
「素材と縫製の品質」にこだわることの長所と短所
2022年11月8日 商品比較 1
前回、2008年のH&M上陸以降、SHEINまでの外資ファストファッションブランドの特徴をまとめてみた。
今回、大阪での期間限定店で初めてSHEINの商品を見ることができたのだが、商品的な目新しさは何もなく、普通の激安品に過ぎなかった。
当方と親交のある某大手SPA型チェーン店の社長は「商品自体は昔からある中国現地向けファストファッションに過ぎない。一説には広州市場の激安品を買っている品番もあると聞く」と指摘していた。
これまでの外資ファストファッション、国内低価格向けブランドと異なる点は、販路がネット通販のみという点と、若年層だけに絞ったウェブマーケティングとSNSマーケティングに長けている点だといえる。
H&M、ZARA、旧フォーエバー21、オールドネイビー、今回のシーインと、世界共通品を見られるようになったわけだが、これらのブランドに共通している点は2つ。
1、値段の安さ(ZARAは高めだが)
2、商品のデザイン性
である。あと、3つ目には
プロモーションへの注力
が挙げられる。
大部分の日本人が重視する「素材と縫製の品質の高さ」なんてものは全くと言って良いほど考慮されていない。
というのが前回のまとめである。
前回ブログのコメント欄でまとめてくださっている方がいるが、改めてまとめると、それがゆえに
1、外資ファストファッションは日本国内ではあまり大きな売上高を作ることができなかった
2、国内低価格ブランドが海外市場に進出しても苦戦が続く
という2つの現象が起きやすいということになる。
まず、1についてだが、2008年以降、H&MやZARAが日本国内でも相当に売上高を伸ばすと期待していた業界人やメディア業界人が多数いた。だが、結果的には2015年頃をピークとして売上高は下降線をたどり始め、2020年のコロナ禍が無かったとしてもその傾向は変わらなかっただろう。
ピーク時のZARAですら日本国内では700億円強の売上高にとどまり、コロナ禍を経た現在だと300億円台程度の売上高だと推測されている。(もっと低い可能性もある)
H&Mは幾分マシだろうが、似たような現状だろうと考えられる。
残念ながら両ブランドとも日本国内売上高1000億円到達というのは実現しなかったし、今後も実現不可能ではないかと当方は見ている。
理由は、上記したように日本人消費者からすると「たしかにデザイン商品は多く、値段もそこそこ買いやすいが他の国内低価格ブランドと比べると品質が悪い物が多い」からということになるだろう。
ユニクロはこの価格帯の中では最も高品質だが、それ以外の国内低価格ブランドでさえ、品質の面ではH&MやZARAを上回っている。場末の投げ売り店用の商品はその限りではないが、大手になればなるほど品質は高い。
それらに慣れている日本人消費者からすると、欧米ブランドへの憧れというものはあろうが、それだけでH&MやZARAだけを愛用する用にはならない。H&MやZARAも買うこともあろうが、それ以上に他の国内低価格ブランドでも買う。これが平均的な日本人大衆層の購買スタイルと言えるだろう。
また、ユニクロと比較すると、顧客層のすそ野の広がりが全く違う。平日の昼間にユニクロに行けば、少なくない老人層が買い物に来ている。老人層が利用するというのはデカイ。何せ人口が多い。
一方、ZARAやH&Mで老人が買い物をしている姿はめったに見ない。たま~に見るとしても、明らかにイキった層で、そんなイキリ層は人口的にも少ない。焼け石に水である。
だから、外資ファストファッションブランドはGAP、ZARA、H&Mの御三家を残して、他は全て撤退せざるを得なかったといえる。
一方、これが逆効果を発揮するのが、国内低価格ブランドが海外市場に進出する際だ。
ハニーズは先駆けて600店舗弱を中国内で展開していたが、現地低価格ブランドには全く勝てずに全店撤退した。ユニクロが奇跡的に中国市場で伸びたが、他の国内ブランドはさほど伸びていない。ストライプインターナショナルも中国から撤退してしまっている。
かくいうユニクロでさえ、北米市場では思うほど伸びは見られない。
その理由は様々あるだろうが、当方は国内ブランドはどれほどドラスティックで超合理的に見えても、どこかで「品質」を重視してしまっているのではないかと考えている。
2008年以降に上陸してきた外資大手ファストファッションブランドを見比べれば分かるが、シーインも含めて「素材と縫製の品質」になんて注目しているブランドは無い。
それでも莫大な売上高を稼ぐことができている。
ということは、海外市場でマス向け値ごろブランドを売ろうとするなら、「素材と縫製の品質」なんてフル無視して、安さとデザイン性とプロモーションの3つに全集中するのが正解だといえるのではないかと思う。
「素材と縫製の品質」にある程度こだわるという日本人の性癖は、外資大手ファストファッションブランドの国内市場への参入障壁となっているといえる。
しかし、その一方で、その性癖は国内マス向け値ごろブランドの海外市場進出を阻んでいるともいえる。
まさしく、長所と短所は全く同じなのである。
まあ、海外市場参入がそれほど美味しいのかどうかは置いておいて、アダストリアなどはジワジワと海外市場への進出を増やしているが、国内向けと海外向けでは商品デザイン自体は共通化しても、使用素材や縫製仕様は全く変えてしまった方が良い結果になるのではないかと思う。
当方は日本国内に居座ったまま、手に取りやすい世界共通商品を見ながらそう考えてしまうがいかがだろうか。
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「国別で消費者が求める品質基準は違うよ」
「しかも同じ国でも時代によって品質基準は違うよ」
「さらに技術の進歩を加味して品質を考えなきゃいかんよ」
う~む我ながら良いまとめだ
誰かがパクらなきゃいーけどwww
ムツカシイのはどの国でも・さらに同じ国の中ですら
いつ何時でも通用する品質基準は無いという点ですなぁ
消費者が求めるものは常に変化しているという事です
この変化にうまく適応したのがNikeのアパレル@日本市場
物としては95年ぐらいまでの日商岩井時代
日本企画でMADE IN JAPANの純綿製品のほうが
今よかぜんぜん物が良いです
MADE IN USAのNikeの並行物も入っていましたが
品質の違いは歴然としていました
ただ価格は並行物>>日商岩井なのに
並行物のほうがぜんぜん売れていた・・・
(古着屋さんはこれで結構儲けたはず)
日本産の糸が細くてフラットなメリヤス地を
日本の消費者は求めていなかったのですな
んで90年代も後半に入ると世界共通規格物になります
もちろん綿はボソボソwww
でも日商岩井時代よか売れていたwww
そして21世紀。Tシャツでもポリ混があたり前に
クリアでフラットな色だしと質感が加わり
物としてますます良くなりました
しかもすぐ乾いて伸びない
儲かり具合はもちろん
日商岩井の95年まで<<<<世界統一規格の98年~
でしょう
消費者の変化とりわけ移り気な若者に対する対応は
さすが利益第一主義でファブレスなNIKEですなぁ
私が知る限り世界レベルでこういう対応が出来るのは
スポーツブランドそれもアメリカの会社です
ウニクロGUは日本国内限定で
こうした「消費者が求める変化」に対応できています
んで、もともと粗利がデカい業界だから
あっという間に会社がデカくなる・と
会社がどう儲かろうが知ったことじゃありません
しかし
95年頃の純綿Tシャツは\3000で品質最高だけど
色落ちがすごくて乾し方を間違えるとすぐ伸びるw
2022年現在の化繊Tシャツは\2000なのに
色落ちゼロで2時間で乾きます
技術の進歩は偉大ですなぁ
もっともスポーツブランドの薄物は
全世界でカブるという難点は、ある
TVに映るアメリカの違法移民もアフリカ人も
必ずスポーツブランドのTシャツ着てますからね