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南充浩 オフィシャルブログ

絶好の販促のチャンスなのに

2013年6月10日 未分類 0

 昨日、たまたま「ほこ×たて」という番組を見ていたら、「最強ジーンズVS最強ばん馬」という対決があった。
この対決を頭から見ていたわけではなく、途中から見始めたので「どこのジーンズかな?」と思って見ていたら、「桃太郎ジーンズ」だった。

正直申し上げて、ジーンズの代表ブランドが「なぜに桃太郎ジーンズ?」という疑問しかなかった。
なんと微妙なブランドを選択したものだと思う。

さて、見始めた当初は「ケブラージーンズかな?」と考えていたが、どうやら綿100%のジーンズだったようだ。

ケブラーとはデュポン社の開発したパラ系アラミド繊維で、

「同じ重さの鋼鉄の約5倍の引っ張り強度があり、軽く、伸びにくく、熱や摩擦、切創、衝撃にも強く
電気を通さないなどの特性をそなえています」

という特徴がある。

http://www.td-net.co.jp/kevlar/

航空機や船体、タイヤ、ブレーキパッド、防護服などに採用されている。
たしか防弾チョッキ用の素材でもあったはずだ。

なぜ、筆者がまっさきに「ケブラージーンズ」を想像したかというと、99年に「ボーアンドアロー」というブランドがケブラージーンズを開発し、発表したことがあったからだ。
その後、ボーアンドアローの名前は耳にしないことを考えると、もうブランド自体は存在していないのかもしれない。

ネットでケブラージーンズを検索してみると、現在では「コミネ komine」というブランドの商品が上位にアップされる。

どういう対決なのかというと、万力でジーンズの一方を固定し、もう一方をばん馬が引っ張る。
ジーンズを立った状態で固定し、横方向へ引っ張るわけである。
ジーンズが引き裂かれれば馬の勝ち。
ジーンズが破れなければジーンズの勝ち。
である。

結果は馬が勝って、ジーンズは真っ二つに引き裂かれた。

綿100%なら裂けて当たり前だと思うのだが、そもそも企画内容がちょっと微妙だなと感じる。
どうして「ケブラージーンズ」ではなく、綿100%だったのだろうか。綿100%ジーンズはそれほど丈夫ではない。
100年前なら丈夫な生地という位置付けだったのかもしれないが、各種の機能繊維が発達した現在では綿100%デニムという生地はさほど丈夫とは認識されていない。
それほど丈夫だというなら、どうしてワーキングユニフォーム(工事現場用作業服)が綿100%ではなくナイロンやポリエステル混なのか。

馬に引っ張られて裂けたジーンズもお尻の中心部分の縫い目は裂けずに、その横の生地が裂けている。
縫い目の糸は通常ポリエステル糸なので綿よりも丈夫なのである。

次に登場ブランドは何故桃太郎ジーンズなのだろうか?
それほどメジャーなブランドでもあるまい。

レザーパッチに馬二頭が正反対の方向に引っ張っているマークが刻印されている某有名大手ブランドが存在しているではないか。
今回は馬一頭だが、まあ状況は酷似している。
どうして某「Lーバイス」が登場しなかったのか。

まあ上記のようなことを考えると、微妙感溢れる企画内容だったと思うが桃太郎ジーンズには絶好の宣伝になったのではないか。

現に「ほこ×たて」のHPでも桃太郎ジーンズの直営オンラインショップがリンクされている。
ためしにそちらに飛んでみると、HP上には「ほこ×たて」に登場すること自体が掲示されていない。
はて?何のためのテレビ放送だろうか????

また、番組に登場したのは特別製作したジーンズらしいので、そのものずばりの商品は販売されていない。

仕方がないとはいえ、せっかくテレビに登場するならどうして「ほこ×たて登場モデル」を限定品ででも販売しなかったのだろうか?

申し訳ないが、オンラインショップを見た限りではテレビ番組登場がまったく販促として活かされていない。
これではせっかくのテレビ番組登場も効果は半減以下であろう。
販促に熱心なのか不熱心なのか良く分からないブランド姿勢である。

ここに限らず、近年雨後のタケノコのように誕生した産地系小規模ジーンズブランドは製造することには熱心だが、極めて販促には不熱心である。
しかもその物作りは熱心だが、作り手の思い込みが激しすぎて、一般大衆には受け入れられない部分が多い。

「うちはマニアなお客にだけ販売できて細々と社員3人が食えれば良い」

そういう企業ポリシーならそれもまた良しである。
けれども、「ある程度の売上高を稼げるようになりたい」と考えるならその姿勢では到底無理だろう。

で、桃太郎ジーンズはもともと、どちらかというと拡販に熱心なブランドではなかっただろうかか?
その熱心なブランドですらそのような状態であるなら、後は推して知るべしだろう。

そういう観点で見ると、今回の一連の流れは産地系ジーンズブランドの販促に対する問題点を浮き彫りにしたのではないかと思う。

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