ウールが今後値下がりする可能性は低い
2014年7月14日 未分類 2
以前、どこかで「今後、ウール製品は超高価格になる」という記事を読んだことがある。
どこのページだったのか失念したが、「ウール(羊毛)価格は高騰を続けている割に生産量は増えていないから、将来的にウールを使った衣料品は超高価格品になる可能性がある」と指摘した内容だった。
それを裏付けるように本日の繊研プラスにもこういうコラムが掲載されていた。
衣料用のウール供給の主要部分を担っている豪州だが、その豪州の牧場では後継者問題が深刻なのだそうだ。羊を育て刈り取る牧場の実態は、利益率が低いほか個人経営の域を出ない古い経営体質によって、若年層が参入しない、高齢化などの課題を抱えている。
牧場だけでなくAWIなどの豪州羊毛団体も、交配の技術革新や飼育条件改善など生産効率向上を進めているのだが、「天然繊維を生み出す牧畜業には工業とは違った限界がある」という。さらに、羊毛よりも単価が高い食肉へのシフトという問題も抱えている。豪州の羊頭数はピーク時の半分以下、7000万頭余りに減った。牧場を取り巻く経営課題は大きく、羊毛産出量が大きく増える見込みはない。
とのことである。
オーストラリアは世界最大の羊毛産出国である。
かねてより総人口よりも羊の頭数の方が多いと伝えられており、少し前まで1億頭以上いるとされていた。
それが7000万頭にまで減少しているという。
羊は動物なので植物である綿花よりも増やすことが難しい。
育つまでに時間がかかるし、一頭当たりから採取できる羊毛が飛躍的に増えることは、よほどの品種改良でもしない限りほぼない。
記事中にもあるように後継者不足と、羊毛よりも高値で取引される羊肉への業種転換という課題もある。
ビジネスとして見た場合、高単価で取引される方へ移転するというのは自然な流れであり、その流れを押しとどめることはできない。
2009年ごろから綿花や羊毛などの原料高騰が報道されるようになった。
それでも綿花は2011年をピークとして、幾分かは高止まりしているものの、だいぶ価格は落ち着いている。
しかし、ウールは今も高止まりしたままである。
今後何かのきっかけがあればさらに羊毛の価格は高騰する可能性がある。
先日書いた日経ビジネスオンラインの記事内で引用したグラフを見てもらえればお分かりになるだろう。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140623/267377/
そして、オーストラリアの羊の頭数がピーク時の半分程度まで減少していることを考えると、今後も羊毛価格が大幅に値下がりすることは考えにくい。
天然志向とかナチュラル志向が高まれば高まるほど羊毛価格はさらに高騰する可能性が高くなる。
供給量が下がっているのに、需要が増えれば価格は高騰して当然である。
アパレル各社はこの背景をキチンと消費者に説明しないのだろうか?
背景をキチンと説明しないといつまでも安価販売をし続けなくてはならない。
そして価格維持をするために、ポリエステルやアクリルの混率を高めなくてはならない。
「ウールセーター」と表示された低価格SPAの商品の中に、たまに、合繊の混合率がウールより高いものを見かけることがある。
例えばアクリル85%・ウール15%というような具合だ。
またウール100%の商品は目付が少なく(生地が薄く)なっており、モヘアの透かし編みみたいになったものを見かけることもある。
そういう状態を消費者は果たして望んでいるのだろうか?
そんなわけで筆者は、まだ安価なうちに気に入ったウール商品を買いこんでおくことにしたい。
comment
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ウールにはまった男 より: 2022/10/05(水) 11:04 AM
この記事は2014年のものだとすると、そこから8年経過しています。
やはり筆者のご指摘通りになっていますね。自分は30代半ばになり、最近長く着られる高品質のファッションアイテムを探したり購入したりするようになりましたが、いかんせん高いです。
どの天然繊維もそうですが、特にウールはこれからまた価格上昇は避けられないと言われています。
もはやハイブランドでしか扱えないようになるかもしれないとまで言われていますね。それまでに高品質のモノを手に入れて、しっかりとケアをして長く愛用していきたいです。
いつも楽しみにして、読んでいます。
ウール製品はほんとに減りました。
良いウール100%の製品はもう高級ブランドにしか無いような気さえします。
どうにかこうにかして、自分で編んだり、縫ったりしますが、それなりの出来でしか無いのですが、気にいる商品は高くて買えません。
やっぱり良質の古着ですかね。。
古い記事にコメントしてすみませんでした。