MENU

南充浩 オフィシャルブログ

お役立ち情報の提供は効果的

2013年9月24日 未分類 0

 昨日までの6日間、阪急百貨店うめだ本店10階で生地の切り売り販売会「テキスタイル・マルシェ」を開催させてもらった。阪急での開催はこれで3回目となり、12月に4回目を開催する計画だが、詳細はこれから決めることになる。

6日間のほとんど、売り場に立っていた感想をいうと、百貨店の売り上げ不振の原因の一つは整然としすぎた売り場作りではないかと思える。整然としすぎるとお客の印象に残りにくい。

百貨店は手書きPOPを原則認めていない。
しかし、マネキンボディやハンガーラックのみのディスプレイをいくら工夫したところで、お客の関心を引くのは難しい。手書きPOPが一番手軽に実行できるのだが、禁止されているとなるとほかのことを考えないといけない。
売り場を観察していると「音」や「映像」「動画」などはやりすぎない限り禁止されていないようだ。
その中でも「音」は一番有効かもしれないが、他テナントに迷惑がかかることも多いので、少し使いにくい。

以前に百貨店と手書きPOPのことを書いたら、シナジープランニングの坂口昌章さんから
「昔、百貨店は手書きPOPを許可していたが、各テナントが手書きPOPを乱発したため売り場が汚くなって禁止した背景がある」とのご指摘をいただいた。
何事にもメリットとデメリットは表裏一体で存在するものである。

反対に現在の売り場は整いすぎて逆効果になっていると感じられる。

今回、メガネフレームのアセテート素材をアクセサリーに流用した「ディロッカ」に出展をいただいた。
通常、メガネフレームを「セルロイド」だと認識していらっしゃる方が多い。恥ずかしながら筆者もその一人だ。
ところが最近は発火点が低くて危険なセルロイドよりも、発火しにくいアセテートがメガネフレームの主流となっているそうだ。
そして、アセテートはなんと「綿」から出来ている。

綿(cotton)である。

綿花を砕いてパウダー状にして、それを固めて着色して板状にするのだそうだ。
その板からメガネフレームを切りだすわけである。

筆者はあの素材が綿花から生まれているとはまったく知らなかった。おそらく多くの方が知らないのだろうと想像する。
売り場で綿花からできていることを説明すると驚くお客が多かったことが印象に残っている。

そこで今回はこんな手書きPOPを作って展示してみると、なかなか反応が良かった。
前半の3日間撤去されなかったということは百貨店のお目こぼしもあったのかもしれない。(笑)

IMG_3945

(お客にお役立ち情報を提供したPOP)

これは筆者が指導して作らせたのではなく、他のスタッフが自分で工夫したのだが、なかなかうまくできている。
このPOPを見たお客が何人か、アセテートを曲げて作るブレスレットのワークショップを希望したからそれなりに効果があったといえる。

写真

(綿花から作られたアセテートを曲げた「ディロッカ」のブレスレット)

筆者は汚くならない程度の手書きPOPは百貨店でももっと活用すれば良いのではないかと考えているが、先に挙げた坂口さんの指摘が事実であるなら、その方針を転換するのはちょっと難しそうだと感じる。

こういう「知っていましたか?」というお役立ち情報を提供してお客の関心を惹くPOPはかなり上手な部類に入るし、これを見たお客も「売り込まれている」とは感じないから素直に販売員に質問できる。

POPというと「○○%オフ」とか「セール!」とか「激安!」とかいうような一言のみの物を連想しがちだが、あの類のPOPはあまり効果はない。手書きでなくても売り場は汚く見えるし、「セール」とか「激安」なんて一言をお客に提示したところで、セールも激安品も巷に氾濫している現在の状況では、お客はそこに関心を寄せることは少ない。ましてや「Tシャツ1990円」なんて商品名と価格のみのPOPなんてほとんど意味が無い。

アパレル・ファッションブランドはこの20年間で卸売り業態から直営店業態へと大きく移行してきた。
しかし、POPの扱いにかけては20年前とさほど変わっておらず、多くのブランドが効果のないPOPを掲げ続けて現在に至っている。
業界はもう少しPOPの製作手法を真剣に学んでみても良いのではないだろうか。

(*親切な読者から、アセテートは木材パルプ(セルロース)を原料にしており、綿花・綿の木のみを原料にしているわけではないとのお知らせがあった。ディロッカが原料としているマツケリー社のアセテートが綿花を原料にしているとしても、他のアセテートも綿花が原料とは限らない。アセテートという素材自体はセルロース系繊維であることを付け加えておきたい)

Message

南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ