MENU

南充浩 オフィシャルブログ

低価格で集めたお客に高額品を売ることは難しい

2014年4月10日 未分類 0

 昨日まで某百貨店で「大阪の逸品」的な催事が開催されていた。
食品、服飾雑貨品などの混成催事である。

知り合いの数社が出展していたので結果を尋ねたところ、散々だったという。

筆者も何度か売り場に足を運んだのだが、惨敗の要因の一つとして、通路を挟んだ対面に某大手レディースアパレルの投げ売りセールが同時開催されていたことにあるように感じた。

そのセールでは、カットソー1枚1080円、ニット3240円、スプリングコート7500円というような破格値商品が販売されており、背後を振り返ると、1枚1万数千円以上するような大阪の逸品ストールが販売されているという状況である。

もちろん、大阪の逸品としても売り方や見せ方の工夫が足りない側面はあったかもしれないが、これでは価格差がありすぎて、消費者の購買意欲を刺激しないのは明らかである。

大阪のおばちゃんはあけすけだから「このストール買うなら、あそこでカットソー10枚買えるで~」なんてことを平気で口にする。

一方、少し前、3月下旬に同じ百貨店の同じフロアで「職人モノ展」が開催された。
これはフロア全体が職人モノで埋め尽くされていた。
知り合いの出展ブースで販売を1日だけ手伝ったのだが、当日のそのブースの売上高は20万円だった。

接客した感想でいうと、フロア全体が職人モノの高額商品ばかりなので、最低でも1万円くらいは使うつもりで足を運んでいたお客が多かったように感じた。

出展関係者によると、その職人モノ展は1週間で5000万円くらいの売上高があったというから、他のブースも平均的に売れ行きが好調だったと見るべきだろう。

ちなみに「大阪の逸品」に出展していた業者の中には、阪急百貨店うめだ本店でのテキスタイル・マルシェ出展者もいたのだが、その出展者は阪急だと1日に最低でも7~8万円を売った実績がある。多い日は20万円、だいたい平均的に1日10万円は売るという実力を持っている。

筆者は「大阪の逸品」という企画が悪かったとは思っていない。

ただ、大手レディースアパレルの投げ売りセールとの組み合わせが悪すぎた。

合同展示会も含めたイベント・催事主催者は出展者の組み合わせや配置には細心の注意が必要だということを改めて感じさせられた。

もちろん、出展側の見せ方、売り方の工夫は必要だが、それと同じくらい出展者間の組み合わせ、ブース配置が全体の売れ行きを左右する。

大手レディースアパレルの投げ売りセールで集客したお客の大半は、「投げ売り品を買うこと」が目的で来場しており、大手の既製品に比べると割高な製造業者のオリジナル品を購入しようというマインドにはなっていない。

ここから少し論を展開すると、「安売り」で集めたお客に高価格品を売るというのは至難の業である。
この理論で失敗したのが昨今の日本マクドナルドだといえる。

100円コーヒーや100円マック、無料コーヒーなどで集めたお客に700円内外するセットメニューを販売しようとしたが失敗した。
当たり前である。それらのお客は無料とか100円が好きなお客であって、来店時から700円を支払う気がないお客である。

衣料品でも同じで、「半額セール」とか「7割引きセール」とか「週末限定価格990円」とかで集めたお客は「半額」とか「7割引き」とか「990円」が好きなお客であって、定価品には関心がないのである。

これで集めたお客に「定価の2万円のジャケットも買ってくださいよ」というのはナンセンスなお願いである。

衣料品に限定していうと、見た目だけでいうなら、低価格品と高価格ブランド品の差はほとんどなくなっているのが現状である。西友の平場の商品だって、見た目はそれなりに良い。
「990円」の商品だって見た目はそれなりである。
一方、高価格ブランドに並んでいる商品もオンリーワンという物はあまりない。
低価格ブランドで似たような外見の商品を探すことは可能である。

こうなると、「半額」「7割引き」「990円」で集めたお客は、その期間が終われば、似たような商品を低価格ブランド店で探して買う。
決して高価格ブランドで定価で買おうとは思わない。

衣料品も外食産業も集客の手法を見つめなおす必要があるのではないか。

この記事をSNSでシェア

Message

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ