メンズ向けカジュアルセットアップはすでにレッドオーシャン化しているのでは?
2021年4月13日 商品比較 4
長男が就職して3年目を迎え、次男が今月から就職し社会人生活を始めた。
親としての務めはほぼ果たしたので、いつお迎えが来ても構わないという気になっている。長男・次男ともに給与面や将来性などはそれほど高い会社ではなさそうなのだが、どちらかというと固い職種の会社なので、基本的にはスーツを着用しての勤務である。
夏はさすがにクールビズになるようだが。
親が頼りなくフラフラしていると、子供は勝手に堅実に育ってくれたということである。堅実な勤め先が一番である。
メンズのスーツ業界の苦境は伝えられている通りだが、このように固い職種の会社、固い社風の会社もまだまだあるから従来型スーツの需要は決してゼロにはならない。
ただ、スーツ各社の生存競争は激烈さが増すだろうと考えられ、この先、何社かが姿を消すだろう。
3年くらい前は切り札として「低価格パターンオーダー」が持ち上げられていたが、当方は否定的だった。理由は購買体験が変わるだけで商品そのものはこれまでのツープライスと大きくは変わらないからだ。
メンズスーツのズボンの裾は普通は裾上げをするものだから、ズボンに関していうと「元からカスタムオーダー化していた」といえる。
低価格パターンオーダーと既製スーツで大きく変わる点があるとしたらジャケットの袖丈くらいではないだろうか。
既製スーツだと袖丈を縮めたり伸ばしたりするのは別料金が発生する場合が多いが、低価格パターンオーダーだと込み込みである。
当方の体格は腕が短めなので、既製スーツのジャケットだと少し長い場合がある。
しかし、この点以外ではあまり既製スーツ、特にツープライスと製品も価格も大きく変わらない。また想定される着用方法もさほど変わらない。
となると、低価格パターンオーダーが爆発的に売れるという可能性はそんなに高くない。
当時からこのように思っていた。
昨年から始まったコロナ禍によって、在宅勤務やリモートワークがこれまでよりも増え、従来型のスーツを着る機会も減った。
ただ、在宅勤務だからと言って、寝間着のままでは具合が悪いからホームウェアとして着用できながら、もう少しカチッとした服というものに需要ができた。
これが「カジュアルセットアップ」だといえる。
従来型のメンズスーツがカジュアルセットアップに今後どんどんと置き換わっていくのではないかと当方は見ている。低価格パターンオーダーは忘れ去られていくことになるだろう。
以前にも書いたが、カジュアルセットアップの主なラインナップは
・ジーユー 定価7000円弱
・ユニクロ 感動ジャケット+感動パンツ 定価1万円弱
・ワークマン 定価4800円
・AOKI 第4弾アクティブスーツ 定価5970円
・WWS 定価33000円
である。
正直にいうと、WWSの商品はこれをわざわざ買う価値が当方にはないと感じられる。
理由は33000円ならそれこそ既製スーツでも構わないし、低価格パターンオーダーでカジュアル素材を選んでも構わないからだ。
値段的にこれを買うメリットがないと貧乏な当方には感じられる。
最も期待しているのがAOKIだが、第1弾より1170円値上がりした。その分どこかがクオリティアップしているのだろう。
最安値のワークマンも先日、店頭で実物を見たが「ソロテックス」を使ったバージョンは、まずまずでスーツ屋が求めるようなシルエットではないが、カジュアル・ワーク寄りの使い方をするならこれで十分だろうとも思う。
で、ついにここにイオンもトップバリュで参入してきた。
働き方に合わせた新しいビジネススタイル | WORK STYLE | イオンリテール株式会社 – AEON (aeonsquare.net)
・スーツで14080円(税込み)
・ジャケットとパンツのセットアップで合計17160円(税込み)
となる。
実物を見ていないから何とも言えないが、トップバリュの衣料品はあまりイメージは高くないが、最近は結構頑張っている物も多い。だからこのスーツ、セットアップもそれなりの品質があり、形も悪くはないのだろうが、スーツ屋としてそれなりに定評のあるAOKI、話題が先行しているワークマン、国民ブランドであるユニクロの感動ジャケット+感動パンツに比べて、値段が高いので、イオン側が期待しているほどには売れないのではないだろうか。
イオンが他社に先駆けて販売したのならこの価格でもかなりの反響があったのではないかと思うが、ワークマン、AOKIが圧倒的な低価格で打ち出した後なので、販促的な効果は薄いだろう。
それにしても、この手のカジュアルセットアップは今後ますます参入が増えるだろう。
スーツの場合だと、それこそミリ単位の調節が求められるが、カジュアルセットアップの場合、そこまでの細かいサイズ感は求められない。
今のご時世でわざわざ小さめサイズを着る人は少ないだろうが、わざわざ大きめサイズ着る人は相当数いるだろう。そうなるとスーツのジャケットでお約束の袖丈の長さなんていうのは、あやふやになる。
だからカジュアルブランドやスポーツブランドでも参入しやすいということになる。立体的なパターンも求められないだろうし。
従来型スーツだと、カジュアルダウンしにくく、カジュアルダウンできるのはファッション上級者に限られるが、カジュアルセットアップだとカジュアルに着用しやすいし、マス層に似合いやすい。
だからカジュアルセットアップの需要が今後は伸びると思うが、それに伴って参入ブランドも増え続けるだろう。
そうなるとこれまでのジーンズやポロシャツ、チノパンなどといった商品と同じで、コスパの高さや販促の上手さで売れ行きが左右されることになり、早晩レッドオーシャン化してしまう可能性は高い。
それどころか、もうすでにカジュアルセットアップのレッドオーシャン化は始まっているとさえ思えてくる。
各種アイテムの企画製造のノウハウが業界全体に共有化されている衣料品業界では、まったく新しい商材を開発し、それを長期間独占化するという構図が成り立たなくなっているといえる。
謎のコクボさんの在宅勤務用セットアップをどうぞ~
comment
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BOCONON より: 2021/04/14(水) 11:54 AM
こういうの見ていると笑ってしまうほど評判がボロボロだ。〇ダでなくとも,たとえば〇ローバル・ス〇イルなどもまあ似たようなもので。低価格オーダースーツにはどうやらリピーターがあまりいそうもない様子であります。
↓
https://minhyo.jp/ordersuit-sadaカシヤマやサンヨーのPOの評判はそこまでヒドくはないようですが,マトモなスーツらしい価格≒最低5万円くらいはするから「低価格」ではないし大して集客力はないように見える。思うに ZOZO 以来 “オーダースーツ” という言葉が濫用され過ぎた。結局低価格オーダースーツなんてものは「フルオーダーのような何か高級なもの」と勘違いした客を一時的に惹きつけただけに終わると思われます。
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BOCONON より: 2021/04/14(水) 1:02 PM
訂正:カシヤマ ザ。スマートテイラーは「3万円~」とある。でもこれはたぶん客寄せ価格で,ネット上のオーダー体験談読むとお店側の本音としては「4~5万円」くらいを主力にしたいようであります。まあ痩せても枯れても百貨店ブランドの会社が「とにかく低価格で勝負」って事はないですわな。
街を歩いているとセットアップ・スーツ着ている人はまだ多くはないように見えるので “レッドオーシャン” は少々気が早い気もする。今はまだ着こなし方が定着していないようでもあるし。スーツの下にTシャツなんてのは千鳥の大悟みたいだし,まだ寒そうでもある。でもビジ・ポロにニットタイとか,着こなしの幅が広がれば今後急速に普及しそうな感じはします。何しろどう見ても今後スーツ市場は縮小する事はあっても拡大する見込みはありそうもない。残るのは(一部のオーセンティックなスーツ以外は)ストレッチの利いたセットアップで,スーツの主流は「お洒落なジャージ」化して行くだろうから各社それに参入するのはビジネスとしては正しいでしょう。
でも実際のところ「お洒落なジャージ」のようなスーツなんてものは,身も蓋もない言い方すればユニクロやワークマン,あるいはAOKI だけあればたくさんみたいなもんでしょう。それでもそれしか売れそうもないないとなれば,各社自殺行為じみていても参入せざるを得ないでしょうから,結果としては南さんの仰言る通りになると思われる。いよいよスーツの時代の “終わりの始まり” が来た感じですね。
クラシック・スーツ好みの僕が遊びでスーツにネクタイ着用して歩いても,いよいよ「コスプレ趣味の人」化していきそうである。おゝあぢきなき世なる哉。 -
OZ より: 2021/04/14(水) 8:00 PM
カジュアルセットアップはあくまでカジュアル服のバリエーションとの認識。オンカジュアルというか。
当方、私服の企業に勤めているが、今日は商談だからとかプレゼンだから、まぁ私服でもいいけど、きれいなカジュアルの代替として、なんとなくセットアップ着ようかなくらいのイメージ。
元々お堅いスーツ着用の方々の選択肢に入るのかな、と。インナーにTシャツ着れるなら、スニーカー合わせられるならアリだけど、ブロードのドレシャツにウエストゴムのパンツにストレートチップ?
なんか逆に着こなし考えるくらいなら、スーツでいいじゃない、って思っちゃいます。
ちょうど先週、訳があってイオンのスーツを購入。WWSは知りませんが、ユナイテッドアローズまで洗えるスーツを発売するというタイミングでの記事にニコニコ共感しながら読ませていただきました。今後も楽しく勉強させてください。