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南充浩 オフィシャルブログ

短すぎる滞在時間に驚き

2013年6月12日 未分類 0

 先日、あべのハルカス近鉄本店の内覧会に出席してきた。
その際、会見でやたらと「お客様の滞在時間を長くする」を連発されるので、近鉄百貨店阿倍野本店のお客の滞在時間ってどれくらいだろうと疑問に感じていた。

ネットで検索すると、5月1日の日経新聞の記事が出てきた。

あべのハルカス近鉄本店、6月13日先行開業 滞在型百貨店提案
http://www.nikkei.com/article/DGXNASHD01025_R00C13A5LDA000/

この文中に記されていたのだが、驚いてしまった。

滞在時間も直近の本店で1時間10分ぐらいだが、買う、体験してもらう、人と人とがつながる活動などを通じて2時間ぐらいを目指したい

としている。

直近の本店ということは、面積を狭めた改装中の本店のことだろうから、売り場総面積は4万8000平方メートルだ。
改装前は6万7000平方メートルあったからそれに比べるとちょっと手狭に感じるが、4万8000平方メートルは実際はそれほど狭い面積ではない。
JR大阪三越伊勢丹の売り場総面積が5万平方メートルであるから、これとほとんど遜色が無い。

その割には滞在時間1時間10分というのはあまりにも短い。短すぎると言っても過言ではない。

4万8000平方メートルの売り場面積の百貨店で1フロアを見て歩いて何か1品を買ったとしても所要時間はおそらく1時間半を越えるだろう。それが1時間強しか滞在時間がないというからそのあまりの短さに驚いてしまう。
来場客のほとんど目的買いだといえるだろう。

「○○(ブランド名・テナント名)の××(商品名)だけを買うッ!それ以外は見向きもする気はないッ!」

来場客のほとんどがそういう状態だといえる。
なるほど、これなら「滞在時間を長くする」を連発しても不思議ではない。

それの改善策として「音楽と香り」を打ち出しておられたのだが、正直、その施策にはピンと来るものはなかった。
まず、音楽だがだいたいどこの商業施設でも流れている。
百貨店、ファッションビル、郊外型ショッピングセンター、量販店、食品スーパー、コンビニなどなど。
音楽が流れるという条件は同じだから、音楽にさして滞在時間を長める効果があるとは思えない。
スーパー万代だって花園町のイズミヤだって音楽は流れている。

次に「香り」だが、筆者は香りにはあまり興味が無い。
香りによって店に入るとか入らないというのはあまり関係がない。
よほどの悪臭だと逆効果になるのは言わずもがなだが、香りがシトラスだろうがミントだろうがローズだろうが、それが入店する動機にはならない。
空腹時にカレーの匂いに誘われることはある。そのタイミングでのカレーの匂いが筆者にとってはもっとも本能に訴えかけるものといえる。

筆者は香りには無頓着な方なので、そうではない方も大勢いらっしゃるとは思うが、知る範囲では商業施設への来店の動機が「香り」だというのはあまり耳にしたことが無い。

欧米ブランドは「香り」による刷り込みをすると言われているが、日本人にとっては「香り」がそれほど強い動機づけになるとは経験上思えない。

逆に一歩間違えると、「悪臭」との定評があるアバクロ銀座店のようになってしまう。

一方、休憩スペースを増やしたことは効果がある程度見込めるだろう。
けれども滞在時間を長くさせるにはもう一声何か別な施策が必要ではないかと感じられる。
それについてはもうしばらく試行錯誤するほかなさそうだ。

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