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南充浩 オフィシャルブログ

使用原料と製造方法だけではない

2013年9月2日 未分類 0

 物の売り方にはいろいろとある。
筆者は元来、品質の良い物をそれなりに安くない価格で売るべきだと思っている。
筆者も含めて日本人の多くは、使用素材や製造方法が高額・高品質な物を品質の良い商品だと考えている。

しかし、付加価値というものはそれだけではない。
味の良し悪しであったり、それを使用するときの状況設定であったり、ブランドイメージであったり、商品本体に付随するパッケージや売り方、陳列方法など様々な要素が含まれる。
その結果、本来高品質な商品があまり売れず、低品質とされる商品が飛ぶように売れたり、低品質とされる商品がある程度の高額で売れたりする。

筆者にも納得いかないが、それが結果であるから如何ともしがたい。
消費者はそれを支持しているということになる。

繊維・衣料品で見ると、使用素材や製造方法はそれなりに高い品質を保っている日本の商品が多いが、今一つ「付加価値」が伴わない。

先日、ご紹介した高野口産地の生地だって、品質自体は高い。
しかし、あまり知られていない、かつてほど売れていないのは素材開発が劣っているからではない。
売り方とかプロモーションの問題なのではないかと思う。

さて、飲食の話はあまり得意ではないが、先日、アサヒビールのサイトを覗いていたらこんな物を発見した。

http://www.asahibeer.co.jp/brewery/event/worldbeer2/

(ベルギービールは日本の法令上、発泡酒に分類されます)

という一節である。

日本の法令がすべて正しいとは思わないが、通常、発泡酒は酒税の関係上、ビールよりも安価に設定されている。しかし、国内産ビールよりも高額である場合が多いベルギービールは法令上、発泡酒に分類されるというのである。
もちろん、ベルギービールを輸入した場合、関税とか輸送経費がかかるのである程度の高額になるのは仕方がない。それでも「発泡酒」という分類からすれば高額品だと感じる人も多いのではないか。

いい加減なことを書くわけにはいかないので、ビールと発泡酒の違いを調べた。

http://yamameoyaji.web.fc2.com/sake/kisochisiki/skconf/4.html

日本の法律では、麦芽100%でなくてもビールに分類されますが、もちろ無制限ではありません。
水とホップを除く原料における麦芽の使用率が、2/3以上である必要があります。一般に麦芽使用率67%以上という言い方をします。

 ビールと同じ原料を使っても、麦芽使用率が66%以下だと、発泡酒に分類されます。そうするとなぜ安くなるのかというと、もちろん原料費が安く上がるというのはあります。麦芽の代りにもっと安いものを使うわけですから。そしてもっと大きな要因は、酒税が安くなるということです。お酒の価格の中には、酒税という税金が含まれています。お酒をたくさん買えば、それだけ国に貢献しているわけです。そして酒税はお酒の種類によって違います。発泡酒の酒税は、ビールよりも安いのです。

 麦芽使用率66%以下の中で、さらに次の3段階に分かれています。
 ①50%以上
 ②25%以上50%未満
 ③25%未満

そして、③の酒税が最も安いので、大部分の発泡酒は③に分類される造り方をしています。
 缶の原材料の書かれているところには、ビールと同じ様なものに加え、「糖類」と書いてあったりします。そしてアルコール分などが書いてある辺りに、「麦芽使用率25%未満」と書いてあります。

とのことである。

さて、筆者もベルギービールは好きなのだが、「発泡酒」だという事実を知ってもこれまでと同じ価格で呑むだろうか?呑むかもしれない。やっぱりあの味が良いと思う。
ちがうファンは、ベルギービールの持つイメージやそれを提供する店の雰囲気が好きなのかもしれない。

まあ、そういうことである。
物の値段は使用した原材料と製造方法だけで決まるわけではないということである。

筆者は発泡酒ではキリンの「淡麗生」が好きだが、「淡麗生」がベルギービールと同じような価格だったとしたら、あまり買わなくなるだろう。
これが「付加価値」の違いということになるのではないか。

衣料品の国内ブランドは原材料と製造方法を誇っている場合が多いように感じる。
とくにジーンズというアイテムはそういう気分が濃厚だと感じる。
ほかのアイテムもそういう雰囲気は大いにある。セーターにしてもスーツにしても。

もちろん原材料と製造方法が良いに越したことはないが「○○綿を●番手のムラ糸に紡績し、そのムラ糸で織り上げ、染色には天然○○を使用したデニムです。洗い加工にはこんな技法を使いました」という説明のみで、2万円するジーンズを買おうと思う人がどれだけいるだろうか。

原材料と製造方法だけで言うなら、欧米からの高額インポートジーンズブランドの多くは、同じ値段帯の国産ブランドに遥かに及ばない。
それでも2万円の国産ジーンズと比べて、同じ値段帯の欧米ブランドの方がお洒落だと多くの人が思っているのは何故だろうか。

なかなか難しいことではあるが、日本のブランドはベルギービールのように「高く売る」技術を習得すべきなのではないか。

とくに製造と直結している製品はその部分の感度が鈍すぎると感じられる。

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