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南充浩 オフィシャルブログ

着用期間と販売期間が年々短くなり続ける防寒着類

2022年12月5日 天候・気候 1

12月に入って、関西の最高気温は11月よりも5~7度くらい低下した。(最高気温12~15度)

関西ではこのところ毎年10月・11月は高気温が続いているが、今年の11月は例年にも増して昼間の最高気温が高かった。最高気温20度は当たり前、21~24度にもなる日が続いた。

朝晩はそれなりにヒヤっとするのでさすがに半袖1枚で過ごすのは、10月20日をもってやめたが、それ以降もとてもではないが防寒着を着ることなどできなかった。

朝晩が少しヒンヤリするからだろうか、11月の最高気温20度の昼間にダウンジャケットやボアフリースを着用している人たちが相当数いた。それを見て「暑くないのだろうか?」とか「20度でこれを着るということは真冬はどう乗り切るんだろう?」とか、訝しく感じた。

 

当方はYahoo!天気予報で2週間くらい先までの気温を毎日チェックしているが、これがなかなかあてにならず、しょっちゅう修正されているが、12月18日くらいまでは、だいたい最高気温が12~15度くらいで推移するようなので、関西ではそこまで深刻な寒波は訪れないだろうということになる。ただ、12月20日以降はどうなるのかは現段階ではわからないのだが。

 

ユニクロの11月度月次速報でも指摘があったように、今年11月は高温で防寒着が動きにくかったことはその通りだろう。当方なんてペラペラの上着で11月を過ごした。

ユニクロ/11月既存店売上高3.8%減、気温高く防寒衣料が不調 | 流通ニュース (ryutsuu.biz)

 

12月に入って5度くらい気温が低下し、最高気温が15度を下回る日が増えると、防寒着は好調に売れ始めたようで、ツイッターでも12月は防寒アウターが好調という販売員やMDの書き込みを散見することができる。

たしかに、暑がりの当方ですら、中肉の防寒アウターを着ることが増えた。(まだ分厚い防寒アウターは暑くて着用できない)

 

そんな中、繊研新聞が今冬の気温見通しの記事を掲載している。

ウェザーニューズが商品需要を予測 東・西日本で寒さ続き冬物需要も長く | 繊研新聞 (senken.co.jp)

 

今冬はラニーニャ現象の影響で偏西風が日本付近で南に蛇行するため、日本の上空には西回りで寒気が流れ込みやすい状況が続く。このため、12月~23年2月の気温は、北日本では平年並みからやや高め、東日本は平年並みからやや低め、西日本は平年並みから低めになるという予想で、東・西日本は寒い冬になりそうという。特に12~1月は強い寒気が流入しやすく、西日本を中心に厳しい寒さとなる時期もあるとする。

この冬は1月に入っても寒い時期が続くため、防寒インナーなどの冬物衣料の需要は例年よりも長くなるとみる。2月に入ると、12~1月に比べて寒気が緩み、2月上旬から花粉が飛び始める予想。このタイミングで花粉症対策グッズに注目が集まり始める見込み。

 

とのことである。

日本語の読解には人それぞれ差があるのだが、当方はこの文章を読んで、12月後半、または1月から寒い日があるということだが、今年1月・2月ほどの寒波にはならないのではないかと理解した。というのも「厳しい寒さになる時期もある」とあるからだ。厳しい寒さになるなら「厳しい寒さになる」または「厳しい寒さになる時期がある」と書くことが多いと考えられるが、「厳しい寒さになる時期もある」なら「たまに厳しい寒さになることもある」程度のニュアンスだといえる。

また2月上旬から花粉が飛び始めるということは、2月上旬(恐らく節分直後くらい)から気温は上昇するのではないかと考えられる。スギ花粉が飛ぶのは気温が高くなってからである。

 

となると、防寒アウターは1月末には売り切ってしまう必要があるということになる。

それにしても2022秋冬の防寒アウターの売れる期間は短い。もともとはプロパーで販売できた11月が、高温のため防寒アウターが動かず、12月に入って気温の低下とともに動き出しただが、すでにプレセールとか何なら11月下旬からブラックフライデーに突入しており、すでに値下がり傾向を強めている。

1月は広く知られているように正月バーゲンなので、もう定価で販売することはない。そして2月上旬から気温が上昇するということは1月末までに防寒アウターを売り切る必要性がある。

 

防寒アウターは、洋服好きや業界人からすると花形アイテムといえるが、北国や内陸部を除くと、関東を含む以西は10月・11月の高温は当たり前になっており、11月にはとても防寒着を着る気持ちになれない。

昔なら、季節感先取りの先物買いも多かったが、それも30年くらい前までの話で、年々減っている。

消費者としての自分の感覚で言うなら、最高気温20度の11月に防寒アウターなんて着ようとも思わないし、買おうとも思わない。買ったところで、着用するまで最低でも1か月間、場合によっては2か月くらいタンスに寝かせておかねばならない。そんな先の物を買うよりも明日から、来週から着られる洋服を買おうということになる。

防寒アウターがアイデンティティとなっているブランドを除いては、防寒アウターは販売期間も着用期間も短い非効率アイテムとなってしまっているので、生産(仕入れ)数量や展開型数を減らす方が良いのではないか。それよりも着用期間が年間5カ月から6か月にも及ぶ初夏・盛夏・挽夏初秋アイテムの企画立案と販売方法に注力した方が賢明なのではないかと思う。

衣料品好きや業界人はどうしても防寒アウター類が大好きだから削ぎ落すことには抵抗感があるだろうが、年々短くなり続けている着用期間と販売期間を考慮して、趣味と仕事は分ける方が得策ではないだろうか。

 

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 comment
  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2022/12/05(月) 12:14 PM

    業界人 兼 生活者 らしい考察ですね。キーワード山盛りだ

    まず「防寒アウター」「防寒着」という言葉が良い

    業界の人間は、アウターでひとくくりにする
    (買い手・使用手の事を考えられない)人間が大半ですから

    >11月の最高気温20度の昼間に~(つまりコートがいらない時期)
    >2月上旬から気温が上昇するのではないか

    つまり、防寒アウターの着用期間は正味
    12月・1月の「たったの2ヶ月間」しかないという事になります

    この気候変動が三陽コートを破産させた最大の原因では?
    それと同時にノースフェイスの大流行の原因でもある

    わずか2ヶ月間しか着ないのに15万のコートは買いませんよ

    しかもバカ重いでしょう?

    そして中価格帯・4~5万ゾーンのダウンJKTも同様
    着用期間はせいぜい3ヶ月です

    さいきんオシャレ不要タウンでよく見る例としては、

    ・化繊インナー恐らく2枚重ね
    ・中綿なし化繊の着丈70のJKT

    という人が多い。特に中高年は70%がこんな感じです

    服の重さは、30年前のオール天然繊維時代の
    1/3以下だと思います

    価格は、1/5以下です

    コート、セーター類は業界のドル箱アイテム
    そして4,5年着るのがあたり前でしたからね・・・

    そのうち、脱着ライナー付や中綿入りのコートは
    死滅すると思います

    さすがに私はコート類まで化繊はイヤなので
    厚手のシルク裏地無しで誂えたコートを着ていますが
    それでも化繊コートの2倍は重さがあります

    結論としては、年中暑くても寒くても
    運動着・ランニングスタイルのような
    コーディネイトになるんでしょうな・・・

    今は、むとんちゃく・そこそこ高所得のおじさま層のコーデが
    ゴルフウェアからワークマンに代わっている最中です

    ここで女性誌の脳みそだけハイクラスwな編集者は

    「フルレングスでも軽い!!
     カシミアリバーシブルコート最強!」

    とかいう見出しを考えるのでしょうが
    なんじゅう万もして、虫がすぐ食う服を買う人なんて
    2022年現在の基準では、ただのアホです

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