
「6万円のパーカ」の何が問題なのか理解できないという話
2021年9月27日 トレンド 5
だいたいどんな商品でもピンからキリまでの価格差がある。
ウェブやSNSなんかを眺めていると、それぞれの価格で客層は住み分けていて、そこによくわからない思想やらなんやらはほとんど混じっていないように見える。
しかし、こと洋服に関しては価格の話がやたらと多く、単に価格をレポート的に伝える物よりも思想やらなんやらが絡んでいて甚だめんどくさい。
当方は洋服も他の製品と同様に単なる消費材としか見ていないので、一体何を言っているのか疑問でしかない。
パーカーが6万円もしたのでファッション産業について知ろうと思った|市井 仁子 NikoIchii|note
という記事が流れてきた。
まあ、単に感想を書いておられるだけなので、個人の感想は自由であり、そこに対してどうのこうの言うべきではない。
ただ、個人的にいえば「6万円のパーカの何が疑問なの?」である。
別に6万円のパーカが売られててもいいじゃないか。当方は絶対に買わないけど。
きっかけは、欲しいと思ったパーカーが6万円もしたからだ。
綿100%なのに。よくあるトレーナー生地なのに。ユニクロなら2,990円で買えるのに。そう思って試着室でフリーズしながら、自分の衣服の価値の解釈は果たして正しいのだろうかということに思い当たった。質の良い生地を使っているとか、手の込んだ縫製がなされているとか、目に見える付加価値まではなんとか理解する。しかし、デザイン性の素晴らしさとかブランドが付与している価値という部分は、自分の好き嫌い以外、正直よくわからない。
とあるが、この人が洋服以外の他の製品に関してどのような考えをお持ちなのかわからないのだが、2000円と6万円という価格差は他の製品でも普通にある。なぜ、パーカが6万円ならフリーズしてしまうのか当方にはまったく理解できない。
例えば腕時計である。
当方は、アクセサリーを身に着けることがあまり好きではない。窮屈に感じるからである。それでも高校生から腕時計をするようになったが、携帯電話の普及とともに腕時計をすることをやめた。
しかし、フリーランスになって、在庫処分屋の店頭に立つようになり、四六時中携帯(当時はスマホ)を取り出して時間を確認するわけにもいかないので、10何年ぶりに腕時計をするようになった。
男にとって腕時計はアクセサリーである、という意見もあるが、当方からすると、よほど近づかないとブランドやデザインがわからない腕時計に過剰に価値を見出すことは当時も今もできていない。
だから、やたらと高い腕時計を買おうとは思わなかったし今も思わない。
そこから当方はAmazonで何本かの腕時計を買った。5本くらい買ったが、全部カシオである。そしてデジタル表示の方が分かりやすくて好きである。
メインで使っているのが3500円弱で買ったのが2本、昨年独立10周年のセルフ祝いで買った(祝ってくれる人がいないので)9000円くらいのが2本である。
カシオのデジタル時計と言っても、価格差はピンキリである。1000円くらいから10万円以上まである。
もちろん1000円と10万円では性能は大きく異なるが、1万円と6万円だと性能はほとんど変わらない。にもかかわらず価格差は6倍もある。
デザインが違うと言っても、興味のない人からしてみれば微細な差異でしかない。
カシオという単一ブランド以外でも同様だ。
セイコーの腕時計は1万円も出せばかなりの性能の物が手に入るが、一流ブランドと呼ばれている物は、性能では1万円のセイコー以下なのに何十万円、何百万円もする。
ユニクロのパーカと6万円のパーカどころの価格差ではない。
全く異なる寿司という食品でも同様だ。
1貫100~200円の回転寿司と、1貫何千円もする回らないお寿司がある。でもこれに関しては誰も「フリーズ」なんてしていないし、それはそれ、これはこれで納得しているし、賢い人は状況に応じて店を使い分けている。
味が全然違うとか言う人もいるが、自分は回転寿司でもそれなりに美味しいと感じる。回らないお寿司も何度か食べたことはあるが、何千円・何万円も出してまで食べたいとは思わなかった。おごってもらえるならいくらでも食べるが。高い寿司なんていうのは当方にとってはその程度の価値しかない。
ダイソンのコードレス掃除機はマキタやアイリスオーヤマに比べると格段に高い。しかし、性能差はさほどないと言われている。
そんな自分はアイリスオーヤマのコードレス掃除機を買って使っている。
コードレス掃除機は通常の掃除機より吸引力は弱い。だが弱いからゴミ以外の物は吸わないから扱いが楽だと感じる場面も多い。吸引力がやみくもに高ければ良いというわけでもない。
洋服もこれらと同じである。高い物もあれば安い物もある。あって当然である。
結局のところ、高く売れるにはそれだけの付加価値がなければならないということであり、付加価値とは何かとは難しい点だが、マサ佐藤氏は「粗利益額」だという。
たしかに付加価値があり高値で売れるということは、粗利益額も多いということになりやすい。
あれは安いのにこれは高い、ということが不思議だと思うのなら、当方からすると陶磁器なんてまさに不思議である。1個100円の茶碗もあればン十万円のよくわからない壺もある。
原材料の土なんて似たような価格だろうし、窯の燃料代も大して変わらないだろう。それでも作り手によって売価が大きく異なる。
当方からすればン十万円の茶碗なんて使い道に困って不要だから、絶対に買わないが、それを喜んで買う人もいる。
6万円のパーカもそんなものである。
イシキタカイ系の人とか、何らかの思想の基づく活動家とか、哲学的な人とかによる「洋服の価格」についての問題提起は、だいたいが意味の分からないものが多い。
原価は安いのに売価がバカ高いブランドの香水をどうぞ~
comment
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BOCONON より: 2021/09/27(月) 7:03 PM
> 衣服の創作に込められた意図を汲み、その媒体として加担するかどうか、という視点は
> 今後着るもの買うものを選ぶときに持ち続けようと思う無理に利巧そうな事を言わなきゃならない理由もあるまいに,何だか読んでいると頭痛がしてくる。
“6万円のパーカ” というのはたぶん Supreme の,それも特に高価な部類なもののことだと思われます。
ある種のモード系デザイナーブランド,あるいはハイブランドならまだアート扱いもわかる。しかし Supreme なんぞはそのロゴが入っている以外特に取り柄もないフツーの服だ。流行らなくなったら物笑いのタネにしかならない(いや,既になりつつあるようで)。これじゃユニクロ以下ですね。
まあ買うのはひとの勝手だから好きにすればいいが,個人的にはああいうものを買うのは見栄っ張り、あるいはただの馬鹿だと思います。 -
とおりすがりの元・服売り より: 2021/09/28(火) 3:03 AM
リンク先の文章を読んでも、サッパリ理解できませんでした。
6万円のブランド物のパーカと2990円のユニクロのパーカ。
その違いは…機能的な何かか、あるいはブランド、高尚なデザイナーがデザインしたという付加価値以外の何物でもないと思います。
その機能もしくは付加価値が欲しいと思われれば売れるし、そうでもなければ売れないというだけ。
極めて現実的かつ経済的な話でしかないと思うんですが…深読みしすぎじゃないですかね。
過去、アパレル業界の片隅にいましたが、こんな人とはまったく接点がなかったです。
この方は違うようですが、アパレル業界はこういう方々がけっこういらっしゃるんでしょうか。 -
読者 より: 2021/10/01(金) 3:45 PM
金の無い若者、そして服飾専門学校に通ってた頃、ひるむ事なくブティックや、DCブランド直営店に出入りしたものですが、金の無いおじさんになった今、決して高級ブランドの店舗には飛び込めません。ブルネロ クチネリとか絶対無理無理(笑)
何なら上野のアメカジ屋ですらネルシャツが1万数千円もしたり、店員が必死過ぎて(笑)すぐ話し掛けてくるので気後れしますね。
ミリタリー物の中田商店さんは放っといてくれるので気が楽です(笑)(当方の印象です) -
hitonotameni より: 2021/11/14(日) 5:32 AM
例えは、シュプリームなんかのパーカーとかは値段と品質が釣り合わない
気がしますね。あれならY-3のパーカー買うわってなる。
ブランド名が金額の大半。シュプリームが既存アパレルとコラボしただけで
値段がグーンと上がる。ノースとかのコラボ商品なんてもうねー。
だったらコラボしていないノースの商品買いますわ。
セレクトショップのオリジナルブランドの商品なんか金額に対して繊維の品質が
見合ってない。だから古着屋やリサイクルショップでセレショの商品見ると、劣化が凄いので買いません。ユニクロと繊維品質大差ないか、ユニクロ以下じゃないかと思うこともありますね。
腕時計は機能性だけで言えばカシオの電波ソーラー買っておけば、長持ちするし時間も自動で修正してくれるし、安い。機種によってはスマホと連携もしてくれる。
しかしスイスの高価な機械式腕時計みたいなのは、機能性では劣っても
職人の技術に金出す世界なんですよね。完全な自己満の世界。
6万円のパーカーの人、ほぼ嘘ついてるんじゃないっすかねぇ。
ネットでテキトーに検索していて、「おっ、このパーカーええやん。値段は、と。えっ6万円!!!」とかいうなら分かりますが、この人はわざわざ試着までしているんだから、そういう高額なパーカー売ってるお店にわざわざ出かけてるはずっすよね。そんなお店に行く人が6万くらいでフリーズするはずないでしょう。ウソウソw