手段と目的を取り違えたか?
2014年7月9日 未分類 0
一応、夏のバーゲンセールの真っ最中である。
もともと夏のバーゲンは正月と重なる冬のバーゲンほど盛り上がらないし、最近だと年がら年中安売りされてるから、特別感がめっきりと感じられなくなっている。
それにしても今年の夏のバーゲンは、筆者にとってはあまり実感が湧かない。
欲しい物もそれほどない。
それはさておき。
先日、バーゲンセールについてこんな考察を読んで大変勉強になった。
「動機創り」と「問題解決」は別
http://ameblo.jp/tosboistudio/entry-11888105473.html
セールっていうのは、「欲しかったけど高くて買えなかった物が、今なら安く買えちゃいますよ。」
ということを「売り」にしているのだから、
「欲しい」+「安い」
の二つの要素が合わさらないと、効果がありません。
だって、そもそも「欲しくない物」が「この時期だけ安く買えちゃいますよ。」と言われても、いらないですからね(笑)。
ということは、「安い」の前に、「欲しい」を創り出す方が、優先かつ重要になります。
「欲しい」の動機創りについては日頃は何もしていないのに、「安い」の告知に関しては、どこもスゴイ頑張るから不思議なんですよね(笑)。
とのことである。
外資系のファストファッションブランドも含めて、現在の衣料品業界はこの「安い」の告知のみではないかと感じる。
SPAやジーンズチェーン店は毎週「〇〇%値引き」をやっているし、タイムセールで名を馳せた某社もある。
かつては「欲しい」を創り出す手段としてファッション雑誌への掲載とか、タレントが着用するとか、読者モデルとタイアップするなんていうのが非常に有効だった。
まるっきり効力がなくなったとは言わないが、現在はその効力は小さくなっているといえる。
次の手段はどうするか?である。
まだ「これをやっていれば大丈夫」という手段は確立されていない。
もしかすると、そんなイージーな手段は存在しないのかもしれない。
で、ここ3年ほどは毎年この時期になると「バーゲンセールの開始時期」が問題になる。
早くなったとか、意図的に遅くしたいとか。
でもそれって本質の議論ではないだろうと思う。
はっきり言って業界の都合だし、消費者にとっては何の関係もない。
先ほどのエントリーには続けて
せめて「消費行動の二段階」を知っておくと、今の時代、何を一番勉強しなきゃいけないか?は見えてくると思うのです。
①「欲しい・欲しくない」「買いたい・買いたくない」といった動機・情動創り
②「買える・買えない」といった条件面や理性に対する問題解決策
この二段階を考えると、「セール」は②に対する施策であることは忘れてはいけないと改めて思うのでした。
とある。
バーゲンセールの本質は動機作りではなく、問題解決策であると位置付けている。
「あのスーツが欲しい。でも8万円もするから買えない。けど半額に5万円前後に下がったら買える」というのが本来のバーゲンセールの楽しみであったと思う。
それ以前に、「あのスーツが欲しい」と思わせる動機作りがかつてバブル期や2000年代前半まではあったように感じる。
当時の人々の「欲しい」という欲求はどこから来たものだろうか?
単にその当時、物がなかったからなのか?
それともその当時のブランド側の動機作りが上手かったのだろうか?
個人的にはそれほど動機作りが特別に上手かったようには感じられていないので、単に物がなかったから人々の物欲が強かったのかもしれないとも思う。
しかし、昔を懐かしがっていても事態は何一つ好転しない。
業界は「安さ」をアピールすることよりも、動機作りをもっと真剣に考えるべきなのだろう。
現在の業界が袋小路に迷い込んでいる一因は、「安さ」という問題解決策を「動機作り」と取り違えていることにあるといえる。