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南充浩 オフィシャルブログ

統計でゴルフ人口は減少し続けているのにゴルフブランドの売上高が伸びる謎

2022年4月15日 トレンド 4

世の中には様々な事象がある。

納得できる理由を思いつく事象も多いが、全くその理由を思いつかないのが「ゴルフブーム」である。

まず、自分が全くゴルフに興味がないということが最大の理由なのだが、自分の好き嫌いを除いたとしても、ゴルフを始めるというのは心理的ハードルが高いと感じる。

 

1、揃えるべき道具類が多すぎる、それに対してカネがかかりすぎる

2、ゴルフコースには自動車が無いと行きづらい

3、打ちっぱなしはともかくとして、コースは一人では回れない

 

の3点が特にハードルが高いと感じられる。

まず、1だが、ゴルフクラブを何本も揃えないといけない。価格はピンキリのようだが、安くても1セット10万円くらいしてしまう。これはなかなかに大変な出費である。

次に自動車だが、当方はスーパーペーパードライバーなのでそれだけでやる気がなくなる。レンタカーを借りれば良いという声もありそうだが、レンタカーを手配するめんどくささに加えて、そこにもまたお金が必要になる。

そして、3だが、これがめんどくさい。なぜなら当方にはゴルフコースを回るような友達はいないからである。さらに言えばゴルフをするために友達を作る気は全くない。

ゴルフというのはカネと自動車と友人を持っているリア充がやるスポーツだということが如実にわかる。

 

一方、ゴルフが注目される理由として納得できるのは、コロナ感染への警戒によって、室内よりも屋外でのスポーツが注目されるという点である。

だが、当方のように金無し、自動車無し、友達無しの人間にとってはゴルフなんぞを今から始めるよりも、少額の投資で今すぐ始められるランニングやウォーキングの方がずっとお手軽でハードルが低い。もう11年間もゆっくりペースのランニングを続けている。昨年12月には近所の在庫処分店で219円の縄跳びを買ってきて、縄跳びもメニューに追加している。

なまじ、めんどくさい赤の他人と何かをプレイするよりは一人でランニングなり縄跳びなりをやっている方がずっと当方の性に合っている。

 

そして、体感的に言うと、親類でゴルフをやっている人が誰もいないということもある。70年代~90年代前半くらいまでは、父や伯父、叔父たちも仕事の付き合いでゴルフをやっていたことを記憶している。しかし、90年代後半以降、誰もゴルフに行かなくなってしまった。

 

一方、アパレル業界ではゴルフ事業というのは比較的好調なブランドが多く、特に2020年のコロナ禍以降はほとんどのゴルフブランドが売上高を伸ばしている。

例えば、直近だとこんな報道である。

TSI営業利益が過去最高 22年2月期、ゴルフ「パーリーゲイツ」が貢献 – WWDJAPAN

売上高・利益ともにけん引するのはゴルフ事業で、基幹ブランドでほぼセールも行わない「パーリーゲイツ」の売上高は同48.4%増の150億円に跳ね上がった。

 

1年間で1・5倍にも売上高が増えているのだから相当に需要が急増していると考えられる。

しかし、体感的にはゴルフ人口が増えているとは到底考えられない。

そこでちょっとググってみるとこんな解説記事を見つけたのでご紹介っしたい。

レジャー白書2021を考える

「レジャー白書2021」が9月に発表されました。ゴルフコース人口は対前年比▲60万人の減少となっています。調査時点が2021年1月なので、2020年のデータと捉えます。その一方、12月に日経MJ誌が「2021年ヒット商品番付」にゴルフを小結としてランクインさせました。その根拠として、経産省の「特定サービス産業動態調査」における2021年9月のゴルフ場利用者数急増をあげています。こちらは文字通り、2021年のゴルフ産業の景況を基にしています。

 双方とも、ゴルフ産業界としては信頼したいデータです。対象期間が微妙に異なりますが、片や「人口減少」、片や「ブーム到来」と方向性が反対となりました。これをどう統合的に捉えるのか、過去10年間のゴルフ産業需要関連データの推移を確認しながら考えてみましょう。

 

とのことである。この出だしだけで普通に考えるとおかしい。

詳細は原文を直接お読みいただきたいのだが、掻い摘んでまとめると、

毎年発行される「レジャー白書」によると2011年に比べてゴルフ人口は下がり続けていて、2011年を100とすると2020年は40%前後減少している。10年前の6割程度の人口しかないということになる。

他方、ゴルフ関連産業需要データでは、ゴルフ対象人口は微減が続いているが、2020年から増えている。

とはいえ、この記事でも

調査の誤りとは言えません。統計調査には必ず統計誤差が生じます。とはいえ、筆者はそもそも全国ゴルフ産業需要量のような計量データを、インターネット調査の3246サンプルで判断しようとするのが無謀と考えます。

レジャー白書はゴルフのみが対象ではありません。
・ 他の余暇支出動向と毎年比較できる。
・ コースと練習場が区別されている。

としており、レジャー白書の数字は実態を反映していないとはいえ、誤りと断定するのも危険だということである。

ではどうしてここまで、実態と乖離したデータを用いざるを得ないのかである。

「レジャー白書だけでゴルフ産業経営はできないよ」と訳知りになるのは良いのですが、問題は今回引用したデータにゴルフ界、ゴルフ産業界が汗して自ら(他人以上に)調査したデータが無いことです。

とのことで、これはゴルフ業界の怠慢と言われても仕方がないだろう。

この記事は

気になるのは、より正確な利用税ゴルフ場利用者数が、2020年対象人口以上に減少したことです。減少幅は最近10年間で最大です。

以上3点をゴルフ産業界はどのように理解すべきでしょうか? 筆者はゴルフブーム到来ではなく、コロナ禍での行動規制の結果、制限された消費がゴルフにだけ解放された幸運(棚ぼた需要)と考えています。

「松山プロのマスターズ制覇によるブーム」とは考えられません。対コロナ後はゴルフ対象人口減少による需要減が、鉄壁のように続きます。解放された消費が逆にゴルフ以外に向かう「逆リベンジ不況」も想定しなければなりません。

と結論付けていて、ゴルフの門外漢たる当方も賛同できる。

 

今回、何故ゴルフについて取り上げたのかというと、確かに2020年春以降、ゴルフ系ブランドが目に見えて好調になったがその理由が皆目理解できなかったことに加え、アパレル業界が得意の後追い体質をここぞとばかりに発揮してゴルフブランド、ゴルフラインを雨後の筍のように立ち上げている。

その多くが、大してゴルフ市場の現状や今後の展望を分析することなく、「売れてるらしいからうちもやろうや」「既存のカジュアルが落ち込んでいる穴埋めができそう」という軽い理由で開始されている。

しかし、当方自身の生活スタイルや身の周りを見ても、もちろん偏りはあるだろうがゴルフ熱が広く高まっているとは微塵も感じられない。そのため、ブームはあるかもしれないが、そのブームは非常に小さく限定的なものではないかと思える。

となると、深く考えたり分析したりもせずに、表面的に売れているからという理由でその分野に参入することはひどく危険な行為であると当方の目には映る。

そのため、地に足を付けて考えてみる必要があるのではないかと強く思う。

 

このメディア以外には、まともにゴルフ市場を分析している記事をほとんど目にしたことがなかったので、疑問は大きくなるばかりだった。

おまけにアパレル業界人も、業界メディアもゴルフ人口が減っているのか増えているのかすらも気にせずに、「ゴルフブランド好調」を垂れ流し続けていたので、一層当方の危機感が高まった。

フッ軽(フットワークが軽いこと)も大事だが、市場動向や需要の増減なども考慮しないと、これまでアパレル業界が散々繰り返してきたブームっぽい空騒ぎをまた一つ追加することになるだけである。

 

 

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2022/04/15(金) 11:23 AM

    茨城住まいの金属加工工場工員ですが、うちの工場の周りだと結構ゴルフ場が多くて、従業員の平均年収400万も行かなそうなダメ工場なのに、会社で定期的にゴルフコンペやってましたw
    アホ社長は結構金掛けて練習してたようでまぁまぁ上手かったようで、社長のご機嫌取るためなのかゴルフ好きなのか部長、課長連中は金も無いだろうに毎回コンペに参加してましたね。田舎なので車の問題はないんですが。
    先代の社長の時代には本業と関係なくて売れるはずもないのに、自社製品としてゴルフクラブまで売っていました。当然ながら赤字で今はもう売っておらず、ネットでブランド名を検索しても引っかからないくらいのものでしたが。
    アホ社長は「飛ぶクラブだったが世間のニーズはコントロール重視だったから売れなかった」とかエラソーに分析してましたが、いやいや誰も知らないブランドのゴルフクラブなんか買う奴が居ないだけだろと私は呆れていました。
    ま、そんなダメ社長だったので、インチキコンサルに引っかかって無駄金使い、赤字続きで去年には銀行主導で会社は安値でデカい会社に買収されて会社手放し引退しちゃったんですが。
    そして、経営引き継いだ会社から来た常務取締役にはゴルフ行かないか誘われましたが、年収300万の下っ端を誘うなよと思いましたw(・∀・)

  • おじさん より: 2022/04/15(金) 2:11 PM

    地方は知りませんが、千葉県のゴルフ場はかなり混んでますね。

  • 読者 より: 2022/04/15(金) 2:32 PM

    私も元アパレルでゴルフしません。ただ遊びでやった時に一番飛んで飛ばし屋と言われて気分よかったので楽しさは少しわかる。

    仮説としてはゴルフやるのはリア充が多めで所得水準が高め。
    すなわちマーケットが良い。業態にユニクロやワークマン、無印が参入していないため価格が崩壊していない。等が挙げられる。
    ユニクロもプロゴルファーと契約してたけどあまり注力してない印象だったし
    ユーザー側も安い服実需があまりないのかも。既存のユニクロで別に問題ないし。
    ゴルフって仲間と競い合う場だったりパパ活同伴でおしゃれする場だったりで、
    安くて便利という今の主流なファッションニーズとはかけ離れているのかも知れない。

    自分も今回のTSIの決算で?と思ったのでこの話はすごく同感しました。
    はたして現実は如何に?

  • ふぁ~~ より: 2022/04/17(日) 5:26 PM

    ゴルフブーム?
    確かにブームと言われる前より20才代~30代?の男女が多いみたいだけど
    逆に40代~70代はやんなくなった人が多い気がします。
    それで人口減っているのかなぁ
    初めから6割減の人たちはパーリーのお客さんではない。
    新たな2割増しの人たちがパーリー
    なので4割減なのかなぁ
    パーリーは若者特に女子、中年のちょい○○系…に大人気

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