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南充浩 オフィシャルブログ

用途とネーミング変更は有効な手段

2014年7月8日 未分類 0

 先日、1050円に値下がりした「汗じみしないTシャツ」を無印良品で1枚だけ購入したと書いた。

写真4

(無印良品で購入した汗じみしないTシャツ)

中高年の男性は汗っかきが多いからこの機能は愛好者が今後見込めるのではないかと感じるのだが、ジーンズメイトやナノユニバースでもすでに「汗じみしない」シリーズが発売されている。

ジーンズメイトは、Tシャツとポロシャツで「ゼロステイン」という機能名で、
ナノユニバースはカットソーに「AntiSoaked」という名前を付けて発売している。

一度雑誌で読んだだけなので記憶があやふやなのだが、たしかナノユニバースは「汗じみしないドレスシャツ」も発売していたように記憶している。

汗を大量にかく夏に必要な機能として、まず吸水速乾が注目された。
しかし、欠点もあり、スポーツ競技に使用するような本格的な機能性ならいざしらず、カジュアルやデイリー用途での吸水速乾機能は綿混で中途半端な機能性のものが多いと感じられる。

たしかに綿100%に比べると、速乾性はあるが、汗じみは防げない。

ならば、逆転の発想で、速乾性はないが汗じみが目立たない加工を施せばどうか?
という観点から「汗じみしない」シリーズは生み出されたのではないか。

体感的機能よりも見た目の機能を優先させたという風に理解している。
そういう逆転の発想も商品開発には有効ではないだろうか。

ところで「汗じみしない」加工の正体はなんだろう?と常々疑問に感じていた。

ジーンズメイトのサイトには、こう説明がしてある。

生地表面に特殊加工を施してあり、汗じみを抑えている。
裏面は吸水速乾加工を施してある。

pic-140604_02

(ジーンズメイトのサイトより)

とのことだが、ジーンズメイトの商品は綿60%・ポリエステル40%素材を使用だから裏面にわざわざ吸水速乾加工を施す必要なのだろうと推測される。

先日、量販店向けのアパレルメーカーの方と雑談をする機会に恵まれたのだが、市場に出回っている「汗じみしない」商品の多くは、表面に「軽い撥水加工」を施したものだという。
綿100%素材の場合は裏面には加工は施さないとも。

無印良品の商品は綿100%素材なので、表面に「軽い撥水加工」を施し、裏面は綿100%素材そのままということになるのだろう。

また、その人によると、カットソー類の場合は表面のみに「軽い撥水加工」を施すことができるが、布帛素材の場合、裏表両面に施す必要があるとのことであり、「汗じみしないドレスシャツ」は生地の両面に「軽い撥水加工」が施されていると類推できる。

強度の撥水加工を施せば水分は吸収されないため、汗はほとんど吸収されずに不快指数は増す。
だからある程度は吸水もするように軽めに施されている。

さて、ここまでつらつらと書いてきたが、撥水加工というのは従来から存在するポピュラーな加工である。
別に珍しくもなんともない。
しかし、用途と呼び名を変えるだけで新しい需要が生まれている。

繊維業界に限らず、国内メーカーの多くは常に「新しい機能」を生み出そうと挑戦している。
その姿勢は大いに評価すべきだが、結果としてわけのわからない機能が付加されることもある。
12年ほど前に発売されてあまり売れなかった「ビタミンC加工」されたワイシャツとか、今や無用機能のナンバーワンと考えられる家電製品のファジー機能とか、そういう意味の分からない製品が数多く生み出された。

「これはまったく新しい」というような機能はそうそう簡単に生み出せるものではない。
毎年新機能が簡単に生み出せるのならどのメーカーも苦労はしない。

となると、既存の技術をこれまでとは別の用途に使う工夫をした方が容易ではないだろうか。
その際にネーミングを変えるというのは、販促的にも優れているし、消費者にとってもわかりやすい。

「軽い撥水加工」のままでは消費者にはピンとこなかっただろうし、商品も売れにくかっただろう。

撥水加工を汗じみ防止に初めて転用してネーミングを変更したのはどのブランドだろう?
筆者が売り場で見た限りでは無印良品ではないかと思うのだが、違っていたらぜひとも教えていただきたい。
これを考え付いたブランドや企画・販促担当者の発想力には素直に賞賛を贈りたいと思う。

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