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南充浩 オフィシャルブログ

台頭しなくても状況は変わらなかったのでは?

2014年7月10日 未分類 0

 ユニクロが嫌いだというファッション業界関係者はけっこう多い。
筆者は好きでも嫌いでもない。好みの商品が値下げされていれば買うし、逆にいくら値下げして投げ売りされてても好みの商品がなければ買わない。
その程度の利用価値しか見出していない。

彼らに言わせると、ユニクロが行った価格破壊が許せないという論法になるのだが、90年代半ばにユニクロが躍進しなくても同じことは起きていたのではないかと考えられる。

なぜなら、大手総合スーパーの衣料品はユニクロと同じ程度の価格だったし、そもそも当時のユニクロは大手総合スーパーと同じメーカーから衣料品を仕入れていた。
イトーヨーカドーの平場に並んでいた美濃屋がライセンス生産する「コンバース」のTシャツやトレーナーは94年のユニクロの店頭にも並んでいた。

ユニクロが台頭しなくても大手総合スーパーの衣料品がそれなりに売れただろうし、GAPやZARA、H&Mなどの外資SPAも日本へ進出してきただろう。

結局、バブル期までのDCブランドや百貨店ブランドの高価格体質は、ユニクロが大躍進を遂げなくても90年代半ば以降のどこかで曲がり角を迎えていたのではないかと推測している。

オートクチュールとオーダーメイド以外の既製服は工業製品である。
工業製品である限りにおいて、大量生産化が進むと一品あたりの販売単価は下がる。
これはパソコンもテレビ受像機も冷蔵庫も洗濯機も自動車も同じである。

これら家電製品や自動車が普及するにつれ、さらに販売単価が下がって大衆化しているのに、同じ工業製品である衣料品だけがなぜ高止まりできると考えられるのか筆者には理解ができない。

それに、もっと言えば、それまでのDCや百貨店ブランドはユニクロの台頭によって価格破壊が行われる程度のブランド力しかなかったともいえるのではないか。
自らの力の無さを反省すべきだろう。

また、ユニクロに代表される低価格SPAについて、海外工場での低賃金労働や労働環境の悪質さが取沙汰されることがある。しかし、それまでも大手総合スーパーは低価格品を大量に作っていたし、何よりも日本国内の製造工場の多くも低賃金である。
低価格SPAが躍進して多くの工場労働者が泣いているという指摘はいささか情緒的に過ぎるのではないか。

以前、引用したニットキッチン元社長の奮闘記で

国内ニット産地で有名な

大阪の泉州がダントツに安く、

@1,250円で受けるそうです。。((゚m゚;)アワアワ

とある。

http://ameblo.jp/knitkitchen/entry-11825665571.html

国内生産にもかかわらずたった1枚当たり1250円の製造原価でセーターが生産されているということである。
泉州に限らず、低賃金だから国内工場には若者が就職せず、高齢化した従業員と外国人研修生制度でなんとか操業しているのではないのか。

さて、いくら嘆いてみたところで、巨大企業ユニクロは厳然としてそこにある。
ユニクロ台頭以前にタイムスリップすることはできない。

ならば低価格競争をしないためにはどうするかを各ブランドが真剣に考えるべきである。

筆者は個人的に、その前提として既製服は工業製品であることを徹底的に認識すべきだと考えている。
今でも既製服を芸術作品や美術品や工芸品のようにとらえているのではないかと思われる業界人をときどき見かける。
前提となる認識が誤っているのだから、そこから導き出される答えも誤らざるを得ないのだろう。

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