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南充浩 オフィシャルブログ

「高品質」だけでは物は売れないという話

2023年1月19日 お買い得品 4

繊維関連の国内の製造加工業者がオリジナルブランド、オリジナル品を大っぴらに企画製造販売を開始してから10年以上が経過した。

最近だと、その動きは当たり前という感じになっているが、10年強前でも、「納入先から圧力がかかった」とか「問屋から圧力があった」とか、消費者の方々からは想像もできないような障害があったのが実態である。

最近になると各製造加工業者も手慣れた感が出ており、商品自体のデザインやアレンジは全般的な水準は上がっているといえる。(個々の業者のベルにはもちろんバラつきはある)

最近では

 

「良い物を作ったのになぜか売れない」

 

という製造加工業者の嘆きを聞くことは少なくなったと感じるが、10年前にはこの嘆きがSNS上では数多く見られて、当方はいささかうんざりしていた。

実際問題として、商品の実物も何度か見せてもらったが、たしかに使用素材や縫製仕様のクオリティは高い。だがデザインや色・柄、細かなアレンジなどに関しては「高品質」とは言えない物も多々あった。

そりゃ売れないだろうよ、というのが当方の意見で、消費者は別に生地を買いに来ているわけでも縫製仕様を買いに来ているわけでもない。いくら生地や縫製が良くてもデザインや色・柄、アレンジ、ディテールがイマイチなら売れるはずもない。

しかし、そんなことは衣料品・繊維製品以外の分野にも多々ある。

 

 

今回はちょっと横道に逸れるが、世間的にガンプラの品薄状態がまだ続いている。2022年前半よりはマシになっており、新商品はだいたい毎回20数個くらい近所のジョーシンに入荷するようになったが、それも2時間くらいで売り切れる。2022年前半だと新商品の入荷が7個くらいだったから、バンダイの増産は少し奏功してきているといえる。しかし、いまだに家電量販店各店のガンプラの棚はスカスカ状態が続いている。

憎むべき転売ヤーを含めたガンプラの需要増は驚くものがある。24年からバンダイの新工場が稼働するので、さらなる増産が期待でき、どこまで品薄が解消されるかに注目している。

 

そんな中、家電量販店のプラモコーナーの棚を埋めているのは「境界戦機」というアニメシリーズのロボットである。

深夜枠で2クール放送されたアニメで、バンダイの子会社でアニメ制作会社のサンライズもバンダイもそれなりにヒットを見込んでいたようで21年後半から店舗に大量投入された。

しかし、これがほとんど動いていない。

もちろん、ゼロではないが各店頭在庫の減り具合が恐ろしく遅い。多分毎日1個売れるかどうかレベルではないかと考えられる。

転売ヤーの跳梁跋扈を許すどころか何なら優遇している疑惑まであるAmazonでもこのプラモは何時でも安値で買える。30%オフは当たり前、40%以上のオフ率も珍しくない。

つい先日、エディオンに行ってみた。

ガンプラは相変わらず品薄である。棚がスカスカしている。

しかし、境界戦機のプラモはふんだんにある。エディオンもついに業を煮やしたのか、期間限定(期間は提示されていないが黄色い期間限定値引き札が貼られている)で境界戦機の全プラモが50%オフになっていた。

正確にいうと、税込み価格の何十円の端数を切り捨てて半額にしているから、物によっては半額強ということになる。

そこまで投げ売りせざるを得ない状況にあるといえる。

 

あまりにも安いので、当方はシリーズの中では人気上位機体と思われる「HGメイレスビャクチ」を買った。1300円に値下がりしていたが、100円引きクーポンと貯まっていた170円分ポイントを使って1030円まで値下げしてゲットできた。

 

 

過去に3度ガンプラが買えなかったときがあり、その都度シリーズの機体を1個ずつ買ったことがあり、組み立て経験済なのだが、ハッキリ言って「クオリティは高い」のである。

現代のガンプラに匹敵するような色分け・可動域・画像からの再現度である。

にもかかわらず半額で投げ売られるほどに不振を極めている。

 

売れない理由は大きく2つある。

1、ロボットのデザインのクセが強くて万人受けしにくい

2、アニメ本編がつまらないと酷評されている

である。

個人的にはこういうデザインもありだと思うが、業界のガンプラ仲間の一人であるT氏はこのデザインが嫌いなのだという。

これを繊維・衣料品に例えると、素材や縫製仕様の品質は高いが、デザインがイマイチだから売れにくいという製造加工業者のオリジナル品と同じだといえる。

 

次に2だが、アニメキャラクターの商品は商品の出来だけがいくら良くても売れにくく、アニメ本編が評価されないと売れ行きは伸びにくいことが多い。

ガンプラの中にもヘンテコなデザインなのに、アニメ本編で大活躍をしたために売れるという商品が結構存在する。まあ、あまり詳細に語ってもだれもついてこないだろうが、1例を挙げると、ガンダムビルドダイバーズリライズのリライジングガンダムなんてデザインはかなり変だが、劇中の大活躍で売れた機体だといえる。

 

で、この「アニメ本編との連動性」というところは、繊維・衣料品でいうブランド力・ブランド作りなのではないかと思う。

品質が良くてデザインが良くても、ブランド力が足りないばかりに注目されにくいということは珍しくない。逆に一流ブランドでも製造関係者からは「何であんな粗悪な物が売れているのか?」という評価を受けている商品もある。

出来は良くても売れない境界戦機のプラモデル商品から考えさせられることは多い。

衣料品に限らず「高品質」だけでは物は売れないということを改めて認識させてくれる商材といえる。

 

まあ、そんなわけで大スケールのフルメカニクス版も定価6000円、5000円が半額に値下がりしているので、そのうちに買ってみようと思っている次第だ。

 

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2023/01/19(木) 11:08 AM

    ということは、ターンAガンダムあたりは、ユニクロとマルニのコラボって感じかしらん?違うか(・∀・)

  • BOCONON より: 2023/01/20(金) 9:04 PM

    今回のお話,今ひとつ僕なんぞにはよくわからないお話でした。洋画SF好きにとってガンプラやそのたぐいは “豚に真珠” のようなものなので。ポケモンとデジモンの違いみた様な(違うかw)。

    > 繊維関連の国内の製造加工業者がオリジナルブランド、オリジナル品を大っぴらに企画製造販売を開始してから ...

    これもどこの業者の何のブランドの事やらシロウトにはようわかりませぬ。でもそれなりに商売になっているなら(ZOZO SUIT のものすごいお粗末ぶりを見ても)それはきっと大した事なのでしょう。ユニクロみたいな企画~製造~販売まで1社でこなし,しかもあまり大ハズシしないところなんてそうはあるまい思うので。

    ところでその “オリジナルブランド” というのはどんなものなのか「そんなに高価でない割に品質は良い」といったところだろうと想像しますが,違いますか? もしそうなら,今後も経営は楽ではないでしょうね。

  • BOCONON より: 2023/01/20(金) 9:36 PM

    商品の世界で言えば,おおよそあんまり安さを売りにしているPBなどはいけませんね。昔むかしのセブンイレブンのPBの,安いだけで非常にマズいツナ缶などはさすがに客をバカにし過ぎで、今は “セブンプレミアム” やオリジナルの “中華そば” とか「スーパーよりは高くても結構ウマい」路線に転向してそこそこ成功している。
    一方イオンの “トップバリュ” みたいな行き方もある。時々ネットでも物笑いのたねになるくらいマズい酒やインスタント食品等を「お前らとにかく安いものが好きなんだから黙って買え」路線でそれなりにやっているようです(洋服はたまには当たりもありますが)。

    けれども洋服はむつかしい。たいていの客は「安い服しか買えないけど,少しは今風でオシャレな格好もしたい。流行遅れ,貧乏くさいってバカにされるのはイヤだ」という気持ちの中で揺れ動いている。そういう中でちょうど良くオシャレで安くてそこそこ売れる商品を企画するのは想像するだに大変な気がする。何しろ客の方も「オレはどこの店行って何を買って着ればいいんだ?」などとネットで繰り返し聞いてまわっているような世界ですからね。しかも,そういう客でもヘンなコダワリは一人前に持っていて,僕が選んであげても・・・いや,もうこの辺でよく知らない話に首を突っ込むのはやめておきましょう。

       「嫁さんになれよ」だなんてトップバリュ飲みつつ言ふなこの貧乏人

  • BOCONON    より: 2023/01/23(月) 10:44 PM

    ところで,ガンダムと言えば You Tube でたまたま森口博子の ‘ ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜’ を聴いた時は,その発声の良さと歌の上手さには仰天した。ああ,MOTTAINAI! この人を単なる “バラドル” で終わらせるなら,それは一つの罪悪であると思う。
    平原綾香なんぞより,森口博子が英国/アイルランドの伝承歌――「サリーガーデンズ」「エルサレム」「ホーム,スィートホーム」等々――歌った CD 出してくれたら絶対買うのに。
    岩崎宏美は,『大地の歌』第4楽章歌ってくれないかな ...

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