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南充浩 オフィシャルブログ

日本ではメタバースはマスに広がらないのではないか

2022年3月16日 ファッションテック 0

自分は写真に映ることが嫌いである。

とはいえ、仕事柄顔写真が要ることもあるので我慢して撮影はしている。

理由は自分の顔立ちが理想とは程遠いからで、もし竹野内豊かディーンフジオカ並みのイケメンであったなら、もっと写真に映るのが楽しかったのではないかと思っている。

また体格についてももう少し華奢でありたかった。今の体格だと似合う服が限定されすぎてしまう。しかし、ウェブ内にあるアバターなら自由自在に好きな服を着せられ、しかも似合うという楽しみがある。

 

最近、「メタバース」に関する記事が業界メディアや経済メディアで時々報道される。

その昔、少しだけ流行したような気がした「セカンドライフ」のような仮想空間に多数の人が入り込み、自分のアバターを設定し、それに好きな洋服を着せるという楽しみ方が、ファッション産業の次の糧になるのではないか、という論調である。

この論調には賛成できる部分はある。

理由は上でも述べたように、現実の自分の容姿が気に入らないという人は少なからずいて、仮想空間なら自分の容姿を理想通りに描くことができ、それに服を着せるのであれば、現実生活では着用したくても避けてきたような服を着せることができるから、楽しさを感じられるのではないかと思う。

その一方で、メディアや一部のブランドが前のめりになるほどに売れるのかという疑問も当方にはある。

個人的には、欧米はともかくとして、我が国ではそこまでの売上高にはならないのではないかと考えている。

 

例えば、荒野行動とかフォートナイトというゲーム内でのファッション売上高はある程度は今後も見込めるだろう。

ゲームへの参加プレーヤーが増えれば増えるほど、ファッションの売上総額は増えるだろう。

当方はスタート直後からポケモンGOを続けているが、自分のアバターには何某かの服を着せている。当方は生まれついてのケチなので、着せる服は無料の物ばかりだが、気分転換に1年に1度くらいは着替えさせている。

フォートナイトや荒野行動というゲームをやったことはないし、今後もするつもりはないが、このゲーム内の自分のアバターにファッションを買い与えるのは、同様の楽しみ方だろうと想像できる。

 

だが、その一方で、ゲームではない仮想空間にわざわざ集まってしかもアバターを作って服まで購入して着せ替えを楽しむ人がどれほど存在するのかという疑問がある。

現在、当方はSNSではツイッターとフェイスブックを主に活用しているが、これが空間化されアバターを作ってその中で他人と交流したいか?と問われると、全くそんなことをしたいとは思わない。

そういうコミュニティーに属したいという人はいるとは思うが、それはマスではないのではないかと思う。

他人とコミュニケーションを取りたければ、現在のツイッターやフェイスブックで文字のやりとりをしていれば十分だと自分は感じる。

 

アニメの話で申し訳ないが、「ガンダムビルドダイバーズ」というアニメがあった。これは、ガンプラ同士をバトルさせるアニメなのだが、GBNという仮想空間内に自分が入り込み、アバターを好きな容姿に設定でき、ガンプラを操縦しながらバトルするというシステムが描かれている。

個人的には「ビルドダイバーズ」よりも続編の「ビルドダイバーズ リライズ」の方が面白かったが、その話はおいておく。

で、メタバースのファッションが成立するのは、荒野行動やフォートナイトやポケモンGO、ビルドダイバーズで描かれたような「ゲーム」としての機能が付随しなければならないのではないかと思う。

もちろん、そのブランドのファンのコミュニティーなら成立はするかもしれないが、それはマスには広がりにくそうだ。

現在、すでに様々なブランドが参入している。

グッチやラルフローレンなどのブランドもあるし、国内だとシーズメンなんかは積極的に参入している。しかし、グッチやラルフなどのブランドのファン以外はそこに興味をあまり持たないだろうし、ブランドのファンでも興味を持たない人は多いのではないだろうか。

繰り返すがこれがゲーム内なら話は別で、ゲームを進めて行くうちに気分転換で着替えさせたいと思うようになるだろうし、ゲーム内でのコミュニティーに属せばそこでのファッション談義から洋服購入に至ることは少なくないだろう。

 

だが、漫然とした仮想空間にわざわざ入り込みたいと思う人がどれほど存在するのだろうか。

当方にはそのような願望は全くないので、その気持ちはわからない。空間内でゲームをプレイするとか、何かの業務の一端を行うとか、そのような目的がない状態で空間に入りたい人なんてそんなにいるのだろうか?

 

アパレル産業は国内はもとより欧米でも手詰まり感がある。実物が売れにくいのならバーチャルで売ろうという考えもわからないではない。

だが、ゲーム以外でのメタバースをやってみたいと思う人は少数派で、大多数はあまり興味を示さないのではないかと思う。

自分などはポケモンGOのアバターを時々着替えさせればそれで十分である。

 

技術の革新を否定する気はないが、メタバースで衣料品がすごく売れる(ゲーム内での売上高は除く)とか、誰もかれもがメタバースに参加するとかそんな未来は訪れないか、訪れたとしても相当先のことではないかと思いながら、業界メディアのメタバース報道を眺めている。

 

 

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