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南充浩 オフィシャルブログ

ブルージーンズが好調だったわけではなさそう

2013年8月1日 未分類 0

 日本ジーンズ協議会から2012年度(1月~12月)のジーンズ生産統計が発表されたようなので、8月1日付けの繊維ニュースから引用してみる。

ブルージーンズ、7年ぶりに増加

 日本ジーンズ協議会がまとめた2012年度(1~12月)ジーンズ製品生産(仕入れ)統計によると、同年の生産総数は1.9%減の5513万着で、再び減少に転じた。ただ、主力のブルージーンズは3.1%増の2328万着で7年ぶりに増加した。

とある。

見出しが7年ぶりに増加なので、一見すると好調だと感じてしまうが、本文を読むと分かるように生産総数は微減している。
例年だと項目別にボトムスとトップスが別れており、さらにボトムスも「ブルージーンズ」、「カラージーンズ」、「ショートパンツ・スカート他」と3つに別れている。

この生産統計は昨年の物なので、昨年何が流行していたか、また昨年後半は今春夏に向けての生産も入っているので、今春夏に何が流行したかを考える必要がある。

例年、生産統計の資料には、事細かな売れ筋などの説明がないので想像で補完するほかないのだが、個人的に売り場を見た印象で考慮すると、昨年はジャージデニムがそれなりに話題となった。また秋冬商品では保温ジーンズもジーンズメーカーなどがキャンペーンを行った。
あくまでも「生産統計」なので、これら商品が実際の店頭で売れたかどうかというのはこの統計には反映されていない。売上統計ではないからだ。

ジャージーデニムと保温ジーンズ類をジーンズチェーン店の店頭に大々的に卸したということは、その分生産数量は増えているということになる。
一応、夏場にも吸水速乾素材のクールジーンズのキャンペーンもあったので、その分も含まれているのだろう。

ブルージーンズの生産数量が微増したのはこの辺りが原因ではないかと推測される。

逆に生産総数が微減したということは、その他の項目が減っているということになる。

とくに今春夏に流行したネオンカラー、ビビッドカラーのカラーパンツはジーンズメーカーにはあまり大きな恩恵をもたらしていない。
大手から見てみる。

今春夏のジーンズチェーン店の店頭を見て、二大巨頭であるリーバイスとエドウインにネオンカラーのカラーパンツがあるだろうか。筆者が何店か見た範囲内ではほとんどない。ブルージーンズとベーシックカラーのチノパン、カーゴパンツ類に終始している。

小規模企業で見てみると、筆者の友人が経営するジーンズのOEM企業にもネオンカラー・ビビッドカラーのカラーパンツの注文はほとんどないという。

一部例外的に大手ではないが「ブルーウェイ」のようにカラーパンツを積極的に打ち出した専業ブランドもあるが、実際のところ、ベーシックカラー(ベージュ、紺など)を多めに作り、ピンクやイエローなどのビビッドカラーを少なめに作ったところ、受注は逆転してしまい、ビビッドカラーが品切れを起こし、ベーシックカラーが思ったほど伸びなかった。このためかなりの販売機会ロスが生じていると推測される。

そのOEMの友人によると「ビビッド系カラーパンツはジーンズ製造のノウハウがそれほど求められていない。今までジーンズ製造を得意としていなかった工場でも簡単に製造することができる」という。
そうなると、今春夏流行したカラーパンツの多くはジーンズとは無縁のブランドで好調であり、その製造を請け負っているのはこれまたジーンズとは無縁の工場であることになる。
花柄パンツも同じ状況だろう。

このように見てくると、ブルージーンズの7年ぶりの微増というのは、ジーンズ専業メーカー各社に復活の兆しがあるわけではないということになる。

あくまでも推測だが、1年後に発表される生産統計は、今春夏の状況を反映するなら生産総数はさらに減少するのではないだろうか。
今秋冬からジーンズ専業メーカーの得意とする商品が盛り返せばまた状況は変わるだろうが。

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