続・いつだって可笑しいほど誰もが誰かパクリパクられて生きるのさ
2020年12月21日 商品比較 6
キチンと勉強してきた人は別だが、多くのタレントやモデル、インフルエンサーは洋服を作ることにも、洋服ビジネスにもド素人である。それにもかかわらず、いとも簡単にオリジナルブランドを立ち上げたり、ブランドをプロデュースしたりディレクションできたりするのは、ODMがすべてお膳立てしているからである。
そのことが顕著に表れたのがこの事件だといえる。
GACKTとROLANDの「G&R」運営会社が模倣問題で謝罪 ROLANDは契約解除を発表 | WWDJAPAN.com
この見出しでは婉曲過ぎてわかりにくい部分があるが、まずは引用してご紹介しよう。
GACKTとROLANDによる“女性を一流にするため”のブランド「G&R」を運営するデイジー(DAZZY)は、12月19日にSNS上で起こった商品の模倣疑惑を認め、商品の販売を中止した。それを受けて20日、ROLANDがツイッターを更新し、デイジーとの契約を解除したことを発表。16日に発表会見を行ったばかりだった。
とのことで、要するにSNS上でパクリがバレてしまったということである。
「G&R」では、元キャバクラ嬢の門りょうをディレクターに迎え、ドレスとランジェリーをプロデュースしていた。そのドレスの一部が海外ブランドのデザインと酷似しているとSNS上で話題になり、社内調査を行ったところ「ドレスを担当したデザインチームのひとりが既存商品とほぼ同一と思われるデザインを提案してしまった」ことが判明した。
ファッション専門学校に通っていたとか、デビュー前からファッションビジネスに携わっていたとか、デビューしてから独学で熱心に学んだとかいう事例を除いて、基本的にタレント、インフルエンサー、モデルは服作りにも洋服ビジネスにもド素人である。
ド素人がブランドプロデュースや商品のディレクションができるはずがない。
ではどれほどのパクリ度合いだったのだろうか。先ほどの記事ではそれがわからないので、他のネット記事をご紹介しよう。
GACKTとROLANDプロデュースのブランドにパクリ疑惑。通販サイトは閉鎖 | YouTubeニュース | ユーチュラ (ytranking.net)
この記事に限らず、広く紹介されているパクリ商品はこの3種類で、いずれもスカートの丈や袖丈を変更したくらいで、色や柄、基本的な形はそのままである。
どうして色くらい変えなかったのか、疑問でしかない。
例えば、一番上のグリーンのワンピース?だが、このグリーンをブルーや黒、ベージュにするくらいのことはできなかったのだろうか?
色までそのままなら現代というウェブ社会でパクリがバレるのは時間の問題である。運営会社も担当して責任があるとされたデザイナー氏も頭がどうかしていたのだろうとしか思えない。
今回はあまりにも丸パクリすぎてバレてしまったが、基本的にはこれのマイルドな形は業界では日常茶飯事である。特にタレントやインフルエンサー、モデルのブランドではよく起きている。
どうしてこのようなことが起きるのかは、今回の運営会社の説明謝罪文で一端を知ることができる。
G&R商品 販売中止及び商品回収のお知らせ (dazzystore.com)
まず、
門りょう氏のSNS上での発言は全て事実であり、当該ブランド「G&R」プロジェクトに参画していただいたGACKT様、ROLAND様及び門りょう様は、弊社より提案した商品サンプルにご意見を頂いたという経緯であったため、今回のデザインの酷似については知る由もございませんでした
とある。
要するに、サンプルが先にあり、それに対して3人は意見を述べるという形式だったということがこの一文から理解できる。
これは何もこのブランドに限ったことではなく、ド素人ブランドは同じ手法を用いているケースが珍しくない。
GACKT氏やROLAND氏、門りょう氏から商品、コンセプト、デザインの方向性のオーダーを弊社企画室のデザインチームが応対し、複数の商品の具現化を行う過程の中で、ドレスを担当するデザイナーのひとりがデザイン考案に行き詰まり、既存商品とほぼ同一と思われるデザインを提案してしまった結果、酷似商品が出来上がってしまったという事実が判明致しました。
とある。
これも事実だろう。
ただ、個人的には、まずタレント側から商品への要望が出たとは正直思えない。商品も運営会社の提案ありきで、それに対して意見を述べていたに過ぎないのではないかと思う。まず何より、最初の一文ではそのように読める。
アパレル企業のデザイナーやODM企業のデザイナーの多くは、日々ネットで様々な商品のデザインをリサーチしている。以前にも書いたが「学ぶの語源は真似ぶ」なのだから、リサーチすること自体は「学ぶ」正当な手段である。
雑誌の編集プロダクションに勤務していた当時、誌面デザイナーは常に様々な雑誌を集めてデザインを見比べてリサーチしていた。
それらをそのままコピーすることはパクリとなるが、普通は参考にするデザインを決めながらも独自にアレンジを加える。
だが、今回のアレンジといえば袖丈とスカート丈の変更くらいであり、その程度のアレンジなら、デザイナーという専門職でなくても考えつく。
よほどに引き出しのないデザイナーだったのか、仕事で追い詰められていたかのどちらかだろう。
結局のところ、運営会社によるODMもしくは、ブランドコンセプト立案からのOBM(original brand manufacture :要するにブランド作りから生産までを請け負う究極の丸投げ業務)だったのかもしれない。
今回は、バレてしまっただけで、タレントやインフルエンサーを「顔」にしたブランドでは、こういうやり方は普通にある。
そして、今回パクリ元の1つには中国の大手サイト「アリババ」があるが、中国の広州市場や韓国の東大門市場で買って来た商品をそのままコピーしたり、ブランドネームを付け替えただけで販売するブランドもタレントブランドに限らず業界では珍しくない。
業界インフラが過剰に整備され、誰もが参入しやすくなったアパレルビジネスだが、これがその実態である。
comment
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ハマオ より: 2020/12/21(月) 9:46 PM
新卒で入社した自由の女神のワンポイントの女子高生に人気のブランドはよくラルフローレンのパクりと言われてました。
2005年位まではバーバリーチェックの完全コピーの様なマフラーを年間3万枚位売上てましたがSANYOから内容証明が送られてきて店頭から全量引き上げた事がありました。
グループ会社の5人のキツネもよくPRADAのパクりと言われていましたね -
BOCONON より: 2020/12/22(火) 2:44 PM
R・ローレンだって有体に言えば「昔からあるアメリカン・トラッドに英国調を取り入れて高級感を出しつつ,さらにアメリカ人好みにやや明るく派手な感じにした商品をプロデュースした(だけの)人」のわけですからね。実際のデザインはサルヴァトーレ・セザラニなどがやっていたわけだし。この人のブランドも最近は “モード系トラッド” といった風なよく分からない方向に行っていて迷走気味ですね。80歳過ぎて引退も出来ない事情があるのだろうか。
それはとも角,アルマーニの一世を風靡したソフトライン(ソフトスーツ)も,言ってしまえば婦人服の作り方を紳士服に取り入れただけ,みたいなもんで。そのアルマーニのそっくりさんブランドもあった(ビル・ロビンソンソンだっけ?)し,ソフトスーツもどこのアパレルもこぞって出していた。これもみんなパクリと言ってしまってもいいようなものですが,そんな事を問題にする人間もいなかった。
一時期MBクンなんぞが「これからはクラッチバッグがクル~!」なんてやってましたが(ハズレだったけどw),昔の流行や軍服や民族衣装から「いただいて」来る,というのもよくある手ですね。
要は「天が下に新しきものなし」で,「人のものパクるのにさへ上手下手」ですね。と言っても,GACKT とR某の場合は上手いも下手もない「そのまんま」で,実際に作って販売する側の人たちはこんな事がバレもせず問題にもならないと思っていたのだろうか? まことに不可解なことであります。
そもそも今どき「芸能人のブランドだから買う」なんて奇特な人がいるのだろうか? パンストくらいならとも角,大部分は篠田麻里子みたいな事になっているようにしか僕には見えないのですが ... -
とおりすがりのオッサン より: 2020/12/24(木) 10:07 AM
なんか、GACKTとROLAND、そろって謝罪動画出したそうですが、GACKTは会社のせいにして責任逃れ、ROLANDは自分が悪かった今後の製品を見てくれ、みたいな感じで評価別れてておもろいっすね(動画は面倒だから見てませんがw)。GACKTは仮想通貨とかでもやらかしてるし、お金に困ってたりしそうw
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BOCONON より: 2020/12/24(木) 12:09 PM
あの男はなかなか尻尾を出しませんねェw
上記のようなわけで僕は最初「この業界,パクリなんて珍しくもないのに」と思ったのだけれど,後でほかのサイト見たらそんなもんじゃなかった。パクリどころか単に中国製の安物仕入れて数倍の値段つけて横流ししただけ,みたいな疑惑まで出ている。それが全部かどうかは知らないし興味もありませんが。
思うに同じパクリでも「誰が見ても一流ブランドのパクリと分かるけれど,こっちの方がずっと安いからいいや。いろいろ質は落ちるしあんまりカッコ良くはないけど」ならOKなのでありましょう。コピー商品のエレキギターとか腕時計とか,ミニやフォルクスワーゲンによく似たクルマとか,ユリエ・ニタニ(古いなw)の “アクセ” とかね。-
とおりすがりのオッサン より: 2020/12/24(木) 2:16 PM
車なんかは、まるまるコピーってのは中国でも中々無いと思いますが、部分的にそっくりだり、全体の印象がそっくりだったりするのは、どこのメーカーでもありますね。
最近のマツダとかスタイリッシュなので、一瞬アルファロメオかと思うことすらあります(笑
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パクられすぎて
香水のせいにされたブランドの仲間は
日本市場から撤退しましたよね
かつて 元町に自社のブランドをまとめたビルをもってた会社
ポール&ジョーでしたっけこのブランドって思うくらい
「インスパイヤー」されてましたしね
♪プラダの靴が欲しいの♪