作ったら終わりではない
2014年4月11日 未分類 0
繊維製造加工業者が自社オリジナルの商品を開発することが増えている。
製造加工業は基本的に下請けという位置づけで、その下請け仕事が減っているのだから、自ら消費材を開発して販売していくほかない。
卸売りからスタートして、最終的には直販することが理想形だろう。
だから基本的に製造加工業者が前に乗り出すという取り組みには賛成である。
これを組合単位で取り組んでいる場合もある。
個別企業にせよ、有志グループにせよ、組合事業にせよ、残念ながら多くの場合は、製品が完成した時点で安心してしまっている。
消費材を開発・製造するまでには多大な労力と時間がかかる。
ストールにせよ、バッグにせよ、完成した時点で「ヤレヤレだぜ~」と脱力する気持ちは理解できる。
けれども、実際は製品完成というのはスタートラインに立ったのと同じであり、そこはゴールではない。
卸売りにせよ直販にせよ、そこから販売するという事業がスタートするわけである。
製造して終わりというなら、ファッション専門学校生が授業の課題で洋服や雑貨を作って、教員に提出するのと同じである。
最近では、百貨店もファッションビルも、こうした国内製造加工業者のオリジナル商品を売る場を積極的に提供してくれる。
こうした商業施設での期間限定催事は増加傾向にある。
ポッと出のオリジナル製品だってけっこう著名な施設で販売することも難しいことではない。
数年前までは考えられなかったことである。
少々興行成績が悪くても何度かチャンスももらえる。
筆者もそういう場を何度か覗いて話を伺う機会があるが、前回の興行成績を踏まえて、何らかを改善・改良している企業や団体は少ない。
1度だけの結果で失敗か成功かは断じられないが、中にはきわめて短い期間に3度、4度販売会に出店する企業&団体がある。
3度・4度やって業績が振るわないものははっきり言って失敗である。
百歩譲っても成功とは呼べない。
ならば改善・改良する点があるということである。
中には集客力の弱い施設もあるが、そこそこに集客する施設でも業績が振るわないなら、出店者側にも問題がある。
商品のデザインなのか(サイズや使用素材、機能性も含める)
売価設定なのか
販売員のスキルや姿勢なのか
陳列やPOPを含めた見せ方なのか
だいたいこの中のどれか、もしくはこれらすべてに問題がある。
たとえば、すごく良いデザインの商品を作っているメーカーがある。
実際にもあった。
けれども売上高は振るわない。
筆者はそのメーカーの問題点は売価だと感じた。
売価が高すぎた。
たとえば、消費税込で4万円強のバッグがあったとする。
この材質が豚革だとしようか。
いくらデザインが良くても、その材質ではこの価格で売ることは極めて難しい。
なぜなら、3万円代で牛革や馬革のバッグが世の中にはある。
また同じ値段で有名ブランドのバッグが山ほどある。
無名のメーカーが作ったバッグが、有名ブランドに勝てるのだろうか?
また、材質の品質に勝って価格が低い商品に勝てるのだろうか?
ビジネスは勝ち負けではないが、競合はある。
競合を抑えることができるかどうかである。
作り手側は「ワシらの熱意と真面目な取り組み姿勢と云々」みたいなことをおっしゃる場合が多いが、ではその熱意と真面目な取り組み姿勢が、店頭を訪れたお客に伝わっているのだろうか?
または伝える努力をしているのだろうか?
店頭で暑苦しくしゃべるばかりが伝える手段でもあるまい。POPなり、ポスターなり、動画なり、そういうものを工夫するのも努力である。
3度、4度販売会を開催してみて、業績が振るわないのであれば、どこかに問題点がある。
その問題点を改めて直視することをお勧めする。