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南充浩 オフィシャルブログ

業界では当たり前のことでも「世間には知られていない」と思った方がいい

2021年2月19日 お買い得品 7

このところ、アディダスがリーボックを売却するという報道が続いている。

アディダスがリーボックを買収したのは2006年のことだから15年間抱えていたということになる。

独アディダス、業績不振続くリーボック事業売却を発表 (fashionsnap.com)

 

独アディダスが「リーボック(Reebok)」を売却すると正式発表した。2006年にリーボックを買収して以降、スポーツメーカー世界1位のシェアを有する米ナイキへの追撃を狙ってきたが、近年はリーボック事業の不振が続き、立て直しを断念するかたちとなった。

 売却については昨年10月に海外メディアが報道。アディダスは同年12月に売却を検討していると認めていた。売却は2025年を最終年度とする5ヶ年計画の一環としており、新たな事業戦略の詳細は3月10日に開催する投資家およびメディア向けの説明会で発表する予定だ

 

とのことである。

詳細はまだ発表されていない。

どれくらい業績不振だったのかも報じられていないし、その原因がなんだったのかもわからない。

ただ、日本国内で見ていると、リーボックというブランドの存在感はスニーカー「ポンプフューリー」のみだったと個人的には感じられる。

ポンプフューリー以外のリーボック商品はほとんど日本では注目されていなかった。少なくとも当方はそういう認識だ。

 

国内ではブランドの顔であるポンプフューリーを値崩れしないように我慢して販売していた。何せ1万円未満には値下がりしないのである。

スニーカーファンなら1万円越えのスニーカーを買うことに抵抗はないだろうが、当方は大いにある。

だから、周りの同年代の人たちから「脚がラクだよ」と勧められてもなかなか買う気にはなれなかった。そんなポンプフューリーだが、昨年春1万円を切る物がネット通販ではポツポツと出てきた。

迷彩柄のポンプフューリーが9500円くらいにYahoo!ショッピングで値下がりしていたので、貯まっていたポイントを使って9000円で買った。これが初ポンプフューリーである。50歳にして初ポンプを達成した。

 

 

 

そして昨年9月になると、ポンプフューリーのいくつかの色がなんとYahoo!ショッピングで期間限定で7920円に値下がりした。これは無理をしてでも買うべきだろうということで、無理をして買った。2足目ゲットだぜ。

 

 

そして、コロナ休業によるダメージが国内を覆っていた昨年4月、5月とリーボックはネット通販で期間限定の大幅投げ売りを行っている。

一例でいうと、スリッポンタイプのスニーカーだが1804円にまで値下がりした。もちろん、買った。この時期は1900~2000円台まで値下げされたスニーカーが本当に多かった。

この動きを見ていて、当方は「ああ、リーボックはよほど売れなくて困っているんだな」と感じた。売れているなら投げ売りはしないだろうし、ポンプフューリーの大幅値下げもないだろう。要するに不良在庫が膨れているか、手元資金が欠如しているかのどちらかということになる。

マサ佐藤氏のような緻密な計算をせずとも(できるならした方が良い)、店頭を定期的に見るだけでどの商品が死筋なのか、全体的に物が動いているのかいないのか、ということくらいは分かる。

だから、今回の売却発表について奇異だとはまったく感じなかった。

 

ちょっと前置きが長くなった。

売却がWEBニュースで報じられると、Yahoo!コメントを見ていると「リーボックがアディダス傘下だとは知らなかった」という人が多く、驚かされた。

ちょうど、大手出版社からも「アディダスとリーボックの関係は意外性がありました」なんて連絡をいただいて、さらに驚かされているのだが「〇〇の常識は世間の非常識」とはこういうことを言うのだろうと感じている。

詳細は知らなくてもリーボックはアディダスの傘下だということはだいたいの業界人は知っている。それも昨日今日の話ではなく、15年も前の買収であるから知っていない方が勉強不足である。

 

しかし、この一例を見てもわかるように、業界では当たり前のこともメディアや一般消費者向けには一々説明した方が効果的だということである。逆に基本的な説明をしないと、世間には理解されないということである。

世間に親しまれているアディダスとかリーボックという有名ブランドですらこうなのだから、繊維の原料とか製造加工業なんていうのは、よほど懇切丁寧に一々説明しないと全く理解されないということはお分かりいただけるのではないかと思う。

特に原料、生地、縫製、製造加工という点に関しては同じ繊維業界でも川下の人間の多くは一般大衆と同じくらいその部分の知識がない。むしろ一般大衆のマニアの方が知っている場合も珍しくないほどだ。

川下の人間も川下の知識だけで商売をしていればいいものの、インフルエンサーとやらになると、知識のない製造加工のことやアパレルビジネスのことまでしたり顔であやふやな知識を語りだす。そしてそれを一般大衆が鵜呑みにしてしまうという負の拡大再生産を繰り返している。

「ユニクロは毎シーズン1型何億枚も作っている」なんてことを言ってしまうお馬鹿さんなインフルエンサーもいるから呆れ果てる。

ヒートテックが累計10億枚販売したが、「累計」という言葉の意味を知らないのだろうか。年間に10億枚販売したわけではなく、発売開始から今までの合計販売枚数が10億枚ということである。逆に1年間で1型何億枚も作れるような縫製工場が世界のどこにあるのか教えてもらいたいほどである。

 

そんなわけで、有名ブランドはともかくとして、繊維の製造加工業は当たり前のことでも、一々説明し発信するという姿勢をどうか採ってもらいたい。そうしなければますます知られないままになる。知られていないのは存在しないのも同然なのである。

 

 

3278円に値下がりしたリーボックのスニーカーをどうぞ~

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 comment
  • マサト より: 2021/02/19(金) 12:02 PM

    MBさんですか?

    • フローレス より: 2021/02/25(木) 1:57 PM

      MBさんはまだ30代ですよ。

  • のすけ より: 2021/02/21(日) 2:01 AM

    はじめまして、私もスニーカーが好きですがReebokを知ってる人ですらポンプフューリーしか知らないといった印象です。DMXシリーズなどもいいものなのですがNBに押されているのかパッとしません。政令指定都市の郊外在住ですが、Reebokを販売しているお店がほぼありません(最近は靴屋ですらナイキアディダスニューバランスしか手広く置いてません)。また、Reebokのシューズを履いてる人もあまり見かけません。なので今後はReebokに限らずスニーカーも量販店レベルでは数ブランドに収束していくような気がしています。ECもおっしゃる通り、ここ数年ずっと投げ売りしているので消費者としてはうれしいですが複雑な気持ちです。ただ、どのブランドでも定番モデルがないとロゴを入れただけの横並びのスニーカーデザインになってしまうので知名度のある数ブランドに収束していくのも必然かとも感じています。スニーカーショップ以外の量販店レベルでは数ブランドを残して低価格なPB商品が増えていくのではないかと予想しています。

  • kogayusu より: 2021/02/22(月) 9:02 PM

    Reebokのニュース。
    子どもが生まれる前、スポーツジムに通ってる頃から、シームレスで素足で履いても痕が残ったり鬱血することなくムレ無く快適に過ごせるReebokシューズの大ファンです。軽くて紐結ぶ必要のない3D立体成型の魅力にハマり、Reebokスニーカーを愛用している小生にとっては、淋しいことこの上ない。NIKEの様な圧倒的なデザイン力は無いけれど、ウェアもシンプルで洗練されてるし、他の人とカブらないReebokの大ファンなんですけど、営業不振だなんて……。

    確かに街でもジムでもReebok着てる人はほとんどみかけないし。そんなに売れてないなんて……。ショックしかないです。

    よく考えると、adidasスタン・スミス、CONVERSEのオールスター、NBの996、NIKEエアマックスシリーズの様なド定番を持たないっていうのが弱いんだろうなぁ。。。出始めの頃のインスタポンプとか定番化して細く長く売っていけばいいのに。。80年代までのReebokClassicは昔の安物のテニスシューズのような野暮ったさがあるからなぁ(泣)
    アゲてるのかディスってるのか分かんなくなりましたが、お気に入りのメーカーが今後どうなっていくのか、凄く気になります。安売りしてたら今のうちに買っておこうと思います。

  • ようい より: 2021/02/23(火) 6:13 PM

    特にファッション関係でもない身からだと、イージートーン訴訟は影響あったと思うんだよな

  • より: 2021/02/23(火) 7:04 PM

    公式のオンラインストアではずっと前からセールの時はポンプフューリー7千円ぐらいは普通にありましたし、スリップオンが2千円もいつものことですよ。

  • より: 2021/11/07(日) 2:14 AM

    リーボックは
    2000年代前半は
    NBAの公式販売権がありました。
    ユニフォーム〜シューズ &アパレル全般
    2004年のアテネ五輪
    男子アメリカ代表のユニフォームは
    リーボックロゴが使用されました。
    アレンアイバーソン 選手の
    シグネィチャーシューズも
    リーボックが制作してました。
    NIKEと比較するならば
    マイケルジョーダン
    コービーブライアント
    レブロンジェームズ
    等の世代交代を
    リーボックは出来ない為に 
    NBA選手の知名度も失いました。
    国内市場 &世界市場ならば
    アイバーソン &NBAは世界市場でした。
    オリンピックでの
    ユニフォームのロゴを見ると
    NIKE &アディダスが多くて
    リーボックは
    ヨーロッパ方面が多い気がします。

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