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南充浩 オフィシャルブログ

ターゲットを間違ったのか、思い込みなのか

2013年10月21日 未分類 0

 日曜日の朝以外ほとんどテレビを見ないので、だいたいが決まったCMしか見ないことになる。
先日、土曜日の午前11時ごろにテレビを何の気なしに点けると、イオンのライトダウンジャケットのCMが流れていた。イオンのトップバリュの衣服になど興味はないから、ボーっと眺めていると、それでも今年のダウンジャケットはかなりスマートなシルエットにしたということだけは的確に伝わってきた。

スリムスマートシルエットの「美姿ダウン」だそうだ。

http://www.topvalucollection.jp/feature/lightdown.html

公式サイトには「ダウンの常識が変わる」と謳われているが、そんな大げさなものでないことは言うまでもない。

そこまで大々的に「差異」を打ち出すのであれば、なぜ、ダウンの表面を走るステッチを横一直線としたのだろうか?
これだとユニクロのウルトラライトダウンと見分けが付かない。
「常識が変わる」「美姿」とまで謳うのであれば表面を走るステッチは縦方向にするとか格子状にするとか多少の工夫があっても良いのではないか。
逆にステッチをわざわざウルトラライトダウンと同じにする理由が見当たらない。もしかするとイオンはさんざん謳っておきながら実は自信がないから同じステッチにしたのではないかと勘ぐってしまう。

さて、たしかにダウンジャケットの悩みはモコモコとしたシルエットで、かなり太って見えることにある。
着用者の顔が小顔で面長ならまだマシだが、筆者のように顔がデカくて四角いとそれは悲惨なことになる。
だからスマートなスリムシルエットのダウンジャケットという商材には一定の需要があると予測できる。

けれども、そういうファッションに興味のある消費者層が、イオンで、しかもトップバリュの衣服を買うだろうかという根本的な疑問がある。
もちろん、価格の安いファッション商品を好む層は数多く存在する。しかしその層は、ユニクロやしまむら、ウィゴー、スピンズ、ポイント、クロスカンパニーあたりの商品を常に購入している。
そういう層がトップバリュの衣服を買うことはめったにないはずだ。あっても肌着や靴下類くらいだろう。

イオンの商品開発の努力は認めるが、顧客ターゲットをまちがえているのではないか。
イオンが「うちの顧客層はファッションの好きな層だ」とか、「トップバリュがファッションブランドだ」とでも感違いしているのではないだろうか。

以前、イトーヨーカドーが自社の1900円ジーンズのCMに女優の黒木瞳さんを起用したことがある。
黒木瞳さんともあろう大物女優が普段、イトーヨーカドーで1900円のジーンズを購入しているとは到底思えない。それだけに実にCMらしいCMだったということができる。
このCMによってイトーヨーカドーのオリジナル1900円ジーンズのイメージが好転したかというとそんなことはまったくない。
このCMがせめて3年間くらいでも続けば多少イメージも変わっただろうが、1シーズンの間だけ取って付けたようなCMを流したところで目に見えた効果など表れない。

今回のイオンのダウンジャケットのCMは人気俳優の伊勢谷友介さんを起用している。
だからといって、イオンのトップバリュのイメージがすぐさま好転するかというとそんなことはない。
今秋冬限りでこのCMは終わるだろうし、伊勢谷友介さんの起用もそれほど長くは続かないだろうから、今後何一つトップバリュのイメージは好転しないだろう。

イトーヨーカドーやイオンが的外れな努力を続けながらここまで衣料品にこだわるには理由がある。
30代半ば以下の方には信じられないだろうが、かつて量販店において、衣料品分野は利益の稼ぎ頭だったのである。ユニクロが台頭するはるか以前の話である。

「かつての利益の稼ぎ頭よもう一度!」、というわけだろうが、ユニクロやしまむら、それに続く低価格SPAブランドがこれほど氾濫してしまった状況下において、そういう客層をもう一度量販店のプライベートブランドに呼び戻すのは並大抵ではない。はっきり言うと至難の業だ。

ユニクロ、しまむら、ウィゴー、ポイント、クロスカンパニーその他もろもろを上回るほどのイメージを打ち出す必要があるが、トップバリュや量販店のプライベートブランドにそこまで良いイメージはない。売り場作りもはるかに及ばない。
一つの商品を改良し、テレビCMに人気タレントを起用すればなんとかなるというレベルの問題ではない。

そういえば、イオンもイトーヨーカドーも大金を使って過去に何度も東京ガールズコレクションのステージに登場したことがあるが、それで何か彼らの衣料品のイメージが好転しただろうか?筆者にはまったく好転していないように映るのだが。

今回のダウンジャケット開発の試みは確かに興味深くはあるが、果たして、イオンのトップバリュが抱えている現在の顧客層にマッチしたものかどうかは甚だ疑問だと言わざるを得ない。

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