MENU

南充浩 オフィシャルブログ

天は自ら助くる者を助く

2013年10月1日 未分類 0

 昨今、製造工場が立ち上げたオリジナル製品が増えている。
そのデビュー戦として、合同展示会に出展するのが定石である。

大型のものだと、雑貨類なら東京ギフト・ショー、衣料品だとIFF、ルームスなどというのが代表的な展示会だろう。

ほかにも20社内外の中型展示会、10社未満の小型展示会なんていうのも探せばある。

製造業者が初めての合同展示会で成果を得られなかったとして、ショゲている場合があるが、これはあまりにも早計だし、自意識過剰だろう。

まず、製造業者が立ち上げた新ブランドなんて、消費者はおろか、業界にも知られていない。
そんな見ず知らずのブランドをホイホイとたやすく仕入れるバイヤーなど、現代社会には存在しない。
知名度が高く、業界でも「売れている」と評判のブランドを仕入れたって売れない場合が多いのに、何の実績もない新ブランドを「試してやろう」なんてバイヤーはほとんど存在しないと思った方が良い。

人によって意見は異なるだろうが、個人的には、新ブランドが合同展示会に出展する場合は、数年継続するべきだと考えている。
一度出展してみてダメだったから経費削減で次から出展を取りやめるのでは、まるで効果がない。
出展は業界への知名度を高めるための作業として必要だろう。

さて、この「展示会に出展しても効果がなかった」という場合、新ブランドなので業界への知名度がなかったということ以外にもう一つ原因があるかもしれない。

それは自社で来場客を誘致していないことである。

展示会主催者は何十万通という招待状を送り、現代なら加えてEメールでの招待状も送付している。
最多来場客数を誇る合同展示会はなんといっても「東京ギフト・ショー」だろう。
以前は4日間の開催で累計20万人強の来場者と発表していたが、3日間の開催に短縮しても累計19万人と発表している。
19万人と発表されたところで多くの人はそれを疑わないほどに来場客数は多い。
現に会場は常にゴッタ返しているといっても過言ではない。

そんな「東京ギフト・ショー」に出展してもまるでオーダーの取れない業者もある。
以前、オリジナルバッグ類を出展した知り合いの業者はまるで受注が取れなかったので、初回だけで出展を止めてしまった。
また、船場あたりの某問屋も出展したことがあったが、出展費用以下の受注しかなく、次からの出展を止めている。

かと思えば、異業種でがんばっている知人は、以前は雑貨関係の会社で東京ギフト・ショー出展担当者を務めていた。毎回2小間出展し、総経費は200万円で、会期中の受注高は1000万円以上だったので、その企業にとってのドル箱だったと話している。

その東京ギフト・ショーの出展社説明会で毎回流されるVTRがある。
今も同じ物を使っているかどうかわからないが、少なくとも2008年までは使っていた。
展示会出展の心得をいくつかの章に分けて、動画を作成しているのだが、その中の一つに「天は自ら助くる者を助くる」という章がある。

英語のことわざ Heaven(God) helps those who help themselves の訳語であり、我が国の「人事を尽くして天命を待つ」と同じ意味だとされている。

この章では「来てもらいたい先への招待状・案内状は主催者任せにせずに自社でも送付してください」という内容がまとめられている。

製造業の新ブランドによくありがちなのが、来場者誘致を主催者にまかせっきりにすることである。
主催者からの招待状と、出展している個々の企業からの招待状とでは、伝わり方がまるで違う。
さらにいうなら、会社としての招待状よりも、会社の中の個人として送る招待状の方が強力だろう。

展示会主催者よりも出展社の○○社、出展社の○○社よりも○○社の営業第1部の田中(仮名)さん、からの招待状が来場者への働きかけが強くなる。

昨日、紹介した縫製業者が初回の合同展示会で撃沈した理由も、自社で招待状を送付せずに主催者任せにしたことが挙げられるだろう。
しかも他社の呼ぶ来場者をあてにしての出展であるから、展示会出展料は支払ったものの、それ以外についてはまるっきり依存しているから、「精神的タダ乗り」と言わざるを得ない。

業界への知名度もない新ブランドが、来場者誘致を主催者と出展他社に依存している「精神的タダ乗り」では良い結果など出るはずもない。

しかし、この「精神的タダ乗り」は製造業に多く見られる傾向であり、産地総合展でも多々見受けられる。
この「タダ乗り」意識を変えない限りは、いくら自社オリジナル製品を開発したところで、販路を開拓することはひどく難しいだろう。

この記事をSNSでシェア

Message

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ