や縁故が物を言うような、極めて属人的に経営の意思決定がなされてきた様子が浮かび上がった

とか

だがそもそも、こうした顧問らを間に挟まず、伊藤名誉会長と鈴木会長が直接話し合えばよかったのではないか。またこれまでの説明は伊藤名誉会長にとっても、井阪社長にとっても、ある種の“欠席裁判”とも言える。まっとうな企業としての普通の解決方法があるのではないかという問いに、鈴木会長はこう答えた。

という部分はまさにその通りだと思う。
各報道を読み比べても発言内容は同じなので、発言は記事の通りだったと推測されるが、もし、筆者がこの会見に出席していてもナレーションと同じ感想を抱いたと思う。

伊藤名誉会長と井阪社長を除いた鈴木氏とその側近のみの会見というのはやはり異様だ。
もう老境に足を踏み入れた人たちが取る行動とは思えない幼稚さを感じる。

これに続いて、5月9日号の日経ビジネスでは

「ヨーカ堂100億円在庫買い取り要請が挫折」という記事が掲載されている。
これについては畏友である釼英雄さんもブログで述べられており、

http://blog.goo.ne.jp/souhaits225/e/058ed3639848f7edf400b8ffc318d107

にわかには信じがたいが、もし事実だとするならイトーヨーカドーはどんな杜撰な企画・販売・営業戦略を立てていたのかということになり、それを黙認した鈴木氏の責任は重いということになる。

記事によるとこれほどまでの過剰在庫を生んだのは衣料品だとしている。
例えば、11ページでは「前期は139億円の営業赤字で、衣料品の大幅値下げなどによる在庫処分が105億円の利益の押し下げ要因となった。さらに、前期に処分しきれなかった在庫を今期も引き継いでいるため、その値引き販売などで今期も在庫処分損失として44億円を見込んでいる。それが、伊藤名誉会長に買い取りを依頼した不良在庫の一部だと見られる」と指摘している。

また12ページでは「過去数十年間で衣料品の売上高はほぼ半減したのに、売り場面積はあまり減っていない。その結果、衣料品の在庫回転期間は適性水準の約2倍の90日以上になってしまっている」とも指摘しており、さらに機会ロスを異様に恐れるあまり「リミテッドエディションIYコラボ」のワイシャツを60万枚以上作って大量に売れ残りを発生させたとも指摘している。

セブン&アイホールディングスを今の形にし、セブンイレブンというコンビニを業界トップに押し上げた鈴木氏のこれまでの実績は決して否定されるものではないし、過去の手腕が賞賛されることに関しては異論はない。
しかし、こと衣料品に関していえば、大型スーパーの限界が露出したともいえるし、鈴木氏の手腕では通用しなかったともいえる。

「鈴木会長はヨーカ堂を再生できなかった」という見出しでグラフが掲載されているが、鈴木氏が社長に就任した92年に売上高はグンと伸びて1兆5000億円を突破している。しかし、営業利益はその92年をピークにこの24年間下がり続けている。売上高も10年ほど前から1兆5000億円を下回るようになっている。

FullSizeRender

93年に営業利益率が低下し始めているのは、トップとしての鈴木氏の責任だけではないだろう。
その前年のトップの責任も大いにある。
常識的に考えて95年ごろまではその前任トップの責任も大いにある。
あらゆる施策はだいたい3年~5年後に良くも悪くも結果が出るからだ。
長く見積もると97年か98年ごろまでは前任の伊藤社長の責任はある程度大きいといえるが、2000年以降の業績低下は確実にトップである鈴木氏の責任である。
トップとしての施策が誤っていたからである。

鈴木敏文という天才——セブンイレブンのすべてをつくり、追われた男
その「才能」と「限界」を語り尽くす特別座談会
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48647

という記事が掲載された。
これは親鈴木派記者の座談会みたいなものだと読めるのだが、その中でもとくに勝美明氏はシンパともいえる。
彼によると「鈴木氏は未来の視点から今を見ていた」そうだが、その未来の視点では衣料品については皆目見えなかったといえる。もしくはまったく現実離れした景色を見ていたか、視点が別方向に流れていたか、幻覚でも見えていたのだろうか。
それにいくら天才といえども老いれば絶対に衰えるのである。それは鈴木氏も逃れられない。
過剰に神格化するのは害悪である。

かくいう筆者も何度か鈴木氏のテレビ出演を見たり、いくらか著作を読んだりしたが、その発言のほとんどは食品に集中している。弁当がどうのとか漬物がどうのという内容ばかりであり、個人的には彼の目利きは食品に対してのみ発揮されたのだと見ている。

日経ビジネスに戻ると、「機会ロスをなくせば必ず売り上げは伸びる」という一節が再三再四登場する。
これこそが鈴木氏の思想だったと思えるのだが、その考え方では衣料品は過剰在庫が増える一方である。
だからヨーカ堂は復活できなかったのである。

元来、大型スーパーの低価格衣料品は実用衣料だが、現在の日本において「明日着用する実用衣料がなくて困っている」という人がどれほどいるのか。またいたとしても肌着、靴下程度ならコンビニでも売っている。何も大型スーパーに駆け込む必要がない。

それゆえ、大型スーパーも低価格衣料品専門店もある程度「ファッション」的な味付けをした売り方を模索せざるを得ない。ファッション的な売り方は嗜好品の部分を増やすということであり、万人が受け入れる嗜好品なんていうのはほとんどない。嗜好品なので好き嫌いがはっきりする。
そうすると全サイズ、全色柄をビッシリそろえると必ず売れ残りが大量に発生する。

ユニクロで奇抜な色柄のアイテムが大量に残って投げ売りされているのを見れば理解できるだろう。

売れなさそうな色柄・デザインの商品は生産数量をグっと絞って堂々と欠品させれば良いのである。
それこそが「ファッション的需要」を喚起する一つの要因となるからである。

「機会ロスをなくせば必ず売り上げは伸びる」という鈴木イズムに縛られている限りにおいては、イトーヨーカドーも他社大型スーパーも衣料品に関して業績が好転することはあり得ないだろう。
日経ビジネスは、ヨーカ堂は食品を柱とした営業力強化を柱として再建案を発表していると結んでいるが、妥当な再建案だといえる。




1 / 2ページ

©Style Picks Co., Ltd.