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南充浩 オフィシャルブログ

ブランドの新規性と希少性に頼っている間は・・・・

2013年8月9日 未分類 0

 先日、某百貨店に常設店を何年間も展開し続けているブランドが、別の百貨店に1週間だけ期間限定売り場を出した。もちろん、常設店は継続したままでだ。
すると、当然のことながら、常設店のある百貨店からそれなりの「嫌がらせ」「嫌味」の類があったというのだが、さもありなんである。

都心には複数の百貨店が隣接している場合がある。例えば大阪・梅田、東京・新宿、銀座、名古屋・栄、京都・四条河原町のようにである。
現在のところ、各百貨店の目玉は、誘致してきたブランドの新規性や希少性しかないわけであるから、この手の「囲い込み」にも似た対応は当然予想の範囲内にあるといえる。

しかし、このブランドは隣接する他店にも常設店を出店したわけではなく、1週間の期間限定売り場を作っただけである。ちなみにこのブランドの売上規模はそれほど大きくない。
せいぜい5億円程度だろう。予想よりも売れていたとしても10億円弱であろう。

となると、そこまで過敏に「囲い込む」必要があるのだろうかと個人的には疑問を感じる。

常設店を近隣に作ったというならまだわからないではない。
それでも隣接する2つの百貨店の両方ともに出店しているブランドだってけっこう見かける。
例えば、阪急うめだ本店(阪急メンズ館梅田も含む)と大丸梅田店のフロアマップを見比べれば良い。重複するブランドがいくつかある。

ましてや今回は1週間の期間限定売り場である。
その期間で新たに獲得できたお客は、その後、常設店が吸収できる可能性が極めて高い。
常設店の売上高が伸びれば、百貨店の売上高にも多少なりとも(本当に極微量だが)好影響を与える。
当然、ブランド側もそのような販売方針は持っているだろう。
期間限定店で獲得できたお客に対して「今回は期間限定ですが、近隣のあの百貨店に常設店がありますので、今後はそちらにおいで下さい」程度のアナウンスは行うはずだ。

外野から見れば、今回の期間限定出店はデメリットよりも百貨店側にとってもメリットの方が大きいように思う。
そういう過度な「囲い込み」方針をチラつかせる方が百貨店にとってはデメリットではないのだろうか。

そういえば、この手の「囲い込み」志向は百貨店だけに限った話ではない。

このブランドのように年間数億円規模のブランドの展示会にお邪魔すると、「近隣の専門店に卸売りするとバッティングがうるさい」という話をよく耳にする。
近隣で同じブランドを扱っていることに対して専門店はよく、ブランド側にクレームを出す。
とくにそれが両方ともオーナー経営の小規模専門店だった場合はことにうるさい。

面白いことに、そのブランドが大手有名店に卸売りした場合はそれほどうるさくない。
むしろそれを付加価値と判断して、小規模専門店も仕入れようとする。
ひどく単純に図式化すると、「ユナイテッドアローズでも取り扱っている○○ブランド」という肩書を付けて販売しようとするわけである。
しかし、小型店が大手に追随して勝てるわけもないから、戦略ミスに終わる場合が多いこともついでながら指摘しておきたい。

閑話休題

以前にも齊藤孝浩さんの著書「人気店はバーゲンセールに頼らない」(中公新書クラレ)から引用させていただいたが、街を歩いていて、自分が着用している洋服と同じ洋服を街中で見かけるのは、そのブランドの1型あたりの生産数量が10万枚を越えた時点から始まるそうである。
だから1型あたり数100万枚以上を生産するユニクロの商品には、「ユニ被り」現象が起きる。

小型専門店に卸売りする小型ブランドの場合は、年商規模が数億とか10億円内外である。
1型あたりの生産数量は100枚とか200枚、多くても500枚から1000枚程度だ。これでは同じ洋服を着用している人を探す方が困難な状況といえる。

そのような状態のブランドに対して、「近隣何㎞以内の専門店に卸してはいけない」などとブランド側に強要することはいかがなものかと筆者には感じられる。
もちろん、店側にも言い分はあろうが、じゃあその店が、生産数量の半分程度でも引き取ってくれるのかというとそうでもなく、各型10枚ずつ程度しか仕入れない。

ブランド側からすると小型専門店のバッティング問題に真面目に対処していたら、拡販のチャンスなど永遠に生まれないことになる。

さてさて、そういう過度の「囲い込み」志向は百貨店に限らず、小型専門店にも共通していることに今更気が付いた。

店側が、取り扱いブランドの新規性と希少性に頼っているうちは、この問題はなかなか解決しないだろう。

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