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南充浩 オフィシャルブログ

道は険しい

2013年9月30日 未分類 0

 生地メーカー、染色・加工場、縫製業などの製造業が、自社オリジナル製品を立ち上げるケースが増えている。
それは歓迎すべきことなのだが、残念ながらこれまでの自社の仕事のやり方のままで臨んでいることが多く、今のままでは成功はおぼつかない。

先日、某先輩から聞いたが、某縫製業者がOEM企業と組んでオリジナルでレディースウエアのブランドを立ち上げたという。
開始する前は、社内で大いに盛り上がっていたそうだが、合同展示会に出展したところ受注が一件もなく、酷く落ち込んだそうだ。何件かには自作のカタログを手渡したそうだが、満足に名刺交換もしなかったので、渡した先の連絡先もわからないままである、とも。

いろいろな意味で取り組む姿勢が間違っている。
まず、合同展示会に出展するのは構わない。しかし、この衣料品不況の状況下で、ポッと出の新ブランドを仕入れようかという小売店がどこにあるのだろうか。
洋服ブランドなど世の中には掃いて捨てるほどある。
いわゆる実績のある人気ブランドだって掃いて捨てるほどある。
そういう中で、わざわざ海の物とも山の物とも知れない新ブランドを仕入れる小売店があるはずがない。

次にカタログを渡した先と名刺交換していないことが問題である。
合同展示会で1000枚の名刺を集めたところで実際の取り引きに結びつくのは1%程度だろう。
展示会に手なれたブランドですら、必死で名刺集めをしているのに、まったくのルーキーが名刺すら交換しないことはどういうことだろうか。

この話にはさらに続きがあって、リベンジを果たすために小規模合同展示会への出展を模索中だという。
しかし、彼らは、その小規模合同展示会に出展するメンバーを調べていない。
これも考え方が間違っている。レディースウエアはテイストが細分化されており、あまりにかけ離れたテイストのブランド同士が同時に出展しても、小売店は自店に合ったテイストのブランドのみを仕入れて、違うテイストのブランドには見向きもしない。
例えば、ナチュラルテイストのブランドが、セクシーカジュアル系ブランドばかりが集まった合同展示会に出展したところでまるで意味がない。

そもそもオカシイのが、ブランドを立ち上げる際に、ターゲットとなる売り場を設定してないことである。
実現するかどうかは別にして「ビームスに卸したいなあ」とか「ユナイテッドアローズと取り引きしたいなあ」というターゲット設定をして、それに合うようにブランドのテイストや商品構成を考えるのが通常である。
そういう設定をしていてもなかなか取り引き先に恵まれないのに、何の設定もしていないブランドなど売れるはずもない。

こういう事例を見ると、製造業者が自社ブランドをそれなりに成功させるのは至難の業だと思える。

個人的に不思議なのが、この業者は新人ばかりが集まったユニットではないというところである。
メンバーは40代・50代らしいのだが、カタログを渡した相手と名刺交換するというようなことは、ビジネスの基本中の基本であり、その年代のメンバーがどうしてそれができないのだろうか。

また、彼らも縫製業などでレディースアパレルに携わっているわけで、40代・50代になるまでの期間の耳学問もあるだろうから、どうして20代の新人のような考え方をしているのかも疑問である。

逆に言えば、多くの製造業者はこういう考え方のままでオリジナル製品化、オリジナルブランド作りに取り組んでいるのだろう。製造業者の考え方や意識を変えないことには、ほとんどの取り組みが徒労に終わり、負債が残るだけの結果になってしまうだろう。

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