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南充浩 オフィシャルブログ

生地の良し悪しは一要素にすぎない

2014年7月15日 未分類 0

 生地を企画製造している企業が、自社の生地を使った製品を作る試みはこの数年で増えている。
それ自体の主旨には非常に賛同するのだが、取り組み姿勢については「?」を感じるケースも多い。

ストールというアイテムは非常に取り組みやすい。
生地作りの延長線上で製品を組み立てることが容易だからだ。
長さと幅を選定するには気を使うが、それ以外の造形にはあまり注力する必要がない。
色柄と生地の風合いで勝負できる要素が多く、それは生地作りの延長線上に位置する要素である。

長さと幅はちょっと考えなくてはならないところで、180センチではちょっと短すぎるだろう。
190センチ~2メートルくらいが一番良いのではないだろうか。
幅は70~80センチ程度が最適か。

しかし、これも顧客ターゲットによって異なる。
50代以上の年配層は短くて幅の狭い物を好む傾向が強い。
実際にテキスタイル・マルシェでも自社のストールを販売する企業が何社もあり、店頭で販売のお手伝いをしていると、50代以上と思われるお客のほとんどは幅が狭くて短い物を購入する。
長さでいうと180センチ以下だろう。幅は50~60センチ程度ではないか。

ここに工夫が要るが、シルエットやパターン(型紙)には工夫は要らない。

ところが、ストール以外の物を志向するとシルエットやパターン、デザイン、機能性などを考えなくてはならない。
こうなると、生地工場のスタッフや関係者がデザインをすることは不可能だろうと考える。
以前にデザイン関係の会社に勤務しており、その会社でもデザイン業務に携わっていたというようなスタッフや関係者は別にして、純粋に生地の企画製造、営業のみを行っていたスタッフや経営者では無理である。

生地製造工場からストール以外の「製品化」の相談を受けることがある。
例えば、シャツをやってみたいとか、ジャケット類だとかバッグだとか。
「デザインはどうするんですか?」と尋ねると、社長さんが「ワシがやろうかなと思っている」とお答えになる場合がある。これには実際のところ失笑するほかない。
デザインに関してド素人の「ワシ」がデザインして売れるような商品が作れるなら、世の中のアパレルブランドはいずれも苦労はしないだろう。

さらに続けて、「単品ではなく何品番か作ってトータルに見せたい」とおっしゃる場合もある。
ジャケットとバッグと手袋とマフラーと、というような場合である。

単品でなく、何品番かを作ってブランド化するのであれば、商品構成を考えねばならない。
そのブランドのターゲットは?ターゲットに適した価格帯は?ブランドのコンセプトは?テイストは?
それらが決まらないのに、個々のアイテムずつをデザインしてもそれはまとまりのない商品群でしかない。

ましてやデザイン経験のない「ワシ」がデザインし、マーチャンダイザー経験のない「ワシ」が商品構成を考えたところでそんな商品群が売れるはずもない。

産地企業の中には「良い生地を使っているから、製品化しても見栄えがするだろう」と考えているところもある。

もちろん、良い生地を使っていれば幾分か見栄えはする。
けれども、いくら良い生地を使っていてもデザインの不恰好さや商品構成の拙さまでをカバーすることはできない。

生地自体にはそこまでの力はない。

生地の良し悪しは、あくまでも商品やブランドを構成する一要素にすぎない。
一要素が全体像を覆い尽くすことはありえない。

製品化を成功させたいなら、専門の人間を集めてチーム化するのが近道であろう。

産地企業の「製品化」がなかなか成功しないのは、以上のような理由である場合がある。

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