旧来型アパレルがファッションビルやショッピングセンターで成功できない理由
2020年6月10日 売り場探訪 3
百貨店で服を買わなくなってからすでに10年以上が経過した。
ジーンズだけはがんばってリーバイスやエドウインの値下げ品(定価ではない)を買っていたが、それもあまり買わなくなったのは2012年か13年ごろからだっただろうか。
もともとスーツを日常的に着てはいないので、ほぼカジュアルで過ごしていたわけだが、カジュアルに関していうと、今の低価格ブランドに何の不満もほぼない。
百貨店内に出店していたアール・ニューボールドやイネドオム、それからファッションビル系に入店していたPPFM、メンズビギ、メンズメルローズ、コムサシリーズ、ジュンメン、ドモン、アトリエサブなんかのセールで買っていた。2005年頃までは。
定価は高いので安月給の男に買えるはずもないから、夏冬のセールでほぼ半年分ずつを買い集めていた。
今はだいたいがユニクロ(ユニクロU、アンダーソンがほとんど)、ジーユー、無印良品、グローバルワーク、レイジブルーがほとんど(すべてセール品)で、たまにライトオンのセール品とジーンズメイトのセール品を買う程度である。
ことカジュアルに関していうと、昔買っていた百貨店ブランドやファッションビルブランドと比べて何の遜色もない。別段、着心地が悪いわけでもないし、縫製がめちゃくちゃ荒いわけでもない。2005年までの低価格ブランドなら、色・柄・デザイン・シルエットなどがおかしくてそういう「ちゃんとしたブランド」とは何段も見劣りしたが、今はそれもほとんどなくなった。
完全にないわけではないが、ほぼ気にならない程度である。
あれだけこだわっていたジーンズだって、もう別にユニクロと無印良品の値下げ品で十分である。
10何年前に買った14オンスの綿100%デニム生地で作られたリーバイス502(ボタンフライが不便なので501が嫌い)を捨てずに残しているが、風合いなどはやっぱりイイと思うが、実際に穿いてみると無印やユニクロのストレッチジーンズの方がはるかに着心地がイイ。
そうなると、当方にとって、メンズカジュアルをわざわざ百貨店ブランド、ファッションビルブランドで買う理由がない。特に百貨店ブランドにおいては。
こう書くと「百貨店派」とか「こだわり派」からは、いつも反論が来るのだが、はっきり言うとその反論のほとんどは理解できない。
まあ、細かい部分が違うんだと言われればそれは理解できるし、細部に神は宿ると言われれば宿ることもあるだろうとも思えるが、実際の着用感や他人からの見た目、それから値段とのバランス(ここ最重要)を考えると、当方は今の低価格カジュアルブランドに軍配を上げる。
じゃあ、百貨店派とかこだわり派が普段主張しているように、さらに「イイ物であること」をアピールすれば、消費者は戻ってくるのだろうか?お涙頂戴のくっさいストーリーを付与すれば消費者は戻ってくるのだろうか?
まあ、何人かくらいは戻ることもあるかもしれないが、大勢は覆らないだろうと思う。
そこを理解していない、マーケティングできていないブランドやアパレルが多すぎるのではないかと常々思っている。
このブログでも何度かとりあげているオチマーケティングオフィスの生地雅之さんの指摘はその部分に関しては常に冷静で参考になる。
ついでにいうと生地さんは百貨店メンズブランドでずっと活躍されていた方で、多分、ご自身のお好みでいうと百貨店メンズブランドなのだろうと思うが、ビジネスに関していえば自分の好みを脇に置いて分析される点が非常に良いと思う。
https://blog.apparel-web.com/theme/consultant/author/ochi/0b1abda5-bae7-444b-a695-67974f856a86
上記3社(レナウン、三陽商会、オンワード樫山)が脱百貨店と称し、FB(ファッションビル=ルミネやパルコ等)やSC(ショッピングセンター=ららぽーとやイオンモール等)向けブランドを開発し、結果が出せていないのは何故なのでしょう。答えはFB&SCに来館される顧客マーケティング不足なのです。
要は、FBやSCのお客様(ターゲット)は百貨店顧客ではないのです。
この層のお客様は品質は出来れば高い方が良いが、それによる価格UPを認めないのです。
一般的はFB衣料専門店の価格ラインは百貨店の50%OFF程度であり、それよりも高くするとFBでは売れないのです。極端に言うと60%OFF程度にすれば爆発的に売れるのです。
SCでは百貨店の60%OFF程度であり、ブレークするには70%OFFまで必要なのです。
勿論、国産でなくても良いのです。彼らが欲しい商品であれば、、欲しくない商品は国産であろうが購入されないのですから。要はブランディングが出来ていない段階で、価格より高い付加価値を付けられないのが実態なのです。
との指摘だが、ショッピングセンター客は除いて、ファッションビル客の一部は百貨店と買い回りをすることはあると考えられるが、大半のファッションビル客は百貨店客とは重ならないだろうし、ショッピングセンター客はほとんど百貨店客とは重ならないだろう。
ショッピングセンター系でいうと、ユニクロは百貨店ブランドの70%オフ程度、ジーユーはそれ以上の安さだといえる。品質に関していうと、ジーユーはユニクロよりも劣るが、当方のように衣装持ちだと着用回数が少ないから余裕で3年くらいは着用できてしまう。
上記企業がFBやSC向けと称し、百貨店の30%OFF程度での商品価格設定が災いし、FBやSCの中でも売れない状況に陥っていたのです。百貨店アパレルの稼働できる工場に固執せずに、この価格で作れる工場の模索まで一から構築しないとFBやSC顧客向け適品などは出来ないのです。
この3社に限らず、イトキンやワールドなどもファッションビルはともかく、ショッピングセンター向けブランドで成功しなかったのは、同価格帯の他のショッピングセンター向けブランドと比較すると見劣りしたからであり、その原因は生産背景の選択ミスもあったのだろうと思ってしまう。
また「イイ商品なら少々高くても買ってもらえるだろう」という甘えや驕りもどこかにあったのではないかと思う。彼らがいう「イイ商品」とは、縫製仕様や使用生地の品質が高いことである。
たしかに2990円の商品より品質が高い3990円の商品なら売れるかもしれないが、それが5990円を越えるといくら「イイ物」と謳ったところで売れにくくなる。3000円も高くなればSC客は買わない。
繰り返すが、これが昔なら、低価格商品の色・柄、デザイン、シルエットなどがおかしかったから、高い商品が売れた。ユニクロが長い間、色のトーンが変だ、カラーリングがおかしい、柄がダサい、と言われ続けたことを思い返せばその一端が分かるのではないかと思う。ユニクロ登場以前の低価格ブランドはもっとおかしくてダサかった。
もちろん、消費者への啓蒙活動をするのは止めないが、真偽が定かではない情報を基に情緒的主張を繰り返したり、特定のイデオロギー的スローガンを煽ることは特定少数のコアな狂信的な人々からの支持しか受けられず、ファッションビルやショッピングセンターを利用するマス層は却ってさらに離れて行ってしまうことになるだろう。
705円の「ハイクオリティTシャツ」をどうぞ~
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昔、イオンモールに出店してました より: 2020/06/10(水) 5:51 PM
韓国、中国で、市場でどんなに探しても、求める色がなかった。
色のテーストが彼らと違ってたのだろう。似非SPAの限界があった。
一般顧客は生地の優位性にはこだわらない(気づかない?)けど
色には確実にこだわるはず。
ユニクロの色がまともになったことと、いわゆるノームコアで
ベーシックな色が主流となり、高価格の人たちが色での優位性を発揮できなくなってることも
ユニクロが一気に伸びた理由の一つだと思ってます。 -
BOCONON より: 2020/06/12(金) 4:10 PM
僕は百貨店が好きなので,生地さんの意見を勝手に補わせて頂きましょう。
たぶん生地さんも「少なくとも一部の商品は百貨店の方がものがいいに決まっている」と思っていると思います。「5万円以下でまともなスーツが買えるもんかい」「カジュアルだって,例えばボタニカル柄のシャツやワンピースで安くて良い柄のものなんてほとんどないね」とか。
でも記事にある通りで,FBやSCに来る客は前提が何よりもまず「安い物」だ。百貨店ブランドが多少良い色柄の服並べたとしても事実上「目に入らない」。僕も洋服に興味のなかった頃はそうでした。僕のまわりも安い物しか買わない人間ばかりで百貨店ブランドなんて「心そこにあらざれば見れども見えず」つまり「ないのと同じ」です。たまに買ったとしても「バーゲンだからって何でわざわざ百貨店でこんなもん買うわけ?」で。
あるいは「これはいいけど,同じようなものでもっと安いものを…」なんてみみっちい発想をする。それでは一生オシャレと言われるほどにはなれない事確実で,実際ダサい。
でもまあ僕その他並み以上の洋服好きで洋服見る目のある方がたぶん変なのです。普通たとえちょっとくらい収入が多くたって,その分出て行くものも多くなる。クルマ,家,子供の教育費,飲み会,風俗等々。洋服なんぞ二の次です。世界的に中産階級の崩壊しつつある中ではなおさら。かくして「安い物しか売れない≒繁盛しているのは貧困ビジネスみたいな商売だけ」の世の中ではいくら百貨店ブランドを擁護してもどうにもならない・・・という何の役にも立たない結論にしか僕も辿り着かないのでした。
顧客マーケティングですが
SSに行く客は 百貨店と百貨店に行く客に
嫌悪感があるんじゃ無いですかね
「よそ行き服」とかを買えなかった層といってもいい
そういう人は 家族で心斎橋をぶらぶらして
ちょっといい物を百貨店で買って
中元・歳暮は百貨店の包装紙(非交通系)で送るのがマナー
という層に対しての嫌悪があった
そしてその嫌悪が出せる時代になったと言うことだと思います
著者様は10年以上百貨店を使われなくなったとのことですが
私は大丸梅田店でTOKIO KUMAGAIのコートを買って以来ございません