自分がユニクロの値下げ品でそこそこ満足するようになった理由
2021年1月13日 お買い得品 1
相変わらず、ユニクロの商品について褒めると、一定数のアンチが沸き上がるようで、年末年始もそんな光景がツイッター上で見られた。
しかし、国内ユニクロの売上高を見ると、アンチな意見はノイジーマイノリティなのではないかと感じる。
当方も2020年下半期に買った服はユニクロとジーユーの値下げ品ばかりである。あと、そこにアダストリアの値下げ品が加わるだけで、2020年下半期の自分の服の消費はファーストリテイリングとアダストリアにしかカネを払っていない状況だった。例外はナノ・ユニバースの値下げ品セーターだけである。
メンズとレディースではいささか消費者の心理というのは異なるのかもしれないが、ことメンズに関していえば、当方は「ユニクロとジーユーの値下げ品でそれなりに満足している」というのが偽らざる本音である。
ファッション好きな方々に「超満足か?」と問われると「超満足ではない」と答えざるを得ないが、得点で言えば100点満点中75~80点くらいにはなる。特に破格の値下げ品を買ったときは85点くらいになる。
アダストリアの商品も定価で買うのは絶対に嫌だが、40~70%の値下げ品ならまずまず満足である。
洋服の価値というのはさまざまなものがある。
ファッション性やトレンド性というのもその一つだし、素材や縫製仕様の品質というのもその一つだし、デザイン性やサイズ感、機能性という価値もある。
ただ、どれか一つにだけ特化して成り立つというのは非常に難しい。どれか一つの価値だけで成り立つ可能性があるとすると、デザイン性とかファッション性とかトレンド性だろう。
逆に素材や縫製仕様の品質の高さは成り立ちにくい。機能性だけでも成り立ちにくい。
いくら品質が高かろうが、高機能だろうが、着てみてカッコ悪ければ多くの消費者には選ばれない。
ユニクロにせよ、ジーユーにせよ、低価格以外の価値もある程度は備えているから支持されているといえる。
しかし、一部のファッション好きな人は、いつも「本当に良い物を知らないからユニクロなんかで満足できる」というようなことを言うがはたしてそうだろうか?
当方もなんだかんだと言って30年弱も衣料品業界にいる。
もちろん、若い頃から安物好きだったが、それでも40歳手前くらいまでは百貨店、ファッションビルで買い物をしていた。貧乏なので夏冬のバーゲンがメインだったが、バーゲン用に作られた商品を本当に売れ残って値下げされた商品の区別くらいはできる。値札を見れば一目瞭然だ。
そういう値下げされた商品のみを選んで買ってきて、ラグジュアリーブランドを除けばだいたい百貨店ブランド、ファッションビルブランドは一通り見てきた。
その上で、「現在は」カジュアルにおいては、ユニクロとジーユーの値下げ品で十分だと感じている。
人気のD2Cブランド「foufou」を展開しているマール・コウサカさんが先日、こんなツイートをされていた。
若者が大人の言う「本物」に触れてないから安価なものばかり選ぶと言われることが多いけど意外とちゃんと触れた上で自分には「これくらいがいい」と意思を持っていると思っているよ、良いものに触れる機会も昔より多いのでは。身の丈に合ったものをちゃんと選ぶことも「理想の暮らし」なんだよね。
— foufouのマール・コウサカ (@foufou_marl) January 12, 2021
とのことで、当方は若者ではなく初老のジジイだが、まったく同感である。
ラグジュアリーブランドを除いて百貨店ブランド、ファッションビルブランドを数々触ってきて、今はユニクロとジーユーの値下げ品が「これくらいでいい」と思えているのである。
40歳手前までに買ったブランドを思い出しながら挙げてみると、
アバハウス、アールニューボールド、JUNMEN、ドモン(ドモン・カッシュではない)、コムサ・デ・モードメン、コムサコレクション、PPFM、コムサイズム、ボナジョルナータ、キャサリンハムネット、ミッシェルクランオム、アンタイトルオム、タケオキクチ、メンズメルローズ、メンズビギ、トルネードマート、リーバイス、エドウイン、リー、ボブソン、ボイコット、ABX・・・・などなど
という感じである。
たしかに、これらのブランド品の素材や縫製品質は良かったし、デザイン性やらファッション性も高かった。2005年頃までは。
しかし、2008年頃から素材品質の劣化が顕著になったと感じられるし、長引く衣料品不況のせいなのか、ファッション性が低くなりマス狙いの安全パイなデザインが増えたと感じられるようになった。
これらの百貨店ブランド、ファッションビルブランドの価格設定は20年前とさほどは変わっていない。ジャケットでいえば1万円台前半~49000円くらいだし、パンツも9800~19000円くらいがメインだろう。
2008年以降の劣化素材と「置きに行った」安全パイデザインの製品では、到底、定価とは釣り合わないと感じた。さらにいえば、バーゲンでの半額ですら、値打ちが無くなったと感じた。
2005年までは「これが半額なら値打ちがある」と感じられた。
その結果、2010年以降、当方は百貨店・ファッションビルで服を買わなくなった。
使用素材のクオリティが高いために、今も捨てられずに残しているキャサリンハムネットのスーツとかアンタイトルオムのスーツとか、タケオキクチのスーツ&ジャケットなんかがある。
もったいなくて捨てられないくらいに生地の品質は高い。だいたいがウール100%でそのウールも凄まじいクオリティである。だが、これらの服をアップデートして頻繁に着たいか?と問われると疑問符が付く。
理由はお手入れと保管がめんどくさいからだ。また着心地がすごくイイかと言われると、これも「?」である。機能性が高いわけではないからだ。
綿100%のシャツはシワになりやすいし、ウール100%のスーツもシワになりやすく虫に食われやすい。洗濯やアイロンがけ、防虫剤を用いた保管、きちんとたたむ、などメンテナンスがめんどくさい。
こうしたことを考慮すると、ユニクロの値下げ品はメンテナンスが楽な物、機能性の高い物が多く、それでいて素材クオリティもZARAやH&Mに比べて高いから、「じゃあ、それで十分じゃねえの?」ということになる。当方はそうだし、当方と同様に感じておられる方が多いのではないかと思う。
10年くらい前に、20年来の知り合いであるデザイナー氏から「90年代後半に買った」というグレンフェルの赤いロングダッフルコートをいただいた。
ウール100%でずっしりと重い。生地の表面感は少し凹凸感があって単純なメルトンでもない珍しい組織である。
ありがたくいただいて、年に何度か着用していたのだが、生地が分厚くて重い上に、意外に風を通しやすいということがあって、ほとんどハンガーに吊ったままにするようになった。
専門学校の教え子で、若いのに昔のファッショニスタみたいにブランド品にお金をつぎ込んでいる者がいたので、彼にプレゼントした。
今年、年明けにユニクロで3990円に値下げされた赤のハイブリッドダウンパーカを100円引きオンライン専用クーポンを使って店舗取り寄せで購入した。
当方からすれば、同じ赤い防寒アウターでも3990円に値下げされたハイブリッドダウンパーカの方が、コスト的にも機能的(軽くて暖かい)にもグレンフェルより扱いやすい。その上に、見た目のデザインもそこそこマシということになれば、「なまじ扱いにくい一流品よりもユニクロの値下げ品でいい」ということになってしまう。
ファッション好きの一部がいくら非難しようと、ユニクロの国内売上高が落ちないということは、当方と同じように感じている人が多いのだろうと感じるがどうだろうか。
(昨年11月末から、値下げ品の服だけを用いて(それしか持っていない)、自分が着用してオッサン向けプチプラコーデを週に何度かインスタでアップし始めてみました。もし興味があれば覗いてください。自分の顔は嫌いなので切ってあります)
グレンフェルのダッフルコートをどうぞ~
おっしゃるようにユニクロで十分ですよね
防風のブルゾンは最強アイテムでダウンジャケットを着用するより暖かく
真冬の韓国でも下にニットを1枚着るだけで十分過ごせました
ダウンのように嵩張ることがないので、脱いでも置き場所に困りません
一方で、以前購入したカシミヤ100%のチェスターコート(売値50万以上とか、製造している親父さんから購入のため布代ですみましたが)は汚れが怖かったり、このコートでこの鞄は釣り合わないな、など考えるとほとんど袖を通していません。
以前男性ならスーツが無難であるとお書きになっていましたが、カジュアルならユニクロを着ていれば十分だと思いますね。
そしてなによりも、少なくとも現代の多くの40後半~50半ばのオヤジ達には
大阪南港にあった巨匠がデザインしたアパレルメーカー(今はもう無い)の
青々した「ジーパン」や派手派手しい「スェーター」を
おしゃれと思う感覚はそもそも内蔵されておりませんでしょう
そういえば あの会社の人「ユニクロはファッションと認めない」とかおっしゃっていましたね~ お疲れ様でした