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南充浩 オフィシャルブログ

特性と機能性にそぐわないデザインでは売れないという話

2021年8月2日 お買い得品 2

いろいろと迷ったが、ついに電動ファン付き服をネット通販でポチってみた。

まだ到着していないが、決済自体は済んでいる。これで当方も電動ファン付き服デビューである。

汗をかく量はいつもと変わらないが、この1年間で酒を飲む量が激減し、そのせいもあるのか昨年よりは暑さの体感は少しマシである。

買うと決心してから、多少リサーチをしてみた。

 

まずはワークマンである。

4月になんばシティにオープンしたワークマン女子に向かうと、XLばかり残っていた。

諦めてワークマンの通販サイトを除くと、こちらはほぼ全サイズが売り切れていた。

ワークマンの電動ファン付き服は、空調服の純正品と比べるとバッテリーとファンが少し安い。恐らくは合計で3000~5000円くらい安いだろうか。

入門編としてはお手頃価格ということもあって、この売れ行きなのだろう。

 

作業服業界の一部からは

「昨年ほどの売れ行きではない。昨年はコロナ給付金もあり、法人需要が増えたが、今年は給付金もなく法人需要はそこまで伸びていない」

という声も聞こえてくるが、ワークマン女子とワークマンの通販を見た限りにおいては、一般消費者の個人需要は昨年より伸びているのではないかと感じている。

ただし、ワークマンのネット通販比率は2%くらいしかないので、分母が小さく、一般消費者がドンドン買っているという指標としては用いにくいことは付け加えておきたい。

 

ちなみに以前にも書いたが、「空調服」という名称は株式会社空調服の登録商標で、それ以外の会社の類似商品には使用できない。

あの「空調服」にパクリ騒動? 知られざる熱い「訴訟問題」の顛末(竹内 謙礼) | マネー現代 | 講談社(1/4) (ismedia.jp)

ここに詳細が書かれてある。

ご一読いただきたい。

 

ちなみにこの記事は2019年だが、その後、空調服側の勝訴も確定している。

サンエスという大手作業服メーカーが訴えを取り下げたのである。これまで衣料品業界というのは、ある意味で模倣でビッグトレンドが生まれたような部分もある。例えばジーンズだが、リーバイスが開発したとされる5ポケット型デニム生地パンツというのを他のメーカーが模倣して、ジーンズという全世界に流通するアイテムが各ブランドから発売される現在に至っている。

これは類推になるが、サンエス側からすると、例えばこのジーンズのような感じで模倣したのではないかと当方は考えている。

だが、現在は知的所有権に厳しくなっているし、電動ファン付き服というのは、服でありながら機械製品の側面もあるから、特許には厳密になる。

そのため、サンエスを始めとする各作業服メーカーの安易な模倣は敗訴することになってしまったのだろう。

 

さて、ワークマンで入手することができなかったので、当方は次なるリサーチ場所を考えた。

そうZOZOTOWNである。ジャーナルスタンダードなど一部のファッションブランドが電動ファン付き服を昨年夏から販売している。

ZOZOTOWNにあるだろうと、目星をつけた。

 

調べてみるといくつかあった。が、ちょっと買う気になれなかったので、以前にご紹介したセブンアイのネット通販専用空調服を再度検証した。

空調服 通販 – 西武・そごうの e.デパート (omni7.jp)

ここである。

その中からこれを選んだ。

空調服 フード付き空調ベスト(TM)通販 – 西武・そごうの e.デパート (omni7.jp)

サイズはL、色は黒。これと純正の薄型バッテリーとファンを付け加えて合計17380円だった。はっきり言って、この10年間で単品で15000円を越える服(バッテリーとファンを含むが)を買うのは初めてである。その前というと、15年前に買ったラベンハムのキルティングジャケット29000円だろうか。

流石に手が震えた。くどい様だがアル中ではない。(笑)

 

 

で、今回は用途と機能とデザインについて考えてみたいと思った。

電動ファン付き服は軒並み好調ないし堅調といえる。ZOZOTOWNでも値引きされていない商品がほとんどだった。しかし、いくつかはこれほどの人気商品にもかかわらず値引きされている物があった。

安い物好きの当方としては一瞬買おうかと考えたが、取り回しにくいことを考慮して買うのをやめた。

これである。

 

半額になっている。バッテリーとファン付きで12100円である。

当方が検討している際、このブラックとブラック地に白い柄が入った2型が残っていた。今残っているのはこの黒無地だけである。

それ以前には白無地、ブルー無地があったがこちらは先週の時点では完売していた。

 

この空調服だけがどうして半額にまで値下がりするのかと考えてみたのだが、多分、このデザインが空調服に不向きだからではないかと思う。

前から見ると、こうだ。

半袖Tシャツどうようのプルオーバータイプなのである。

画像だけで見ると、カッコイイと思うのだが、空調服という服の特性を考えるとこれはデザイン的に向いていないと思い、安物好きの当方でも買うのをやめた。

最大の難点は半袖プルーオーバーだという点である。

洋服としてのデザインだけならカッコイイと思うが、空調服としては不便である。

1、まず着脱しにくい(前開きがベスト)

2、夏の期間毎日着る物だが、この半袖プルオーバーでは毎日同じ服を着ているように見えてしまう

というこの2点である。

1についていうと、例えば冷房の効いた部屋やバッテリーが切れた際には脱いだ方が良いが、これがプルオーバーなので脱ぎにくい。

2についていうと、前開きのベストやブルゾンなら、インナーのTシャツが見えるから、Tシャツは毎日着替えていることがわかる。しかし、半袖プルオーバーになると、インナーのTシャツは見えないから、毎日同じ服を制服のように着ているように見えてしまう。

夏は汗をかく季節なので毎日同じ服を着ているように見えてしまうのは同時に不潔感を与えてしまう。

 

この2点が難点で売れ残ったのではないかと思う。

このプルオーバータイプは、電動ファン付き服をすでに持っていて、2枚目・3枚目として買う人には適しているのだろうが、当方のような1枚目を買う人間には不向きなデザインであるといえる。

 

洋服のデザイン自体としては問題はないが、用途や機能を考えると適していないという点で不良在庫化しているのだろうと当方は思う。

企画担当者はデザイナーからすると「デザインは悪くないのに売れない品番がある」というのは時々経験することだと思うが、それにはこういう特性や機能を無視したデザインだからという場合があるのではないか。

 

デザインはアートではなく、課題を解決するための手段であると書いた本のことを以前にこのブログで紹介したことがあるが、このラトルトラップの半袖プルオーバーの空調服は、課題解決に失敗しているから、半額値下げの憂き目にあっているといえるだろう。

 

この辺りは、各ブランドが気を付けなくてはならない部分だろうと思う。

 

 

そんなわけで敗訴したサンエスの空調風神服(バッテリー、ファン別売り)をどうぞ~

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 comment
  • とおりすがりのオッサン より: 2021/08/03(火) 8:52 AM

    うちの潰れかけの金属部品加工工場の隣の潰れた化学肥料工場の跡地が、今度は物流センターになるようで工事中ですが、結構な人数の作業員の人が「空調服」着てますね。あと、自宅前のアパートの工事でも警備員の人も着てました。
    で、この前コンビニで立ち読みしてたら、後ろで「シュー」と音が横切ったので見てみると、空調服来た作業員のオッサンが通ってました。ということで、アレって普通に着るのには結構音がするのがネックになったりするのでは?

  • とおりすがりの元・服売り より: 2021/08/03(火) 11:28 AM

    空調服の裁判、へーと思って見てましたが、思ってた以上に複雑な内容ですね。
    ちょうどタイミングよくNHKで放送があったようで、また一悶着起きてるようです。

    https://www.sun-s.jp/index.html
    https://www.sun-s.jp/news/img/news210721.pdf

    自分はこの手の服を持ってないし、必要性も感じてないのでなんとも言えませんが、選ぶ時に企業イメージで買われなくなってしまうこともあると思うので、切実かつ繊細な問題そうだな、と思いました。
     
    以上、本筋ではない内容で失礼しました。

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