
欧米の低価格品が日本では通用しづらいと感じる理由
2022年2月17日 ネット通販 3
少し前のことになるが、ウォルマートが西友の株式のほとんどを売却した。
楽天、KKR共同で西友買収 ウォルマート、実質日本撤退の背景と早くも焦点になる出口戦略 _小売・物流業界 ニュースサイト【ダイヤモンド・チェーンストアオンライン】 (diamond-rm.net)
この記事はかなりまともに公平に論じられているように感じた。消費者として時々西友を利用してきた者からすると、西友の商品陳列は「よくあるアメリカのスーパー」的な何の面白味もない棚割りに見える。おまけに最寄り店は照明が同業他社より暗めで暗鬱な気分にさせる。これがウォルマート流なのかもしれないが売れなくて当然だろうと思った。
ハッキリ言って、イオンやヨーカドーなどの同業他社の方がずっと陳列や照明は上で、近隣に出店されればたちどころに負けてしまっただろうと思う。
また価格についても微妙で、当方が愛用するスーパー万代と食品の価格を比べてもそれほど安くはなく、物によってはスーパー万代の方が安い物が多い。また値引き率でいうと、スーパー万代の方が大きい。酒類は西友の方が安い物が多い。だからウォルマート西友が掲げてきた「エブリデーロープライス」はそんなに驚くほど安いとは思えなかった。恐らく、近隣の住人は当方と同じ感想を持っているだろう。「驚くほど安いとは感じないけど?」と。
発表されたのが2020年後半だったのだが、その際、結構トンチンカンな評論を見かけた。その最たる例が「日本人はウォルマートにも見放された」というものだったが、当方からすると捉え方が逆で、ウォルマートがずっと日本人から支持されないままだったというのが正しいだろう。
ウォルマートというと「安さ」が売りだが、その「安さ」は同業他社と比べても特別に安いとは感じられないのが実状で、イオンやヨーカドーあたりの大手総合スーパーと比べると安くない割には陳列が無機質的で面白味が無いと言える。そりゃ売れなくて当然だろう。
同じ構図なのが外資系低価格ブランドではないかと思っている。2009年ごろから本格上陸したが、オールドネイビー、トップショップ、アメリカンイーグルなどがどんどん撤退していった。フォーエバー21は本国の経営破綻もあったが、最終的に2枚目無料で売るほど在庫回転率は悪化していたといえ、本国が経営破綻しなくても早晩日本撤退に追い込まれていいただろう。
一定規模で残っているのはZARAとH&Mくらいだが、ZARAの系列ではストラディヴァリウスが撤退しているし、H&M系列でもモンキやウィークエンドは早々に撤退している。
残ったZARA、H&Mだが、ブランド規模としては頭打ちで今後飛躍的に売上高を国内で拡大できるとは全く思えない。現状維持から良くて微増という業績で今後も推移していくだろう。
理由は、大多数の日本人からすればユニクロ、しまむら、ジーユー、ハニーズ、アースミュージック、ウィゴーあたりがあればZARA、H&Mはそこまで必要ではないというのが本音だろうと思う。当方はそうである。
たしかにZARAだけは、国内低価格ブランドには無いデザイン物があるが、当方は縫製のテキトーさ、使用されている生地のガサガサ感と表面の荒れ具合が好きにはなれない。2000年頃に心斎橋ビブレのZARAで買った半袖シャツは縫製が酷く、前立てがねじれているだけでなく、左右の半袖の折り返し部分の幅が大幅に異なっていた。袖の折り返し部分の長さが違うことは我慢できても、前立てがねじれているのは我慢できず、すぐに捨てた。
H&Mのメンズははっきり言ってベーシックアメカジなのでそこまで買う必要性が感じられない。おまけにやはり、素材の表面の荒さは全商品に見える。値段が同等のジーユーよりワンランク落ちると見ている。3年くらい前にレーヨンプリントシャツを何枚か買ったが、同じレーヨン素材でもジーユーやユニクロ、アダストリアのレーヨンシャツの方が表面が滑らかな素材を使用していて、H&Mは荒さが目立った。そうなると、同じ値段で素材がワンランク上のジーユーを買えばいいということになる。もしくは1000円か2000円プラスしてアダストリアやユニクロで買うかである。
今後も欧米の流通企業、低価格アパレルブランドは日本では根付かないだろうと思っている。しかし、SHEINはかなり脅威ではないかと思う。わけのわからないイキリコンサルたちが最近SHEINをやたらと持ち上げている。システムがーとかそんなことはどうでもよいし、システムが良いから売れているわけではない。当方が教えている専門学生も SHEIN を買っている。彼・彼女らはSHEINというブランド名も認知しておらず、どこの国のブランドかも認知していない。買っている理由は「安くてかわいいから」である。安くなければ恐らくは買っていない。「この企業のシステムが素晴らしいから買っている」なんていう気味の悪い学生はこの世には存在しない。
先日、学生イベントで多数のSHEIN商品が出品されていた。個々の商品を見ると、ZARAやH&Mに比べると表面感が滑らかな生地を使っている。もちろん糸自体はポリエステルやアクリル、ナイロンという合繊主体だが、生地になった時に表面が滑らかでガサガサ感が少なかった。それでいて、値段はジーユー並みで最終的には数百円に値下げされる。今の日本人からすると欧米のバタ臭さ全開のZARA、H&Mと比べるとはるかに親しみがわきやすいだろう。
SHEINの商品は日本人が好みそうな「ツラ」をしているといえる。圧倒的低価格と相まって、この外資系ブランドは日本に根付くかもしれないと感じる。ウォルマートにせよ、グローバル低価格ブランドにせよ、日本で売りたいのなら日本人の嗜好に合わせる必要がありそれができないのなら撤退するしかない。ラグジュアリーブランドはどうなんだ?という声が聞こえてきそうだが、ブランドのステイタス性が高いと認識されているため、日本人消費者がそちらに合わせるのだが、ステイタス性が低い低価格品に対して、いくら「欧米モノ」だからと言って、そこに合わせようとする日本人はいない。その差がわからないのなら、ますます撤退するしかない。
あんまり脅威を感じなかったなあ
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南ミツヒロ的合理主義者 より: 2022/09/02(金) 12:17 PM
「わけのわからない粋がりコンサル」というのは、
「自分でも何を言っているのか分かっていないが
要するに、流行りのネタを利用して目立ちたいコンサル」という事でいいですねww
ヨーカドーもスタバもトヨタも利用者は別に「御社のしそーに
かんめーしますたあー」から物買ってるわけじゃないですそらそうと、小売業はローカライズ必須は常識ですが、
南サンの分析をみるに、商品・店頭販売・無店舗販売の
全ての側面でローカライズが必要なのがよく解りますSHEINはHPの作りがそもそも上手い。南サンがダメだしした
ようにただ並べる陳列のママでは日本人の好みには合いません
それはwebの世界でも同様です -
南ミツヒロ的合理主義者 より: 2022/11/28(月) 10:47 AM
この記事はSHEINプチフィーバーが起きる
半年以上前のもの南サンの視点がよくわかる投稿です
「絶対さんせーorひたすらアンチにならず
情報の整理をする」欧米安物のバタ臭さはないし
見せ方はうまいあとは実物で検証そして
今後どうなりますことやら・・・ただ、日本の市場に無かった類の商品で
あるのは間違いないと思います基本的にというよりも、絶対に
「ワンシーズン使い捨て」を厳守せざる得ない
服が日本で定着するか?如何に??
GAP もそこまであからさまに品質が悪くはない,というのとシーズン・オフに極端な値下げをするので何とかもっている感じですね。でも格別日本人の嗜好に合っているわけでもないし,原宿渋谷からは撤退してしまったし,僕などには滅多に欲しくなるような商品がない。前途多難というか正直「アバクロや GAP もいつまで持つやら」と思っています。