実状はこんな有様
2013年9月6日 未分類 0
ひどく個人的な話なのだが、筆者は衣料品でネット通販をあまり利用しない。
反対にパソコンなどの機器類や書籍、ガンダムのプラモデルなどはネット通販でときどき購入する。
筆者が衣料品をインターネット通販で購入する場合は、以前に試着したことのある商品に限られている。
理由は衣料品の場合、商品ごとに試着してみないとそのサイズ感がわかりにくいからである。
例えば、ユニクロの商品はだいたいMサイズで大丈夫なのだが、商品や品番によってはLサイズでないと無理な場合もあるし、Sサイズにすべきか迷うこともある。
一口にMサイズと言っても、品番によっては大き目に作られている物、小さ目に作られている物がある。
ユニクロの場合は自社企画商品がすべてであるから、サイズスペックもほぼ完璧に統一されている。
しかし、これがOEMやODM企業に丸投げしているようなブランドならどうだろうか。品番ごとのサイズスペックには大きなブレがある。
先日、といっても1年以上前のことになるが、ポイントの「レイジブルー」で冬用のセーターを購入したことがあった。ポイントの各ブランドは細身に作られているので、筆者の体型ならLサイズである。中にはMサイズの場合もある。
そのセーターを試着すると、レイジブルーにしてはかなりサイズ取りが大きかった。筆者ですらLサイズが大きすぎると感じたのだから、あれをピッタリのサイズで着こなせる人はよほどの大男だろう。
販売スタッフにワケを尋ねると「ちょっとうちが他社から仕入れている商品でして、サイズ取りが異なります」ということだった。「OEMかODM企業に丸投げした」か、「どこかのメーカーが作った商品を仕入れてネームタグを付け替えただけのもの」かのどちらかである。
そんなわけで試着をしないことには衣料品を購入することはできない。
これは店頭でも同じである。
返品・交換すれば良いといわれそうだが、また梱包して送付してという手間が面倒なのである。
販売店側も返品・交換の際生じる送料はバカにならない。
さて、インターネット通販でいうとショールーミング論争が喧しい。
筆者ですらパソコンなどの機器類、書籍、ガンダムのプラモデルあたりはネット通販を利用することもある。どうせ同じ物を買うなら安い方が良い。
アマゾンと価格コムを見比べたりするのは日常茶飯事である。
機器類、書籍、玩具類は商品内容はどの店で買っても同じである。内容が同じなら人は値段の安い方で買う。
何度も例に出すが、350mlの缶入りコカ・コーラを買う場合、120円よりも100円で買いたい。もし可能なら90円くらいで買いたい。
昨今、正価の自動販売機だと120円だが、100円販売のディスカウント自動販売機も結構見かける。同じ商品が両方の自販機に入っていたら、ほとんどの人は100円の自動販売機を利用するだろう。
機器類・書籍・玩具などでショールーミングが起きるのは当然である。
一方で、個人的には衣料品はショールーミングを恐れる必要は無いと思っていた。
例えばユニクロだと、店頭とオンラインショップで価格が異なることもあまりないし(オンライン限定特価の場合は除く)、ユニクロの商品を他のオンラインストアがさらに安値で売っているところなど見たことがない。
しかし、先ほどのOEM・ODMに丸投げ、もしくは出来合いの他メーカー製品を仕入れてタグを付け替えて売っているブランドならショールーミングを恐れなくてはならない。
なぜなら、同じ商品を様々なショップ、ブランドが異なる価格で販売しているからだ。同じ商品なら価格は安い方が良いに決まっている。
これなどはその典型例だろう。
ZOZOTOWNで全く同じアイテムを色々なブランドで売ってる!しかも全部値段が違う!
http://t-f-n.blogspot.jp/2013/06/zozotown.html
これは靴下を例に挙げているが、同じZOZOTOWNに入店する5ブランドがまったく同じ靴下をそれぞれ違う価格で販売している。これなら一番安いところで買うべきだろう。
ネット上で見比べて最安値を探すという行動をほとんどの消費者が行うだろう。
文中ではそれぞれのブランドの価格が並べられているので引用させていただく。
RAGEBLUE 350円(3足1050円)
JUNRed 525円
ADPOSION 630円
MEN’S MELROSE 840円
rupert 1050円
という価格差である。
筆者なら間違いなくレイジブルーで買う。
3足1050円の靴下を1足1050円で買わされてはたまらない。
ネット通販をあまり利用しない筆者には、衣料品業界でのショールーミングというのはあまりピンと来なかったのだが、こういう事例を見ると、「そりゃショールーミングするわ」と納得してしまう。
結局、ショールーミングを過度に恐れるブランドやSPAというのは、「OEM/ODM丸投げ体質」・「他メーカー仕入れ品のネーム替え」で商品供給を行っているからだろう。
衣料品業界にはOEM/ODM企業が多数存在するし、小ロットからでも仕入れさせてくれるノーネームのメーカーも多い。商品の仕入れ・製造に関してのインフラは驚くほど整備されており、金さえあればド素人でも自分のオリジナル商品が簡単に製造できてしまう。
小島健輔さんはかつてこのことを「誰でもSPA、お手軽SPA」と評されたが、少額の資金さえあれば誰でもオリジナル製品を作れてしまうのが今の衣料品業界である。
こういう安直な商品供給を行っているブランドこそがショールーミングを恐れるのだろう。
そしてショールーミングへの恐怖を叫ぶ声が業界全体に蔓延しているというなら、この手の「お手軽SPA」ブランドがどれほど多いかということである。
かっこつけてファッションを語ったところで、実状はこの有様である。