MENU

南充浩 オフィシャルブログ

ジーユーに中高年客層が増えたのはルーズシルエット商品が増えたから

2021年8月11日 トレンド 2

ジーユーがついに中高年層に向けての販促強化を開始した。

 

「ジーユー」が麻生久美子を起用したヴィジュアル公開、特設ページでトレンドファッションを紹介 (fashionsnap.com)

 

「ジーユー(GU)」が、30代以降の大人に向けたスタイリングを提案する特設ページ「オトナGU」で、女優の麻生久美子を起用したヴィジュアルを公開した。

 

とある。

「大人」という冠はすでに陳腐化してしまっているが、要は「30代以降をターゲットに正式に含めます」ということである。

 

ジーユーはこれまで、若者(10代後半~20代全般)にターゲットと設定し、若者向けトレンドカジュアルを短サイクルで投入してきた。

これがヒットしてあっという間に2400億円規模にまで成長することができた。

 

しかし、実際のところ、当方が独自に店頭を観察していると2017年以降、中高年の客が店頭に如実に増えており、今回の打ち出しは現状追認であり、それを今後は強化するということだろうと考えられる。

では、なぜ中高年客が2017年以降増えたのかというと、トレンドファッションのおかげでもなく、マーチャンダイジングのおかげでもなく、ひとえに「ビッグサイズ化」「ルーズシルエット化」のおかげだと当方は考えている。

なぜ、そう言えるのかというと、当方がそうだからである。

 

多分、ずっと前からこのブログでも書き続けているが、当方がジーユーで服を初めて買ったのは2016年だったと記憶している。

どうして2015年までは買わなかったのかというと、ジーユーの服はタイトシルエットで作られていたからである。2003年ごろから洋服は全般的にタイトシルエットになり、ピチピチとなった。もちろん、ターゲット層によってそのピチピチ度合いには少しずつ差はあった。

中高年層をターゲットとするユニクロもピチピチだったが、若者をターゲットとするジーユーはもっとピチピチだった。

そうすると、スポーツをやっていないわりにガッシリした体型の当方だと、ユニクロのピチピチは着用できても、ジーユーのピチピチは袖を通すことすらできなかった。

だから、当方はジーユーでいくら値下がりしていても買わなかった、いや、買えなかった。

 

ジーユーの服のタイトシルエットが少しゆるみ始めたのが2015年とか2016年頃からであり、2015年にはジーユーはガウチョパンツで累計100万枚の販売の大ヒットを記録している。

今、ファッション好きの女性でガウチョパンツを買い求める人は少なく、場末でファッションには多分ほとんど興味なさそうな風貌のオバチャンが「ガウチョパンツを探してるねん」という感じにシフトしているのだが、ワイドパンツ人気の先駆けとなったことは否めない。

この辺りからメンズ服も徐々にサイズが大きくなり始めた。

2017年以降はそれが顕著で、2019年~今年に至っては「逆に大きくなりすぎている」くらいである。

当方のようなガッシリしたオッサンでさえ、Mサイズですら大きすぎてSサイズを買うこともあるくらいだ。

 

2019、2020、2021年の3年間、当方はユニクロよりも圧倒的にジーユーで買うことが増えた。

そしてこのころから、店内で30代以降のいわゆるオッサン、オバハン世代を見かけることが増えた。最近だと、親子で買い物に来ている客も珍しくない。

それも小さい子供と若い両親ではなく、20代の子供とその親という買い物客が珍しくない。子供が20代なので親は最低でも40代、下手をすると50代・60代である。

若い頃と体型がほとんど変わらないという中高年は少数派で、だいたいが少しは大きくなる。どんなに節制していても男性なら若い頃より少しガッシリする。

だから、若者の体型にピチピチだったころのジーユーを中高年はほとんど着用できなかった。しかし、大きくなりすぎた今のジーユー商品なら大学時代よりも2倍くらいに増量してしまった中高年でもラクラクと着用できるというわけである。おまけにジーユーの値下げは徹底的に安くなる。また、似合っているかどうかは別として、先端っぽいトレンド商品やちょっと変わったデザイン商品が手に入る。

ジーユーが2400億円規模にまで拡大できたその何割かには、すでに中高年客層によるものが含まれていると考えられる。

 

 

じゃあ、今後ジーユーはどんどん中高年向け売上高を増やし続けられるのか?というとこればかりはトレンド次第ではないかと思っている。

今のルーズサイズトレンド、ビッグシルエットトレンドが続けばそれは可能だろうと思う。しかし、ファッショントレンドはいつかは廃れて、入れ替わる。

何年か後に再びタイトシルエットがマストレンドに躍り出る可能性はある。何せ、二度と復活しないのではないかと思われていたビッグシルエット、ルーズサイズが復活できたくらいだから、タイトシルエットの復活も必ず起きる。

それが何年後になるのかは、当方は「未来を語る(騙る?)者」でもないし予言者でもないからわからない。だが、タイトシルエットが復活すれば、ジーユーの中高年客層は激減することになるだろう。

ジーユーの中高年層強化は、ルーズサイズトレンド頼みという部分が強いのではないかと当方は見ている。

 

 

ルーズシルエットTシャツをどうぞ~

この記事をSNSでシェア
 comment
  • ハマオ より: 2021/08/11(水) 10:44 PM

    自分は南さんと逆でここ数年Guでは全く買ってないですね
    素材のチープさが年々酷くなっていますよね
    UTだと2シーズン位着用できますが
    GuのTシャツだと2:3回洗濯すると
    首回りがくたくたになるのでパジャマになってしまいます。
    まあ390円で買って文句言うのもあれですが
    uTは500円でも着れるのでそちらばかりになりますね
    レディースのニットなんかは娘が買って一回着用したら毛玉だらけになったりで
    同じFRでもこんなに違うのかと思ってます

  • BOCONON より: 2021/09/11(土) 3:40 AM

    昨日GUを見物に行ったら,ほとんどがいわゆるビッグシルエットあるいはルーズフィットの服ばかりでちょっとびっくらしてしまった。たとえば “コットンジップアップパーカ” なんてのは,色はカーキが悪くない感じだったけれど,何しろサイズが緩すぎる。僕は普段Lサイズを着ることが多いけれど,GUのそれはSサイズでも着られない事はない,といった有様。だからまぁすごく太っている人には良いでしょうが。

    ズボンは “シェフパンツ” とか “バルーンパンツ” とか,太くてフワっとしたりボヨンとしたものを前面に推し出していたけど,まさかオジサンがあんなものを・・・って,わざわざ言わんでも穿かないでしょうが。

    いづれGUの服買うならおじさんやおばさんはサイズに注意しないと大惨事を招くと思います。

Message

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ