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南充浩 オフィシャルブログ

まずは国内でキチンとした売り上げを作ってからでは?

2013年6月11日 未分類 0

 以前、NHKの番組について何度かに分けて書いた。
先日、某デニム生地メーカーの方と雑談していたら、書きそびれたことが一つあることを思い出した。

小規模な児島のジーンズメーカー3社がパリに売り込みに行くも無残に玉砕した(ように見える)NHK岡山支局が放送した番組「現場に立つ」について。

http://www.nhk.or.jp/okayama/program/b-det0008-naiyou.html

パリに出向いたのは以下の3社

1、インディゴ染めにこだわるI氏
2、緯糸にカラー糸を使うため、裏がカラーになるジーンズを企画製造するH氏
3、ブラックデニムとブルーデニムの切り替えブッシュパンツを企画製造するT氏

のチームである。

番組中にブッシュパンツを企画製造するT氏の会社の様子が紹介された。

現在はお父様、お母様、お姉様とT氏の家族4人で運営されているらしい。

パターン(型紙)はお母様が作成し、お姉様が縫製しておられるとのこと。
番組を見る限り、どうやら外注の工場は使用されていないようだ。

実際、売上高が伴わなくて自分たちでパターン作りから縫製まで手掛けているブランドはT氏に限らずいくつもある。筆者だってそんなブランドをいくつも知っている。

彼らは売上高の増加を目的に合同展示会に出展したり、日常的な営業活動を行ったりするのだが、どこかの時点で決断して外注工場を使うようにしないと、ずっと自分たちで手作業を行うことになる。
外注に切りかえるタイミングを逃してしまうのだ。

卸売りというのは製作費が先に出て行ってしまう。
小売店から現金を回収するよりも先に工場に製作費を支払わねばならない。
小売店からの受注が増えるということは、先に出て行く製作費も増えるということである。

となると、資金繰りが非常に苦しくなる。

以前親しくさせていただいていた経営者は
「急成長しているときは、倒産しかけているときと同じくらい資金繰りが苦しい」
とおっしゃっていた。

だから、「受注が増えてから外注工場に切り替えよう」と考えていたのでは永遠にそのタイミングはやってこない。

さて、今回の海外展示会の目的は「フランスで認められて世界へ進出する」だったはずである。
結果的には失敗した(ように見える)が、もし成功していたなら、小売店からの受注は現在より増加していたはずである。

その際、T氏は生産量の増加に対応できたのだろうか?

現在の家内制手工業では到底対応できなかっただろう。
エイヤッという掛け声とともに外注工場に切り替えただろうか?番組からは資金的にはかなり厳しいように見えていた。
外注工場に切り替えるには借金なり融資が必要だっただろう。
果たしてT氏にその決断ができたかどうか・・・・・・・・・・・・・。

そのようなことを考えると、家内制手工業の製造体制しか敷けないブランドにいきなり「世界市場を狙え」というのもかなり無謀である。
またそれに乗せられてしまう方もアレなのだが・・・・・・・・・・・。

現在、家内制手工業の製造体制しか敷けないブランドというのは、要するに売上高が少なすぎるわけである。
それなら世界市場を狙わせるよりも前に、国内市場で成長させるべきだろう。
売上高100億円の単品ブランドを200億円に成長させることはなかなか難しいが、売上高1億円の単品ブランドを3億円に成長させることはそれに比べると、そこまで難しいことではないだろう。

そのように考えると、T氏に海外進出参加を呼び掛けた日本貿易振興機構岡山貿易情報センターの戦略ミスだったとしか思えない。

筆者はT氏に受注が急増しなくて幸いだったのではないかと考えている。

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