
そのタレントやインフルエンサー起用に効果はあるの?
2021年5月17日 トレンド 2
以前から、疑問を感じていたのが、ファッション雑誌でタレントを表紙や巻頭ページに起用し、その号が完売することである。
もちろん、売れないよりは売れた方が良いのはいうまでもない。
また売るための工夫として人気タレントを起用するのは間違いではない。
しかし、その号が売れたのは、雑誌の内容ではなくタレントのおかげであるから、次号から売れ行きが続くことはほとんどない。
雑誌側から言わせれば、売れないから起爆剤としてタレントを起用し、いつもとは異なる客層に買ってもらい、その客の何%かでも内容が気に入ってくれて、次号以降も買ってくれればありがたい。ということなのだろうが、近年の雑誌の販売部数の減少を見ていると、この作戦はほとんど成功していない。
たまに、人気タレントと1年間の長期契約を結ぶ雑誌があるが、この方が販売部数の増加にはつながりやすいのではないかと思うが、その場合今度はギャラが高くついてしまう。
資金力のない出版社だと実行は不可能だし、20年前までならいざ知らず、今のご時世だと予想よりも販売部数が伸びずに、これとて費用対効果が低くなりかねない。
同様のことは、ウェブにも当てはまり、人気タレント・人気インフルエンサーが登場するとその時はアクセス数が跳ね上がるが、それ以外は低調という場合も多い。
実際にそういうサイトを過去にいくつか裏側を覗かせてもらったこともある。
雑誌にしろウェブにしろ、タレントやインフルエンサー登場時以外にどれだけ集客できるコンテンツを作るか、どれだけ内容を充実させるか、ということが重要になってくる。
ここからは前回の続きになるのだが、YouTubeも同様で、人気タレントや大物をゲストに呼んだ回は再生回数が跳ね上がる。
だが、それは決してチャンネル登録者数の増加にはつながりにくい。
タレント登場時以外でも「おもしろい内容」で在り続ける必要があり、これは相当に難しい問題だといえる。
言ってみれば、ヒットを打ち続ける必要があるということで、三振やダブルプレーは極力避けなくてはならないということになる。
想像しただけでも気が遠くなる。
で、前回、自重堂という大手作業服メーカーのYouTubeチャンネルをご紹介した。
なんと6年前から開始しているので、2015年にチャンネル開設したということになる。恐ろしいほどの先見の明だといえる。
格闘家の桜庭和志さんや、俳優の市川隼人さん、元プロ野球選手の新庄剛志さんなどをゲストに迎えており、非常に豪華である。
また、ゲストが登場しない回でもプロっぽい司会を起用し、テレビCMみたいなつくりとなっており、非常に動画としてのクオリティが高い。
しかし、前回も書いたようにチャンネル登録者数は270人弱と現時点でもかなり少ない。
6年間も続けているにもかかわらずである。
しかも再生回数も少ない回も多い。数十回とか数百回とか。
恐らくは製作においては、相当の費用がかけられているだろうということは容易に想像できる。
別のYouTubeチャンネルに新庄剛志さんが登場した際、企業との契約は1本で最低でも数百万円と語っていたので、自重堂もそれくらいのギャラは支払っているだろうと考えられる。
その他の著名人もほぼ同様だろう。
おまけに著名人が登場しない回でも、プロっぽい撮影と編集なので、専用の撮影・編集チームがついていることが推測でき、こちらのチームへのギャラも決して少額ではないだろう。
著名人が登場した回だと6年前の新庄剛志さんの回が再生回数6万だが、それ以外では多くても1000台にとどまっており、やはりクオリティや体制に比べて費用対効果は悪いといえる。
6年前の新庄剛志さんの回の6万回再生も、それは新庄剛志さんを見たい人が多いということで、決して自重堂という会社や自重堂の商品が注目されたからではない。
この辺りは、ファッション雑誌やブランドのウェブサイトと同じ構造だといえる。
ブランドの発信としてはYouTubeに先行して実効性が高いとされるのがインスタグラムだが、企業の案件としてインフルエンサー起用をよく耳にするし、何度かは直接そうした話にも同席したこともある。
インフルエンサーを起用してもその選定基準やファン層がマッチしていなければ、イイネやPV数は増えるが実売にはさっぱりつながらないということも珍しくない。
インスタグラムのインフルエンサー起用でいうと、失敗するのはだいたいが大手広告代理店の持ってきた案件に安易に乗っかる場合である。
大手広告代理店が持ってくる案件というのは、インフルエンサーのフォロワー数だけしかチェックしておらず、インフルエンサー自身のイメージやファン層の嗜好性などはほとんど考慮されていない。だから起用してもミスマッチが起きて物が売れないということにつながりやすい。
恐らくは自重堂のYouTubeも同様なのではないかと考えられる。
これほどの有名タレントを連れてくるには大手広告代理店でないと不可能だし、広告代理店が持ってきたプランにそのままあまり検証もせずに乗っかっているのではないだろうかと、経験的に思う。
起爆剤としてのタレントやインフルエンサーの起用は否定はしないが、起用すれば必ず効果が出るというわけではない。むしろ、最近では起用したもののさっぱり効果がないということも珍しくない。
この辺りの見極めは慎重に行う必要がある。そうでないと、ドブにカネを捨てているのと同じになってしまう。
そんな自重堂の作業ブルゾンをどうぞ~
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usuu より: 2021/05/20(木) 9:48 PM
自重堂は今回の記事のおかげで視聴回数が伸びるような気がします。
機材、スタッフ、出演者なんかにお金掛けるのと全く対極な、普通のオッサンYouTuberの動画をちょくちょく見てます。その人は、「失敗小僧」という名前でやってる60歳間近の体重120kgとかの見た目はだいぶアレなオッサンで、大学院卒で1部上場企業に入ってから県庁の役人を48歳までやってたけどリストラされて、現在まで無職という経歴です。動画は、安アパートの自室に座って、内容を箇条書きにしたホワイトボードを立て掛けて説明していくというスタイルで、時事ネタとか就職ネタをメインに、世の中のことを裏事情を含めて説明していて、長い動画だと40分とか1時間ダラダラしゃべって編集もほぼ無しなのに登録者数はすでに9万人以上で、再生回数も多いモノは10万回以上になってます。見た目はキモ目のデブなオッチャンなのに、内容と喋りだけで月に15~20万円くらいはYouTubeで稼いでるようで、一生懸命動画撮って編集してて全然登録者増えないYouTuberが馬鹿みたいですw(ま、この人も動画作るのにはそれなりに手間掛けてるだろうし、再生されやすいように戦略も考えてるということですが)