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南充浩 オフィシャルブログ

低価格衣料品を買うために手間暇を費やす意味が感じられないという話

2022年10月26日 売り場探訪 2

当方は短気な性格なので、あるかどうかもわからない商品を購入するために足繫く店舗に通うことや、何時間も行列に並ぶことは大嫌いである。

すでに家族もいないし別に友人もいないし、彼女もいないので基本的に1人で行動している。そのため、〇〇に入場するために長時間行列に並ぶとか、〇〇を食べるために長時間行列に並ぶなんてことはしない。唯一並ぶとするならスーパー万代で支払いをするためにレジに並ぶくらいである。それ以外に長時間並ぶことは日常生活において無い。

新作のガンダムプラモを入手するために、発売日にジョーシンの開店前に並ぶことがあるが、田舎のジョーシンなので、並ぶ人数も10人前後と知れており、さらにその程度の人数ならほとんどの場合、新製品が行き渡る。そのため、入手できる確率が80%くらいあるので当方は並ぶし、開店時間には全員が入店できて入場制限がない。これも当方が近所のジョーシンに並ぶ理由である。

また、当方はそういう行動はとらないが、高値で転売できる商品をゲットするために長蛇の列を作って並ぶという心理はわからないではない。それで何万円か儲けられるのなら並ぶ人がいるのも当然だろう。

 

 

しかし、わからないのはシーインやワークマンに長蛇の列を作る人たちの心理である。

先日10月22日に、ユニクロ心斎橋旗艦店跡地に話題の謎のブランド「シーイン」が3カ月間の期間限定ショップをオープンした。

それ以降、メディアはシーイン一色である。当方のような底辺の人間にさえコメントが求められる有様である。とはいえ、当方も来年1月の閉店までには一度店舗を覗こうと思っているのだが、予想以上の混雑が続いているので店内に入るのは当分先のことになるだろう。

昨日10月25日、16時半ごろ、仕事終わりの移動で心斎橋を通るので、店の前まで見に行ってみた。すでにその時点で、ファッション専門学校の学生から「連日長蛇の列で、初日は2時間待ちでした」という情報を得ていたので、それを見に行ったというわけである。

平日火曜日の16時半だというのに、ざっと見た限りにおいては数十人以上が並んでいた。

 

 

この光景は仕事でこれまで何度も見てきた。

記憶に新しいのは、11年前のフライングタイガー1号店オープンの時、そして少し前だとワークマンプラスのららぽーと甲子園店オープンの時である。

今回のシーインと合わせて考えると、長蛇の列を作る理由は

1、新店舗や第1号店オープンということでの好奇心

2、メディアが過剰に報道するから興味を持つ人が増える

この2点ではないかと思う。

1はそのうちに行列はできなくなる。なぜなら、1度か2度見れば好奇心は満足するからだ。2についても「メディアが報道するから見に行ってみよか」とこれまで全然関心が無かった人も思い始めるわけだが、これも1度か2度見てみると満足するので、いずれ行列はできなくなる。タイガーもワークマンもオープン前後の報道は過熱していた。

しかし、当方は2時間待ちという時点でシーインに入店する意欲を失っている。2時間も待って入店したところで、店内からネットで買うだけだし、ゲットできるのは安い衣料品でしかない。並んだ後に手に入る物を考えると、めんどくせえなと思う。

 

これは最近のワークマンにも感じていることで、盛んに各インフルエンサーが新商品やお勧め商品をYouTubeやブログにアップしているが、どれも実店舗では1週間かそこらで完売してしまう。20億円内外の売上高しかないネット通販も同様だ。

それを乗り越えて商品を購入しようとすると、入荷しているかどうかを確認するために足繁く店舗に通うか、ネット通販で片っ端から「入荷案内申し込み」しておいて、入荷通知が来たらすぐに買うかである。

だが、どちらの努力にしても手に入る商品がワークマンの衣料品なので、その労力に見合っているとは到底言えない。機能性としては満足できるのだろうが、デイリーカジュアルとしてのファッション感だとか高揚感はまるでない。デザインが劣悪でもないが決してハイセンスでもないたかが1580円の服を買うためにそこまで努力をする必要があるのかと疑問しか感じられない。

 

低価格の飲食店に行列ができるのはまだわかる。食べ物というのはその場で消えてしまうから、味が気に入ったのなら続けて来店するようになる。しかし、衣料品は一度買ってしまうとよほどの場合を除くと、低価格品でも最低2年くらいはくたびれないから「試しに買ってみたけど、次はやめとこうかな」となりやすい。

 

加齢による意欲の低下もあるのかもしれないが、たかだか1900円程度でステイタス性もない洋服を買う目的でシーインに入店するために長時間並んだり、ワークマンに入荷を確かめるべく足繁く通うなんてことは、めんどくさい上に割に合わないと感じられてしまう。それなら、行動範囲内に店舗数も多く、一部の人気商品を除いては1週間かそこら程度で完売することもないユニクロやジーユーで買い物をしている方がよほど精神的に良いのではないかと感じてしまう。

シーインは今後も各地でポップアップを繰り返すだろうから、盛況ぶりは維持されるだろう。ワークマンは品切れが激しく実店舗・ネット通販ともに補充追加体制が整っていない。これはカジュアル向け販売の拡大においては必ず大きな障害となるだろう。(ワークマンについてはまた別途まとめてみる)

 

それにしても、日本に限らずアメリカも含めて何とも理解不能なシーインへの熱狂ぶりである。

 

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 comment
  • 南ミツヒロ的合理主義者 より: 2022/10/26(水) 1:39 PM

    ファッション、正確には感性でお金を使う分野には
    「気分がアガる要素」が求められる

    という事なのかな?

    80年代のDCブランドやさっこんのハイブランドなら
    購入時から気分アゲアゲだし
    着たらさらに気分がアガってあたり前です

    店舗・接客・商品すべて気分をアゲて
    気持ちよくお金を使わせるように設計されてますから

    けど我々庶民はそうもいかない

    となると、安物でもいいから、話題の物を話題になる形で
    手に入れて気分アゲアゲという事なんですかね?

    時給1000円の人が2時間並んだら2000円

    2000円分の時間と引き換えに気分がアガるなら
    むしろ安いものなのかもしれませんね

    「つーはんで買えるけど
     2時間並んで3ぜんえんのワンピ買っちゃった~」

    などというtwitteが流れてくるんですかね?

    並ぶ時間をバイトすればもう1着買えるのに
    1着分を犠牲にしてまで並ぶという行動に出るのは
    何故なのでしょう?

  • とおりすがりのオッサン より: 2022/10/26(水) 4:17 PM

    Quoraっていう、ヤフー知恵袋の上位版みたいなSNSにまで、「シーインで洋服を買った人はいますか?」ってくだらない質問が出てくるくらいに注目されていて笑いました(・∀・)

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