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南充浩 オフィシャルブログ

功利的な副賞の提示は逆効果かも

2013年7月12日 未分類 0

 世の中に洋服が溢れかえっている。
そんな状況下で、消費者に振り向いてもらうためには「新作入荷」とか「トレンド商品が入荷」とかその程度の打ち出しではまったく効果がない。なぜなら、その「トレンド商品」とほとんど同じ物が世の中には掃いて捨てるほどあるし、同じようなデザインで安い物はいくらでもある。

それでもお客に店まで来てもらおうと思うのであれば、顧客との関係性を強めるほかない。

その一例として先日、短パン社長が書いた「柄物パンツフェア」の呼び込み文を紹介した。

http://blog.livedoor.jp/furamuclip/archives/2041592.html

皆さん、こんにちは。

いつもありがとうございます。

我が家の子の入学式も無事終わり、春から小学校に通い出し、
ホッとしていたのも束の間・・・

お店には、たくさんの新作が届きました。
( 嬉しいやら忙しいやら(汗) )

そんな私が注目しているのが、今とっても話題の柄パンです。

お恥ずかしながらコーディネイトしてみました↓

( 自分の写真 )

でもでも。。。

柄のパンツなんて恥ずかしい。

この年齢で履けない。

っていうか、今まで履いたこともない。

そう思う方もいらっしゃいますよね?

おキモチ分かります。

・・・だって私がそうでしたから。

でもそんな履いたこともなかった私でも、
コーディネイトや、着方で、全然自然に見えて、
むしろ柄のパンツを履くと、すごく足が細く見えたり、
足が長く見えるんです!( いや、ホントです! )

是非一度、試着だけでもしに来てみてはいかがですか?

私が気軽に履ける柄パンを優しく提案させて頂きます♪

また、柄パンを履く際、、、

やっぱりトップスは無地。ですよね~。

そんな柄パンにコーディネイトしやすい無地のカットソーも、
お店には店頭にたくさん揃っております。

履いてみて、やっぱり似合わないわ~。でも構いません。

いつもと違う自分を発見したり、新たな自分を表現するだけでも、

お洋服がもっともっと楽しくなると思いますよ!

まずは気軽にお越しくださいね。

と、こんな感じである。

この文章でのポイントは「試着だけでも来て下さい」「試着したけど、似合わないわ~でも構いません」と言っている部分である。
実際の洋服というものは、試着してみるまでわからない。
インターネットの画面では良いと思ったが、袖を通してみると意外にアームホールがキツイとか、身頃にゆとりがありすぎるとか、思ったよりも生地が薄いとか様々なマイナス要因がある。
また、反対にプラス要因もある。

極言すると試着してもらわないとその商品の本当の良さはわからないとも言える。

しかし、ただ単に「フェアにお越しください」ではお客は「何を売りつけられるのだろう?」とか「買わなかったら悪いなあ」という理由で店に足を運ぶことをためらう。

そこで「試着するだけでも良いですよ」ということで、店に足を運ぶハードルを下げる効果がある。
もし来てくれたお客がいたら、そこで会話することはその日の売上高につながらなくても後日の見込み客になる可能性がある。

これは何も小規模店舗だけで使える手法ではない。大手だって可能な手法だ。

以前、某ジーンズカジュアルチェーン店がこれと似た手法を行ったことがある。
最終的にこれは大失敗したのだが、その要因は後ほど説明する。

吸水速乾素材を使った夏向けのクールジーンズという商品が各ブランドから発売されている。

そこでそのチェーン店は「クールジーンズ試着フェア」というものを企画した。
ここまでは正解だが、その対応がまずかった。
「試着してくれた方にはポイントを差し上げます」と銘打ってしまった。

一見すると、効果的な販促手法に見えるが、これは悪手だった。
なぜなら、ポイントを差し上げますと書いた瞬間に、来店者の目的は試着ではなく、ポイント獲得になってしまうからだ。
もっと言えば、クールジーンズに何の興味もない人がポイント欲しさにやってくるということになる。
そんな人がその後クールジーンズを買うだろうか。
買った人数がゼロとは言わないが、ごく一部だろう。ほとんどはポイントを加算してもらって満足したはずだ。
そして加算されたポイントで後日、別の商品をタダ同然で買う。
筆者なら、990円に値下がりしたTシャツとか、790円に値下がりしたカジュアルシャツとか、その類の物をポイントと交換するだろう。

興味を喚起させ、その商品のメリットとデメリットを知ってもらうために、試着フェアを開催する。
それならば、ポイント加算とか、ノベルティプレゼントとかそういう功利的な副賞をチラつかせては却って逆効果になる。来場者の目的がポイント加算とかノベルティ欲しさに変わってしまうからだ。

ジーンズチェーン店の試みが失敗した原因がおわかりだろう。

洋服の楽しさとか商品のメリット・デメリットを知ってもらうための試着フェアを行うなら、感謝の気持ちを込めて、コーヒーや紅茶をお出しするサービスにとどめた方が効果的だろう。
そして「お茶をサービス」とわざわざ文面に書く必要はなく、試着が終わってから「ご来店いただいた感謝の気持ちです。どうぞ」とお茶を差しだす方が良い。
お客がお茶を飲まれている間に、いくらか会話を交わすことができる。
これで関係性が強まることになるし、その商品に対しての消費者の感想や意見をリサーチすることもできる。

もし、短パン社長が先ほどの文面で「柄パンツフェア」のダイレクトメールを送付したとして、文末に「ご来場いただいた方にはもれなくポイントを10点加算いたします」と書いていたら、ジーンズチェーン店と同じ結末が待っているだろう。

多くのブランドが消費者との関係性を強められないのは、こうした功利的な副賞の提示が要因の一つになっているのではないか。

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