百貨店は昔ほどには「ありがたみ」のある存在ではなくなったという話
2022年12月27日 トレンド 1
今年も早いもので残り5日である。
1年や2年で大きく変わる物事は少ないが、10年・20年を経てジワジワと変わり、気がついてみるとかなり変わっていたという物事は多い。
自分はその一つが、ファッション衣料・ブランド衣料に対する熱意・渇望感・尊崇感ではないかと思っている。
何度も書いているが、当方の場合、ジジイ化によることも手伝ってブランド衣料への渇望感は年々薄れている。素材やデザインに凝っていたところで、それらの多くはメンテナンスが面倒だったり、着づらかったりする物が多い。そうなると、もう少し普通な感じで扱いやすい物の方が好ましく感じる。
虫に食われる恐れのあるウール生地より合繊生地、汚れが目立ちやすい白よりも目立ちにくい黒・紺、そんな物の方がありがたいと感じている。
またジーンズでもクラッシュ加工によって膝小僧が丸見えになっているジーンズは穿く際に、必ず爪先を破れ口に引っかけてしまい穴を大きくするのでそういうクラッシュ加工は絶対に買わない。爪先を引っかけることがないクラッシュしていないユニクロの普通のストレッチジーンズの方がずっと好ましい。ちなみにユニクロのクラッシュジーンズは破った後に裏からデニム生地を貼り付けてあって穴が塞がれているから重宝している。
90年代のスーパーマーケットの服、2000年代半ばまでのユニクロの商品は、色も柄もシルエットもブランド物と情報ソースは同じなのに全く違っていてクソダサかった。何なら使用している生地すら似て非なるモノだった。
だから、ファッションビルブランドや百貨店ブランドの夏冬のバーゲン時に買っていたが、今はその色・柄・シルエットの差は縮まっており、黒無地の丸首セーターならユニクロ物でも西友物でもブランド物とほぼ同じに見える。そうなるとそちらで構わないという人が増えることは極めて当然の結果である。
百貨店やファッションビル、ショッピングセンターなどの商業施設への意識も2000年代半ばまでと現在とでは多くの人の中で大きく変わったといえる。
例えば、そごう西武の売却によって、西武池袋へのヨドバシカメラ出店に対する捉え方である。個人的にはヨドバシカメラが粛々と出店すれば良いだけの話でしかないと考えているが、年配層を中心に、一部のファッションガーなどが反対意見を唱えている。
池袋から西武がなくなる──変わりゆく街と客層、百貨店が消える本当のワケ:小売・流通アナリストの視点(1/4 ページ) – ITmedia ビジネスオンライン
これまで通りの百貨店ビジネスを望む層がいるが、今まで業績が上向かなかったのに、これまで通りのスタイルを続けて何の効果が期待できるのか全くわからない。反対論者はそごう西武再建のために資金を出すべきだろう。
当方からすると、年配層の反対論は単なるノスタルジーに過ぎないと見ているが、旧来の百貨店やブランドに対する認識というものはそうなのだろうと思う。
しかし、これまでも書いてきたように、百貨店がファミリー客を取り込むことは最早不可能である。レディース衣料品と化粧品に偏重した退屈な商業施設に行きたがる子供はいない。一方、ショッピングセンターなら玩具店・書店・ゲームセンターが完備されており、子供を連れて行っても退屈させないで過ごすことができる。家族連れがどちらに集まるかは明白だろう。
先の記事でも
今、百貨店から屋上遊園地はなくなり、大食堂のようなレストランもほとんど見かけない。大衆ファミリー層が訪れなくなった百貨店は、極端に言ってしまえば、中高年レディスファッション、化粧品、インバウンド需要(コロナ期は消滅していた)、もしくは富裕層への外商に支えられた偏った店になった。
と指摘されており、かつての家族連れで楽しめる百貨店の役割を現在は大型ショッピングセンターが担っていると見るべきである。
これが2000年代半ばまでなら、ショッピングセンターに並ぶ低価格ブランドは、百貨店に並ぶブランドの商品よりも色・柄・シルエットがダサかったが、今はさほど見劣りはしない(厳密に比較すれば違いはあるが)。そうなると、70年代・80年代にファミリー客が百貨店へ行ったのと同じ感覚で、現在のファミリー客はショッピングセンターへ行くことになる。極めて当たり前である。何の不思議もない。
また百貨店側の「目利き」とやらもさほど突出したものではなくなっている可能性もある。
例えば、生地雅之さんのブログでは
恵比寿ガーデンプレイス | コンサルタント | 生地 雅之 | アパログ | ファッション、アパレル業界のブログポータルサイト (apparel-web.com)
ここのメインはやはりB1FのLIFEのセントラルスクエアで、いまだにほくほく顔のお客様が沢山来店されています。隣の明治屋や富沢商店等はまだ閑散としており、LIFEの独り勝ちなのです。
春に記載の通り、今迄の恵比寿三越の食品売場(デパ地下)では、このようなお客様のほくほく顔(自分達が喜んで買える食品スーパーが出来た)が見られず、今のお店は地元顧客に適しているのです。
と指摘されている。売上高が明示されていないが、店頭の状況を見ると、恵比寿三越時代のデパ地下よりも今のライフの食品売り場の方が好評そうである。
ちなみに、ライフとは何かと関西圏以外の人に説明すると、大阪の食品スーパーの一つである。最近、大阪市内にも急激に店舗数を増やしている。
強みが何かは当方にはちょっとわからない。価格はスーパー万代、スーパー玉出より高いが、イカリスーパーや成城石井ほどの高級感もブランド力もない。近くにライフしかないなら当方とてライフで買うが、近くに万代があれば当方は確実に万代を選ぶ。そういう存在の食品スーパーである。
このブログによると恵比寿店のライフは
一部一格上(デパ地下までではないが)のラインを展開しだしたのです、本来ならLIFEと謡わない方が良いのですが、首都圏に関西のLIFEの実態を知らないので、表現しても問題ないと判断された様に映るのです。
とあり、大阪市内のライフよりは一格上の価格帯を扱っているようで、東京ではライフの知名度が低いのでその価格が通用しているようだ。
だが、ここで言えることは、恵比寿三越はリニューアルしたにもかかわらず、その後1年強で閉店を余儀なくされ、後釜の食品売り場はスーパーのライフが入店し店頭は三越時代よりも活況だということである。
三越の食品売り場の「目利き」はライフに劣っていたということになるし、近隣の住人は三越というブランド名をさしてありがたがってもおらず、ライフを何の抵抗もなく受け入れているということになる。
こうなってくると、旧来型の目利きややり方では百貨店自体は客数を増やすことはできないし、そういう、現在としては少数派になってしまった旧来ファンの支持を得ることしかできず、業績は良くて現状維持で、増加に転じることは難しいということになる。
そして百貨店やファッションビルをメインとするようなアパレル企業の各ブランドも業績好転は望みにくいということになる。
2023年以降はますますその傾向が加速するだろうと個人的には考えている。2000年代半ばから17年が経過して、ブランド物や百貨店に対するマス層の支持は大きく変わってしまったといえる。
久しぶりにNOTEの有料記事を更新しました。↓
都内では後発扱いのライフですが、後発ゆえのメリット
を生かしたマーケティングをしています
西友や古くはダイエー、近年ではイオン
(都内の人間にいわせると「しょせん元ジャスコw」)
と違って、すりこみ済のイメージがない
そこで「うちは価格競争をしない、そこそこ高級な
スーパーです」という路線をとっている
都内でのライフは、
・クイーンズ伊勢丹より廉価
・けれどもヨーカドーよりも高級
・イオンや電鉄系よりも良いイメージ
といったところでしょうかね
三菱商事出身の社長さんのカジ取りが
上手かった成果だと思います
ただ「時間をかけてライフまでいってお買い物しよう」
とはなりません。しょせんスーパーですから
そして食品スーパーと思いきや2F3Fを展開している
店舗も少なくありません。そしてボロボロwww
ライフを攻めるなら2F3Fが鉄則です
食品売場は無視しましょう。どうせ高いです