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南充浩 オフィシャルブログ

それでも最低限の売上高は必要

2014年1月7日 未分類 0

 昨日の続きでデザイナーズブランドについてもう少し考えてみたい。

今後、この分野が飛躍的・爆発的に伸びることはないと考えている。
ただ、「俺らは仲間数人で楽しく企業運営して、年商1億円くらいあれば十分。それで10年やりたい」というスモールビジネススタイルはありだ。起業した本人たちがそのように割り切って小さいビジネスを細く長く継続するというスタイルがあっても良いと思う。

ただしそれでも最低限の売上高は必要だ。

昨日、「東京コレクション出展の常連デザイナーズブランドでさえ年商3000万円レベル」と書いたが、これでは最低限の売上高も立たないという意味である。
なぜなら東京コレクションの1回の出展にかかる経費は最低でも1000万円前後といわれているから、年間2回の出展で2000万円が必要となる。

年商3000万円のブランドなら出展経費だけで2000万円が消えさり、実質の売上高は1000万円ということになる。これが1000万円の利益なら話は別だが、売上高で1000万円しかないわけだから、そこから製品の製造費、事務所家賃、水道光熱費などを支払うと手元に残るのはわずかである。そこからさらに人件費を支払うわけだから実質赤字にしかならない。

もし東京コレクション出展をせずに3000万円の売上高があるブランドなら内情はもう少し楽になる。

どんぶり勘定をしてみると、東京コレクション出展ブランドなら年商1億円、出展していないブランドでも年商数千万円は最低でも必要になるだろう。
最低でも毎年それくらいの売上高がないと「細くて長い」ブランド活動すら続けられないということになる。

自身のファッションブランドを立ち上げたいと希望に燃えている専門学校生さんには少々残酷かもしれないが、これが現実である。
売上高を5億円、10億円にすることだけがブランド活動の目的ではないが、細く長く続けるためには最低限の売上高と利益確保は必要となってくる。

取材によって断続的にファション専門学校の教職員スタッフと接触し、1年間専門学校勤務をした経験から言うと、例外はあるが多くの専門学校では厳しい現実をあまり教えていない印象がある。
もちろん、これから社会に巣立つ若い人たちに対して「夢」や「希望」はある程度語る必要はあるが、そればかりでは何の役にも立たない。

ファッションは芸術やアートではなく、工業であり商業である。
工業や商業を前提としてファッションやアートへの昇華を目指すのは崇高な活動といえるが、端っからファッションやアートを目指したのでは成功する確率はほとんどない。

俳優の古田新太さんのテレビCMではないが確かに「可能性はゼロではない」が、極めてゼロに近い可能性であることを認識して挑戦する必要がある。

昨日も書いたが、個人的には、

1、中高年が圧倒的に多い富裕層に向けたデザイン・品質での高額ブランド
2、デザインセンスは今のままで、若者にも手が届きやすい中低価格ブランド

のどちらかに特化したデザイナーズブランドの登場を少しだけ期待したい。

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