
ダイソー、セリア、キャンドゥもデザイナーズコラボ商品を企画してみてはどうか
2022年8月31日 デザイナー 2
現代を象徴していると感じるコラボが発表された。
シアタープロダクツ×3COINS、新ブランド「3C」デビュー (fashionsnap.com)
これである。
「スリーコインズ(3COINS)」から、「シアタープロダクツ(THEATRE PRODUCTS)」がディレクションを務めるライフスタイルブランド「スリーシー(3C)」がデビューする。9月5日からスリーコインズの各店舗と公式オンラインストア「PAL CLOSET」で取り扱う。
スリーシーのコンセプトは「DESIGN WITHIN REACH」。シアタープロダクツによるデザインをより身近に楽しむことができるブランドとして、デザインのある生活を提案する。耐熱のスタッカブルグラス(2種類、330円)やフードコンテナ(2サイズ、330〜550円)などのキッチンアイテムに加え、ガラスフラワーベース(2種類、1100円)やクッションカバー(2種類、550円)、バブーシュルームシューズ(2種類、550円)、ファブリックミスト(2種類、330円)といった全18種類のライフスタイルアイテムを揃える。
とのことである。
「3C」というと、ジジイには、かつてのイギリスの植民地獲得政策の「3C政策」しか思い浮かばない。
コンセプトに掲げる横文字の意味がイマイチ分からないが、シアタープロダクツがデザインディレクションをした日用雑貨が300~1000円で展開されるということである。ライフスタイルアイテムとかいうより日用雑貨と言った方がわかりやすいと思うのだが。
300均一雑貨というコンセプトでスタートした(今では均一価格ではない)スリーコインズだが、正直なところファッション業界人からは「イロモノ」「100均の仲間」と、一段どころか二段も三段も低く見られていた。
このブログに月に一度寄稿してくれているUS君が、大手SPAチェーンブランドの店長だったときに同じビル内に出店していたパルグループの店長から「来週からスリーコインズに異動になりました。ファッションを続けたかったのですが・・・(残念です)。」という挨拶があったことをツイートしている。
US君が店長を辞めてまだ10年も経っておらず、ざっくりと7年か8年くらい前だからその当時の業界人のスリーコインズに対する見方がいかに低い物だったかがわかるだろう。
そんなスリーコインズが2022年9月からシアタープロダクツという国内でもそこそこに知名度のあるドメスティックデザイナーズブランドと協業を開始するのだから、7~8年前には全く予想もできなかったというほかない。
それもこれもスリーコインズの圧倒的な売上高の成長によるものだろう。ちょうどUS君が店長を辞めたあたりですでにパルグループの最大の売上規模のブランドはスリーコインズになっていた。しかし、パルグループはそれをあまり積極的には発表してこなかった。決算資料を見ればそこには記載されていたが、取り立てて発表するということはなかった。その当時のパルの役員(現在は退職済)も「あんまり大きく発表したくない」という感想を当方に個人的に漏らしたことがあった。それほどにファッション業界人には低く見られていたということである。
しかし、そんな業界人の思惑に反してスリーコインズは順調に拡大を続けた。その要因としては当方は
「マス消費者のブランド衣料品への購買意欲が低下し、雑貨類への興味が高まったから」
と考えている。それに加えて、某商業施設のテナント誘致担当者は
「横並びのテナントに100均を導入すると抵抗感を示すブランドが多いが、スリーコインズには抵抗感をあまり示さなかったので商業施設内へのテナント誘致が広がりやすかった」
と出店が広がりやすかった背景を指摘している。
しかし、今の状態にまでスリーコインズが拡大すれば、お高く止まっていたファッション業界人も注目せざるを得ない。シアタープロダクツとのコラボはその象徴ともいえるだろう。
今後はスリーコインズと協業するブランドは増えるだろうと考えられる。
ユニクロの「デザイナーズインビテーション」(要するにブランドとのコラボ)やコム・デ・ギャルソンのH&Mコラボによって、ブランドと低価格ブランドのコラボという形態が一挙に世に知られることとなったが当時はまだ風当たりも強かった。
しかし、その後、国内でいうならユニクロの+J、アンダーカバーコラボ、ルメールコラボ、ユニクロU、ジーユーのアンダーカバーコラボ、ミハラヤスヒロコラボなどが続き、すっかり業界の主流の一つに躍り出た。
今回のスリーコインズコラボは、それが低価格雑貨にまで及んだということで、このやり方もパルグループに限らず今後は増えるのではないかと当方は考えている。
もっと有体にいえば、ダイソー、セリア、キャンドゥの百均ビッグ3も今後はデザイナーズブランドとのコラボラインを発売してみてはどうだろうか。
すでに百均も100円均一ではなくなっている。先日、ガンプラのモノアイをグレードアップするためにダイソーで「UV硬化レジン」を買ったが、これは330円だった。
いくらケチで貧乏な当方でも100~1000円くらいのアイテムならあまり躊躇せずに買えてしまう。ダイソーで見ていても300~500円くらいの商品なら抵抗なくみんな購入している。
ならば、スリーコインズの手法を百均ビッグ3が導入しても成功するのではないか。とくにダイソーは、以前にハリスツイード商品を発売したようにファッション分野に関して多少色気を持っている。
中高年の国内ファッション業界人が望んているような「特別で高価なファッション衣料品」という分野が2000年代半ばまでのようにマス層に追い求められるようになることは今後考えにくい。またデザイナーズブランドや個性的な零細ブランドにとっては大手低価格とのコラボは知名度を飛躍的に向上させる宣伝効果が高い。
今後はマス層への販促としては、低価格衣料品コラボから、低価格雑貨コラボへと移行するのではないだろうか。今回のシアタープロダクツとスリーコインズのコラボは、その嚆矢となるのではないか。当方はそんな気がしている。
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comment
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BOCONON より: 2022/08/31(水) 7:00 PM
無印良品も全店100均,あるいはそれに近い業態に商売替えすればいいのにと(あながち冗談でもなく)思います。センスや品質に信頼感があるうちにそうなれば,コラボなどしなくてもそれこそ “無印” な “良品” でかつお財布にやさしい商品ですからね。これはきっと売れるな。
少なくともいつまでたっても「どうもなあ,何がやりたいのやらよう分からないね」状態よりはたぶんましでありましょう。
パルグループレベルでも(失礼)
脱アパレル・脱ファッションは都落ちなんですね
よそから見ると、チャオパニックより3コインズのほうが
はるかにファッション性が高いように思えるんですが・・・
・チャオパニックのイメージは100円均レベル。GMS内によくあるお店
・3コインズはターミナル駅の商業ビルに入っているイメージ
といったところでしょうか