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南充浩 オフィシャルブログ

自社のクラファンの状況をぶっちゃけてもらった話

2022年2月18日 トレンド 0

近年すっかり定着したクラウドファンディングだが、定着度合の高まりと反比例するかのように、達成するのが難しくなってきていると感じる。一つには、クラファンの乱立による個々の対象への注目度の低下があるのではないかと思う。

 

 

 

当方も、はっきり言っていちいち「今日はどんなクラファンが始まったのかな?」と思ってクラファンサイトを定期的に覗くようなめんどくさいことはしない。知り合いか何かの告知で上がってきて初めてクラファンサイトへ覗きに行く程度である。恐らく多くの人がその程度の覗き方だろうと思う。だから、例えばキャンプファイヤーという有名なクラファンサイトを覗いても、ファッション分野だけで無数のクラファンが並んでいる。しかもその多くが達成していない。酷い場合は支援者0人で終わっているプロジェクトも珍しくない。

当方からするとクラファンはスーパーレッドオーシャンだと感じるし、その割には実入りが少ないとも感じる。もちろん、有効な手段の一つだとは思うのだが。。。

 

 

にもかかわらず、繊維業界の川上に属する業種の人たちはいまだにクラファンは容易く達成できる販促手法だと思っている人がいまだに少なくない。実際にそのようにお話になる川上の人と何人もお会いしたことがある。またアパレルに新規参入しようとしているド素人さんにもクラファンを容易な手段だと捉えている人もいる。そこで今回は「ブルーモンスタークロージング」ブランドで、クラウドファンディングのほとんどを達成させているブリッツワークスの青野睦社長に「クラファンの自身の実体験」についていろいろとぶっちゃけてもらうことにした。

 

 

 

ブリッツワークスは現在、バイク乗車用のツナギをクラファンにかけており、まだ少し日数は残っているものの目標金額は達成している。 

日本一周バイク旅から生まれた【ツーリングを最適化するライダー専用ツナギ】が完成! – CAMPFIRE (キャンプファイヤー) (camp-fire.jp)

 

2月18日現在で60人くらいの支援が集まっており、だいたい60枚を生産することになると考えられるが、2月末までの期日なのでそれまでにはもう少し支援者は増える可能性がある。

だが、生産に詳しい人がいるなら、現時点での60枚では恐らく生産のミニマムロットに乗らないのではないかと考えられるのではないかと思う。が、実はその通りなのである。

 

 

青野社長によると、「正直に言うと、ミニマムロットには達しません。今回の商品のミニマムロットは200枚なので、足りない分は、卸売りを獲得して穴埋めしようと思っています。現在の60枚+卸売りの140枚で200枚を達成できたらと思って努力しています」とのことである。

 

 

 

ー 貴社の場合、クラウドファンディングによる収益はどんな感じでしょうか?

青野社長:当社はだいたいいつも目標金額を100万円~200万円と設定していますが、達成できたとしても手元に残るお金はそんなに多くありません。まず、クラウドファンディング側への手数料の支払いがあります。キャンプファイヤーの場合は公式サイトでも書かれているように10%ですので、100万円なら10万円となります。

この時点で残りは90万円となります。そこから、商品の生産費用を引きます。商品にもよりますがだいたい3分の1から半分くらい必要になります。そこから商品の送料もかかります。だいたい数万円がこれで無くなります。そして、当社は、クラファンサイト内でも目につきやすいように広告を出稿しており、これがだいたいざっく20万円くらいかかります。ですので100万円を達成しても手元に残るお金は何万円かというくらいになります。

達成金額が増えれば増えるほど手元に残るお金は増えますから、仮に500万円とか1000万円とかの金額を達成できれば、まずまずのお金が残るはずですが、これほどの高額な目標はおいそれとは達成できません。

 

 

ー 利益額が少ないのに、10回以上もクラファンを続けている理由は?

青野社長:当社のような零細個人企業は、なかなか取引先を新規開拓することは難しいので、話題作りも兼ねてクラウドファンディングを続けています。そして、先ほども述べたように卸売りと合わせての生産のミニマムロットの確保も大きな理由です。また達成できれば、それを実績として営業ツールとしても使います。

 

 

 

ー クラファンが定着して何年間か経過していますが、以前と比べて変化したと感じる部分は?

青野社長:以前と比べて、クラファン事案が乱立していますから、消費者の目に留まりにくくなっており、例えば楽天やZOZOと言った大型ECモールと同じで、「いかに目に留まるようにするか」がカギになります。何もしなければ超有名なブランドでない限りかなりの確率で埋没してしまいます。以前よりはそういうECモールで目立つのと同じ工夫が必要となっています。当社が広告出稿をするのはそのためです。

サムネイルや文言を工夫して、サイト内検索で上位に表示されやすくすることも必要です。これはいわゆるSEO対策と同じですね。

あと、商品の説明文の書き方も今は随分と厳しくなり、大手ECモールと変わらないエビデンスを求められるようになりました。これは恐らく、食品やサプリのクラファン案件が増えたことによるものでしょう。体の中に入れる物ですが、結構、エエかげんな説明文の食品やサプリも登場していたようですので、それもあって厳しくなったのでしょう。

 

 

 

ーこれからクラファンをやってみたいと方へのアドバイスは?

青野社長:クラファンも通常のWEBサイトと同じで「知られていないのは存在しないのも同然」です。いかに知ってもらうかが必要になります。いまだに「公式サイトを立ち上げたら何万人も閲覧してもらえる」とか「ネット通販を開始したらすぐに何百万円も売れる」と考えている方が業界にはいらっしゃいますが、よほど知名度が高くないと不可能です。クラファンも同様です。知名度が低ければ閲覧されにくいですし、乱立するクラファン案件に埋没してしまいます。

その辺りをシビアに考えた方が良いでしょう。

 

 

 

今回はいつもと趣向を変えて、このような形式でクラファンの実際をぶっちゃけてもらったが、実際のところ、当方でさえ、たまにめちゃくちゃ安易なクラファンのプランを相談されることがある。「そのままのプランではかなり厳しいですよ」とお伝えするのだが、修正されない場合はほぼ失敗に終わっている。今回の内容が今後の参考になれば幸いである。

 

 

 

 

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