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南充浩 オフィシャルブログ

なくならないが確実に減少する

2013年8月12日 未分類 0

 本日の日経ビジネスオンラインにこんな記事が掲載されていた。

ネット通販全盛でカタログ通販は終わるのかニッセンHD、赤字転落の苦悩

つい最近発表されたニッセンHDの中間決算を受けての記事である。

同社の連結売上高は、ギフト販売のシャディなどを買収した効果もあって前年同期比46.2%増の約1025億円と大きく増えた。その一方、営業損益は約16億円の赤字。期初予想の5億5000万円の黒字を大幅に下回った。

とある。

繊維・アパレル業界の方はあまり関心がなかったが、ギフト問屋最大手のシャディもつい最近、このニッセンHDに買収された。カタログ通販業者と、カタログギフトを得意とするギフト問屋は親和性が高いと推測される。
シャディはこれもあまり関心がもたれていないが、ニッセンHDに買収される前はUCC上島珈琲の子会社だったのだ。UCCよりはニッセンの方がよほど親和性が高いといえるだろう。

UCCも創業家からシャディを買収したのだから、シャディはこれまで2度売買されているわけである。

シャディの話はさておき。

カタログ通販はニッセンHDに限らずおしなべて業績が厳しい。

例えばフェリシモの2013年2月期連結は、

売上高432億5100万円(対前期比6・7%減)
営業利益6億3700万円(同57・4%減)
経常利益9億900万円(同43・8%減)
当期利益4億1000万円(同36・9%減)

と減収大幅減益に終わっている。

ついでに千趣会も見てみる。

千趣会の2012年12月期連結は

売上高1457億5000万円(対前期比6・2%増)
営業利益21億900万円(同32・1%減)
経常利益27億6500万円(同14・5%減)
当期利益20億2900万円(同28・2%増)

と増収ながら大幅減益に終わっている。
ちなみに当期利益が増えたのは決算短信によると、投資有価証券評価損の特別損失が減少したからとのことで、本業が好調だったわけではない。

さらに、同社の2013年6月連結中間を見ると

売上高727億3600万円(同1・7%減)
営業利益16億2600万円(同113・3%増)
経常利益19億9500万円(同69・1%増)
当期利益12億4100万円(同35・8%増)

と微減収ながら大幅増益となっている。
しかし、決算短信によると、「利益面につきましては、通信販売事業における売上総利益率の改善や販売費及び一般管理費の削減により」とあるので、決して販売が好調だったわけではない。
また「経常利益は為替差益等により19億95百万円(前年同期比69.1%増)、四半期純利益は固定資産除売却損等により」とあるので、こちらも別に本業が好調で増益したわけではない。

反対にセグメント別では

カタログ事業と頒布会事業を合わせた通信販売事業の当第2四半期連結累計期間の売上高は、カタログ事業における4月度の気温低下による春夏商品の売上鈍化と頒布会事業の売上減少

ともある。

短信を読む限りでは苦戦傾向にある。

さて、大手3社を見るだけでもなかなかの苦戦ぶりだと言わざるを得ない。

記事では

カタログ通販の場合は発行のタイミングが季節と合っているかが重要だという。例えば、夏物のカタログを配布する時期に涼しいと売れ行きは伸びず、「そこから暑くなっても、もう一度カタログを開いて買ってくれる人はそれほど多くない」(ニッセンHD幹部)。

今年の春夏のカタログでは、この季節感のズレが大きくなり、既存顧客からの売り上げが大きく減少してしまった。

としており、カタログ発行時期の気温と掲載商品がマッチしていないと売り上げにつながりにくいと指摘している。
しかし、掲載商品と発行時期の気温を適合させるのは至難の業である。
カタログや雑誌などの印刷媒体の場合、いくら遅くとも発行日の2週間から10日前には印刷に取りかかる。2週間後の気温を想定して品ぞろえすることはかなり難しい。
いきなりの猛暑になるかもしれないし、突然寒くなるかもしれない。
しかも品ぞろえの作業が始まるのはいくら遅くとも3か月前、下手をすれば半年以上前から商品の選定が始まる。
半年先の気温を的中させることは気象庁でも不可能である。

そのため、今後はカタログを従に、ネットを主にするという。

ニッセンHDが目指すのは、ネットとカタログを融合した新しい通販だ。これまではネットに力を入れていたとはいえ、優先順位はカタログの方が上という意識があった。これを、モバイルを中心とするネットを「主」とし、カタログを「従」の形に変える。

そのため、現在の総合カタログは発行のスタイルを変える。発行頻度を年5回から年6~12回に増やす一方、1回のカタログのページ数はこれまでより大きく減らす。季節感や実需に合った発行を目指すともに、カタログそのもので売り上げを取るのではなく、カタログをネット通販のサイトに来てもらうための重要な媒体という位置づけにする。

とのことである。

ここで思い出されるのが、実店舗を持った業態なので参考になるかどうかわからないが、ユニクロが通販において早々にカタログ発行を止めたことである。
ユニクロは、新聞への折り込みチラシは止めない(というよりそれが生命線)が、カタログ通販は早くに廃止し、ネットのみでの対応となっている。

もちろん、それは全国に800店以上も実店舗を展開している業態だからできる部分もあるだろう。だから折り込みチラシは止めないのである。しかし、カタログ通販を見切ったのはさすがに慧眼だったといえるだろう。

カタログ通販も雑誌も、今後もなくならずに存続するとは思うが、発行部数は減少する一方だろう。
通販大手や出版社がどのように対応できるかで企業が存続できるかどうかが決まる。

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